──6枚目のシングル『りあるくらっしゅ』がデジタルリリースされました。

「前作の『Dll』が人形の気持ちを作詞していただいて歌った曲だったので、自分で作詞する「りあるくらっしゅ」は逆にすごく人間味が溢れる曲を書きたいと、最初に思いました。そう考えたときに、“一番人間味を出しやすいのは恋の歌だな”と考えたのが、構想の最初の段階です。そのあと、山手線の車内で流れている動画を見たんです」

──TRAIN TVですね。

「無音でも楽しめるから、見るのが好きなんです。それを見ていたら、推し活で使える英単語を紹介していて、“推しに対するガチ恋”を意味するのが“Real Crush”だと知って。響きも可愛いし、“いつか歌詞に使えるかも…”と思って、電車の中でメモしたんです。そこから曲を決めて歌詞を書くときに、この曲のテーマは“Real Crush”かな?って」

──「りあるくらっしゅ」は、世代によっては懐かしさも感じるようなテクノポップ系のサウンドですね。

「あまり何系とかは詳しくないですけど…候補曲を集めてくださる方には“次のシングルはピコピコとジャカジャカが欲しいです!”と伝えました」

──擬音で楽曲のテイストをリクエストするんですね(笑)。

「はい(笑)。そこからいくつかの候補曲を聴いて、この曲に決めました。“恋愛の歌”というテーマは最初に決めていましたけど、ここまでぶっ飛んだ歌詞になったのは、曲の力が大きかった気がします」

──曲とテーマが決まってから、どのように作詞を進めていったのでしょうか?

「私は日常的にタイトルにもなりそうな強い言葉をメモしていて…「りあるくらっしゅ」ではそのストックの中でも特に強い言葉をかなり使ったと思います。最初に<覚えたての名前(じゅもん)>というフレーズをメロディに当てはめたんですけど、これもストックの中にあった言葉です。そこからパズルみたいに作っていきました。“このフレーズはここに置きたい、そのためにはここにこういうフレーズがないと”って、かなり頭を使ったと思います。<ブルーライトで帳消し>もストックから持ってきたフレーズですが、このフレーズがあることで“主人公はスマホの画面越しに恋をしている人だな”って、物語の設定が決まっていったりもしました」

──そうして完成した歌詞では、どんな世界が描けたと感じていますか?

「リアルと夢が混じり合っている世界を描きたいと思っていたので、そのイメージをしっかり形にできたと思います。とても大変でしたけど、楽しかったです。私のファンの方にも、そうじゃない方にも共感してもらえる、“面白いな”と思ってもらえる歌詞になったと思っています」

──今は“推し活”という言葉が広く浸透していますし、推しの対象も多種多様ですが、推しがいる人の共通項には何があると思いますか?

「「りあるくらっしゅ」の歌詞にもありますけど、それこそ<運命だあ>って、推しと出会った瞬間にみんな、そう思うんじゃないかなと思います」

──アイドルとしてデビューして今年の11月で丸15年。推される側としてはファンの想いをどう受け止めているものですか?

「ファンの方と出会えたことは運命だと思っています。でも、私のファンの方はどう思っているか…(笑)」

──謙遜していますが(笑)。ちなみに、ガチ恋ファンも多いですか?

「私は特殊というか…小学生の頃からアイドルをやっているので、“成長を応援したい”と思ってファンになってくれた方が多いと思います。それに、もし私にガチ恋しているファンの方がいたとしても、そういう人は言わないんですよ。わざわざ自己申告はしないです(笑)」

──申告しなくても、ガチ恋することはオッケーだけど?

「応援される側としては、嬉しいですし、全然オッケーです(笑)。“ガチ恋勢にも開かれているアイドル”ってオープンにすることで、こっそりガチ恋しているファンの人も安心できると思います!」

──推しに出会った瞬間も運命を感じると思いますが、人生ではそれ以外の場面で運命を感じることもあります。最近、何か運命を感じた出来事はありますか?

「「りあるくらっしゅ」の歌詞に<キミをみつけた3時半>というフレーズがあるんですけど、これも前々からストックの中にあったワードです。ある日、インタビューか何かを読んでいて、すごく面白い言葉を使う人を見つけたときに浮かびました。その人を見つけたのが深夜3時半だったので、<キミをみつけた3時半>って。実は、“「りあるくらっしゅ」をどうしてもこの日に書き上げたい”と思っていた日に別のお仕事があって…その合間の空き時間にマネージャーさんと一緒にファミレスに行っていたんです。そしたら、マネージャーさんがドリンクバーに行こうと立ち上がった瞬間、隣のテーブルで私の真正面に座っていた方と目が合って。“見たことあるな”と思ったら、まさかの深夜3時半に私が見つけたその方だったんです! ゆっきゅんさんというアーティストの方なんですけど、“これは運命だ”と思いました! さすがにそのときはお声がけしなかったですけど、いつかお会いしてみたいです」

──江籠さんがファミレスに行く。同じタイミングでゆっきゅんさんがファミレスにいる。しかも、隣のテーブルの目が合う位置に座っている。さらには、本来ならゆっきゅんさんへの視界を遮っていたマネージャーさんがドリンクバーに行く。複数の要素が一致しないと実現しない出来事ですし、計算したらすごい確率になりそうな、まさに運命ですね。

「そんな運命を感じる出来事もあって、どうしても書き上げたいと思っていたその日に歌詞を完成させることができました」

──そういう運命的な出来事があるから、人生は面白いですよね。

「運命とかタイミングとか、いろんな奇跡がどこに転がってるかわからないから面白いですよね。私が山手線に乗っていなかったら…乗っていたとしてもスマホを見ていたら、「りあるくらっしゅ」は出来なかったわけですし。ゆっきゅんさんに辿り着いたのは、どうしてだったんだろう?…吉澤嘉代子さんからかな? 私、吉澤嘉代子さんが大好きなので、インタビューとかもチェックしているんです。たしか、ゆっきゅんさんと一緒に何かコメントしていたのかも。嘉代子さんも、言葉選びが素敵な方じゃないですか。嘉代子さんの曲は毎日聴いていますし、好きな歌詞をまとめてもいます。“これって何を表している言葉なんだろう?”、“どういう気持ちで書いたんだろう?”と思うから、インタビューも読んでいます。ライブも観に行っているんですけど、お会いしたことはなくて…でも、いつかお会いして“好きです。尊敬しています”と言いたいです」

──encoreでも、吉澤さんのニューアルバム『幽霊家族』についてのインタビューが公開されています。

「えー! 気になる!」

──そんな江籠さんですが、『りあるくらっしゅ』のリリースライブ『ゆうなちゃんに!りあるくらっしゅ♡』が4月24日(金)に東京・赤羽ReNY alphaで開催されます。

「今回の衣装がそうなんですけど、『りあるくらっしゅ』を作っているときからピンクや紫のイメージがあったので、会場をそういうイメージの空間にしたいと思っています。初めての会場ですが、スクリーンを使ったり、今までになかった演出もしたいです」

──11月には、アイドル活動15周年を迎えます。

「いろいろ考えていますし、ゆっくり準備しつつ、いい15周年を迎えたいです。10周年のときは、コロナ禍だったんですよ…ファンの方は声が出せなかったですし、私自身も思い通りのライブができませんでした。そのぶん今年の15周年は、お互いめいっぱい楽しめるイベントやライブをしたいと思っています」

──気持ちの面ではどうですか?

「人間として成長した度合いを考えると、“15年ってすごいよな”って思います。小学生が大人になっているわけなので(笑)。アイドルが好きで無我夢中でアイドルを始めて、15年目の今もアイドルが好きでアイドルをやっている。誇ってもいいことだと思いますし、15周年ではファンの方への感謝を改めて伝えつつ、さすがに今年の11月くらいは自分に“よくやったな!”と言ってあげたいです」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/野﨑 慧嗣

RELEASE INFORMATION

江籠裕奈『りあるくらっしゅ』

2026年330日(月)配信

江籠裕奈『りあるくらっしゅ』

LIVE INFORMATION

6th Single リリースライブ「ゆうなちゃんに!りあるくらっしゅ♡」

2026年424日(金) 赤羽 ReNY alpha

6th Single リリースライブ「ゆうなちゃんに!りあるくらっしゅ♡」

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