ジェイ ダブリュー アンダーソンは、レンブラントのおどけた表情でどこか挑発的にこちらを見つめるセルフポートレイトを「現代のセルフィー・自撮り」の先駆けと表現し、その自画像が主観的な視点から描いたものか、あるいは客観的な視点で描かれたものかの定義づけ、判断を訝(いぶか)った。

そして着ることを目的として作られたモノが、
着ることを目的として作られていないモノと出会い、ぶつかり合う衝突の結果、そこに断片のファッションが生まれると考えたという。

さらにその衝突を比喩などではなく文字通りの「衝突」として捉え、トップスやスウェットシャツに、ハンドルバー、スケートボード、ドアのヒンジ、グローブなどがあてがわれていくことで、その衝突に「何を感じ、どう判断するのかも、あなたです」と問題提起するかのようだ。

Tシャツ、バミューダショーツ、ドレス、デニムジャケット、5ポケットパンツ、ボマージャケット、テーラードのダブルブレストブレザー、タンクトップ、パーカなどにベーシックなシェイプが追求され、そこにスリットから覗くバーコードや破れたニットなど未完成のようにも見えるディテールの「衝突」が起こることで、客観の視点が挑発的な主観の視点へと昇華され、さまざまなディテールと厚底のソールを配したシューズやカラフルなバッグがアンダーソンの世界観をまとめ上げている。

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