──デビュー15周年、おめでとうございます。
「ありがとうございます。10周年の時より、ずっしりきている感じがあります」
──振り返ると、感慨深いものがありますか?
「デビュー当時はレーベルと2年契約でしたし、“いつまでメジャーでいられんだろう?”みたいな、そういう危機感は持ち続けていたので、更新を重ねて、“気づいたら15年経っていた”というのが正直なところです。生々しい話ですけど(笑)」
──自分をほめてあげたいくらいですね。
「そうですね。“よくぞ15年やってこられたね”って。今でもアルバイトのシフトに入る夢を、いまだに見ますし(笑)」
──本当によかったですね。なんだか、親戚のおじさんみたいになっていますけど…。
「(笑)」
──そして、『流しのOOJA〜VINTAGE SONG COVERS〜』シリーズからの『Ms.ENKA〜OOJAの演歌〜』という、驚きの展開が待っていたわけですが、構想はいつ頃からあったのでしょうか?
「『流しのOOJA』を3枚で完結させて、その後です。というのも、『流しのOOJA』で歌謡曲を掘り下げたことで、日本語の美しさとか、響きとか、意味合いとかを、もっともっと探求したいと思いました。そこで行き着いた先が、必要最小限の言葉と、強烈なメロディで成り立っていて、アカペラでも通用する演歌でした。そういう日本古来の音楽ジャンルに、“なんだ?このカッコいい音楽は!”と衝撃を受けました。若い頃はあまり魅力を感じていなくて、進んで聴いてはこなかったですし、“自分とは関係がない音楽”と思っていたんです。でも、年を重ねながら『流しのOOJA』で歌謡曲を歌わせていただいたことで、演歌のすごさを思い知らされました。日本という土地があって文化があってこそのジャンルですし、とにかく強いんです。どう歌っても、演歌は演歌になります。演歌歌手の方々も、オリジナリティの塊ですし。そこに惹かれました」
──そういう衝撃的な出会いがあって、そこから演歌を深掘りしていったのでしょうか?
「そこは、演歌に詳しくないから、カヴァー・アルバムを作るなら、タイトルを見たり聞いたりして、すぐ楽曲が浮かぶことが重要だと思いました。それくらい知名度があって、たくさんの人に愛されている曲を選ぼうって。演歌に対してそんなに情報がない状態の私でも、タイトルですぐわかる楽曲があるので、逆にセレクトはしやすかったです」
──選曲ポイントは、“タイトルですぐ思い浮かぶ曲”だったんですね。
「それがマストでした。その上で、これは カヴァーをするときは毎回ですけど、Ms.OOJAの声で歌って、新しい魅力を出せる楽曲かどうか、です。そこにプラスして、演歌特有の歌唱法…“こぶし”とか“うなり”とか、そういったものを私は今まで使ってこなかったですし、そういう技法で歌唱することはできないので、それがなくても成り立つ曲を選びました」
──演歌には、“ため”みたいなものもありますし。
「そうなんです。演歌って、余白がたくさんあるんですよ。だから人によって、拍の中での音の取り方が全然違って、何が正解かがわからないです。でもとにかく、演歌歌手の皆さんはグルーヴがすごくて…“演歌はグルーヴなんだ”と思いました」
──グルーヴ…なるほどです。
「皆さん、本当のプロフェッショナルなんです。作詞家、作曲家、編曲家がいて、歌手がいるのが演歌。吉(幾三)さんみたいにシンガー・ソングライターの方もいらっしゃいますけど、そうではない場合が大半です。だから、誰しもが知っている歌手の皆さんは、ピカイチのプロなんです。プロ中のプロ。拍の取り方とか、間の置き方とか、表現がすごく研ぎ澄まされていて。そこで私の中で思い浮かんだた言葉が“洗練”…演歌は洗練の音楽だと思いました。すべてが研ぎ澄まされている音楽で、だからこそ、誰もが楽しく歌えるのが演歌なんだと。おじいちゃん、おばあちゃんも、カラオケ喫茶に行って気持ちよく歌えるじゃないですか。それって、簡単なことではないんですよね。すべてが洗練されていないと、演歌アルバムは成り立たないと思いました」
──演歌へのリスペクトですね。
「はい。それはものすごくありました。“安易に手を出してはいけないぞ”と。でも、だからこそ今やっとトライできるというのはありました。15年の間にさまざまな曲を歌ってきたからこそ、今ならトライしていいかな?って」
──しかも、“流し”の3部作を経ての今ですから。
「そうなんです。経験とストーリーがあるというか…」
──実際に歌うにあたっては、どんなことを意識したのでしょうか?
「今の私の歌唱法的には、“絶対にMs.OOJAの曲として歌える”という自信はありました。でも、さっきの“洗練”に通じるんですけど、気が抜けないんです。1ミリも気が抜けない緊張感はありました。ある意味、人間くささを消すみたいな感覚です。“人間くささを消していく中で、やっと成り立つ”みたいな…なんて言えばいいんだろう?」
──演歌ではよく、“情念”という言葉も聞きます。
「“情念”というのも、本当に卓越した技法だと私は思っています。そうじゃないと、ただただくさいというか…すごく計算されて“情念”を演じているんだと私は思います。とんでもない技術に裏打ちされた、ショーケースというか。自分らしさとか人間らしさとか、隙みたいなものを見せないように、歌わないといけないジャンルなんですよね。それを見せると、ダサくなってしまいます」
──僕のような一般的なリスナーには、例えば「冬のリヴィエラ」なら、森進一さんのあの<♪ふ〜ゆの〜♪>が刷り込まれていますから。
「(笑)」
──全楽曲、オリジナルの個性が強いので、OOJAさんヴァージョンが、どの曲も新鮮でした。図らずも“Ms,OOJAの色が出る”ということになっているのかもしれませんね。
「それはあると思います。さっき言ったように、人間味を消して隙を見せずに歌うんですけど、だからこそというか、どうしたってMs.OOJAとしてにじみ出る個性とか、特徴みたいなものがあると思うんです。余計な情報を一切なくすことによって、逆に自分らしさが出たと思います」
──OOJAさんとしては、“それでも演歌を歌っている”という感覚なのでしょうか?
「そこは、ジャンルレスという感覚が一番近いです。Ms.OOJAとしての新しいジャンルというか…とにかく、日本ならではのいい曲を歌っているという」
──歌詞の世界観は意識しましたか?
「ある種、“演じる”というのは技法として意識するんですけど、人間っぽさは消すので、役者みたいな感じです。例えば歌舞伎とか能とか、日本舞踊にしても、突きつめていけばいくほど精密機械みたいになると思っていて。先日、日本舞踊の大会を観させてもらったんですけど、上手い人はすべてがなめらかで、まるで人間ではないみたいなんです。歌舞伎とかもそう。そういう印象を私は持っていて、歌もそれに近いと思っています。そこに美しさがあって…バレエとかもそうですよね。上手な人って人間ではないみたいじゃないですか」
──確かに!
「『流しのOOJA』は、人間くさくてよかったんです。“流し”ですから、逆に人間くさいほうがいいくらいで。そういう意味では、演歌は伝統芸能に近いと思いました」
──収録曲の中で思い入れが特に強い曲などは、ありますか?
「難しかった曲で言うと、ちあきなおみさんの「冬隣」です。解釈がまず難しくて、それこそ1ミリの隙も許されない曲です。最愛の人が先に逝ってしまって、ひとりで飲みながら<地球の夜更けは淋しいよ>と嘆く曲で、歌唱も難しい曲ですし…」
──簡単な曲はないですよね?
「ないですね。「愛燦々」にしても、やっぱり美空さんのあの歌唱で、あの存在感で歌われるからこその魅力というものが、ふんだんにあるので。包容力みたいなものも、そうですし。“Ms,OOJAがただ演歌を歌っている”というだけでは、本当になんの意味もなくて、Ms.OOJAが歌う曲として落とし込まないと、カヴァー・アルバムの意味がないです。そこをどうやるか?を、自分なりに探求してトライしました」
──アルバムを通して聴いてみた、OOJAの実感を聞かせてください。
「どれも本当に個性豊かな方々が歌われていて、楽曲としての個性も際立っているんですけど、私が歌ってアレンジしたことによって、何ならイージーリスニングにもできるくらいの、BGMとして生活にも馴染むような、そういう音楽になったと思っています。なおかつ、誰にでも歌ってもらえます。このアルバムに興味を持っていただけたなら、原曲を聴き直すということを、是非やっていただきたいです。そういう新しい発見という意味では、演歌というものをあまり聴かない世代や、海外の方への架け橋になるような作品になればとも思っています。“こんなにカッコいい音楽があるんだ”ということを、知っていただきたいです」
──こうなると、Ms.ENKAライヴが楽しみになります。
「6月7日の明治座公演が、まさにそれです。おかげさまで、チケットはソールド・アウトになりました。明治座自体が、とても伝統的な会場で、演歌にも合うと思うので、私自身も楽しみです」
──そして10月には、大阪城ホールで15周年記念ライヴ『Ms.OOOOOJA! 〜あたらしい景色をみにいこう〜』ですね。
「はい。10周年は日本武道館でやらせていただいて、それまで見たことがなかったような最高の景色を見させていただいたので、今度は逆に、皆さんに最高の景色を見せてあげたいと思っています。“私がみんなを引っ張っていくんだ”という、強い気持ちで挑みます」
(おわり)
取材・文/鈴木宏和
写真/中村功
RELEASE INFORMATION

Ms.OOJA『Ms.ENKA〜OOJAの演歌〜』UNIVERSAL MUSIC STORE 限定盤(2CD+Blu-ray+GOODS)
LIVE INFORMATION

Ms.ENKA 〜OOJAの演歌〜をあなたの街に歌いに行きますツアー!
4月25日(土) 大阪 あべのキューズモール3F スカイコート
4月26日(日) 兵庫 阪急西宮ガーデンズ
5月2日(土) 大阪 もりのみやキューズモール
5月6日(祝・水) 埼玉 イオンレイクタウンkaze
5月9日(土) 埼玉 ららぽーと新三郷 スカイガーデンステージ 緑の広場
5月16日(土) 愛知 イオンモール常滑 ワンダーステージ
***詳細後日発表・開催予定地***
5月17日(日) 静岡
5月30日(土) 三重
6月13日(土) 青森
6月14日(日) 宮城
6月20日(土) 北海道
6月21日(日) 北海道
6月27日(土) 石川
6月28日(日) 新潟
7月4日(土) 広島
7月11日(土) 福岡
7月18日(土) 大阪
and more. . .

Ms.OOJA 15th Anniversary Live「Ms.OOOOOJA! 〜あたらしい景色をみにいこう〜」










