開演時間が訪れ、場内の明かりが落ちると、会場内に鐘の音が響いた。そこに鈴の音も重なり、早くもクリスマスムードが漂うSEが終わると、ステージに谷内伸也、古屋敬多、鍵本 輝のシルエットが浮かび上がった。オープニングナンバーは「HIDE and SEEK」。サビ始まりにリアレンジされており、3人は冒頭から美しいハーモニーを響かせる。さらに、鍵本のシャウトを合図に楽曲本編へと流れ込むと、キレのあるシンクロダンスで早速観客を魅了。以降も、細かい足のステップが印象的な「ムーンライトシャワー」、ファンキーなサウンドに思わず身体が揺れる「Let’s get on it」からの「Funk this Time」、挑発的な振り付けの中に組み込まれた手で象るハートが印象的な「Love or Love?」など、ダンサブルなナンバーを立て続けにパフォーマンスし、会場を熱気で包んだ。
最初のMCでは、観客に向けて「“Lead Winter Live 2022~Snow Magic~”にようこそ!」。「今日は盛り上がっていきましょう!」(古屋)、「今日は今年ラストのライブ。精一杯の想いをぶつけます!」(谷内)と、それぞれが観客に呼び掛ける。そして、鍵本が「今回は“Snow Magic”ということで、Leadの冬の曲をたくさん持ってきたので、Leadのステージでみなさんを魔法にかけたいと思います。最後まで楽しんでいってください!」と言うと、ライブは中盤戦へと突入。その始まりは、マライヤ・キャリーの「All I want for Christmas is you」のカバー。あの特徴的なイントロが流れるやいなや、会場のクリスマスムードがより色濃くなる。3人は息の合った歌唱で「All I want for Christmas is you」の1コーラスを終えると、Leadのクリスマスソング「Ding Dong」を披露。その曲終わりで谷内がステージ袖に去ると、ステージに残った鍵本と古屋は「Jingle Bell Rock」に合わせてステップを踏むダンスパートが始まった……かと思うと、途中でガラガラと何かが崩れる音が。ゴホゴホと咳き込みながら登場したのは、真っ赤な衣装で大きな袋を抱えた“谷内サンタ”。鍵本と古屋が駆け寄ると、袋からボールを取り出し、3人がそれぞれ客席へと投げ入れた。思わぬ“クリスマスプレゼント”に、観客は大喜び。その様子を笑顔で見つめる3人は、再び流れ始めた「Jangle Bell Rock」に合わせ、今度は3人揃ってダンスを披露。光の演出を取り入れた幻想的なパフォーマンスで、観客を魅了した。
しばしのインターバル後、ステージの照明が灯ると、背後には布とライティングによるクリスマスツリーの装飾が登場。ここで彼らはワムの「Last Christmas」をアカペラで歌い上げたのち、「My One」へ。クラシックの楽曲をサンプリングしたこのラブソングでは、大切な人に向けたストレートな歌詞に加え、抱きしめるような動き、手話のような振りといった、彼らの想いをありのままに表現したパフォーマンスが、観る者の心を温めた。
その後もソロパートを挟みながら、冬をイメージした楽曲を次々に披露していく3人。ここからはLeadの代名詞とも言えるダンスを封印し、「Amazing」や「冬色ガール」といった冬ソングを中心としたセットリストでしっとりと大人のムードに。
ソロパートでは、DJ卓に腰掛けた鍵本が「Stay with me」でファルセットを生かしたエモーショナルな歌声を響かせたと思えば、谷内は自らが作詞とラップを手掛けた「君と歩く未来」を披露。リズムに合わせてペンライトが左右に揺れる客席を愛おしそうに見渡しながら、噛み締めるように歌い上げた。のちのMCでソロパートの楽曲はそれぞれが自ら選曲したと明かされたが、古屋が自身のソロパートに選んだのは「HOT STUFF」。実はこの曲は、彼が2016年、2019年にアダム・フェリシア役で出演したミュージカル『プリシラ』で演じたもの。直後のMCで谷内や鍵本が「全部持っていかれた !?」と悔しがるほど、エネルギッシュな歌声、さらには腰をくねらせるなど艶かしいダンスを披露し、客席から大きな拍手が湧いた。
ライブでこうしたソロパートを設けたのは久しぶりということで、お互いのパフォーマンスを観た印象を「改めて、Leadのメンバーって心強いなと思った」と語った鍵本。一方、谷内は「ここまで踊っていないのって、久しぶりっていうか、初めてじゃない !?」と、これまでとは違う、Leadの新しい一面を強調。それに対し、古屋は「僕たち結構ビビりで、歌って踊ってないと(不安)。踊りに自信があるもんで(笑)」と言って観客の笑いを誘った。
今回のセットリストは「今までにないもの」を念頭に選曲とのこと。クリスマスソングのカバーはもちろん、「Field of Soul」はスタッフに音源を「探しに探してもらった」結果、1週間ほど前に「奇跡的に見つかった」とのことで、急遽組み込まれたのだという。メンバーも「最後にやったのはいつだった記憶がない」と口を揃えるほどレアな選曲に、この日足を運んだ観客も大喜びだった。
「ここからは、さらに、さらに、みなさんともっと素敵な思い出を作っていきたいと思います!」という言葉を皮切りに、ライブはいよいよラストスパートへ。「雫 ~Sizk~」のイントロが流れると、客席は総立ちに。さらに「Cosmic Drive」と続き、3人の切れ味鋭いダンスに合わせてジャンプするファンの熱は最高潮を迎えた。
本編を締め括ったのは、切なくも温かい冬のミディアムナンバー「anytime」。3人は、まるで一人ひとりのに語りかけるように、情感豊かに歌い上げる。その想いをしっかりと受け止めた観客は、大きな拍手で歌い終えた3人を見送った。
アンコールでは、揃ってツアーグッズのパーカーに身を包み登場。アンコール1曲目の「ORDINARY」を披露した後のMCでも、古屋が「ぴったり」と言おうとして「ぴってり」と言い間違えたことに爆笑したりと、和気藹々。デビュー20周年を迎えても、変わらず仲がいいのもLeadの魅力の一つでもある。
さらに、この日はLeadの公式TikTokアカウントが開設されることも発表。チェックとフォローを呼び掛けた。また、続く「GET WILD LIFE」は、この楽曲が19年前の12月3日にリリースされたことにちなみ、動画撮影がOKに。観客にとっては一足早いクリスマスプレゼントとなった。
3人がこの日最後に届けたのは、彼らの3枚目のシングル収録の「SHINING DAY」。歌詞の中にグループ名が入ったこの楽曲を、当時と変わらぬキレのいいパフォーマンスで披露する様は、まさに“ダンスが魅力のLead、ここにあり!”といった貫禄。こうした自分たちの強みはもちろん、この日の公演では、懐かしいナンバーやカバー曲を織り交ぜたセットリストなど冬ライブならではのスローナンバーを交えた構成で、さまざまな新しい一面も見せてくれた彼ら。ファンにとっても、まさに“Snow Magic”な一夜になったに違いない。
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/神谷 渚
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