――MAINAさんはアイドルグループ「大阪☆春夏秋冬」のワントップボーカルとして活動しながら、2021年10月にソロ活動を開始しました。ソロとしてやっていきたいという気持ちはいつごろから持っていたのですか?

「小学生の時からマイケル・ジャクソンさんやジャネット・ジャクソンさん、安室奈美恵さんのようなソロアーティストとして活躍したいという気持ちは持っていて、いろんなオーディションを受けては落ちる。そんなことを繰り返していました。そのなかで両親がダンススタジオを経営していて、スクール内でアイドルグループを作ることになって、娘である私も参加することになりました。その流れでアイドル活動が始まった形です。それと並行してオーディションも受け続けていました」

――ソロになりたいという思いが具体的な形になったきっかけは何でしょうか。

「実はコロナ禍なんです。大阪☆春夏秋冬もライブができなくなり、“どうしたらいいんだろう?”という時期に、ベリーグッドマンのバックDJMANA-Bさんに出会って、DTMを教えてもらいました。こうやれば自分のやりたい曲が作れるんだということが分かって。それがネオソウルやファンクなど、小さいころから踊ってきた曲だということに気づいたんです」

――1stアルバム『GAMBIT』は、音楽プロデューサーの加茂啓太郎さん(※)がプロデュースを担当されています。加茂さんと出会ったきっかけを教えてください。

「加茂さんは大阪☆春夏秋冬のライブをよく見に来てくださっていて、後ろのほうで腕を組んでいるイメージでした。SANABAGUN.の大林亮三さんがRYOZO BANDで曲を出すことになって、このプロジェクトに関わってらっしゃった加茂さんが“アイドルがデュエットしたら面白いんじゃないか”ってアイデアから、加茂さんがプロデュースしていたフィロソフィーのダンスの日向ハルちゃんと一緒に「Night Lights feat. 日向ハル & MAINA」という曲ができたんです。そこから加茂さんとの距離がすごく近くなりました」

※加茂啓太郎:ウルフルズやナンバーガール、Base Ball Bear、フジファブリック、氣志團など多数の人気アーティストを発掘した名プロデューサー。アイドルグループ フィロソフィーのダンスではオーディションから楽曲プロデュースまでのすべてを手掛けている。

――2021年10月にはソロ1stシングルの「鬼でもない」をリリースしました。そのきっかけは?

「ある日、新宿で路上ライブを見ていた時に加茂さんに出会って、“マイナちゃんってこのような音楽が好きなんだね”と知ってもらえたので、“曲、送っていいですか?”って自分の曲を聴いてもらったんです。そこで“いいじゃないですか”って言ってくださって、それをきっかけに「鬼でもない」を自分の誕生日にリリースすることができました」

――加茂さんとの出会いが大きかったんですね。

「デュエット曲のレコーディング時に、加茂さんと亮三さんが話している内容がすごく面白そうで、“私もその話についていきたいけどついていけない”というストレスを感じたんです。そこで加茂さんに“もっともっと音楽を知りたい、繊細なコアな部分まで知りたい”という長文のLINEを送りました。そこから加茂さんがいろんな曲を教えてくださるようになり、そのなかに小さいころから聴いていた音楽があって“この曲知ってます!”、“この曲で踊ってました!”と伝えたら加茂さんも驚いていて、そこから曲を一緒に作り始めた感じです」

――MAINAMIND(マイナマインド)というソロ名義の由来についても教えてください。

「マイナ、“今日はこれにしよう、明日はこれにしよう”という気ままで自由な気持ち=マインド。そこから“マイナのマインド”になって、#MAINAMINDというツイッターのハッシュタグとして使っていたんです。ソロになるときMANA-Bさんから“名前をどうするのか?”と訊かれて“MAINAでいいんじゃないですか?”って言ったら、“いや、MAINAMINDで行こう”と。最初は“そこで使っちゃう?”って笑いながら否定してたんですけど、一晩考えて“MAINAMINDにします!”って決めました。ロゴも自分で考えたんです」

――1stアルバム『GAMBIT』は実に8カ月もの制作期間をかけています。

「それまでリリースした曲を集めた集大成のアルバムで、一曲一曲に心を込めて制作しました。どの曲を聴いてもらっても、隙間なく愛情が感じられると思います。「鬼でもない」はまだ大阪☆春夏秋冬で活動していたころの楽曲ですし、アイドルを辞めてソロになる境目の思いもこもっています。だから大阪☆春夏秋冬を応援してくださっていた方も、最近私のことを知ってくださった方にも、“MAINAMINDってこんな子なんだ”って分かっていただけるアルバムになっていると思います」

――カバー曲の「ナイトクルージング」以外はすべての曲をMAINAMINDさん自身で作詞作曲しています。

「曲のストックはめっちゃあって、今も増え続けているんですけど、保存の仕方が悪いのかデータがどこにあるのか分からなくなってるんですよ(笑)。トラックがあればいくらでもメロディーと歌詞を付けられるので、その中からどれがいいか?という選別を加茂さんにお願いしています」

――目標にしているアーティストはいますか?

「ジャネット・ジャクソンさんが大好きです。あと、エリカ・バドゥさん(ネオ・ソウルの女王と呼ばれる1971年生まれのシンガー)も憧れで、“こうやって女性らしさを歌ったらええんや!”っていうのを勉強しています。でもセクシーさや素敵なボディラインにはかなわないので、自分としては日本人らしい愛嬌で勝負していきたいですね。気さくで近寄りやすくて愛嬌のある、そんな女性でいたいと思っています」

――そういった部分が、今回のアルバムでは「FUNKY BIG SLOPE」に表れていると思います。大阪の女の子は可愛くておもろいで!といった内容で、やはり「おもろい」という価値観は重要なんだなと。

「加茂さんが“ソウルの文化と大阪の文化は似通っている”と主張されていて、“もしかしたらそうなのかな?”って思いましたね。地元は大好きですし、大阪で制作を続けることに意味を感じています。地元に自分専用のスタジオも作って、インスタライブもそこでやってるんです。大阪を出たくないわけではないけど、東京に行くならむしろ海外に出たい。いつかは本場のアメリカで勝負してみたいですね」

――「Interlude」ではお父さんのことを歌っています。お父さんがギタリストでお母さんがダンサーということは、MAINAさんのルーツとなっているのでは?

「弟(tomokun)もトラックメーカーですし、家族のことは大好きで、自分が生きてきたカルチャーとして、家族で作りあげたアルバムでもあります。だからこのアルバムをたくさんの人に聴いていただけるのは、私が生きてきた意味でもあるんです。そのルーツにはもちろん大阪☆春夏秋冬も入っていて、グループからスタートしてソロになったという点では、大好きなマイケル・ジャクソンさんやビヨンセさんに似ているなと、おこがましいですけどちょっと嬉しくもあります」

――『GAMBIT』というタイトルは加茂さんの発案だそうですが、ご自身の印象は?

「“GAMBIT”にはチェスの最初の一手みたいな意味があって、いわばオープニングの手段。ファーストアルバムで、ソロ活動のスタートという意味も感じられるので、“このタイトルはいいな”ってシンプルに思いました。でも加茂さんは“チェスの駒を入れればいいからTシャツが作りやすい”っておっしゃっていて、薄いんだか深いんかがわからへん!(笑)」

――全11曲のなかで、お気に入りの曲はありますか?

「「My Treasure」です。今回のアルバムでは大阪☆春夏秋冬の時と同じように、真ん中にバラードを持ってくるという組み方でセットリストを作りました。この曲が好きな理由は“大好きなあの人を驚かせたくて”という意味を込めているからなんです。もともと母の日にママを驚かせようと思って弟と一緒に作った曲で、心の底から出てきた本能みたいな言葉をそのまま歌詞にしています。だからこのアルバムでは自分の人生を見られている感じもします」

――4月19日にはついにアルバム楽曲の配信もスタートしました。

CDと配信ではマスタリングが全然違うので、聴き比べてもらえると面白いと思います。あと、実はCDでしか聴けない曲もあります。いろんなところにサプライズが隠されているので、ぜひ“CDの最後”まで聴いてほしいです」

――4月3日にはアルバムのリード曲「MIND STONE」のMVが公開されました。

「ファンの方からクラウドファンディングで出資いただいたお金で、私がやりたいことをやらさせていただきました。屋外のロケは霧や寒さとの戦いで、参加してくださったダンサーさんも体調を崩されたりして、それでも“撮れ高がない!”ってなって、追加で撮影してきました。撮影期間にはたくさん笑ったし、たくさん泣いたし、人のぬくもりが感じられる作品になっていると思います。出来あがるまでの過程がクラウドファンディングそのもので、ファンの方にこんなにも素晴らしい経験をさせていただいたことに感謝しています」

――ロケでは馬に乗っているシーンが印象的です。

「馬に乗ったのは初めてなんですけど、1分くらいで乗れるようになって、一人で山頂まで乗っていったんです。普通ならあり得ないことらしいんですけど、手綱を引くおっちゃんも途中でいなくなっちゃって。“動いて!”って言ったら動いてくれるし、“止まって”って言ったら止まってくれるし、馬と心が通じましたね(笑)」

――10月にはソロ2周年を迎えます。10月27日にはバースデーライブが渋谷のduo MUSIC EXCHANGEで開催されます。

「昨年のバースデーライブで発表されたんですが、私もまったく知らなくてビックリしました!duoの方が直々に“MAINAちゃん、次はDUOでやろう”とサプライズしてくださったんです。最高の誕生日プレゼントでした。ライブのタイトルは“Dancing in the Street”で、ファンの方と一緒にダンスできる曲を用意して、ファンの方に楽しんでいただけるライブをやりたいと思っています。duoに向けて曲の制作ももう始めています。ライブでやりたい曲をイメージして制作するのが楽しくて、毎日ワクワクしています」

――最後にファンに向けてのメッセージをお願いします。

「これからもファンの方と一緒に作品を作り上げていくことを大切にしていくので、これから私のことを知ってくださる方を含めて、ファンの方への愛をもっともっと注いでいけたらいいな、それが曲になったらいいなと思っています。MINAMINDのライブに来てイヤなことを忘れてもらえれば。それが音楽の楽しさだと思います。ぜひ遊びに来てください!」

(おわり)

取材・文/鹿毛正之

RELEASE INFORMATION

MAINAMIND『GAMBIT』

2023年217日会場限定CD発売
MAINA-1/3,300円(税込)
通信販売はコチラ >>>
2023年419日配信

STREAM/DOWNLOAD

LIVE INFORMATION

ワンマンライブ『DANCE&RESPONSE』

2023615()  開演:19:00 (開場 18:30)
場所:東京Spotify O-nest
2023628() 開演:19:00 (開場 18:30)
場所:大阪ROCKTOWN

ワンマンライブ『DANCE&RESPONSE』

MAINAMIND ONE-MAN BIRTHDAY LIVE 「Dancing in the Street」

2023年1027日(金)
開演:19:00 (開場 18:30)
duo MUSIC EXCHANGE (東京都)

MAINAMIND ONE-MAN BIRTHDAY LIVE 「Dancing in the Street」

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