メイド・イン・ジャパンの優れた技術から生まれた、オリジナリティーあふれるハットブランドのカシラ。
その店舗内容もオリジナリティーにあふれている。
「カシラの帽子は、シンプルなものからデザインに凝ったものまで、多種多様なアイテムがあるんです。それが一番映えるような見え方でお客様に見せられるような形を念頭においたVMDを考えています」と秋元さん。
他のアパレル店舗とは違い、店内に洋服を掛けるラックがないカシラの店舗。
「ディスプレイは棚と平台の組み合わせの中から、帽子の高低差で演出をしています。展開するアイテムの内容ですべて決まるので、店舗デザインとVMDが直結しているんですよ」と、特殊なアイテムのみでの展開するVMDの方法を語る。

旗艦店である表参道店のVMDにおける今期のテーマは、秋冬の新作がメインだという。
「これが来週であれば、別の新作商品のリリースに合わせて変更します。大体1週間ごとにファーストゾーンとセカンドゾーンという形で決めて、ショートタームでディスプレイを変更する事で、新鮮な印象を与えるようにしているんです」と秋元さん。
「とにかく飽きられてしまうのは避けたい」というのがVMDとしての課題だそう。
「商品構成やディスプレイを常に模索していて、新鮮味を与える事が重要だと考えています」と述べた。

吹き抜けの天井まで届くほど大きな植栽が印象的な表参道店。
「グリーンデザインは"SOLSO(ソルソ)"と取り組んでいて、この表参道店では、天高のある吹き抜けの構造だからこそ生きる演出にしています。やはり、帽子って"物体"ですから、真逆の"生"を感じさせる植物との対比を意識している部分はありますね。あとは店舗内にいても外にいるような感覚、開放的でリラックスできるような空間を作るようにしています」。
ここ10年の間にオープンさせた店舗には、どこも植栽を入れているという。
「ただ緑を置くというだけではなく、植栽もアート的な感覚で作れる方と取り組むのが重要と考えています」と続けた。

ちなみに以前は、店舗裁量でテーマや打ち出しなどのVMDを決めていたという。
「店舗ごとに内装やデザインが違うという点から、それに合わせて店舗サイドで変えていましたが、3年ほど前から会社としてブランディングを強化する意味もあり、テーマや打ち出しも統一化させる事で、カシラというブランドとして全国のお客様にアプローチしていく方向に変えました」と理由を話す。
しかし、店内BGMだけは引き続き店舗に任せているそうだ。
「店舗によってお客様の層がまったく違うので、BGMの統一化だけは難しいんですよね。それに音楽好きのスタッフも多いですし、そこに対する思いも強いですから。メッセージが強くなりすぎてしまうので日本語の歌だけはNGにしていますが、基本的には、そのお店に合う音楽を流して欲しいと考えて任せています」。

来春夏は「カシラのものづくりを店舗で打ち出していきたい」と方向性を示す。
「弊社は全国4ヶ所にアトリエを構えていることもあり、今、アトリエのデザイナーが定期的に全国の店舗に行って、カスタムオーダー会を始めているんです。帽子の製造過程のムービーなども作って公開したり、ものづくりの体験を伝える機会を作りたいと考えています」。
デザイナーが帽子を作っている現場を店頭で見せる事や、木型や道具のディスプレイなど、来年の展開について考えを話す秋元さん。
「カシラのものづくりを"店頭でどう表現していくのか"が課題です」と、店舗活用が今後の鍵になるそうだ。
「お客様に帽子を体験してもらう事が重要だと考えていますので、そこはVMDも連動させてやっていきたいです」。
ポップアップなどでの実体験の重要さが鍵になるという。

デザイナーが作業する姿も
表参道店2階奥にあるアトリエ

ちなみに、カシラでは他社の帽子も修理している。
「カシラで言う"サステイナブル"は、長く使ってもらう事だと考えています。帽子にまつわる事はすべてやるようにして、"修理をする""メンテに対する意識を高める"、そこは今後も強化していきたいです」と秋元さん。
「近年の海外生産シフトや、このコロナ禍などで、日本の帽子工場の稼働がどんどん無くなっている状況に危機感を持っています。日本の帽子工場を無くさないためにも、カシラがやるべき事はたくさんあると考えています」と業界の活性化への意気込みを語った。
バーチャル化が進む現代において、最終的にリアルな体験が業界の活性化に繋がるのかもしれない。

写真/遠藤純
取材/久保雅裕(くぼ まさひろ)
取材・文/カネコヒデシ

秋元信宏(あきもと・のぶひろ)

「すべての人に、最高の帽子を」をコンセプトに、メイドインジャパンにこだわる帽子ブランド「CA4LA」のディレクター。
ショップスタッフ、コラボレーション、クリエイティブなどを経て、現在ブランドのトータルディレクションを中心に、内装ディレクションや帽子デザインなども手掛ける。

CA4LA 表参道店

住所:東京都渋谷区神宮前4-26-18 原宿ピアザビル1F・2F
TEL:03-3497-3163
営業時間:11:00-20:00

店舗情報

久保雅裕(くぼ まさひろ)encoremodeコントリビューティングエディター

ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。

Journal Cubocci

カネコヒデシ

メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。

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