──まず、キャプテンの小嶋さんに記念すべき30枚目のシングルの表題曲である「がんばらぬわい」で初めてセンターを務める心境から聞かせていただけますか。
小嶋 花梨「個人の気持ちとしては、キャプテンとセンターというのは、役割は違っても、責任やプレッシャーを感じるという意味では似た部分があると思っていたんです。なので、センターになったから何かが変わったか?と言われると、きっとキャプテンとしての気持ちとあまり大きな差はないのかな?とは思うんです。でも、自分がセンターを務めさせていただいているタイミングで、この「がんばらぬわい」という曲をいただいて。自分自身、頑張り過ぎてから回っていた期間もあったからこそ、今がある。ほどよく気を抜ける今にぴったりだなって思いますし、役割を持っていて、頑張りすぎて疲れてしまっている方たちの背中を押せるような応援歌になっていけばいいなって思っています」
──例えば、Team BII「Be happy」( 23rdシングル「だってだってだって」Type-C 収録曲)でセンターを務めたときと変わらないですか?
小嶋「ああ、それはまた違いますね。2年前に『NAMBATTLE2〜愛〜』(NMB48活性化プロジェクト)で本気でセンターを目指して、つかめなかったことがあって(小嶋は惜しくも2位となり、1位の川上千尋が27枚目シングル「好きだ虫」のセンターを務めた)。そのときに、自分はタイミングじゃなかったんだなって感じましたし、もしもそこで夢が叶っていたとしたら、今のような気持ちでセンターに立てていなかったと思います。それも含めると、本当に今で良かったなって思っています」
──では、前作「これが愛なのか?」でダブルセンターを務め、“18歳の私達がグループを引っ張っていく!”と決意表明していたお二人は、今回、キャプテンがセンターを務めることはどう感じていますか?
塩月 希依音「いつなってもおかしくないし、私たち自身もずっと待っていたので、すごく嬉しかったです。キャプテンをやっている花梨さんと、「がんばらぬわい」でセンターに立つ花梨さんとでは私にはちょっと違って見えるので、花梨さんがセンターを務めることでどう変わっていくんだろうな?っていう楽しみもあります」
坂田 心咲「次のシングルが出るということは、私達のダブルセンターの期間が終わるっていう意味でもあるんですけど、花梨さんがセンターだからこそ、終わってしまう悲しさよりもほっとするような安心感が大きくて。もちろん、ダブルセンターが終わったから…頑張らないという曲ですけど(笑)、頑張らないわけではなくて。これからも引き続き、花梨さんの支えになりたいですし、センターの両脇2人として、“いいシンメだね!”って言ってもらえるように頑張りたいです」
──オーディション合格から2か月半で初選抜となったお2人はどんな心境ですか?
三鴨 くるみ「NMB48に加入させていただいてから短い期間での選抜だったので不安もありつつ、心配事も多かったんですけど、前方3名がすごく頼もしい、大きい背中を見せてくださっているので、この30枚目という節目のシングルで選ばれたことが本当にありがたいです。全力で「がんばらぬわい」を盛り上げていきたいです!」
高橋 ことね「私はオーディションの時に追加メンバーで加入させていただいたんですけど、そのときはこのように選んでいただくことすらイメージできていなくて。これからもっと上を目指して、もっと自分を伸ばしていかないと!って思っていたんですけど、こうやって選んでいただいらからには、そのときに思っていた以上に気持ちを強く持って、花梨さんや先輩方に全力でしがみついていくんだ!って誓いました」
小嶋「あはははは。誓ったんだ」
──(笑)キャプテンから新加入のお二人がどんなメンバーか紹介してもらっていいですか。
小嶋「対照的な2人です。くるみちゃんは2ヶ月半とは思えないほど、どっしりしていて。本人の負担になってないかな?って不安になるくらい、周りのことまで気にして見てくれているし、発する言葉もグループ全体の夢を語ってくれています。キャプテンとしては、新加入のメンバーがグループとしての目標を言ってくれるっていうのはすごく嬉しいですし、頼もしくもあって。ことっちは、今までいろんなキャラクターの子が加入してくれたNMB48の中でもまた別種です(笑)。新しい色をつけてくれているなっていうのをとても感じていて。ダンスが苦手だったり、話すのもまだまだ流暢じゃないんですけど、そのあどけなさがいいところでもあります。でも、まったく不安要素はないんですよ。押しても倒れない、起き上がりこぼしみたいで、この2ヶ月半では絶対に経験できない量の物事をここまでやってきた中で、不器用ながらによく倒れずここまで来たなって思っています」
高橋「先輩方のおかげです。ありがとうございます!」
小嶋「いやいや。この2人はきっとこれからNMB48の大きな軸になってくれるはずです」
三鴨「そんな言葉をいただけて嬉しいです!」
高橋「ありがとうございます…」
三鴨「先輩たちがいらっしゃらなかったら、本当に今の私達はいないので。ありがとうございます!」
坂田「何もしてないんですけどね。2人で支え合いながらやってくれてるから」
高橋「いや、先輩方の存在のおかげです!」
塩月「あははは。何もでえへんで(笑)」
──(笑)「がんばらぬわい」を最初に受け取った時はどう感じましたか?
三鴨「私としては、パートに自分の名前が載ってることが本当に嬉しかったです! 最初にタイトルを聞いたときはちょっと不安だったんですけど、曲調がパーティーチューンで、たくさんの人に愛されるような楽曲になるなと思って。曲を聴いた瞬間に“これはいける!”って思いました」
高橋「ずっとNMB48の曲を聴いていたので、自分の声がそのNMB48の曲に入るっていうことが本当に夢を見ている感覚です。その気持ちを忘れたくないですし、「がんばらぬわい」には、私にとっても皆さんに届けたい気持ちが乗っていて。この社会の中で頑張りすぎている方や不安を持っている方に、“そんなに頑張らなくていいよ”って背中を押したいですし、“気楽にいってね!”ってメッセージを伝えたいので、そんな私の気持ちを心から乗っけて、皆さんにお届けしたいです」
──坂田さんは?
坂田「私もタイトルだけを見たときに、“何これ?”と思ったんです…「がんばらぬわい」の意味がわからなくて。ほとんどの方は、“頑張らない私”って捉えると思うんですけど、私も実際そう捉えて。“何これ? こんな歌で大丈夫なの!?”って気持ちが正直あったんですけど、歌詞を見ながら聴いていると、曲が終わる頃にはちょっと頬が緩むというか。“難しく考えすぎなくてもいいのかな?”って、自分の中で何か抜けるような感覚になったことを覚えています」
塩月「私は「がんばらぬわい」のメロディーが好きで、“明るくて楽しい曲が来た!”って思って歌詞を見たときに、“こんなにも頑張らなくていいの?”って、あまりの頑張らなさにびっくりしました。これまでのNMB48は“難波魂で頑張るぜ!”っていう熱い曲が多かったんです。“周りにどう言われようと、私達だけは頑張るんだ!“みたいな楽曲が多かったのに、30枚目に来て急にここまで気を抜くか?っていう脱力感がちょっと面白くて、新鮮だなって感じています」
小嶋「タイミング的に、結成15年目とか、30枚目とか、いろんな節目が揃っていたからこそ、私達もどんな曲がくるのか、すごくワクワクしていたんです。でも、結構、焦らされたんです…なかなか届かなくて、“これだけ待たされているということは秋元さん、相当力入れてるぞ“って思っていて。届いたのがこの”頑張るな“って言われてる曲だったんです。最初は”なんてこった!“って思いました。今まで言ったことのない<目標を下げよう>なんて歌詞があったり、私も初めて曲中で<がんばらぬわい(頑張らない)>って叫んでいたり。でも、自分たちが期待していたものとは真逆の曲が届いたからこそ、知れば知るほど、自分たちが歌えば歌うほど、愛着が湧いてきている実感があります。だから、初めて聴いた方も、最初は結構、衝撃的だとは思うんですけど、これが癖になっていってほしいなって思っています」
──その歌詞に共感はしましたか?
小嶋「最初は<がんばらぬわい(頑張らない)>って言われてることが悔しかったです。“いいよ、そんなに頑張るなよ”って言われたくないっていう気持ちはあったんですけど、歌詞をよく読むと、本当に今の自分たちにも合っていて。“そのままでいいんだよ”っていうメッセージ性もあるような気がして。かなり共感できるようになってきました」
塩月「私は、この歌詞には性格的にあんまり共感できないです。頑張って努力するのが好きなタイプなので、歌詞には共感はできないですけど、自分が頑張りすぎているときに、この曲がいい歯止めになるというか…“何か変なエンジンかかってるな〜”って思ったときに、この曲を聴いて一旦、落ち着こうという気にはなりました」
坂田「絶対に頑張らないといけないときってありますよね? この曲は、“頑張らなくていいよ”っていう歌詞ですけど、私達はパフォーマンス頑張るので。…うーん、難しいな。でも、聴いていて、ちょっと肩の力を抜こうと思える部分があるので、この曲を聴いてくださる皆さんの中にも、ちょっとでも力を抜いて、気楽に行こうって思ってもらえたらいいいんじゃないかな?って思います」
三鴨「私はこの曲をいただいたときに、本当に必死で頑張っている時期だったので(笑)」
──そうですよね。オーディションに合格してこれからっていう時に。
三鴨「今も頑張っていますし、選抜に選ばれて、“やらなきゃ!”って頑張っている最中に「がんばらぬわい」が届いて…正直、最初は“何だ!?”って思ったんですけど、ずっと聴いて、ずっと歌って、先輩方の歌詞の解釈を聞いているうちに、この曲は、こうやってやりすぎている私に対して、“大丈夫だよ”って安心させてくれる曲だなと思いました。すごく励ましになる曲だなって思って、今は本当に大好きです」
高橋「<Stand up!>って言った後に<立ち上がるな!>とか、真逆の言葉が続いているんですけど、私的に、立って休み、立って休みていう抑揚を、自分のペースでやっていけばいいよっていうメッセージなのかな?と思いました」
──ちなみに皆さんは疲れやストレスが溜まった時にどうやって解消していますか。ひと休みしたいときのリラックス方法を教えてください。
三鴨「私はお香を焚きます。匂いでリラックスできますし、お香を焚きながら瞑想をするのが好きなんです」
坂田「おしゃれさん!」
三鴨「YouTubeで“目を閉じてください”とか、誘導してくれる動画を見ながらやっています」
小嶋「めっちゃいいね!」
高橋「私はゲーム。オーディションの合格をいただいてからはまだゲームをしてないんですけど…」
小嶋「偉っ!」
高橋「いずれ、ストレスMAXになったときはゴロンと寝ながらFPS系のゲームをやりたいです!」
塩月「意外なジャンルだった(笑)。私は寝ることしかないです。しかも、最高の睡眠を取るために、準備からしっかりして。寝る30分前にスマホを触らないようにして、お風呂に早く入って。いい睡眠をとるルーティンをしてから眠りに入ります。いい睡眠をとるのが自分の中で一番のリラックスです」
坂田「すごい! 私は自分の欲求に従います。“これを食べたい!”と思ったら、夜中でもガッツリ食べるし、“この服が欲しい!”と思ったらすぐに買う。その時に絶対にやってはいけないことは、後から振り返ること。使った金額とか、“あんな時間にあれ食べちゃった…”って思わずに、“もうこれで私は次から頑張るんだ!”って前向きに捉えて発散しています」
小嶋「真夜中に何を食べたくなるの?」
坂田「ティラミスとか。甘いものが食べたくなっちゃうんですよ。最高です!」
小嶋「へー。私は最近、ストレスが溜まっているときに、これをしてるなって気づいたことがあって。それが渋谷凪咲さんに会って話すっていうことなんです。凪咲さんと話すと、自分の頭の中にあるいろんなモヤモヤが整理されて、凪咲さんの自身の経験とともに“こじはこうした方がいいんじゃない?”ってヒントもいただけるんです。そのときに全部リセットされて、“よし、明日から頑張ろう!”って思えてるって気づいて。実は卒業されてからも月に1回ぐらいは会えてて。今日もこの後に会いに行きます!」
──じゃあ、いま、ストレス溜まっているってことかな。
坂田「そういうこと!?」
小嶋「あははは。そんなことない、そんなことない!月に1回、頭の中を整理してリセットするってことです!」
──ありがとうございます。
──MVの見どころを教えてください。
高橋「大阪らしさが詰まっているミュージックビデオだと思います。通天閣と新世界、万博記念公園、NMB48劇場前で撮影させていただいたんですけど、劇場前の撮影は通りがかりの方も見えるところだったので、いい告知になったかな?と思っています」
三鴨「私は万博公園で撮影をしたんですけど、最初はすごく天気が良かったんです。でも、最後のカットを撮る頃には、後ろに雨雲が迫ってきていて…その空がかなりの暗雲なので、ちょっと見どころです(笑)」
坂田「私はスタジオのセットとか、一か所での撮影しか経験したことがなかったので、今回、実際に自分たちの足でその場所に行って、ミュージックビデオの撮影ができたことがすごく嬉しかったです。新世界のど真ん中で踊ったり、劇場前をこんなに派手なメイクと衣装でダンスしたり。絶対に普段できないことができたことがものすごく嬉し楽しかったです」
塩月「今回のミュージックビデオの撮影場所や衣装、振り付けもコテコテな大阪感がすごくて。新世界の大きい看板とか、通天閣の辺りの世界観とかが映っているので、“大阪のアイドルだ!”っていうのを一目見てわかっていただけるミュージックビデオになっています。このミュージックビデオのように、“大阪といえばNMB48だ!”って思っていただけるアイドルになりたいです」
小嶋「どこかシュールさもある、本当にNMB48らしいミュージックビデオを久しぶりに撮影できたなって思います。初めてNMB48劇場で撮影をしたんですけど、ストーリーとしてはNMB48劇場からみんなが飛び出して、大阪の街を走りながら、2025年の大阪・関西万博を意識できるような万博公園にたどり着いたり、大阪のシンボルでもある通天閣のてっぺんにみんなで立つとか、私たちの夢の象徴が映っていて。今、NMB48として目指したいことがストーリーの中にちゃんと入り込んでいるがすごく嬉しいポイントです」
──カップリング曲についても一言ずついただけますか? 三鴨さんと高橋さんは8期生・9期生・10期生楽曲の「さらば純情」に参加しています。
三鴨「10代の高校生メンバーが多いんですけど、そんな子たちが共感できるような曲になっていますし、私は20歳を超えているんですけど、誰もが学生時代を思い出せるような曲になっていると思います」
高橋「私もやっぱり高校時代を思い出して…校則が厳しい学校だったんですけど、学校を出た瞬間にスカートを折り曲げて、梅田に遊びに行くっていう友達との放課後の記憶が一瞬でよみがえりました!」
──そして、紅組、白組の楽曲も収録されています。
坂田「紅組の「めっちゃラブユー」は一目ぼれの片思いソングなんですけど、関西弁のおかげなのか、関西弁のせいというか、あまり片思いソング感はなくて…。かわいい振り付けが来るのか、関西弁なのでちょっと遊び心のある振り付けが来るのかが楽しみですし、一度聴いたら、頭から離れなくなる曲なので、たくさん聴いていただいて、皆さんに口ずさんで欲しいです!」
塩月「紅組はさかたん(坂田)がセンターで、白組の「愛が終わってもSelfish」は私がセンターをさせていただくんですけど、どちらの曲も“愛”がタイトルや歌詞に入っていて。私たちがダブルセンターを務めた前作「これが愛なのか?」からの繋がりを感じる2曲になっています。「愛が終わってもSelfish」は昭和っぽい感じの曲調でもありつつ、シャキーン!、キラーン!みたいな、銀河系っていうか、宇宙っぽいカッコよさもあります。白組はこれまでもカッコいい曲が多かったので、白組らしい曲になっていると思います」
──歌詞は怖いですけどね。
小嶋「だいぶ重いですよね」
塩月「別れても自分だけはずっと好きでいるって…」
小嶋「白組は僕目線が多かったんですけど、<私>っていうのも新鮮でした。あと、上西怜ちゃん念願のソロ曲「夕陽はどこへ行く?」もあって。<僕の夢の物語>っていう一文がまさに上西怜って感じがするんですよ。めっちゃ怜ちゃんのファンって感じです!」
塩月「確かに確かに。妄想しちゃう感じ。ほんまや!」
小嶋「遠距離ポスター」みたいな感じじゃない? 久しぶりの紅白の楽曲もメンバーがずっと望んでいたことだったんです。紅白の曲が最後に収録された時代(2014年)から、ガラッとメンバーも変わっていて。そんな中で、2024-2025年のNMB48を表現できる紅白になっているし、若い世代が歌ってくれている「さらば純情」も「純情U-19」を思い出すところがあります。収録曲全部が過去にも未来にも繋がるような曲ばかりになっているので、15年目のNMB48だからできるような“らしさ”を、「がんばらぬわい」とともにたくさんの方に届けられるよう頑張っていきます!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/中村功