超特急にとって21枚目のシングルとなる「AwA AwA」は、挑戦するすべての人にエールを送る1曲。”AwA AwA”というタイトルには「泡」「OUR」「HOUR」といった意味が重ねられ、トータルすると今こそ「みんなで」「弾ける」「時」というメッセージが込められている。誰もが挑む人生という名の無理ゲーを一緒に乗り越えていく、 超特急ならではのポジティブソングになっており、1週間前に公開されたMVも人生ゲーム仕立てに。オフィシャルYouTubeチャンネルでの再生数も既に160万回を突破と、昨今、音楽番組やバラエティへの出演も増え続けている彼らに対する注目度はうなぎ上りだ。
パシフィコ横浜前の広場にはカラフルな提灯が吊り下げられた櫓が設置され、その周囲と2階のデッキ通路にまで8号車がぎっしり。開演時刻の18時半になると超特急のライブではおなじみの発車ベルが鳴り、8号車の間を縫って櫓の上に9人が登場する。ポジションについて、そのままライブが開始するかと思いきや「みなさーん、こんばんは。このまま曲行くと思った? 残念でした」とリーダーのリョウガがトーク。この肩の力の抜けた脱力感いっぱいの幕開けも彼ららしい。
櫓を360度から取り囲む8号車に「寒いね」「怪我しないように」と手を振って、4月に発表された1st EPの収録曲「ジュブナイラー」で、ようやくライブがスタート。多くの音楽番組で披露されてお茶の間を席巻したエキセントリックなダンスチューンで、ゴムまりのように跳ねる彼らの動きは、とにかく躍動的だ。アリーナ規模でのライブが当たり前の彼らが次々に向きを変え、全方位に向けて至近距離から1秒の休みなく繰り出すパフォーマンスは8号車のコールを巻き起こし、色とりどりのペンライトの光が夜空に輝きを放っていく。そこで生まれた熱い一体感の中で「My Buddy」に続くと歓声が湧き、タクヤの「横浜にお越しの皆さま、一緒にやってください!」の呼びかけで、8号車も一緒に“AwA AwA!”コールをしながらダンス。9人で円になり、櫓上をくるくると回りながらラブリーなダンス&ボーカルで8号車にアピールして、タカシは“幸せって知らぬ間にただ横浜にあるもの!”と歌詞を歌い替えて場を沸かせた。
ここで『史上初のAwA踊り大会』というタイトルについて「踊りなのか大会なのか…」「踊ることで大会を催すということですよ」などと話しながら自己紹介。そしてリョウガから「嬉しいお知らせ」と「AwA AwA」がオリコンデイリーチャート1位を獲得したことが報告されると、カイは「もしもウィークリーでも1位を獲得することができたら9人体制初! そうなれたら本当に嬉しい。僕たちもこの曲を大事にしていきたいので、たくさん聞いていただけたら嬉しいなと思っております」と力を込めた。さらに「今日は阿波踊り大会ということで、いっぱい「AwA AwA」を通して楽しんでいけたら」とタカシが続け、手で泡の形を作ってゆらゆらする振りだったり“やっとさー“という歌詞だったりと、「AwA AwA」には阿波踊り要素が入っていることをカイが説明。すると阿波踊りの本場である徳島出身のユーキが「せっかく集まってくれたんで、みんなと今日は特別に阿波踊りしたいなぁ」と提案して、8号車への阿波踊りレクチャーがスタートする。
親指と人差し指で丸=泡を作って左右に揺れ、足を前に出す阿波踊りのステップをユーキ自ら指南する中では、なぜが腕の動きに合わせて「髙松アロハ!」とアロハの本名を叫ぶコールも誕生。そして「AwA AwA」のサビを祭りアレンジしたトラックが流れると、9人は櫓の上を踊りながらぐるぐる周回して阿波踊り大会が幕を開ける。その周りで阿波踊りする8号車の様子をタカシはスマホで撮影し、決まった振りのないフリータイムも含め、短時間で見事に踊りこなす様子に「みんなの対応力がすごい!」と8号車を称賛。ユーキも「徳島県民のみなさん大歓喜です!」と声を弾ませ、画期的なリリースイベントのメイン企画は大成功に終わった。
そして「みなさんと一緒にバブルのように弾けていきましょう!」(ユーキ)と、コミカルなシューヤの歌声を皮切りに、新曲「AwA AwA」を披露。タカシとのツインボーカルで“人生こそ無理ゲー”と上手くいかない毎日を愛らしく嘆きつつ、力強い“やっとさー、やっとさー”の掛け声以降は、“死ぬまで遊ばにゃ 損 損 Song”というサビ通りの弾けたパフォーマンスを9人一丸となって叩きつけていく。この曲が8号車の前で披露されるのは、11月4日の主催イベント『VS. 超特急』に続いて2度目。にもかかわらず、櫓を囲むペンライトはテンポよくイキイキと振られて、夜空をバックに美しい光景を作り上げていった。
タカシが「聞いてるだけ、見てるだけでも楽しんでもらえる楽曲」とMCで話した通り、「AwA AwA」は文句ナシで楽しいポップなダンスチューンだが、いつか弾けてしまう泡に時間をなぞらえたこの曲で訴えているのは、一度きりの人生を全力で楽しもうという願い。「ジュブナイラー」に“自分に嘘つかないで オリジナルでいて”という落ちサビが仕込まれているように、どんなトンチキソングでも心打つメッセージが仕込まれているのは、確かな超特急らしさだ。さらに、突然トラックがデジタリックに展開してハードなダンスパートが差し込まれたり、凄まじいハイトーンボーカルが爆発したりと、テクニカルなダンス&ボーカルでも魅了。クライマックスにはシャボンの“泡”が大量に舞って、メンバーも「すごい!」「めっちゃキレイ!」と笑顔で沸き立った。
9人がギュッと一列になり“To be continued…”と曲が終わると、リョウガは「オリコンデイリーチャート1位を獲らせていただきましたが、目指すはウィークリー1位! これからも「AwA AwA」をたくさん聞いて、愛して下さったら嬉しいなと思っております」と決意表明。最後は、なぜか湧き起こる「髙松アロハ!」の大合唱に送られてメンバーは退場し、イベントは終了した。リリースイベントで阿波踊りという前代未聞のアイディアも、常に常識をブチ壊してきた超特急ならでは。その道のりは、まだまだ“To be continued…”である。
(おわり)
取材・文/清水素子
写真/米山三郎
超特急「AwA AwA」DISC INFO
2024年11月6日(水)発売
完全限定盤(CD+Blu-ray)/UPCH-7695/9,900円(税込)
初回限定盤(CD+Blu-ray)/UPCH-7696/4,950円(税込)
通常盤(CD)/UPCH-7697/UPCH-6036円/1,980円(税込)
メンバーソロ盤(CD)/UPCH-7698~7706/1,980円(税込)
ユニバーサルミュージック
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