――現在、今年1月にリリースしたアルバム『愛せ、至極散々な僕らの日を』のタイトル曲「愛せ、至極散々な僕らの日を」が、SNSで話題を呼んでいるみなさん。それによって周りの反応や環境の変化を感じることはありますか?
洸瑛「僕らはグループを結成してから地道にコツコツ頑張ってきて…それこそ結成時はコロナ禍だったこともあって、お客さんが少ないところからのスタートだったんです。そういう状況から今年の1月に満員のZepp Shinjukuでワンマンライブをやらせてもらえて、“本気でワンマンライブをソールドアウトさせよう!”と頑張って作り上げたものが、今こうやってSNSで拡散されるって状況になりました。リアルなところで言えば、フリーイベントに来てくださる人の数も増えたし、TikTokやYouTubeの動画を上げても再生数やいいね数も全然違いますし。変化を感じるというか、びっくりしました。その変化に、まだ僕らが追いついていない気がします(笑)」
久昌歩夢(以下、歩夢)「でも、みんなの意識がより高くなったっていうのはあります。12月に行うワンマンライブや今回の「僕らのロードムービー」でも、より成長した自分たちを見てもらいたいっていう意識で取り組んでいますし。そのためにSNSもこれまで以上に力を入れてやっています。僕的には今、メンバー同士切磋琢磨し合って “いいラブワンを作っていこう!”っていう気持ちでいっぱいです」
矢嶋由菜(以下、由菜)「私は今、高校3年生なんですけど、一番変化を感じたのが夏休みが明けてからです。学校に行ったら友達が“いつも流れてくるよ〜!”って報告してくれたり、関連動画がどんどん出てくるから“矢嶋由菜がたくさんいるね”って言ってもらえたり。今までは検索してもらわないと出てこない状況だったのに、今は私たちのほうから流れているというか(笑)。“曲を聴いて元気をもらってるよ!”と言ってくれる学校の友達もいて、少しでも届けられているならすごくうれしいなって感じています」
――「愛せ、至極散々な僕らの日を」はライブやイベントを通してたくさん歌ってきていると思います。回を重ねることによって変わってくることもあるのでは?と想像するのですが、いかがですか?
イーチ「回数を重ねても、1回1回のステージを大事にということを心がけています。「愛せ、至極散々な僕らの日を」は今、いろんな方に知っていただけるタイミングでもあって、私たちは何回も歌っていても、ライブやイベントに来てくださる方の中には初めて見るという方がいると思うんです。その方たちにどう届けるか…もちろん何度も見てくださってる方にも新鮮な感じで届けたいので、歌詞の1フレーズ1フレーズやダンスの表現を大切にすることを心掛けています」
佐々木杏莉(以下、杏莉)「この曲は本当にもう何回歌ったか数え切れないほど歌っているんですけど、それこそ毎回イベントに足を運んでくださったり、私たちが歌った回数と同じように何回も聴いてくださったりする方もいるので、どんどん進化し続けないといけないなって気持ちが一番大きいです。なので、パフォーマンスを重ねていく中で学んだことを加えながら、みんなで成長、進化し続ける「愛せ、至極散々な僕らの日を」を届けていきたいです」
――「愛せ、至極散々な僕らの日を」はみなさんにとって特別な1曲になっていきそうですね。
――「愛せ、至極散々な僕らの日を」はみなさんにとって特別な1曲になっていきそうですね。そうした中、新曲「僕らのロードムービー」が8月に配信となり、9月からはこの曲の世界観をモチーフにしたショートドラマの配信がスタートしました。まずは楽曲を聴いて受けた印象から教えてください。
イーチ「ラブワンの楽曲って、“葛藤や不安もありつつ、でも前に進めるように頑張ろう!“って感じの曲が多いですけど、「僕らのロードムービー」は葛藤っていうよりも前向きというか…輝かしい未来のことを描いたキラキラした歌詞で、今までとはちょっと違うなって思いました。曲調も明るくて、歌ったり踊ったりしながらハッピーな気持ちになれるのでお気に入りの1曲です」
杏莉「私がこの楽曲を聴いてまず思ったのが、“今までよりも情景が浮かぶ歌詞だな”って。それと同時に、青春の切なさみたいなものもすごく感じて、この楽曲をより引き立たせるためにも、もっといろんな表現をできるようにしていかないと!って改めて思いました」
歩夢「僕は仮歌を聴く前、「僕らのロードムービー」というタイトルを見ただけで、“すごくいい曲だな”って確信しました。聴く前にそこで1回余韻に浸りましたね」
洸瑛「どれくらい浸ったの?」
歩夢「ざっと2週間ぐらい」
由菜「レコーディング始まっちゃうじゃん(笑)」
歩夢「なんならレコーディングしながらも余韻に浸っていたんですけど(笑)。でも、それぐらい、曲を受け取った瞬間、タイトルからして良かったので、“絶対にいい曲になるだろうな”って思いました。実際に聴いたら爽やかな印象で、さっきイーチも言っていた通り、明るい未来の話をしているようなフレーズもあって、歌詞を見てもまた感動して。あと、この曲はザ・男女混合の楽曲になってるんです」
杏莉「こんなふうに男女が歌い繋げていく感じは初めてかも。歌うメンバーが1フレーズ1フレーズ変わっていくのがすごく新鮮でした」
――歌割りはどんなふうに決まるんですか?
洸瑛「レコーディングの時点である程度決まった歌割りがあるんですけど、正式なものは実際にレコーディングをしてから決まるんです。例えば、このパートは洸瑛と(笹原)遥雅のどちらかで、って感じでレコーディングをして、後からどっちのテイクを使うかが決まるっていう。だから、正式な歌割りはレコーディングを終えた数時間後くらいにわかります(笑)」
――それは緊張もするし、気合も入りますね。
洸瑛「そうなんです。同じグループとはいえ、1曲の中でどっちが歌えるか?みたいな勝負はあります」
歩夢「でも、その結果それぞれが切磋琢磨し合って、いいものを作り上げられていると思います」
――頑張った末に手にできたパートというのもありそうですね。
洸瑛「杏莉あるでしょ?」
由菜「一番オイシイところ!」
洸瑛「言って言って!」
杏莉「えっと…落ちサビの<Ah, タイトルもない映画>からのところなんですけど。ここはレコーディングで歌う時、私たちが成長していって、いつか大きいステージで歌っているのを想像しながら歌わせていただきました」
由菜「歌割りが出た瞬間、杏莉に“このパート、天才すぎー!”って連絡しました」
歩夢「本当、ここは杏莉の声色が合ってると思う!」
杏莉「わあ、涙〜。ありがとう!」
――他にもここ!っていうパートを歌った方はいますか?
由菜「ここっていうパートじゃないんですけど、私はこの曲の仮歌を聴いたとき、“この音の雰囲気はマズい…”と思って(笑)」
――マズいというのは?
由菜「私の歌声は声質的に優しくないので、「僕らのロードムービー」のようなテイストが本当に向いていなくて。なので、レコーディングの時は息をすごく吸って、物理的に心を広くして、目を閉じながら海のド真ん中で歌っているのを想像しながら(笑)。とにかく自分のクセをすべてなくすように頑張りました」
――そして、この「僕らのロードムービー」をモチーフにしたショートドラマが制作されましたが、台本を読んだ印象はどういうものでしたか?
洸瑛「タイムリープする話っていうのは聞いていたんですけど、“こういう感じ”っていうイメージだけだったので、それがどういうふうに起承転結をつけた物語になるんだろう?と思っていて。そこから(台本を)読むと、ちゃんときれいにまとまった素敵な話になっていて、プロってすごいなと思いました(笑)」
杏莉「でも、タイムリープしているのは(藤咲)碧羽が演じる美玖だけで、他の人は気付かないから、その出来事が初めて起こったような演技をしなければいけなくて。そこは撮影しながら難しかったです」
――しかも、劇中では何度もタムリープしますから、撮影も大変だったのでは? 印象的だったエピソードを教えてもらえますか。
歩夢「台風が近付いていたこともあって、天気やスケジュールとの戦いで大変ではありましたけど、すごく温かい現場で。撮影しているときは今を忘れるっていうか、学生感あふれる現場でした」
洸瑛「制服も着れたしね!」
歩夢「ね。楽しかった」
――とは言え、みなさんが制服を着る機会は多いですよね(笑)。
洸瑛「確かに(笑)。でも、毎回うれしいです。“ラブワンでよかった!”って、制服を着るたびに思います。いつまで着られるか…あと何回制服に袖を通せるのか、ハラハラもしていますけど(苦笑)」
歩夢「年齢もだんだん上がっていくもんね。毎回噛み締めて着ています(笑)」
洸瑛「10の位が2、3個上がっても着られるか!?みたいな」
歩夢「それはヤバい!」
杏莉「30歳、40歳になっても着られるかってこと?」
洸瑛「逆に、いくつまで着られるか、チャレンジするのもいいかもね(笑)」
――(笑)。完成したショートドラマで注目してほしいシーンやポイントを教えてください。
歩夢「僕はやっぱりラストですね。最後の最後、(相原)一心が演じる昴と(藤咲)碧羽が演じる美玖の、あのシーン。観た人はきっとキュンキュンするんじゃないかなって思います。ラブワンのことを知らない人でも、あのシーンを見たらきっと虜にさせられちゃうはずです」
――全話見てからのあのシーンは私も悶えました。
歩夢「そうですよね! あそこだけ見ても何が何だかわからないので、ぜひ最初から通して見てほしいです」
――他はどうですか?
杏莉「私は洸瑛が演じる光に注目してほしいです。役どころ的に切ない表情が多いんですけど、すごく細かい部分まで表現されていて。ちょっとした表情の作り方だったり、視線の動きだったりに、見ていて胸が締め付けられたというか…。あの姿を見ていると、思わず応援したくなっちゃいます。光という役には心を打たれる瞬間が多かったし、洸瑛の演技も勉強になりました」
洸瑛「ありがとう(照)。恥ずかしい…ので、この流れで僕、言います! 僕が注目してほしいのは、アム(歩夢)が演じる翔。このショートドラマはキュンキュンもするけど、テーマ的に結構シリアスな場面も多くて、暗い雰囲気が漂うことも少なくないんです。だけど、そういう時に翔がパッと何か言ってくれるんですよ。それがなかったら、ただただ重い展開になっちゃうところを、翔のそれがあることによって物語が面白くなるなって。でも翔って、ほぼアムそのものなんです。パッと言う一言とかガヤとか、台本にはない部分で物語を支えてくれています」
――アドリブだったんですか?
歩夢「アドリブの部分もあります」
洸瑛「ほぼアドリブだよね? でも、それがないと転換が繋がらないところとかが何個もあって。完成した映像を観た時に、翔がいてすごくよかったなと思いました。なので、翔に注目して観てほしいです!」
歩夢「翔のドラマじゃないのよ、これ(笑)」
洸瑛「でも、翔がいないと物足りないのよ。サラダで言うドレッシングみたいな? 翔がサラダをおいしくしてくれるんだよ」
歩夢「なるほど。そう言ってもらえるのはうれしい」
――イーチさんはどうですか?
イーチ「私は杏莉が演じる愛菜と音楽室で話すシーンがあるんですけど、そのときに、愛菜が片想いしている昴に送る視線。私が演じているハチの横で、チラッと昴を見るシーンがあったんです。それを間近で見ていて、“うわぁ〜切ない!”と思って。「Fireworks」のMVでもあったから…」
洸瑛「MVの冒頭だよね? めっちゃ切ない表情してたやつ。杏莉の表情がうまくて、みんなから歓声が上がったんですよ!」
イーチ「その時を思い出して胸がキュってなりました。あと、「僕らのロードムービー」以外にも「愛せ、至極散々な僕らの日を」や「Fireworks」がシーンに合わせて流れて、いい演出効果になっているので、そこにも注目してもらいたいです」
――楽曲と、さらにそれをモチーフとした映像作品。こういったことができるのもラブワンの魅力ですよね。
歩夢「すごくラブワンらしいなっていうのもありつつ、この楽曲とドラマが、みんなの青春を僕たちが代わりに歌った、演じたって感じです。なので、たくさんの人に届いてほしいです」
――では最後に、12月8日に行われるワンマンライブへの意気込みをお願いします!
洸瑛「6月にやったワンマンイベント(「ONE LOVE ONE HEART ラブワン学園 -恵比寿東西頂上決戦-」)は、ファンのみなさんと交流したりバラエティ色が強いイベントだったんです。今回はパフォーマンス中心のライブになると思います。みんなに音楽を届けるライブにしたいと思っています」
杏莉「最近は楽曲からラブワンに辿り着いてくれた方がすごく増えていて。“ラブワンの楽曲”を聴きたいと言って来てくださる方もたくさんいらっしゃると思うので、私たちも、みなさんに知っていただくきっかけとなった「愛せ、至極散々な僕らの日を」はもちろん、他の楽曲も1曲1曲真摯に向き合って自分たちなりの表現を、今まで以上に力を込めてお贈りします!」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/中村功