デザイナーのジェンファンは19年春夏、ドラマ『Big Love』に触発されたコレクションを発表した。

このドラマは、
アメリカの田舎のドレスコード、特にHBOのテレビシリーズで見られた控えめで献身的な衣服への彼女の継続的な執着に火をつけた。

純白の寺院の衣装、
控えめなウェディングドレス、パステルカラーの制服など、アメリカらしい衣服のイメージを東京を拠点に何年もかけて研究し、魅了されてきたという。

これらの伝統的なシルエットに、
ジェニーファクスならではの不遜なひねりを加えることで、ジェンファンはブランドの新しいトレードマークを確立したと言える。

そして22-23年秋冬は、この物語を引き継いだ。

光沢のあるサテンをキーファブリックとし、ショッキングピンクのショートフリルキャップスリーブトップやキルティングコートに仕上げた。ウェディングドレスに倣い、テントのように扇形に広がった極端な形のスリップドレス。

家庭的なことに敬意を払うジェンファンは、家のカーテンや枕カバー、毛布を生地や柄のインスピレーションとして用い、小さな草原の花をあしらったシアータイツやボディスーツなども発表した。

創り出されるフォルムは若いモデルが着用しているが、
ポケットやラインを外側に膨らませることで中年女性の曲線美を強調している。

これは女性としての旅路を表現しているのだそう。

また、アメリカンなイメージを表現してきたブリーチやディストレス加工のデニムに回帰し、カルト的人気を誇る小さなパフスリーブのドレスも戻ってきた。

写真家Moni HaworthとスタイリストLotta Volkovaによって生み出された型破りなルックブックは、ルックブックというよりもアートブックのような仕上がりになっている。

ハーレー愛好家が週末に集まるイーグルバーやショップ、
農場など、地元のスポットで撮影されたこの作品を通してジェンファンは、日本からでもアメリカのローカルな雰囲気を伝えたいと考えた。

楽しみを求め、危険を夢見、そしてクールに遊ぶ」。

そんな少女たちの夢の世界、空想の遊び場をリアルに表現している。

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