「サステイナブル(持続可能)な環境社会の実現のため、ファッション業界の廃棄ロス削減を目指し、価値あるブランドの余剰在庫を再編集してお手頃価格(オフプライス)でお届けする」をコンセプトとするアンドブリッジ。
ファッションのほか、ライフスタイルアイテムも充実している商品構成で、さまざまな客層を取り込んでいる。

循環型を目的としているだけに、店づくり面でも全面にサステイナブルを打ち出している。
店内には、不要になった服を常時回収するなどの循環型の取り組みを進めているほか、店舗によっては古着を再利用したアートや、今着たくなる旬のコーディネートを打ち出すVMDなど、滞在そのものを楽しめるような仕掛けを展開している。

  • 旬のコーディネートを打ち出すVMD
  • リサイクルのカートや棚を活用している店内
  • 不要になった服を回収する取り組み

そんな中、6店舗目として、2021年4月に埼玉県蕨市のビバモール蕨錦町にオープンさせた。
客層は、1階にスーパーマーケットのヤオコーが入っているという点も大きく、年齢層は40代から70代くらいで、大半がフリー客だという。

「ここは他店舗と違い、お客様のニーズも動向も違いますし、何よりも間口が広いですよね」とは、アンドブリッジ ビバモール蕨錦町店 店長の馬場真一さん。
都心からも近いという立地から、都内からも3割程度の集客があるという。

また、特に女性客が多く、商品構成もメンズとウィメンズの比率は4:6くらいでウィメンズの方が多い。
しかし、ウィメンズは高単価なアイテムよりも、比較的低単価なアイテムの購入が多いそう。
馬場さんは「高単価なアイテムに関しては、やはり知名度が高く知られているブランドを目掛けて来られる方がいらっしゃいますね。安価なアイテムに関しては、トレンドのアイテムだったり、デイリーに使いやすいアイテムが、ブランド名に関係なく、デザイン、素材感を見て購入されているようです」と売り上げの動向を見る。

メンズの状況に関しては、「男性の方がシビアで、女性のようにファッション感覚で買われるというよりは、かなり吟味される方が多いようです」と、ブランドよりもプライスに対しての感覚が強いという。

店舗構成として、入り口手前を低単価、店舗奥が高単価という店づくりをしているビバモール蕨錦町店。
「現状は、プライスゾーンですみ分けをして見せているという点が大きいです。現在は、強化ブランドという形でブランドでまとめているのですが、入荷状況やMDの戦略によってその時々で編集を変えています」。
ちなみに、他店との売り場の構成に関しては、「ベースは全店同じ目線ですが、戦略や扱っているブランドも違うので、補充アイテムに合わせて、店長が編集を行っています」と各店での店舗構成を強調した。

また、通常のワールドの店舗に比べて「接客はほとんどしないですね」と、接客のあり方の違いを話す。
「応対で客単価を上げる店舗ではなく、どちらかと言えば、お客様からのご質問がメインとなります。メンテナンスと品出し状況、そして売れているものを回転させて、そのアイテムをしっかり補充できているかどうかが売上へと繋がっていきますね」とオフプライスストアならではの特徴を話す。

ただ、スタイリング接客を求めらる場面も少なくないという。
「ショップングセンターやファッションビル、アウトレットの感覚で入って来られて、スタイリングをお求めになられるお客様もいらっしゃいますね。また、各ブランドに対しての質問も多く、250社750ブランド、それも次々に入れ替わっていくブランド数を扱っている以上、出来るだけお答えはしたいのですが、私たちも調べながらお答えする対応になってしまいます」。

今後の課題としては、スタッフのスキルアップやオペレーションの部分が主になると馬場さん。
「時計なども扱っておりますが電池交換や、アパレルのパンツの裾上げ、ギフトラッピングなどのサービスを省く事で、プライスに還元するという形になっています。日本におけるオフプライスストアの認知は圧倒的に低いので、アウトレットだと思って入られる方も多いですし。"お客様のニーズにどこまで対応できるか?"が、今後の課題ですね」と語る。
まずはオフプライスストアというスタイルの認知を広める事が今後の課題のようだ。

循環型を目指すために立ち上がり、今後は、食品やコスメ、家具など、アパレル以外のさまざまな商材の展開も考えているというアンドブリッジ。
物が余る社会から、物を循環させる社会への転換の可能性を感じるショップだ。

写真/遠藤純

取材/久保雅裕(くぼ まさひろ)

取材・文/カネコヒデシ

アンドブリッジ ビバモール蕨錦町

埼玉県蕨市錦町1-12-1 ビバモール蕨錦町2F
TEL:048-229-3119
営業時間:10:00-21:00

ニューポートひたちなか店(提供写真)

久保雅裕(くぼ まさひろ)encoremodeコントリビューティングエディター

ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。

Journal Cubocci

カネコヒデシ

メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。

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