
6月2日(月)~6月8日(日)の特集はミイナ・オカベ
デンマーク人の父と日本人の母を持つシンガー・ソングライター、ミイナ・オカベ。大ヒット曲「Every Second」はソーシャル上で合計100億回以上の再生回数を記録し、2023年の日本デビュー以来、人気ドラマ、アニメへの楽曲起用や、日本での単独公演実施、フェスへの参加など、注目度が高まる彼女が最新アルバムをリリース。
妹のニックネームであるパパイヤをタイトルにした今作についてミイナ・オカベは「愛、家族、友情、そして20代前半というテーマについて歌ったもの」と語りました。今週はそんな温かい歌声とメロディが魅力の今作を中心に、ミイナ・オカベのこれまでの楽曲を特集してお届けします。
「A56 アーティスト特集 WEEKLY 洋楽」担当ディレクター
放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

6月9日(月)~6月15日(日)の特集はアヴィーチー
DJ、プロデューサー、ソングライターとして世界中で活躍したスウェーデン出身のアーティスト、アヴィーチーが初のベストアルバムをリリース。
「Wake Me Up」や「Waiting For Love」などの大ヒット曲の数々をリリースし、誰もが認める世界的アーティストでありながら若くしてこの世を去ったアヴィーチー。彼の作品が永遠に生き続けることの証となるベストアルバムとなっています。
ファンに愛され続けるヒット曲の数々に加え、新曲「Let’s Ride Away」も収録されている今作に加え、アヴィーチーのこれまでの楽曲を特集してお届けします。
「A56 アーティスト特集 WEEKLY 洋楽」担当ディレクター
放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

アヴィーチー『フォーエヴァー~ベスト・オブ・アヴィーチー』DISC INFO
202年5月16日(金)発売
UICY-16251/3,300円(税込)
ユニバーサルミュージック

6月16日(月)~6月22日(日)の特集はリトル・シムズ
■TOPICS
「ペンは剣よりも強し」という言葉があるが、リトル・シムズはまさにそのフレーズを体現するアーティストだ。2005年に1stアルバム『A Curious Tale of Trials + Persons』を発表し、以来、アルバム一枚ごとに、卓越した歌詞の表現力と深い洞察力を表現しながら世界規模でファンを増やしていった。特に2021年に発表された4thアルバム『Sometimes I Might Be Introvert』は彼女のホームであるイギリスのみならず世界中で一際大きな賞賛を浴び、BBC Radio 6 Musicなどで年間アルバム・チャートの1位に輝いた他、マーキュリー・プライズやMOBOアウォーズといった権威あるUKの音楽賞においても見事、年間最優秀アルバム部門に選ばれた。翌年には新たなアルバム『NO THANK YOU』をサプライズ・リリースし、前作と同様、高い評価を得、BRITアウォーズ2024では年間最優秀アルバム部門をはじめ3つのカテゴリーにもノミネート。イギリスの新聞紙、Financial Timesは彼女を「UKラップの頂点」と表現し、Netflixの人気ドラマシリーズ「Top Boy」にも出演し俳優としても注目を集めるなど、そのキャリアは実に順風満帆のように見える。
しかし、リトル・シムズのペンは急速に大きくなっていく名声に甘んじず、その成功に抗うかのように常に動き続けてきた。彼女のアーティストとしての魅力は、自分の暗部までもを掘り下げ、かつ、鋭い牙のようなアグレッシヴな攻撃力を持つそのリリックにある。今回、さらに進化を遂げたリトル・シムズの声を世界中に轟かせるべく完成したのが、この6thアルバム『Lotus』だ。アルバムのタイトルについて、アルバム・リリースに先だって出演したBBC Radio 1の番組にてリトル・シムズはこう明かしている。
「蓮は、泥水の中でも花を咲かせることができる珍しい植物で、それはとても面白いことだと感じたんです。蓮の花は、何の比喩(メタファー)にもなり得る。どこから来て、どんな経験をしてきたとしても、すごいことができるんだって。制作中は私にとって、困難でチャレンジングで過酷な時間だった。でも、そのおかげで美しいアートを完成させることができました」
表題曲「LOTUS」の中で、彼女は「私が若い頃、誰も“健康は身体だけの問題だけじゃない”と教えてくれなかった」とラップしている。言い換えれば、心の健康状態の重要性を誰も教えてくれなかった、ということだ。今回のアルバムの中では、これまで以上に彼女が経験してきたダークな時間についても語られている。冒頭を飾る「THIEF」は日記のような形式を取り、内に抱えた怒りやフラストレーションを爆発させ、アルバム終盤の「LONELY」には特に、このアルバムが完成するまでに彼女が感じてきた孤独感や焦燥感、無気力さが最もディープに表されている。「アルバムを作る作業は孤独で、4回もチャレンジした」という赤裸々な告白で始まるこの曲には、哀しく儚い美しさが宿る。水面を彩る花の蕾が開くまで、泥の中で養分を吸って育つ蓮。『LOTUS』では、華々しい成功を収めたように見えたシムズが、その裏でいかに苦しんでいたのか、文字通り泥水を啜るような日々を送っていたのかが語られる。しかし、高潔なペンは泥の中には沈まず、苦しい時間を浄化するための言葉を彼女に語らせたのだった。
今回、全曲のプロデュースを手がけているのはマイルス・クリントン・ジェームス。彼は、ジャイルス・ピーターソンが立ち上げたBrownswood Recordingsからデビューしたロンドンを拠点とするアフロジャズ・バンド、ココロコ(KOKOROKO)の作品を手がけたことでも知られる気鋭のミュージシャンだ。リトル・シムズの前作『Sometimes I Might Be Introvert』に収録された「I See You」では、共同プロデューサーとして参加していた人物でもある。クレジットを見ると、ピアノ、ドラム、ベースにギターとあらゆる楽器をマイルス一人で奏でており、マルチ・プレイヤーとしての幅の広さを証明している。そんなマイルスの手腕ゆえ、なのだろうか。今作のビートは特に生楽器の味わいが強く、特にマイケル・キワヌーカがヴォーカルとギター、そしてUKジャズ・シーンを牽引してきたユセフ・デイズがドラムで参加している6分30秒以上にも及ぶ表題曲「LOTUS」は、後半、ドラムとストリングスが絶妙に合わさり、アクロバティックなジャズサウンドとしての完成度も高い。これまでにも多彩なビートを操ってきたリトル・シムズだが、今作はさらに幅広いメロディとスケールの上を乗りこなす。モダンでキッチュな仕上がりの「YOUNG」やボサノヴァ調のリズムが際立つ「ONLY」などは今作ならではの実験的なトラックだ。
合わせて、ゲスト・アーティストにも様々な顔ぶれが並ぶ。アルバムのクロージング・トラック「BLUE」に参加しているのはUKを代表するシンガーソングライターであるサンファ。二人は2024年にサンファ主導のコラボ曲「Satellite Business 2.0」も発表しており、今回は改めてシムズが自身の作品にサンファを招く形となった。壮大なシングル「FLOOD」には、リトル・シムズとは長年のコラボレイターであるナイジェリア出身のシンガー、オボンジェイヤーと、南アフリカを代表する女性アーティストのムーンチャイルド・サネリーが参加。ムーンチャイルド・サネリーはかつてビヨンセとの共演歴もあり、ユニークなアティチュードでフェミニズムを体現しているアーティスト。今回のシムズとの共演もエキサイティングな仕上がりだ。また、オボンジェイヤーは「LION」にもフィーチャーされている。”兄弟からの久しぶりの電話”というユニークな形式の「BLOOD」では、UKのグライム・シーンを率いてきた存在でもあるラッパーのレッチ32、そしてキャッシュ(Cashh)をフィーチャー。レッチ32は、昨年、リトル・シムズを迎えたパワフルかつシリアスな楽曲「Black and British」を発表しており、今回もリスナーを裏切らないストーリーテリングを展開している。
そして、「ONLY」でリヴァーブを効かせたシルキーな歌声を聴かせているのは、UKを拠点とするバンド、ジャングルのメンバーでもあるリディア・キット。ジャングルもまた、独特の音楽センスと映像美で世界中を虜にしているバンドだが、リトル・シムズ、そしてマイルス・クリントン・ジェームスとともにコラボレーションの妙を体現している。アコースティックなギター・サウンドが印象的な「PEACE」でコーラスを担当しているのは、アルジェリア出身で現在はUKを拠点としているシンガーのミラー・メイで、後半のヴァースを歌っているのは、ジェイムス・ブレイクやソランジュらのオープニング・アクトを務めた経験もあるシンガーのモーゼス・サムニー。繊細でセンシュアスな歌声が、楽曲の儚さを引き立てる。最後に紹介するのは、「ENOUGH」に参加しているユキミ(YUKIMI)だ。言わずと知れたリトル・ドラゴンのヴォーカリストでもある彼女だが、リトル・シムズはかつて『GREY Area』(2019)に収録された「Pressure」でもリトル・ドラゴンをフィーチャーしている。スリリングなビートに、さらにドライヴ感を加えるようなユキミのヴォーカルに注目だ。
収録された全13曲には、それぞれ一単語ずつがタイトルとして割り当てられている。盗人、洪水、若さ…それぞれの曲名は、壮大な彼女の物語の一ピースでもあり、どれも血が滲むような赤裸々な言葉で構成されている。「Lotus」の中にはこんな一節がある「I pray we heal with words(言葉で癒されるようにと、私は祈る)」。リトル・シムズの言葉は剣のような攻撃性と同時に、癒しの力も持つ。彼女が与えてくれたピースを抱えながら、私たちは今日も泥の中をもがき続けるのだ。蓮の蕾が開く日をじっと待ちながら。
(おわり)
文/渡辺志保
放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

6月23日(月)~6月29日(日)の特集はedbl
■TOPICS
昨年3月に行われた BLUE NOTE TOKYO 公演もソールドアウト!iri、Kazuki Isogai、イハラカンタロウといった日本人アーティストとのコラボレーションでもお馴染みのedbl(エドブラック)が待望の来日公演とともに最新アルバムがリリースを決定!
2021年からスタートした現行シーンを牽引する多彩なアーティストとコラボレーションしていく人気シリーズ、「mix tape」の最新作である本作は、ソウル、ネオ・ソウル、R&B、 HIP HOPといった幅広いスタイルのサウンドを edbl流に現在進行形のロンドンのサウンドへと昇華した20年代前半のシーンの動向を反映した1枚!
放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)

6月30日(月)~7月6日(日)の特集はリル・ウェイン
COMING SOON!
放送予定/毎日 0:00~(シャッフル放送)
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