──まず、龍本さん。初選抜に入った心境から聞かせてください。
龍本 弥生「ずっと目標にしていた念願の選抜入りなので、とても嬉しかったです。これからたくさんアピールして、選抜に何回も選んでいただけるように個性を出していきたいです!」
塩月 希依音「やよいちゃんは、前作「チューストライク」の選抜発表のときに名前が呼ばれなかったときに、一番泣いていて…「チューストライク」から「青春のデッドライン」までの期間は、とても長くて苦しかったんじゃないかな?と思います」
龍本「本当にその通りです。「チューストライク」の選抜メンバーの先輩方がお休みされているときに代わりに参加させていただく機会があったんですけど、やっぱり選抜メンバーではないという気持ちがあって。今回は選んでいただけたので、ずっと選ばれている皆さんと変わりなく、それ以上に頑張ります!」
──そして、塩月さんは卒業される小嶋花梨さんに変わって、3代目キャプテンに就任されました。まず、メンバーにとってはどんなキャプテンになりそうですか?
芳賀 礼「キャプテンになられる前から、NMB48をずっと引っ張ってくださっていましたし、キャプテンになってからもSNSでメンバーのことをたくさん発信してくださっていたり、意見箱などの新しい制度を導入してくださったりもしています。本当にNMB48のことを一番に考えて動いてくださっているのを感じるからこそ、“ついていくぞ!”という気持ちでいっぱいです」
龍本「希依音さんは本当にNMB48愛が強いと思います。意識もすごく高くて、日頃の行動からしっかりとされている方なので、私たちも希依音さんについていけば、NMB48のレベルをあげていけるんじゃないかと思います。それくらい完璧な方なので、私も近づけるように努力したいと思わせられるようなキャプテンです」
──同期の泉さんはどうですか?
泉 綾乃「ドラフト3期生の中でも一番しっかりしていると思うくらい、最初の頃からみんなを引っ張ってくれていました。とても変な言い方になるんですけど、私は“当然だな”っていうくらい…なるべくしてなったキャプテンです。ずっとみんなを引っ張ってくれていたので、“ありがとう!”という気持ちがありますし、同期だからこそ、支えられる部分もあると思っていて。同じくドラフト3期のわかぽん(安部若菜)とほぼ同期のしんしん(新澤菜央)と一緒に支えていきたいと思っています」
──塩月さん、改めて、新キャプテンに就任した心境を聞かせてください。
塩月「“本当に頑張らなきゃ!“という気持ちが一番です。今回、次期キャプテンを立候補かつメンバー投票によって決める新たな制度だったので、きっとみんなは私に何かを期待して投票してくれたと思うんです。だからこそ、メンバーみんなの期待に応えられるキャプテンでありたいですし、これからメンバーの意見やファンの方の意見も大切にしていきたいです。あとは、山本彩さん、小嶋花梨さんと受け継がれてきたキャプテンの歴史を見てきているので、お二人の偉大さやグループ愛を日々ひしひしと感じています。お二人の愛がここまでNMB48を繋いでくださっていると思うので、私もお二人の意思と愛をつなげるようなキャプテンになりたいです」
──ありがとうございます。
──そして、新曲「青春のデッドライン」がリリースされますが、メンバー構成から楽曲、衣装、ダンスと全てがガラッと新しくなったように感じました。
芳賀「そうですよね。今年10月がNMB48結成15周年の節目で、これまで引っ張ってくださっていた先輩方が卒業されて、NMB48も変わっていくタイミングです。「青春デッドライン」は私が加入してからリリースしてきた表題曲にはないバラードっぽい曲調になっているんですけど、これもNMB48としての1つの挑戦、新しい一歩になると思っています。衣装がデビュー曲「絶滅黒髪少女」の衣装をモチーフにしているのも懐かしさがありつつ、NMB48のこれからの未来につながっていく曲だと感じました」
龍本「“青春はずっと続くよ”というふうに歌われる曲はたくさんある中、私たちのような若い世代のアイドルがこの曲のように“終わりが来るもの”というふうにと歌うことは少ないと思うんです。だから、最初は戸惑いもあったんですけど、“終わりがあるからこそ、今、頑張って輝くべきなんだよ“というふうに言ってくれている曲だと解釈しました。”今、新しく作り始めているNMB48をみんなでまた再構築していきたい”って感じる曲だと思います」
泉「歌詞を見た時に自分の心にぐさっと刺さる部分がありました。みんなが言っていたとおり、キャプテンも代わって、これからNMB48が新しくなっていく中で、この曲が本当にとても大事で、変わっていく大きな分岐点になると思っています。勝負曲だと私は捉えています」
塩月「NMB48が賭けに出た1曲です。だって、<デッドライン>って、もう終わりとか…締め切りみたいな感じじゃないですか。<いい歳になっても まだ若いと/勘違いだけで頑張るなんて>という歌詞も個人的に刺ささりました。私は12歳でNMB48に加入してから、ずっと“若い、若い”と刷り込まれていたのが、“もういい歳なのかな?”って」
──いやいや(笑)。この12月でやっと二十歳を迎えるところじゃないですか。
塩月「でも、“まだ若いって勘違いしていたのかな?”とか思うくらい、心をえぐり取られるような描写が多い曲だと思いましたし、こういう曲って、辛いことを言っても、最後は“青春は素晴らしいものだよ”と言ったりしますよね? でも、「青春のデッドライン」は最後までそんなフォローもなくて…。でも、ここまで攻め切った曲をリリースすることが、NMB48の今後の姿勢を表していると思うんです。卒業するメンバーがいて、選抜メンバーが一気に変わって、新たなメンバーが入る。移り変わりのタイミングで、グループとしてどうなっていくのか?という不安の声がたくさんあったりもするんですけど、私は今後のNMB48はずっと強気でいきたいです。こうやって攻めの姿勢で鋭い表現の楽曲をリリースすることもNMB48の意思とも重なる部分もあると思っています。この曲自身が現在のNMB48を表していると思います」
──どの辺がですか?
塩月「冒頭の<ずっとずっと 青春は続く/大人たちに 聞かされて来た>からそうです。この歌詞に出てくる青春=NMB48だと私は捉えていて。NMB48というグループはこのまま青春としてずっと続くと思っていたけど、そんな生ぬるい気持ちじゃいけないっていう…」
──え? と言うことは、“NMB48のデッドライン”なんですか?
塩月「はい、そういうことですよね。“NMB48としてももう腹をくくって頑張らなきゃいけない瀬戸際だよ“ということが書かれている歌詞なのかな?と思っています」
──少し早めの卒業ソングのような爽やかな青春曲ですけど、そこまで考えたんですね…。泉さんも先ほど“歌詞が刺さる”と言っていましたね。
泉「私も若い頃からやってきたので、“もうそんなこと言わないでよ”って」
塩月「ね、刺さるよね」
──(笑)卒業していくメンバーはいますけど、まだみんな若いじゃないですか!?
泉「でも、“そろそろ自分の人生を真面目に考えて、社会人としてしっかり生きなさい”と言われているような気になったんです。私たちには劇場があって、ライブをさせていただいているんですけど、それも今までの先輩が作り上げてくださった歴史であってこそ。“1つ1つが当たり前にできているわけじゃないんだよ”と伝えてくれているのかな?とも思います」
龍本「私は、“青春自体が終わる“というのもありながら、青春の先にはもっと責任感が伴ってきたり、”大人の世界はもっと厳しいよ“という意味なのかな?と思っています。そういう意味では、私たちも一歩踏み出して、もっと深みのあるグループになっていかないと…と思います」
芳賀「私はNMB48に加入してまだ3年しか経っていないんですけど、正直に言えば、“気が付いたら3年経っていた”ってところもあって。今までの人生を振り返ったときに、なあなあにしていたところもたくさんありますし、みんなに甘えるばかりでした。もう大人の年齢にもなりましたし、若さやNMB48というブランドに甘えるのではなくて、“ちゃんと自分自身のことも考えないといけないんだ“って見つめ直すきっかけにもなった曲でした」
──皆さんがそんなに危機感を感じているとは思わなかったです。
塩月「それは多分、メンバーみんなが個人のことだけではなくて、NMB48のことを考えているからだ思います。今はみんなで支え合って、協力し合いながらグループが成り立っています。みんながみんな、NMB48のためにどうしよう?と考えてくれているからこそ、“今は頑張らなきゃいけない時だ”という意識が強くあるんだと思っていて。でも、私はそれが嬉しいです。今、みんなが同じ気持ちでNMB48で頑張れていることが。みんなが自分だけではなくて、グループのことも見えていることの表れだと思っているから…。“あまりポジティブじゃないな”って思われるかもしれないですけど、全員が現実を見て、それでも頑張っていくのがNMB48だというのが伝わると、嬉しいです。ただ、私の中で定義している青春っていうものは…」
──そうですね、青春とはどんなものですか。
塩月「情熱を持って、何かに一生懸命に真っ正面に無我夢中で取り組むことが青春だと思っています。それを諦めない限りは青春は続く。それが私の青春の解釈です。今、NMB48である私たちが諦めずにキラキラと輝き続ければ、青春のデッドライは来ないと言い切れます。この曲をいただいて、じゃあ、私たちはどう考えるのか…グループとして、どうこの曲を受け取るか?という問題提起をされているような気持ちになりました。“じゃあ、全力で返してやるよ!”というような、さらに火をつけられた1曲でもあります」
──皆さんはどんな時に青春を感じていますか?
泉「私もまだ続いていると思っています。小さい頃からNMB48に加入させていただいているので、学生時代も全部、NMB48に費やしているというか…ずっとNMB48と一緒の人生なんです。今もみんなと学校に行っているような感覚がありますし、ずっと青春が続いているって思います。バカみたいに泥臭くやっている、この環境はまさしく青春なんだ思います」
塩月「私は、毎回の選抜発表があるタイミングで青春を感じています。選抜発表を受けて、いろんな感情が動きます。嬉しいも悲しいも、悔しいも良かったと思えることも、その発表の瞬間に詰まっているって感じていて。毎回、シングルの選抜発表が終わったあとのみんなの喜んでる笑顔や悔し涙を流す姿とかを見て、“青春ってこういうことだよな”というのはすごく思っています」
龍本「私はつい昨日感じたんですけど…」
塩月「おーー!」
龍本「(笑)昨日、ライブのリハーサルがあったんですけど、すごく時間が長くて。朝から晩まで、みんなでレッスン場でリハーサルをしていたんですけど、最後の曲が終わった瞬間にみんなから拍手が上がったんです。“頑張った!”って感じで盛り上がったり、隙間時間に床で寝ている子もいたりして。人から見たら、そんなに綺麗な青春ではないかもしれないですけど、私も綾乃さんが言っていたように、泥臭く頑張っていたり、みんなでいくつも辛いことを乗り越えていく、この活動自体がすごく青春だと思います」
芳賀「私はパフォーマンスをしているときに感じます。練習やリハーサルの期間は本当にしんどくて。ダンスが苦手な私にとっては苦の時間なんです。覚えることも多いですし、しんどくて“逃げ出したい!”ってなるんですけど、劇場公演のステージに立ったり、ライブの大きな会場に立ったときに、ペンライトや照明とか、いろんなものが相まって、“今、私、すごくキラキラしている”って感じることが多くて。それまでしんどいことがあっても、ファンの皆さんが笑顔で見てくださっていて、自分が可愛い衣装を着てプリプリしている…“アイドルしてる”って思う瞬間に、毎回、“積み重ねてきてよかったな。これが青春だな”って感じます」
──やっぱりNMB48=青春でもあるんですね。
──MVはどんな内容になっていますか?
塩月「NMB48にとっては久しぶりのストーリー仕立てのミュージックビデオになっています。キラキラした青春を演じるメンバーたちがいて、それを俯瞰で見ている私。そんなストーリーになっていて。その中には金髪の私も潜んでいるんですけど、数年経った黒髪ロングの私が、あの頃を振り返って、“楽しかったな”って、少しエモーショナルな気持ちになっています。ちょっとややこしいんですけど、“現実ではまだ青春の頃を生きている私が、そんな夢を見ている“っていう構成です。とにかく、メンバーみんなが本当に青春を生きている感じになっています。今回、青春のシーンを私服衣装で撮影しているので、本当にメンバーの素が出ていて、とても可愛らしい撮影でした」
龍本「私は私服でみんなで静岡に旅行に来ているようなシチュエーションだったんですけど、やっぱり私たちにとってはNMB48が青春なので、青春しているありのままの姿をミュージックビデオに収めていただけたのがすごく嬉しかったです。私は平山真衣さん、三鴨くるみちゃん、坂下真心ちゃんと4人での撮影だったんですけど、山に向かって叫ぶシーンがあって。皆さん、もし、そのシーンがもし使われてたら、口元をよく見てください!」
泉「私は…寒かったです」
塩月「あはははは。ちょっと待って! 初選抜メンバーみたいな発言!」
泉「ふふふ。本当に修学旅行みたいな気分でした。静岡に行ったのが初めてだったので、合間に駅の近くのお土産屋さんに行って、お土産を買ったりしました。本当にみんなで修学旅行に来ているようなくらい、わっきゃわっきゃした雰囲気で楽しませていただきました」
塩月「あーのんは坂田心咲ちゃんと一緒にパンケーキを作るシーンの撮影をしてたんですけど、2人とも料理が下手すぎで!」
泉「いやいやいや!」
塩月「すごくブサイクなパンケーキのインサートを使われていました」
泉「味のあるパンケーキができたと思います!」
龍本「あぁ、青春ですね(しみじみ)」
塩月「あははは。どこで感じたの? 今?」
芳賀「(笑)私は青原優花ちゃんとペアの撮影が多かったんですけど、最初に古着屋さんに行って、お洋服や雑貨を選び合っているシーンがあって。“これ、どうかな?”って問いかけているシーンが多いので、一緒に古着屋さんに来たような気分になれると思います。その後はカフェでアイスを食べながら撮影していたんですけど、本当に放課後の1ページ?というくらい、ナチュラルにみんなで普通に話しているところを撮ってもらって。普段はアイドルとして決め顔をすることが多いんですけど、素の表情で撮ってもらったので、メンバーのくしゃっとした顔とか、珍しい表情が見れると思います」
──ダンスシーンもありますか?
泉「サビのパートをみんなで踊りました。体全体を使った感じで、コンテンポラリーというか…気持ち重視のダンスになっています。みんな同じ振り付けを踊っているんですけど、16人それぞれの解釈で全然違う踊り方をしていて。あと、1つね、とある技もありましたし」
塩月「あははは。なんでそんなに隠してるの? 言っちゃってよ! これ、生配信じゃないから(笑)。やよいちゃんに言ってもらう?」
龍本「ジャケット写真でグレーとチェックの制服っぽい衣装を着させていただいているんですけど、一瞬でデビュー曲「絶滅黒髪少女」を彷彿とさせる黒を基調としたドレスに変身する技ですよね!」
泉「そうです!」
塩月「制服の印象とは打って変わって、黒を基調にゴールドの装飾が入ったゴージャスなドレス衣装に早替えするシーンです。それが振り付けとリンクして組み込まれているので、ダンスをするときに“くるチェン衣装”で早着替えして衣装が変わります!」
──制服を脱いで大人になっていくっていうことなんですよね?
塩月「はい。ダンスの振り付けも、これまでのNMB48は“いかに振りを揃えるか?”を重視してきたんですけど、今回は“合わせない”がポイントになっていて。バチッと合わせず、感情だけでダンスをする…NMB48にとって、新たなジャンルのダンスになっています」
──繰り返しにはなりますが、本当に15周年という節目にNMB48として新たな段階に突入したと感じるシングルになっています。ご自身たちの世代でNMB48を今後、どういうグループにしていきたいですか?
芳賀「初期から引っ張ってくださっていた先輩方が卒業されて、今は若手と呼ばれる8期生から10期生のメンバーが多くて。先輩方やファンの皆さんからも、“この子たちに任せればNMB48の未来は明るいな”と思っていただけるように頑張ります。私自身としては、今まで、甘えて、甘えまくって、“いかに甘えるか?“ってくらい甘えてきたんですけど、11期生も加入してきますし、これからは甘えているだけではダメだと思っていて。少しでもNMB48に貢献できるように甘えずに頑張ります!」
龍本「私たちは大阪城ホールや京セラドームのような大きい会場でライブをやる!という夢があります。先輩方が卒業して、不安になってしまっているファンの方もいらっしゃると思うんですけど、まず、私たちが不安になっていたらダメというか…。アイドルはやっぱりニコニコしてて、可愛くて、元気をもらえる存在でいたいという想いがあるので、私たちがキラキラと輝いて、大きい夢を叶えていく姿を皆さんに見ていただけるように努力していきますし、デッドラインが来る前にもっともっと頑張っていきたいと思います」
泉「今まで先輩方が積み上げてくださってきた歴史の上にまた新しく自分たちが描いていくのも大事な部分だとは思うんですけど、今のメンバーでしか作れない未来もあると思うんです。先輩方が積み上げてきてくださったものに上書きしていくだけではなくて、また違った未来を私たちは作っていきたいです。ずっと応援してくださっているファンの方もメンバーも誰一人離すことなく、みんなで1つ1つ乗り越えて、毎日0.1ミリずつくらいでも成長していけるようなグループになれるように頑張っていきます」
塩月「15周年を迎えて、今、NMB48を応援してくださっている方やこれから応援してくださる方に、今のこのNMB48を楽しんでほしいと思っていて。今のNMB48って、もう「青春のデッドライン」そのものだと思うんです。瀬戸際とかじゃなくて…ライン上に立っているような気持ちでいるので」
──そんなにギリギリのところに立っていますか?
塩月「“それくらいの覚悟を持って挑んでるんだ“という姿勢を見せるのが、今回のシングルだと感じていて。「青春のデッドライン」のライン上にいるからこそ、今からこのグループはどっちに転ぶのか? その瞬間を見届けてほしいです。私たちは、必ずいい方向に転んで、這いつくばってでも前向きに、新たな景色を目指して全力で駆け抜けていきたいと思っているので、その瞬間を一緒に楽しんでほしいですし、これから自分たちの望む未来に進む上で皆さんにはそばで応援していてほしいですし、”応援していて良かった!“と思えるようなNMB48を作っていきます!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/中村功




















