──まず、新メンバーの蔀さんと吉乃さんのお二人に、ARCANA PROJECTに加入して5ヶ月が経った、現在の心境を聞かせてもらえますか?

蔀 祐佳「正直に言うと、もう何年も一緒にいたような気持ちがあって。自分の中で馴染みすぎていて驚いています。今までの人生で“こんなに居心地がいい”って感じたことがなかったので、そんなグループに出会えて本当に奇跡だと思いました」

吉乃 櫻「人生単位で充実させていただいて、生きることへのモチベーションがすごく高まりました。歌やダンスだけじゃく、見た目もふくめて、そうですし。食生活から何から、ARCANA PROJECTがあるから、モチベーションがすごく高まっています。あと、この5ヶ月の間に上海、シドニー、香港と海外に3カ所も行かせていただいて。必然的にメンバーと一緒にいる時間が長くなったことで、人見知りの私が馴染むきっかけになって、すごくありがたかったです」

蔀 祐佳
吉乃 櫻

──5ヶ月前とはメンバーと一緒にいる時の表情が全然違いますよね。ずっと笑顔で、雰囲気も柔らかく穏やかになっています。

桜野 羽咲「嬉しいよね」

天野 ひかる「うん、しどみん(蔀)が言ってたみたいに、私たちもずっと一緒にいたような感じがするくらい馴染んでいます。2人が優しくて、いい子たちだからこそ、すぐに6人でいることに馴染めましたし、海外遠征もちょうど良いタイミングだったと思います」

相田 詩音「ARCANA PROJECTはかなり独特の空気感なんですよ。おっとりでマイペースなわちゃわちゃけ系なんですけど(笑)、2人ともそこに見事にフィットしてくれて。しかも、今までの4人になかったものをもっているので、新しい話題を提供してくれています。特に美意識を高めてくれるので、今までなあなあになっていた部分でハッとさせられることも多いです」

花宮 ハナ「私は練習が終わった後にご飯に行きたいタイプの人が2人増えたことがとても嬉しいです。3人とも空き時間に行くことはあったんですけど、練習が終わったあとはすぐに家に帰るタイプだから、1人で食べて帰ることが多かったんです。でも、新メンバーの2人は割と外で食べたい人なんです。先週も2回行ったよね」

吉乃「練習が終わって、流れるようにサムギョプサルのお店に着いていました」

花宮「そう、MV撮影の前日はこってりした蕎麦を食べに行ったりもして…“ご飯に行ってくれてありがとう!”って思っています」

桜野「4人のARCANA PROJECTも大好きで、“この仲間と出会えてよかったな”、“歌うのが楽しいな”って思っていた中で、2人が入ってきてくれて。4人が大好きだったからこそ、素敵な2人に出会えて、6人のアルカナも大好きなんです。しかも、2人は一生懸命にアルカナのことを考えてくれて、日々、練習してくれて。今回、6人で10th シングル『未発見アタシ座』を作り上げました。でも、2人は5年分の過去の曲も練習をしないといけなくて。2人が頑張ってくれてるからこそ、アルカナっていう形を保ちながら、新しいことができていると思って。毎日、すごく楽しそうに笑顔でやってくれてるから“良かったな”って、日々、感じています」

桜野 羽咲
天野 ひかる
相田 詩音
花宮 ハナ

──今、羽咲さんからもありましたが、この6人でいちから作り上げる初めてのシングルはどんな作品にしたいと考えてましたか?

桜野「5周年で10枚目のシングルで、初めてタイアップ作品ではなく、自分たちだけで作るシングルなんですけど、アルカナチームのスタッフさんが私たちのことをすごく考えてくださって。私たちの夢を叶えた瞬間も、乗り越えなきゃいけないタイミングがあったときも、一番近くで見てくださっているからこそ、“現在・過去・未来”を歌にして、“6人のアルカナで頑張っていこう”というメッセージを1曲ずつに落とし込んでくださいました」

──それぞれが“現在・過去・未来”をテーマにした新曲になっているんですね。“現在”をテーマにしている楽曲が「未発見アタシ座」ですか?

天野「そうです。新体制のARCANA PROJECT、“今を生きる私たち”をありのまま表現する“現在”の曲です。スタッフさんからそういう説明を受けた上で曲を聴いたんですけど、すごくノリのいい、明るい曲になっていて…」

──これまでのARCANA PROJECTにはなかったディスコファンクになっていますね。

天野「とても新鮮だったので、“この曲を6人で歌ったらどうなるんだろう?”ってワクワクしました」

蔀「アップテンポで楽しい曲ですけど、カッコいい感じもあって。今までたくさんの曲を歌ってきたんですけど、私もこういう曲を歌うのが意外と初めてでした」

吉乃「個人的には、アップテンポな曲を聴くのは大好きなんですけど、歌う時は“置いていかれちゃないかな?“って思いがちなんです。でも、この曲は、ディスコ調だけど少しムーディーな感じも入っているから、”声的にはしっとりしててもいいのかな?”って感じて…“挑戦したい!”って思ったのが第一印象でした」

花宮「ARCANA PROJECT10枚目のシングルですし、“荘厳な感じなのかなぁ”って予想していたので、かなり意外で驚きました。でも、“2人が加入してくれて、より明るくなったアルカナが表現できる曲だな“って思いました」

──歌詞はどう捉えましたか?

天野「今までのアルカナの壮大な歌詞とは違って、本当に等身大の感じがしました」

相田「<びみょー>や<いいじゃん>のように、普段、みんながよく使う言葉が歌詞にあって、個人的には<びみょーな運勢? だけど関係ないぜ>に共感しました。私も占いを見たときに、いいところはすんなり聞き入れて、悪いことを言われたら、なかったことにする。そういう考え方なので、“一緒だ!”と思いました」

桜野「歌詞には“ちょっとナウい言葉”が使わていますけど、<運命なんて この手で描けばいいじゃん>とか、これまでARCANA PROJECTが歌ってきていることも言っていて。私、この歌詞をいただく前に、ちょうどChat GPTと“運命という意味についてどう考えますか?”という話をしていて…」

花宮「すごっ! Chat GPTと何の話をしてるの?」

桜野「ふふふ。「ハシロウ」でも印象的に使われていた言葉だから、改めて、自分なりに“運命”という言葉について考えていて。やっぱり運命というのは、“決められた道だ”と受け取るだけじゃなくて、自分で考え続けることなのかな?って思ったんです。選んだ道を自分の力で正解にしていく。だから、<この手で描けばいいじゃん>というのは、まさに私がChat GPTと導き出した、“運命”という言葉の意味であり、答えだって感じました」

花宮「面白すぎるでしょう!」

──(笑)レコーディングはどうでしたか? 6人で声を合わせて重ねてみてどう感じましたか?

相田「レコーディングする前にプロデューサーさんから、“このキーの高さで大丈夫?”って連絡が届いて、“頑張れます!”ってお返事しました。結局、何も変更なくレコーディングしたんですけど、“頑張ります”って言った後に、“あれ? もしかしてすごく高いのかもしれない…”って気づいて。少しヒヤヒヤしながら、レコーディングに挑んだんですけど、“頑張れます”っていうレベルの絶妙な高さだったんです! だからこそ、この曲のちょっとはっちゃけた感じが出しやすかったのかな?と思いました。あの時、“頑張ります”って言った私に“ありがとう”と伝えたいです(笑)」

桜野「掴み取った運命だね」

天野「本当にノリが良い曲だったので楽しみながらレコーディングできました。メンバー一緒にではなく、それぞれでレコーディングしたんですけど、完成した曲を聴いたとき、特にしどみんは“新解釈だな!”って新鮮に感じました。自分の引き出しにはない感情の入れ方だと思って…」

蔀「ありがとうございます!」

天野「落ちサビが可愛いんですよ。しっとりなんですけど、そこにしどみんの可愛さが詰まってるから…好きです」

桜野「告白!」

蔀「私も好きですー(笑)。私もしおぴ(相田)と一緒でキーが高くて。出るか、出ないかってところだったんですけど、全部録り終わって、“終了です!”ってなった時に、どうしても自分の中で納得がいかなくて…。もっといけるんじゃないか?と思って、“もう少し時間ください”ってお願いしました。声が出るようになんとか頑張って、最後の最後のテイクで、“きた!”ってなって。すごく思い出深いですし、“自分の中の殻が破れた“という気持ちになりました」

吉乃「私はカッコいいサウンドだったので、“カッコよく頑張るぞ!”と思ってレコーディングしたんですけど、テイクを重ねるごとに、“もっとカッコよくお願いします”って言われちゃって。“あ、全然足りてなかったんだ…”って」

花宮「かわいいー!」

吉乃「(笑)なので、私も殻を破って、カッコよく歌えたと思います」

──ハナさんは得意なキーですもんね。

花宮「私はすごく楽しく歌えるキーでした。ただ、速いようで速くないので、曲的に少し難しくて…。練習では苦戦したんですけど、本番はとても楽しく歌えました。特に<振り返ったらそれは/うちらのStar Sign>がすごくうまく歌えたんですけど、練習でこのパートを歌うたびに、みんながくすくす笑うんです」

蔀「そこ大好きです! うますぎて面白いんですよ」

相田「カッコよすぎてね!」

花宮「あ、ありがとう。自分ではキメをキメとして表現できたのが成長だと思いました。全部を120%で歌いがちなんですけど、この曲はAメロBメロとの差を表現することができました。ちょっと落ち着いたところとキメのところ、どちらも使ってもらえたのが嬉しかったです」

桜野「私はかなり自分の血肉となっているジャンルなので、楽しくレコーディングさせてもらいました。今回はタイトルの部分<未発見アタシ座>を歌わせてもらったので、“滑舌良く、ちゃんと聴こえるように歌いたい“っていうのと、技術的な面では、16ビートを刻みながら、いかにファンクぽく、ゆったり歌うか?という、バラバラの表現を意識しながら歌っています」

花宮「難しそうですけど、すごく楽しく歌えるんですよ。それは、この曲が持つ歌の力だと思います。リリイベで披露した時にファンの人たちも楽しんでくださったので、これからもっとたくさんの人に聴いてもらえるのが楽しみです!」

──そして、2曲目の「リドル」が“過去”ってことですよね?

相田「「リドル」では、全体を通して、ずっと自分の中での葛藤があって…最後に<うるさいなセカイ>で終わっていて。“葛藤と確信の差がある曲だ”と思いました。聴くと、抑圧された雰囲気を感じるんですけど、その中でも高低差を出さないといけない曲なので、すごく表現が難しかったです」

天野「まず、作詞・作曲が渡辺翔さんってことに驚いて。特にハナちゃんは大喜びしていました」

花宮「私、アルカナに入ってからずっと、“渡辺翔さんに書いてほしい”って言っていて。だから、この曲を作ってくださったのが渡辺翔さんなのを聞いた時に泣きましたし、その夜は嬉しくて寝れなかったです」

──どうして渡辺翔さんに書いてもらいたかったんですか?

花宮「中学生の時に深夜アニメに出会って。そこで、三森すずこさんの「ユニバーページ」(201310月に放映されたTVアニメ『アウトブレイク・カンパニー』のOPテーマ)が大好きになったんです。当時、聴いていたユニットの曲で、いまだに友達とカラオケで歌うくらい好きな曲も渡辺翔さんだったことに気づいて。他にもたくさん好きな曲があって、“いつか翔さんの歌を歌いたい”と思っていたので、もう本当に最高でありがたいです!」

天野「知的な表現もあって、すごく難しい曲なんですよ。でも、最初と最後で答えが出ているのが素敵で。“これがアルカナの過去か。なるほど”って感じで聴いてくださった方、それぞれに解釈してもらいたいです」

──<過去と向き合い>ながら、<問>と<解>の自問自答を繰り返していますね。

桜野「私、今年の年初めに、過去についてすごく考えていて…」

花宮「すごいな(笑)」

桜野「過去の自分を“幸せだったな”って思うことって、今の自分を救うことでもあると思いました。過去を振り返ったときに“あれもできてなかった、”これもできてなかった“、”あの時すごくつらかった“と思うよりも、”ああいうこともあったけど、すごく素敵な日々だったな“、”あの日のあの選択があったからこそ今がある“って。過去の自分を1秒でも幸せだったと思えるのって、今を生きていくために必要なことだなって、今年の1月に考えていました」

──1月11日がお誕生日ですよね。どうしてそう思ったんですか?

桜野「10代の頃はすごく理想が高くて、自分の叶えたい夢と今の自分のギャップに苦しんでいたんです。それがこの歌詞にすごく出ているって思っていて。だから、“ちょっと若い悩みだな”というか(笑)。共感というよりは、懐かしい気持ちになりました。だから、大人になって、“こういうふうに思うのは分かるけど、やっぱり過去の自分は幸せだって思える皆さんになってくださいね“っていう気持ちになりました。悩んでいた自分はなかったことにはならないから、今、こういう悩みに寄り添える曲になったなら幸せです」

──“未来”をテーマにした3曲目の「旋廻のベンダバール」は草野華余子さんの提供曲です。草野さんにはこれまでに何曲も作ってもらっていますね。

天野「そうですね。ARCANA PROJECT のことをずっと見てくださってるからこそ書いていただけた曲だと思って。実は、「旋廻のベンダバール」というのは、3年前に華余子さんとした対バンライブのタイトルなんです」

──そうなんですか!? 3年越しの回収になるんですね!

天野「それも熱いんですけど、「快晴のエスタリスタ」、「慟哭のトルメンタ」の流れも汲んでいて。この2曲に近いポジションの楽曲でありつつ、ARCANA PROJECTの6人、11人のタロットカードの意味になぞらえたパート分けになっています。私はオーディションの時にすでにメジャーデビュー曲「カンパネラ響く空で」をリリースすることが決まっていましたし、<希望光る 夜明けに生まれた物語>で、担当タロットカードが“星”で、“天野ひかる”だっていうことがわかります。ほんとうに愛のある作詞をしていただいたと思いましたし、初めて聴いた時はもう本当に感動しました。“人生の走馬灯のような曲だな”って感じたんです。特に<風が呼んでいる>の後の歌がないパート…“ここ、走馬灯すぎる!”って泣きました。今までのARCANA PROJECTの思い出がフラッシュバックする壮大な曲だと思いました」

吉乃「メンバーから草野華余子さんのお話は聞いていたので、すごく楽しみにしていましたし、曲の意味も聞いて、すごく気合いを入れてレコーディングに挑みました。歌って、多くの人に刺さるような曲が多いですけど、この歌詞は、各々の担当タロットカードに沿った内容になっていて、本当にARCANA PROJECTにしか歌えない曲です。自分たちに一番刺さる歌詞になっているので“自分が歌わないといけない”って責任感も沸きましたし、これからも大切に歌いたいと思っています」

蔀「私、この曲が初めてのハモリだったのですごく楽しみだったんですけど、とにかく、歌詞を読みながらほろりと1人で涙を流すくらい、歌詞が素敵すぎて…。レコーディングの際も華余子さんから直接、“この歌詞はこういう意味で”っていうお話をお聞きしたんですけど、その中でも、<咲けばいつかは枯れる だからこそ" " をやり遂げなきゃね>という歌詞がぐっと刺さりました。素敵な未来を掴むには、今、現在を精一杯、自分なりに頑張らなきゃいけないって言っていただいているようで。それは、まさに私の軸になっている考えでもあったんです。この歌詞で、余計にそう思うようになったというか…。今、当たり前のように過ごしている日常はいつ終わりが来るかわからない。こんな素敵な環境で活動させてもらえていることも本当に奇跡で運命だから、この素敵な環境を無駄にしないように精いっぱい頑張って、“より良い未来を手にしていこう!“って気持ちが強まりました。頑張ります!」

──3曲揃って、10枚目のシングルとして、デビュー5周年を迎える2025年9月9日にリリースされます。今、“素敵な未来”とありましたが、アルカナの未来はどうなっていきますか?

桜野「「旋廻のベンダバール」に通じるんですけど、この曲のタイトルを決めるときに、華余子さんとお茶していたんです。そのときに“アルカナ、どうなっていきたいの? タロットカードで例えるなら何になりたいの?”って聞かれて。大アルカナは22枚で、最後が“世界”なんです。0から21で人生を表していて、“世界”で完成する。でも、それで終わりじゃなくて、また0に戻って、何回も巡り巡るのがタロットカードなんです。その話をしたら、“旋廻しているみたいだね”って言われて、このタイトルになりました。だから、私は、どのカードになりたいって言うわけではなくて、ARCANA PROJECT0から21の世界をずっと巡り巡っていく存在でありたいです。“ずっと風が吹き抜けているような、生き生きとしたグループでありたい“っていうのは、華余子さんとお茶しているときに感じたことです。いろんなことがある中で、目に見えるものは、奪われたり、なくなってしまったり、終わりを迎えてしまったりします。でも、この5年間で築き上げてきたもの…”目には見えない技術や絆は、絶対に誰にも奪われないものだと感じています”っていうこともお伝えしました。その気持ちを6年目も大切にいきたいです」

(おわり)

取材・文/永堀アツオ
写真/中村功

RELEASE INFORMATION

ARCANA PROJECT「未発見アタシ座」初回限定盤(CD+エムカード)

2025年9月9日(火)発売
LACM-34744/5,060円(税込)

ARCANA PROJECT「未発見アタシ座」

ARCANA PROJECT「未発見アタシ座」通常盤(CD)

2025年9月9日(火)発売
LACM-24744/1,540円(税込)

ARCANA PROJECT「未発見アタシ座」

LIVE INFORMATION

ARCANA PROJECT 5th ANNIVERSARY CONCERT「Chrono Crossing」

2025年927日(土) 17:00 開場 / 17:45 開演 東京 浅草花劇場

ARCANA PROJECT 5th ANNIVERSARY CONCERT

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