──3枚目のシングル『Only Lonely』が完成しましたが、表題曲「Only Lonely」は、伝説のバンド=アンジーのベーシスト、中谷のブースカとしてコアなロックファンに知られる、中谷信行さんの作曲です。

「そうなんですね!? 全然わかってなかったです(笑)」

──アンジーには「天井裏から愛を込めて」(1988年リリース)という名曲があるんですが、江籠ちゃんが生まれるだいぶ前の曲でもありますし、知らなくても当然です! と、そんなトピックスもある「Only Lonely」ですが…。

「これまであまり歌ってこなかったタイプの曲で、このタイミングで出会わなかったら歌えなかった曲だと思います。だから、運命を感じながら歌いました。でも、レコーディングのときにスタッフさんから“2000年代を想わせる懐かしさがあるサウンドで~”と言われたんですけで、正直あまりわからなくて…」

──2000年生まれですからね(笑)。

「そうなんですよ(笑)。でも、わからないからこそ新鮮だったところがあります。あと、去年は1年間を通して自分で歌詞を書いてきたんですけど、今回は歌詞を提供していただきました。久しぶりなのでそれも新鮮で。自分で作詞をすると、“こういう意図があって歌詞にしている“とちゃんと把握できるんですけど、そうじゃないのは久しぶりだったので、少し戸惑いもありました」

──久しぶりの提供詞(Lyrics:中村"tono"僚、PA-NON)は、どう解釈していったんですか?

「3月に25歳になったんですけど、“25歳”って響きがすごく好きで、気に入ってるんです。ただ、私は早生まれだから、同じ学年の子はもう26歳になっている子もいて。“26歳”って聞くと、“え? すごい大人じゃん!”って思うんです。でも私はまだ25歳で、“25歳になった! イエーイ!”みたいな感じなのに。なんだか、そういう“どっちなのかな?”って少し揺れ動いてる感じが、「Only Lonely」の歌詞にもあって。“もう子どもじゃないから”って強がったふりをしているけど、“本当の自分に気づいてほしい”みたいな…。“なんか、今の自分みたい”って思いました」

──共感したんですね。

「そうです。私、いつも提供していただいた歌詞には共感したいんです。「Only Lonely」は、最初から最後までずっと“本当はこうしたいけど、でもこう思われたいし、どうしたらいいんだろう?”って内容の歌詞なんだって、解釈しました」

──カップリング曲「ギルティ・プリティ」も、「Only Lonely」と同じく中村“tono”僚さんとPA-NONさんの共作詞です。

「「ギルティ・プリティ」も“私のことをわかってほしい”って内容の曲なんですけど、「Only Lonely」に比べると可愛い要素が多めの曲になっています。キャッチーでサビも歌いやすいですし、覚えやすいので、1回聴いただけでスッと入ってくると思います」

──どちらの曲も、大人になることへの戸惑いやもどかしさが表現されていると思います。

「今までのように“とにかく可愛い!”に特化した曲ばかり歌っていたら、自分が大人と言われる年齢だということに、本当の意味で気づけていなかったかもしれません。でも、この2曲はちょっと気づかせてくれる曲になったというか…“もう25歳だった!”みたいな(笑)」

──久しぶりに歌詞を提供してもらって、歌に集中した2曲になりました。

「そうですね。新鮮でしたし、すごく良かったです。その反面、提供していただいた歌詞を歌うことで、“やっぱり私は作詞が好きだな”、“もっと作詞したいな”と改めて気づけた部分もあります」

──“歌を歌う”ということに関しては、何か発見はありましたか?

「今回、これまでディレクションしていただいていた方とは別の方にディレクションしていただいたんですけど、自分の中ではクールに歌おうと思っていたフレーズで“もっと可愛く!”というディレクションをいただいたりして、自分にはない視点で歌うことができたんです。それによって、“私ってこういう歌い方もできるんだ”という発見がありました。自分のイメージと求められているディレクションをすり合わせていくのも面白かったです」

──今回のシングルを完成させて、今はどんな心境ですか?

SKE48ではずっと歌詞を提供していただいて歌っていましたけど、それって、私一人に提供してくださっているわけではなくて、あくまでSKE48に対しての歌詞の提供じゃないですか。でも、今回は私だけのために書いてくださった歌詞なので、それが、すごく嬉しかったです。今後、また歌詞を提供したいただくとすれば、いつかすごくぶっ飛んだ歌詞の歌を歌ってみたいです。もう、全然意味がないぐらいの歌詞の曲を。そういう自分では絶対に書けない歌詞の歌を歌って、“歌ってこんなに自由なんだ!”って感じたいです。でも、自分で歌詞を書くのも好きだから、どちらも歌っていけたらいいなって思っています」

──“どちらもいい”と思えているということは、どちらも武器にできるということにつながると思うので、表現の可能性の広がりとしてとてもいいことだと思います。

「ファンの方の反応が楽しみですね」

──ライブでのパフォーマンスも楽しみです。

「2曲とも、かなりちゃんと踊るんですよ。なので、ライブの中でもアクセントになりそうな2曲だと思っています」

──リリース後には夏がやってきますが、今年の夏はどんな夏にしたいですか?

「ファンの方々に楽しんでもらう夏、一緒に楽しむ夏にしたいです。なので、いろいろ楽しみにしていてもらえたら! 個人的に、夏は得意じゃないんですけど(笑)」

──プライベートでは、どんな夏にしたいですか?

24歳の夏は、ジンベエザメを見に大阪の海遊館に行ったんです。今年の夏は、沖縄の美ら海水族館に行きたいです。水族館って自分の中で特別で、昔から好きなんです。毎年誕生日に名古屋港水族館に連れていってもらっていた思い出がありますし、SKE48時代は愛知以外出身のメンバーと名古屋港水族館に一緒に行ったりして、それがきっかけで仲良くなったりもしたので。これからも美ら海水族館に限らず、いろんな水族館に行きたいです。新江ノ島水族館も、まだ行ったことがないですし…」

──夏以降も含め、これからの活動について思い描いていることを教えてください。

「今の状況が想像していなかった未来ですし、これからもやりたいこと、楽しいことをしつつ、その着地点がどこになるのかは自分でもわからないです。アイドルが楽しいですし、文章や歌詞を書くのも楽しいです。“なんでもできる”という状況が私は好きなんです。SKE48時代も、可愛い表現もできるし、クールでかっこいい見せ方も任せてもらえるしって、そういう自分でいるのが好きでした。そうやっていろんな面を求められることに応えるのがやりがいでしたし、今後も変わらずいろんな面を求められて、その期待に応えられる自分でいたいです」

──ところで、古巣であるSKE48の活動は見ていたりしますか?

「見ていますよー。新チームになる前に、自分が所属していたチームの千秋楽公演を見に行ったりしましたし。OGとしては、現役メンバーのみんなが楽しんで、いい方向に進んでいってくれたら最高ですし、言うことがないです!」

──いつか共演する姿も見たいですけどね。

「私、すごく大きな夢ではあるんですけど、いつかSKE48に歌詞を書きたいんです。元メンバーとして、絶対にいい歌詞を書くので!」

──すごく夢のある話だと思います。SKE48への恩返しにもなるでしょうし。

「大きな大きな夢ですけどね。これ、ぜひ文字に残しておいてください!」

──その曲をSKE48バージョンと江籠裕奈バージョンでリリースするとか…。

「確かに! それ、いいかもしれない(笑)」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/野﨑 慧嗣

RELEASE INFORMATION

江籠裕奈『Only Lonely』

2025年6月18日(水)発売
ZEST-0032/1,500円(税込)

江籠裕奈『Only Lonely』

江籠裕奈 3rd 写真集(タイトル未定)

2025年8月20日(水)より全国順次発売(一部地域では発売日が異なる場合があります)
A4判 128 ページ  3,500 円(税込)
特典:ポストカード1枚封入(全 6 種)

撮影/カノウリョウマ Ⓒ光文社
※画像は第1弾先行カット

江籠裕奈 3rd 写真集(タイトル未定)

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