──まず、塩月さんと坂田さんへの質問です。ニューシングル「これが愛なのか?」で、それぞれが初となるセンターを2人で務めることが決まった時の心境から聞かせてください。
塩月 希依音「最初に聞いたときは嬉しかったんですけど、どこかでダブルセンターへの不安もありました。でも、いろんなお仕事をさせていただいているうちに不安よりも楽しさの方が大きくなってきて…今は楽しんでやれています。NMB48をもっと大きくするためにも、NMBの顔となれるように自信持ってやっていきたいです」
坂田 心咲「初めて聞いたときは、“嬉しい!”って思ったんですけど、正直、実感があまりなくて。でも、ジャケット写真の撮影やMV撮影、劇場公演以外でのステージに立たせてもらったときに、役割が増えたり、前に立つことで、ダブルセンターになったっていう実感がどんどん湧いてきました。同時に“2人が今、グループの先頭に立っているんだから頑張らないと!”っていう覚悟もどんどん出てきました」
──芳賀さんは本作が初選抜になりますね。
芳賀 礼「選抜メンバーに選んでいただけて、最初はすごい嬉しくて。私も最初はあまり実感がなかったんですけど、選抜メンバーとしての活動の機会が増えるにつれて、“自分って選抜になったんだな”って実感することができるようになって。例えば、シングルのジャケットに自分がいたりとか。歌割りや衣装も、自分のオリジナルのものが新しくできて、憧れてたところに一歩踏み込めて、すごく嬉しいです!」
──川上さんは「好きだ虫」でセンターも務めてますが、お二人はどんなセンターですか? そして芳賀さんはどんな方なのかも教えてください。
川上 千尋「ダブルセンターの2人も初選抜のれいぽん(芳賀)も肝が据わっていますね。物怖じしないので、先輩としても、いちメンバーとしても引っ張っていってもらっているなっていう気持ちになります。ダブルセンターは特殊なセンターの形なので、1人のセンターとはまた違った強みもあれば、悩みもあると思うんですけど、この2人はしっかりしているので、何を任せても大丈夫なんじゃないか?っていう気持ちがあるし、未来を託せるといいますか、NMB48の今後も明るいなって感じさせてくれる2人だと思います。れいぽんはNMB48に加入して1年半とは思えないぐらい、みんなから愛される天然キャラなんですけど、発言を聞いてるとしっかりしている部分もあって。めっちゃ上からになっちゃうんですけど、“ちゃんと考えて活動してるんだな”っていうのが見えてくるので頼もしいです」
──2人は先輩に何か相談しましたか? アドバイスを求めたりしました?
塩月「今、聞いてもいいですか?」
川上「いや、アドバイスなんてないですよ! 私も投票で選ばれた特殊な形のセンターだったから」
塩月「でも、自分の中では「好きだ虫」でセンターをされてから、ちっひー(川上)さんが変わったなって感じていて…気持ち的な変化があったのかなっていうのを伺いたいです」
坂田「確かに「好きだ虫」の時は、いろいろなことを考えて、NMBの先頭に立ってくださっていると感じていました。いろんな責任感や覚悟が必要なポジションなんだなというか、改めて、センターってすごく大事な場所なんだなって思って。長年やっているちっひーさんでさえ、たまに不安に感じたりしたんじゃないか?って思ってました」
川上「うーん、ずっと後ろの方のポジションにいた時は、“前に行きたい!”っていう気持ちがあったけど、センターになると、そうじゃなくて、引っ張っていかないといけないという気持ちが増して…あの経験が必然的に自信を持つきっかけになったと思うけど、2人はもう自信に満ち溢れている背中が見えるから。周りから見ても全然不安要素がないし、アドバイスする部分がないなって思うぐらい、もうセンターとして確立してるという気持ちでいます」
──では、楽曲を受け取ってどう感じましたか?
塩月「歌詞の内容的には初恋のことを書いているんですけど、曲調がすごいクールでかっこいい感じになっているので、いい意味でアイドルっぽくない、新鮮味のある曲だなって感じました」
坂田「聴いただけだと、すごく大人っぽい曲なのかな?と思いきや、歌詞は本当にまだまだ子供な部分もあって。今回、18歳の私達がダブルセンターするにあたって、年相応と言いますか、まだそんなに愛を知らない私達が歌うことに意味があるのかなって感じました」
川上「いろんな形の愛はあると思うけど、これは本当に純粋な愛ですよね。その人が好きだっていうのを語っている歌詞で、どの世代の人にも“こんな気持ち、あったな”って感じてもらえると思うんですけど、最後はすごいインパクトがあって…」
──<好きだ>を10回連続で言っています。
川上「頭にこびりついて離れなくなりますよね。歌詞をいただいたときに、NMB48だからこそのユニークな部分なのかな?って思って、NMB48らしさに嬉しくなりました」
芳賀「初めて聴いたときは特徴的な歌詞が多くて、頭に残る部分が多いので、1回聴いたら忘れられないな!とも思いました。歌詞は皆さんが言っているように初恋なんですけど、ファンの方とメンバーとの関係にも変えて考えられるなと思って。ファンの方との愛がもっともっと深まる曲になればいいなと思います」
──ファンの人がNMB48のメンバーを好きになったような曲にも聴こえますよね。
川上「確かに推しメンを見つけたきの衝撃に似てるかもしれないですね!」
──レコーディングはどんな気持ちで臨みましたか?
芳賀「私は初めての選抜曲だったので、今までにない緊張感があって…“この声が一生残るんだ”って思うと、すごく緊張したんですけど、“自分の歌割りのところに自分の気持ちもちゃんと持っていって歌いたい”と思っていて。特に<僕がやっと見つけたFlower>はファンの方に見つけたいただいたときの感覚を思い出してもらえるフレーズなのかな?と思ったので、すごく緊張しながらも、そんなことを考えながら歌いました」
川上「私は<What’s love?>がこじりん(小島花梨)と怜ちゃん(上西怜)という気心の知れた3人での歌割りだったんですけど、もうドンピシャで、タイミングもばっちりはまったんです。特に話し合ったりもせずに歌ったのに、3人がめっちゃっ合ってるなと思って、みんなで“奇跡だ!”と言って喜んでました。<ストレート過ぎて/I want you! I love you! 許してくれ!>も3人で歌っているんですけど、ここの歌割りが気持ち良すぎて…自分の癖を大胆に出せました。それが音源としても残るので、“よっしゃ!”って思いました」
──(笑)坂田さんは?
坂田「希依音さんと2人でレコーディングしたんですけど、そんな大人ぶる感じではなくて、もっと乱暴にというか…“もっとくだけていいよ”ってディレクションしていただきました」
塩月「私は“自分がイケイケだ!”と思って歌いました(笑)。とてもノリノリなリズムなので、“ちょっとイケてるぜ”って思いながら歌ったのと、最後の<好きだ>は何とか噛まないように歌いました」
坂田「最後は全員で、指で1、2って数えながらやっていました」
川上「数えるし、息続かないし、大変でしたね」
──(笑)ダンスはどんなフリになってますか?
芳賀「10回<好きだ>って言ってる感じがしないぐらい、かっこいいフリです!」
川上「緩急があって、サビはインパクトがあります。逆におとなしめに見える部分の振り付けは見せ方に工夫がいるので、みんなのカッコいい表情がポイントです!」
坂田「かっこいい振り付けかな?と思いきや、急にちょっとコミカルな部分もあって。<神にどう祈ろうと>はちひさんが神になって、みんながお願いしてるんです。やっぱりちょっと大阪が出てるというか(笑)。キメてると思いきや急にちょっと、おふざけなおちゃめな部分が出ているのが、NMB48にしか踊れない振り付けだなって思いました」
川上「ダンスの先生が言うんですよ、“一番先輩だから、あなたが神様ね!”って」
坂田「それをみんなが座りながら崇めてました」
塩月「(笑)今回の振り付けはいろんなポイントはあるんですけど、振り付けの先生からは、“シンクロ率の高さがNMB48の良さでもあるから、そこを生かしたい”って言ってくださって。手や指先の角度とか、細かいとりこまで揃えていただきましたし、全体で見たときにフォーメーションや動きが面白い使い方をしているんです。みんなで円になって取り囲んでるかと思ったら、三角形みたいな形になったりとか。フォーメーションも多いので、サビ中にたくさん移動してたりして、ずっと目で追いかける感じが曲にのめり込めて面白いなって思います」
──MVはどんな内容になってますか? ジャケットも衣装が制服で学校で撮影しているので、ビジュアルイメージが今作でガラッと変わった印象を受けています。
坂田「今回、ジャケット写真からMV撮影まで、本当に笑顔がなくて…こんなにも笑わないのが初めてだったので、ちょっと不安になる部分もあったんですけど、逆に笑っていないからこその儚さが出てるんじゃないかなって思います」
塩月「MVはドローンを使って撮影しています。今までもドローンを使ったMVはあるんですけど、今回はドローンの動きがすごく速いので、MV自体にもすごい疾走感があると思うし、エモいシーンが多くなっています。桜の木の下で撮影したり、ちらっと映る学校の孤独にも“エモさと儚さ”というコンセプトが詰め込まれてるので、細かいところにも注目してみてほしいなと思います」
芳賀「最初は制服で、学校で教室や部活の道具を使って撮影していたんですけど、ラストサビでは一気にステージに上がって…急に学生からアイドルにガラッと変わるんです。MVで、学生とアイドルという二つの楽しみ方ができるのがすごくいいなと思います」
川上「メンバー1人1人の表情はもちろん映っているんですけど、今回はイメージカットが多くて、全体で見て楽しめるシーンが多い撮影でした。ただ、そのイメージカットで芝生の上でみんなで斜めになって太陽を見上げながら歌うシーンがあったんですけど、まぶしすぎて私、目を開けられなくて(笑)。スタッフさんに“ちひろが目開いてないから使えない!”って言われるぐらいのまぶしさにみんなで耐えながら、撮影していました。そのシーンが、全体的に無表情という中で、ちょっと面白いポイントなのかなって勝手に思っています」
──(笑)少し駆け足にはなってしまいますが、カップリングで好きな曲を1曲ずつあげていただけますか?
芳賀「私は自分が所属しているTeam Mの「青春ジャンプ」が好きです。前回のTeam M曲が「職員室に行くべきか?」で、それもちょっと学生に寄った歌詞だったんですけど、曲調はスローテンポだったんです。今回は、歌詞も曲調もガラッと変わっていて。学生の方に親しみが持てるような歌詞にはなっているのは同じなんですけど、今、みんながイメージするTeam Mの明るくて面白くて、和気あいあいとした雰囲気がこの曲からも出ています。“迷っていないでやってみればいいやん!”ってポンっと背中を押してくれるような歌詞になっているし、ちょっと悩んでるときに元気や勇気をもらえる曲になっています」
坂田「Team BⅡは前回は「恋のヘタレ」っていう、超関西弁で、ちょっとかわいらしいと思えるようなヘタれの少年の歌だったんですけど、今回の「ヘドバンタイム」は全くそういう系統ではなくて。“みんなでとりあえず楽しもうぜ!”っていう楽曲なんです」
──<アホアホ(アホアホ)>というフレーズもありますが。
坂田「そうですね(笑)。「恋のヘタレ」でも、サビでファンの皆さんにコールを返してもらうところがあったんですけど、今回も追っかけの部分がたくさんあるので、ライブでは皆さんもいっぱい乗ってきてもらえたらなって思っています。みんなで盛り上がりたいです!」
塩月「私は全員曲の「Now」です。今までの全員曲はしっかり歌メインの曲が多かったんですけど、この曲はほんとに王道アイドルソングって感じで、すごい支えられる曲というか、勇気をもらえる曲なので、それを全員で歌うっていうことでより勢いが増して、パワーを皆さんに届けられる曲なんじゃないかな?って思います。あと、『#大阪から世界へ』を新たなテーマとして掲げているので、頑張って英語の歌詞をたくさん入れてて(笑)。英語をちょっと頑張っている感じもNNB48らしいし、大阪から世界に向けてたくさんの方にパワーを届けられたらいいなと思います」
川上「私はドラマ『アイドル失格』内のアイドルグループ、テトラとして歌った「青春テトラポット」です。わかぽん(安部若菜)が小説を書いて、ドラマ化されたからこそ、実現した曲なんです」
──歌詞も安部さんが手掛けていますね。
川上「小説やドラマとリンクできる部分がたくさんあるし、ファン目線としても当てはまる歌詞になっています。<手を伸ばし続けても触れられない距離は>とか、<目を離したら消えそうな君に/僕は胸が苦しくなるんだよ>とか。ファンとして、“アイドルは推せるときに推せ”っていう儚い気持ちもこもっていますし、<青春は今だけ>っていうのは、グループにいるからこそ感じられる気持ちでもあって。アイドルでありながらも、他のアイドルの方も好きなわかぽんだからこそかけた歌詞なのかな?って。その儚い歌詞を明るいテンポで、疾走感ある曲で歌うっていうのが“たまらんな〜”と思います」
──Team Nの「夏のDestination」とテトラ「おとめのアイス」を含む全7曲が揃って29枚目のシングルとしてリリースされますが、芳賀さん、みんなにはどう聴いてほしいですか?
芳賀「表題曲もチーム曲も全体曲もテトラの曲も全部違ったカラーがあって、全部自分に落とし込んで聴けるので、そのときの自分の気持ちで聴きたい曲を選んで楽しんでもらえたらいいなって思いますし、早くライブで皆さんとコールと一緒にパフォーマンスがしたいです」
──川上さん、今後の目標を聞かせてください。
川上「『#大阪から世界へ』というテーマを掲げて活動していて、万博もきっかけの1つにはなっているんですけど、NMB48をもっと外に発信していって、大きくなっていきたいっていう気持ちです。こじりんがキャプテンとしてそれを代弁してくれたのは、今のNMB48に誇りを持っているからこそ、その言葉を言ってくれたんだと思うんです。だから、今はメンバーもスタッフさんも気持ち一つになって、“世界に発信できる音楽を作ろう!”と、コンセプトも今までとはかなり変わりました。例えば、髪型も、今まではMV撮影のときは、自分で決めることも多かったんですが、今回はコンセプトに沿って髪型も1人ずつ決めていただいたんです。より一体感が出ているグループになっていると思うので、この「これが愛なのか?」をひっさげて、大阪から世界への第一歩として発信していけたら嬉しいですし、ファンの方もNMB48や推しメンに対して“これが愛なのか?”って思ってもらえるようになればいいなと思います」
──ダブルセンターを務める2人は、NMB48の新しい顔として、グループをどうしてきたいですか?
坂田「ダブルセンターに選んでいただいたからには、“坂田に任せてよかった”って思ってもらいたいですし、他のメンバーやファンの方たちからも“坂田だったら大丈夫!”、“坂田がいるから大丈夫!”って思ってもらえるくらいのメンバーになりたいです」
塩月「今、このタイミングでダブルセンターを任せていただいたことには意味があるって思っていて。実力的にも知名度的にも他に選ばれてもおかしくないメンバーもいる中で選んでいただいたからこそ、18歳っていう年齢や自分の持っているものを生かしていきたいです。若さゆえの勢いとか、何も考えられていない部分もあると思うんですけど、逆に“怖いものなし”みたいなところだったりとか。18歳だから、まだ知らないことが多いっていうのを逆に武器にして、当たって砕けてっていうのを繰り返して、自分自身も成長していきたいですし、それと同時に、NMB48をちょっとでも広められる人になりたいです」
川上「頼もしいね。なんか、めちゃめちゃ嬉しい!」
塩月&坂田「頑張ります!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/中村功