――4月から始まるおかゆさんの新番組「おかゆーせん」の収録、おつかれさまでした!まずは初収録を終えての感想をお願いします。

「とっても楽しかったです!永遠に喋りたいとおもうくらいでしたね。今回はまず、私のプロフィール紹介くらいだったので、曲でいうとイントロくらいしか話していないんです(笑)。感覚としては、まだAメロにも辿り着いていないので、これからは相当数を想定して長い付き合いになればいいなと思っています」

――番組のおかわり企画「DJ OKAYU #昭和歌謡Playlist」コーナーでは、かなりの数の昭和歌謡をピックアップしてもらいました。

「曲を選んでいる時間が最高に楽しくて、まるでご褒美の時間を頂いたようでした。こんなに自分の好きな曲だけをかけて、それをみなさんに聴いていただけることは、本当に幸せなことなので、番組が始まると決まってからはずっと、身体中から何かが滾(たぎ)っている状態でした(笑)」

――あはははは!でもすごくクールな話しぶりでした。

「ありがとうございます。実は昨年からレコードをかけるほうのDJ OKAYUとしての活動を本格的に始めたんです。今回、「おかゆーせん」では、話すほうのラジオDJが出来るということで、より分かりやすく、絵に描いたようなDJの話し方に挑戦させていただきました。そうすることで昭和歌謡曲のかっこよさをみなさんに存分に楽しんでいただけたらいいなと思ったんです。今回、高橋真梨子さん時代のペドロ&カプリシャスの曲をかけたのは、私にとって昭和歌謡に目覚めた原点だからなんです。そんなふうに、私のルーツをたどりつつ、自分の音楽制作、アーティスト活動にとって重要な意味を持つ楽曲をこの番組で知っていただけたらうれしいです。私が歩んでいく音楽人生を、皆さんと一緒に共有しながら、一緒に歩んでいけたら最高です」

――「DJ OKAYU #昭和歌謡Playlist」では毎回10曲ほど選曲していただくわけですが、レパートリーはまだまだ尽きない?

「はい!楽しすぎて、毎回選ぶ曲の数がオーバーしてしまうくらいなんです。すべてが名曲ですし、2回目の放送では、私が歌ったカバーを入れさせていただいたり、カバーさせていただいたオリジナル曲をかけたりもしたんですが、昭和の歌謡曲は絶対的に私の曲と関係しているので、じっくり聴いていただきたいですね。昭和歌謡というジャンルだと、サブスクではまだ聴けない曲もたくさんあるので、それらの隠れた名曲を聴いてもらえるいいきっかけになると思うんです」

――しかも、今は世界的に昭和歌謡が注目されていますよね。

「やっと、時代が追い付いて来ましたね(笑)。いつか来るとは思っていたんですが、私が以前、流しをしていた頃はそこまで昭和歌謡の文化が若い世代に届いていなかったんです。でもSNSの進化によって、日本の歌謡曲の良さを世界中のみなさんが分かち合えるようになったので、すごくいい時代が来たなと感じています。その昭和歌謡曲の魅力をぜひこの番組を通して皆さんに知っていただけたらうれしいです。さらに、この波に乗って、私も時代を一緒に作っていきたいですし、広げていきたいなと思っています」

――流しをすることによって、そのときどきの時代背景や音楽シーンをより深く理解できそうですね。

「そうなんです。最近になって私も流しを再開したんです。そこで感じたのは、若い世代の方も昭和歌謡が好きなんですよね。そこで私の「ヨコハマ・ヘンリー」を歌ったら、とても盛り上がってくれたんです。その時に、私より若い世代や、昭和歌謡をあまり聴いたことがない人たちがみんなで手拍子をするようなノリがわかっていて、皆さんの身体に昭和歌謡が浸透していることに気付きました。これまでは懐古するような感覚でしたが、いまは新しいものとして楽しんでくれている感覚があるんです」

――この番組も温故知新というか、世代を超えて愛される番組になるといいですね。

「そうなれるように心がけていきたいですね。「おかゆーせん」では、私の音楽制作の裏側も話していけたら良いなと思います。それから、今回の「DJ OKAYU #昭和歌謡Playlist」で流したペドロ&カプリシャスの「酔いどれマリアが歌う店」は、私のカバーアルバム『おかゆウタ カバーソングス3』に収録されている「グッドバイ・モーニング」や、「真夜中のマーメイド」などをアレンジをしてくれている阿部靖広さんが作った曲だったんです。阿部さんに、番組で「酔いどれマリアが歌う店」をかけるということを話したらものすごく驚いて、喜んでくれただけでなく、当時の制作の裏話なども教えていただけたんです。その貴重なお話をこの「おかゆーせん」で紹介することができるということに運命を感じましたし、その縁が私自身の楽曲制作に繋がったらいいなと思いました」

――素敵ですね。番組のなかでチャレンジしてみたい企画やアイデアがまだまだありそうですね。

「偉大な作家さん特集などもしてみたいですね。たとえば、私が大好きななかにし礼先生の特集や、筒美京平先生などの特集など、濃い特集をやってみたいですし、そのほかにもいろんなアイデアが浮かんでいるんです。昭和歌謡は無限にありますので、ネタに困ることはまったくないと思います(笑)。それに、私自身もこの番組をきっかけに、いい曲と出会える気がしているんです。私自身が、聴きたい番組だからこそ、スタッフさんと一緒に、発信する側も、ファンになれるような番組を作っていきたいですね」

――おかゆさん自身が生まれていない時代の曲を、この熱量で好きになれるということは、今の若い世代にもその可能性があるということですしね。

「そうなんです!そこが音楽の面白いところですし、リアルタイムの昭和歌謡世代の方にも喜んでもらえると思うので、昭和、平成、令和を繋ぐ番組になれたらうれしいです」

――そんなおかゆさんの新曲「渋谷ぼっちの歌謡曲」が5月に発売されますが、どんな曲になりそうですか?

「この曲は、歌謡曲っぽさはありながら、新しいテイストも盛り込みました。私の曲としては渋谷をテーマにしたのは「渋谷のマリア」に続いて2曲目になりますが、それくらい渋谷が大好きなんですよね。そんな大好きな渋谷と、大好きな歌謡曲、そして『おかゆウタ カバーソングス 3』でカバーさせていただいた佐東由梨さんの「ロンリー・ガール」の、1人ぼっちの女の子という、いろんな要素を取り入れつつ、新しいメロディを加えて表現しました。歌謡曲という言葉をタイトルに入れていますが、その世界観を守りつつ、絶対的に押さえなくてはいけないポイントは押さえているので楽しんでもらえると思います」

――キャッチーさもありながら、おかゆさんの新たな面も楽しめそうですね。

「そうですね。渋谷の街って、都会ならではの孤独感があるんです。「渋谷のマリア」は強く生きていく女性、渋谷のかっこよさを疾走感のあるメロディで表現していきましたが、今回は、渋谷の雑踏がひとりぼっちの寂しさを埋めてくれるような歌詞にしているんです。それからビジュアルでもそんな渋谷の雰囲気を伝えたいので、CDのジャケットやMVも、どんな衣装で、どんな場所で撮りたいかというイメージをしっかりとスタッフさんとも共有しました。というのも、「渋谷のマリア」はYouTubeでもかなり見ていただいていて、海外の方が多く見てくれている印象があったんですよね。渋谷の街が世界中から注目されていることもありますし、渋谷ののんべえ横丁で蜷川実花さんのデザインしたウェディングドレスを着て、その上から革ジャンを羽織って、ギターを持って撮影したんです」

――すごくアバンギャルドですね!

「ありがとうございます。私は路地裏の居酒屋で流しをしてきたので、こののんべえ横丁は外せなかったんですよね。この撮影した日は極寒で雨が降っていたんです。でも、それを感じさせない、素敵なジャケットになりました」

――これをきっかけに、渋谷=おかゆさんというイメージになったらうれしいですね。

「それは大きな夢ですね!私自身、渋谷の一部になりたいという想いがすごく強いんです。いつか、渋谷と言えばおかゆという存在になれるよう、がんばります!」

――「おかゆーせん」も渋谷のスタジオで収録していますしね!

「そうですね(笑)。「おかゆーせん」という、私とUSENさんがコラボしたタイトルになっていますし、さらに大好きな昭和歌謡の番組を持つことに憧れていたので、かなり気合いが入っています。みなさんに気に入ってもらえたのなら、いつか公開録音などのイベントなどもやっていけたらいいなと思っています。さらに「DJ OKAYU #昭和歌謡Playlist」をきっかけに昭和歌謡に目覚めるような方がいたらうれしいなと思っています。私自身もかなり楽しみにしていますので、皆さんにも番組を楽しんでもらえたらうれしいです!」

(おわり)

取材・文/吉田可奈
写真/藤村聖那

LIVE INFO

4月6日(土)おかゆ LIVE in Breath@Live&Dining Breath(名古屋)
4月13日(土)「平成のおんなギター流しと昭和歌謡」講座@よみうりカルチャー川口
4月14日(日)「おかゆ昭和歌謡ライブ~Special Guest 荻野目洋子~」@Jazz Dining B-flat(東京) ※2部公演
5月4日(土)第40回黄桜まつり ABSラジオ公開録音 黄桜歌謡ショー@八塩こいの森 野外ステージ(秋田)

おかゆ「渋谷ぼっちの歌謡曲」DISC INFO

2024年5月1日(水)発売
遥かな人へ盤/VICL-37733/1,500円(税込)
ビクター

おかゆ「渋谷ぼっちの歌謡曲」

2024年5月1日(水)発売
ミッドナイト盤/VICL-37734/1,500円(税込)
ビクター

おかゆ「渋谷ぼっちの歌謡曲」

2024年5月1日(水)発売
八起き盤/VICL-37735/1,500円(税込)
ビクター

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