――3人が20歳になって初めてリリースされる今回のEP。タイトルもズバリ『TWENTY』ですが、まずは今作でみなさんが掲げていたコンセプトやテーマを教えてください。
RUI「おっしゃっていただいた通り、全員20代になってからリリースする初めてのEPなので、自分たちがやりたいこと、iScreamが届けたい想いというのを改めて打ち出していきたいと思って作らせていただきました。最近はビジュアルも一新したり、1から楽曲制作に携わらせていただいたり、新しいiScreamの体制になってきつつあるんですけど、その流れで、今の私たちがこだわり抜いたものが全部詰まっているEPになっています」
――自分たちの意思を楽曲に反映させていくスタイルは、今年1月リリースの2ndアルバム『Selfie』からその片鱗が出ていましたよね。
RUI「そうですね。ただ、『Selfie』は“10代最後”っていう大きなテーマを掲げての制作だったので。どちらかというと、10代にしか出せないiScreamや自分たちの想いを詰め込んだアルバムになっていて、そこから一歩成長したのが今回のEPになります」
――みなさんのメイクやファッションのテイストが変わったことも印象的でした。
HINATA「3か月連続リリース第1弾の「Sorry Not Sorry」から、3人の個性や一人ひとりのキャラクターをより見せるために、全員がビジュアルをガラッと変えました。いい意味で、流行りに乗らない。世の中の流行に沿うのではなく、“私たちが新しいものを作っていく!”という部分をすごく意識しながら、楽曲はもちろん、衣装やメイクといったビジュアルを考えていきました」
――10代のときにはなかったビジュアルですが、やってみてどうでしたか? 具体的にイメージするアーティスト像などもあったのでしょうか。
YUNA「こういう人になりたいっていうのは特になくて。それよりも、私たちiScreamの3人は好きな音楽も、歌い方も、ビジュアルも、好きなこととかも全部違って、そこを大事にしていきたいというか…自分たちが思い描くアーティスト像としては、それぞれの個性を出しつつ三位一体のパフォーマンスをするグループになっていきたいなって思っています」
HINATA「でも、今回のような大人なヘアメイクは今までなかったので、最初は自分たちでも“この間まで10代だった私たちにこんなに大人っぽいヘアメイクがハマるのかな!?”って不安に思ったりもしました。でも、そこはプロの方々の力もお借りして(笑)。私たち自身、すごく気に入っているビジュアルですし、このビジュアルを通してより多くの方にRUI、YUNA、HINATAっていう名前も含めて覚えていただけたら嬉しいです」
――ビジュアルの変化や3か月連続リリースを経て、今回、満を辞してリリースされるEP『TWENTY』。リードトラック「ハルジオン」はDa-iCEの花村想太さんがプロデュースされています。
RUI「花村さんは私たちの1stアルバム『i』のリード曲「茉莉花 -Jasmine-」を当時から気に入ってくださって、いろいろなメディアやSNSで発信してくださっているのはもちろん私たちのところにも届いていました。ありがたいことに、その後もiScreamのことを気にかけてくださっていたので、“私たちもいつか楽曲プロデュースやコラボといった形でご一緒させていただけるように頑張ろう!”って、ずっと思っていたんです。それが今回のEPを制作するにあたり、“いろいろな方に楽曲をプロデュースしていただきたい”っていう中で花村さんのことが浮かんで、この「ハルジオン」に繋がりました」
――制作にあたっては花村さんとやりとりされたんですか?
YUNA「いえ、今回は花村さんに全てお任せしました。もともと私たちのバラードが好きで、今回も“バラードを歌ってほしい”とおっしゃってくださったので、「ハルジオン」は花村さんのアイデアや花村さんがiScreamに歌ってほしいと思う世界観が詰まった1曲になっています」
――楽曲を受け取った印象はどうでしたか?
HINATA「この曲の歌詞は1番が男性目線、2番が女性目線になっているんですけど、私たちが男性目線の楽曲を歌うのはこの曲が初めてなんです。男女それぞれの心情を描いたストーリー性のある歌詞で、特に男性目線のところでは自分たちも初めて歌う感情に出会えたのが新鮮でした。実際、レコーディングにも花村さんが来てディレクションしてくださいました」
――そうだったんですね。レコーディングではどんなことを言われたんですか?
HINATA「「ハルジオン」は結構“深めの愛”ソングというか…最近のiScreamの楽曲は強い女性だったり、自分を肯定するような歌詞だったりが多かったこともあって、最近の楽曲とのギャップ、それから自分の性格的にもこの楽曲に対するギャップを感じていて。2番の最初に私がメロラップをしているパートがあるんですけど、“弱い自分を見せるように歌ってみて”とディレクションしていただいてトライしたものの、なかなかハマらなくて。自分でも“弱さってなんだっけ?”って思いながら歌っていたら、それを花村さんが気づいてくださって、“強い自分で歌いたいか、弱い自分を見せたいかは任せるよ”とおっしゃってくれました。ご自身もアーティストとして表に立って歌われている方だからこそ、わかってくださる部分もあるのかな?って思ったのと、人によって楽曲の捉え方や歌い方に違いがあって、自分が持っていない考え方を知る機会にもなったので、すごく刺激的な時間でした」
――RUIさんとYUNAさんはレコーディングでどんなことを感じましたか?
RUI「「ハルジオン」をレコーディングするにあたって、デモに入っていた仮歌も花村さんが歌ってくださっていたんですよ。しかも私たち女性のキーで!」
HINATA「すごかったよね!」
RUI「一切手抜きなしで、全力で歌ってくださっているものをいただいたっていうのが、まず印象的でした。そこから、仮歌の中にある花村さんのニュアンスだったり、感情の入れ方だったりを私たちなりに分析しつつ、でも実際のレコーディングでは、“自分なりの表現でいいよ”と任せてくださる部分もあって。デモを通して学んだことと、自分のやりたいことを交えながらのレコーディングで、そこに花村さんもいらして直接ディレクションしてくださったので、まるで特別レッスンを受けているような感じでした」
YUNA「やっぱり、さっきHINATAも話していましたけど、私も、男性の心情を歌うっていうのがすごく新鮮で。女性の声を持つ自分が、どう歌ったら男の人っぽく聴こえるんだろう?って、すごく考えながら歌っていたんですけど…そこが難しくもあり、新鮮に感じた部分でした。でも、バラードの曲調だったり、世界観だったりはすごく表現しやすくて、“歌うのって楽しいな”と改めて思わせてくれた楽曲でもありました」
――さらに、今作にはもう1曲、新曲の「Runnin’」も収録。この楽曲は「Sorry Not Sorry」と同じRyosuke “Dr.R” Sakaiさんプロデュースで、タイトルは11月から始まる全国ツアーのタイトルにもなっています。
RUI「「Sorry Not Sorry」のときもそうだったのですが、「Runnin’」も音を打ち込む段階からスタジオに入らせていただいて、Rさんと一緒に制作させていただきました。楽曲のイメージとしては、最初に“どういう曲にする?”って話をしたときに、“夜の逃亡”みたいな…」
HINATA「本当にそういう単語が出ていて。“夜逃げ”みたいな(笑)」
RUI「そうそう(笑)。そこから歌詞を話し合う段階で、夜風を浴びながら走る女性の姿っていうのかな…今の私たちもですけど、年齢とか関係なくさまざまな人たちがいろんな葛藤を抱えていると思うんです。でも、それら全てを投げ捨てて、夜に解き放たれる。涙も悲しみも夜に置いて、私はもっと私らしく、自分を信じて一歩ずつ歩いていく。私たちも作詞に参加させていただき、そういう強いメッセージをこの楽曲には込めました」
HINATA「特にBメロの<きっと叶わない>から<自由は奪えない>までのパートは心にグッとくるワードが詰め込まれています。もちろんここだけじゃなく、全体的に私たちの思い入れが強い楽曲になっています。だから、ツアーのタイトルも“Runnin’“にしたい!と思って」
RUI「本当そうだったね」
HINATA「ツアータイトルは他にもいろいろ考えていたんですけど、“これがいい!”と思ってしまうくらい、「Runnin’」はメッセージ性が強いというか…。“これからの私たち”っていう意味を込めた楽曲になるので、3か月連続リリースをした楽曲も含めて、「Runnin’」が私たちiScreamの2024年の集大成であり、ライブに繋げていく一番のキーポイントになる楽曲かな?って思います」
――「Runnin’」はフェイクやホイッスルボイスが効果的に使われていますね。歌われているのはYUNAさんですか?
YUNA「私が歌っている部分をRさんがかなり採用してくださいました。というのも、“こう歌って”っていうのが決まっているわけじゃなくて、最初に“適当に歌ってみて”って感じで始まっていくんです。歌詞もメロディもない状態で、トラックに合わせて自分たちで♪フンフンフン…って自由に歌ったものを、Rさんが、“いいね”と思った部分を繋げたり、逆にまるまる使ったりして1曲に仕上げてくださるっていう。面白い作り方で、すごく新鮮に感じました」
――制作に携わるようになったことで、パフォーマンスするときの感覚にも変化があったりしますか?
RUI「そうですね。振りがついて歌いながらやることが増えたとしても、曲に対しての想いは増すばかりです。それに、自分たちが自信を持って、“これがカッコいい!”と思える曲ばかりなので、ステージに立つときも堂々としていられる気がします」
――すでに配信でリリースされた3曲についても、1人1曲ずつ、好きな楽曲でこだわったポイントなどを教えてもらえますか?
HINATA「どの曲も気に入っているので、順番にいきますね。最初の「Sorry Not Sorry」は、最初にも言ったんですけど、リリースするタイミングでビジュアルやSNSをガラッと変えて。それによってファンのみなさんもザワザワしてた中でリリースする1曲目だったので、“This is iScream”っていうような自分たちの覚悟や決意を表明した楽曲になっています」
――作詞作曲には「Runnin’」と同じく、iScreamの名前もクレジットされていますね。
HINATA「1から楽曲を作ることに初めて携わらせていただいたのがこの曲です。これまで以上に私たちの強い想いがこもっていて、今後も忘れられない、ターニングポイントになる楽曲だと思います。一つひとつの歌割とかも、それぞれの個性が出るように。まとまりはあるんですけど、揃えた歌い方はしないっていうのを意識してレコーディングしたので、そういうところも含めて大好きな1曲です」
――続いてRUIさん。
RUI「はい。2曲目の「Jellly Fish」は配信リリースも8月ということで、夏限定の楽曲ではないものの、夏に似合う爽快感のあるサウンドだったり、仲間との友情、絆を描いた歌詞だったりが印象的な楽曲になっています。私たち3人の関係性とも重なって、自分たちでも共感するし、 “ベスト・フレンズ・フォーエバー”みたいなところを表現したいという想いで、UTAさんプロデュースのもと作っていただきました。1人のリスナーとしていろいろな楽曲を聴かせていただいていたUTAさんが、iScreamにどんな楽曲を作ってくださるのかドキドキでしたけど、ポップで等身大でありながら、ちょっと大人になった感じもする素敵な楽曲に仕上げてくださって。ライブでもめちゃくちゃ盛り上がるんですよ!」
――やっぱりそうなんですね! キャッチーなサビが耳に残るし、ライブで聴きたいなと思ってました。
RUI「ファンの方たちもすごくジャンプしたり、一緒に踊ってくれたりするんです。iScreamのライブの定番曲になればいいなと思っています」
――では、YUNAさんからは「Kira Kira」を。この曲は「Catwalk」(2022年)以来となる☆Taku Takahashiさんプロデュース作になっています。
YUNA「Takuさんとは最初にコミュニケーションを取る時間を作っていただいて、そこで例えば、最近はどんなTikTok見るの?とか、YouTubeはどれが面白い?とか、最近流行ってることは?とか、プライベートな話をいろいろして。そこからTakuさんが私たちらしいものを吸い上げて、楽曲に落とし込んで仕上げてくださりました」
――完成した楽曲を聴いてみた印象は?
YUNA「すごく自分たちと重なるというか…。夢を追う中で、夢っていうのはすごくキラキラして輝いているものに見えるけど、私たちもオーディションを受けて、iScreamを結成して、結成したと思ったらコロナ禍に…と、いろんな挫折を繰り返しながら今があります。この楽曲は、そういう不安や葛藤を抱えながらも、“今、あなたは輝いてるし、これからも輝き続ける“っていうメッセージが込められています。Takuさん色全開の楽曲で、”やっぱり私たちのことをわかってくださっている!“っていうのが、歌詞やサウンドが感じ取れるんです。ファンの方もこの曲が好きっていう方が多くいらっしゃって、早くライブで披露したいです」
――これら5曲を収録した『TWENTY』を引っ提げ、11月28日からは全国5か所を回る単独ツアー“Runnin’”を開催。初日はHINATAさんの出身地、宮城県ですね。地元での開催は念願だったのでは?
HINATA「そうなんです! 家族にも友達にも、“仙台でライブをやってほしい!”ってずっと言われていたので、本当にやっと!って感じなんですけど。しかも、この『TWENTY』のタイミングで地元でライブができるのがすごく嬉しいです。でも、初日っていうのがちょっとイヤ…(苦笑)。これまではRUIちゃんの地元、名古屋で初日を迎えることが多かったよね?」
RUI「いつもドキドキで初日を迎えてる(笑)」
HINATA「そうそう。初日って、バイブスっていうよりも冷静さのほうを意識するんですよ。楽しみですけど、いろんな意味でドキドキします」
――どんなライブ、ツアーにしたいですか?
YUNA「私は無理矢理にでもやりたいことをやりたいです!」
――というのは?
YUNA「会場ごとにステージの大きさが違ったりして、できることが限られてしまうことも…。でも、それでこのEPの曲たちのパワーが落ちるのはすごくもったいないって私は思うので、各地のステージごとにできる限りのパフォーマンスをしたいです!」
――では、最後にRUIさんから、ツアーに向けての意気込みをお願いします。
RUI「この最強の5曲が集まったEP『TWENTY』をリリースした後でのライブっていうのが、私たちも本当に楽しみです。これからリハーサルが始まるんですけど、“どうなるんだろう!?”って、自分たちのワクワクが止まりません(笑)。今回のEPで出会えた5曲はもちろん、プロデューサーの方々とお話ししていく中で、改めて、“iScreamがやりたいことってこういうことだな”っていうのが明確になりましたし、それを確立できたのがこの『TWENTY』だと思うんです。なので、あとはツアーで(EPを)具現化するだけというか…とにかく、来てくださった方々に、“これがiScreamだよ!”っていう存在証明をするライブにできたらという想いでいっぱいです」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/野﨑 慧嗣
Coming Soon
- iScream『TWENTY』 × radio encore
- インタビュー・アフタートークは近日公開!
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