――最初に新曲「グッバイ・ララバイ」がTVアニメ「ブチギレ令嬢は報復を誓いました。 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~」のエンディングテーマに決まった時の心境から聞かせてください。
「またアニメのタイアップをいただけてとても嬉しいなと思いました。その後に、原作の小説じゃなくて、マンガ版を読ませていただいて。まあ、ブチギレてるんだろうなとは想像してたんですけど(笑)。もっとハーレム的なものなのかなと想像していたので、全然違う展開ですごく驚きました。女性だけど、強く賢く、気高く生きてる主人公がカッコ良くて、見ていてスカッとする部分があって魅力的だなと感じましたね」
――完全なる復讐劇ですよね。
「そうですね。でも、復讐だけではなく、自分の力で商売を始めていて。賢さも描かれてるのかなって思います」
――楽曲の方は受け取ってどう感じました?
「めちゃめちゃ驚きました」
――僕もびっくりしました。音源データの表記を二度見するくらい。
「そうですよね!インタビューしてくださった皆さんが、仮歌の資料音源だと思ってて。仮歌じゃなくて私が歌ってましたっていう(笑)」
――あははははは!エレクトロ・ロックというか、サイケデリック・ファンクというか、ハードなテクノサウンドでラップもあります。
「私も最初はどうしようって思ったんですよ。どう歌おうかな?みたいな。ラップがあるよっていうのはちょっと聞いてたんですけど、楽曲の中でもためてためてのラップだったので、すごくドキドキしました」
――歌詞の方はどう捉えましたか?
「歌詞は全体的に作品に合ってるなと思いましたね。自分で終止符を打つとか、もう迷いなくお別れできるとか。ラブソングにも捉えられますけど、自分からバイバイを言ってる感じがぴったりだなと思ったんですけど、かなり強気なので、ちょっと怖いなとも感じて」
――大西さんの中には強気な女性はいますか?
「なくはないけど、ここまではないですね。”はぁ……嫌になっちゃうな”ぐらいの感じはあるかな。こんなにかませるのはすごいなって思っちゃいますね」
――サウンド的にも歌詞の主人公的にもこれまでとは全く違うテイストの楽曲に対して、どう向き合いましたか。
「頑張ってカッコよくできたらいいなって思って。大人っぽい楽曲は一度歌ってみたいなっていう憧れがあったので。女性が憧れるようなカッコいい女性を目指して歌えたらなって思いました」
――今日は作曲と編曲を担当されているhabanaさんもインタビューに同席されているので、お聞きしますが、昨年10月にリリースされた、ロックがコンセプトの『Rock&Roll Lady Girl』と失恋がコンセプトの『失恋モノクローム』という2枚のミニアルバムを経て、次はどういう曲を歌ってほしいと考えていましたか。
habana「前作の『失恋モノクローム』を作ってるときに、大西さんから”例えば、喧嘩をするような感情を歌うのはどうですか?”っていうアイデアがあって」
「確かに。失恋がテーマの五曲だったんですけど、割と切ない楽曲が多かったので、 一曲ぐらいエッジの効いた曲があってもいいのかなと思って提案したんですね」
habana「もうちょっとハードな感情を歌った曲があっていいんじゃないかっていう話をしたんですよ。そのアルバムでは採用はなかったんですけど、その時に話したことがそのままこの曲に繋がっていて。たまたまタイアップでね、この作品に出会ったというのがあるんですけれども、コンセプトも含めて、ちょうど、やってみたい、歌ってみたい方向性があった」
――「グッバイ・ララバイ」はどんな感情と言えばいいですか。
「ブチギレですね。そのままですけど(笑)。ただ、大声をあげてキレてるのではなくて、冷徹なイメージですね」
――レコーディングにはどんなアプローチで臨んだんですか?
habana「大西さんのスタンスというと、レコーディングの日に、ほぼ最初のテイクで今の感じがもうできていて。大西さんが準備してきたものがほぼほぼこれでした。スタッフもそれを聞いて、予想よりもっとこの曲にフィットしてるっていうか……あ、これだったらもうかっこいいからこのままいきましょう!ということで、あんまりたくさん録らずに終えて。何かを言って、あんま変えたくないみたいな感じでしたね」
「私もなんでこうなったかって、具体的に言葉にするのは難しいんですけど、イメージした感じがこういう歌い方で声色だったんですよね。イメージ的にはハイヒールを履いた、カッコいい女性。踏み潰すぐらいな気持ちですね」
――何を踏み潰してます?
「人です(笑)」
――あはは!ラップも初挑戦ですよね。ガーリーラップは過去にもあったと思うんですけど。
「早口ソングはあったんですけど。ラップ初めてですね。だから、YouTubeで<ラップ><やり方>って打って検索して。」
――YouTube経由で教わったラップだった!?
「そうです。切り抜きみたいのがあって。ショートだったか、普通の動画だったかちょっと忘れちゃったんですけど、”ラップは止めと跳ねが重要です”って言ってたので、わかりました!と思って、歌ってみました。 それがこんな感じでした」
――カッコいい仕上がりになってます。
「本当ですか?ちょっと正解がわからないです。まだ世間にも公開してないので、ラップガチ勢の人が怒ったりしないかなって。こんなじゃねーよって」
――そんなことを言う人はいないと思いますけど(笑)。ディレクター的にはどうでしたか?
habana「こういう形のラップをやるのが、スタッフ側としても初めてだったので、大西さんに歌唱資料も渡したんですよ。でも、ラップは人によってやり方が全然違うので、現場で相談しながら作り込んでいくのかなと思っていったら、もうファーストテイクでこのラップが出てきた。めちゃくちゃカッコいいじゃん! もうこのまま行こうよって言って。特にスタジオで詰めるっていうこともなく、大西さんが準備してきたやつで変えたくないなって。もうそのままいただきましたね」
「ありがたかったです。みんな喜んでくれて」
habana「思い切りが良くて。何の躊躇もない。まあ、内面はあるのかもしれないですけど」
「そうですね。気持ち的にはこれで合ってるのかなと思いながらやってました」
habana「聞いてる分には最初からパーンと最初から出てきたから。いいじゃん、これでいこうよってってなってましたね」
――ハードなラップっていうのも意外でしたからね。アーティストデビュー5周年を経てのチャレンジってこともあるんですかね。
「私もハードだなって思います。タイミング的に5周年だったっていう感じですね。この作品に出会わなければ歌っていなかったと思う。ちょうどいいタイミングで出会えたことを大切に感じてるし、作品と向き合いながら歌わせていただきましたね」
――少し楽曲と離れますが、大西さんが今、グッバイしたいものはありますか?
「なんだろう。緊張の気持ち……とか?」
――ラブライブ!シリーズの後輩たちにはどしっと構えてるように見えてるって言われてましたよね。
「でも、くまちゃんには”緊張してる”って言われてましたから。いつも緊張してます」
――それはライブのステージですか?
「そうですね。ライブも収録も。一人で喋るラジオは緊張しないですけど」
――「あぐりずむ」は緊張してなさそうですよね。
「全然緊張しないんですけど、誰かと喋るときは緊張しますね。アフレコもまだ緊張しますし、ライブもめっちゃ緊張します」
――それはどう克服してるんですか?
「克服はできていないですね。克服していない」
――それはキャリアを重ねても?
「そうですね。そういう性格なんだと思います。どうしたらいいですかね? 解決策を知りたいです。あと、心が大丈夫だと思っても、めっちゃ体が緊張してる時もあって。あんまり一致しない時もあったりします。ライブもいつも緊張してるんですけど、歌ってるうちにだんだん落ち着いていける。ソロだといつも見てくれてるファンの皆さんと自分ライブだし、MCも好きにしていいよって感じなので割と落ち着いてるかもしれない。レコーディングはいまだに緊張するし、このラップを歌う前も緊張しました。もう性格だと割り切って、緊張したままやるって感じですね」
――完成した楽曲を聴いてどう感じました?
「誰かな?と思いました。いつもとは違うし、あぐぽん感はなくって、私の知らない大西さんでした(笑)」
――楽曲が乗ったアニメの映像はご覧になりました?
「観ました!めっちゃ怖かったです。でも、すべてに区切りをつけるような潔さや、どこか突き放すような冷酷さを感じる楽曲と映像がすごいマッチしてるので、そのままの世界観でずっと観続けられるのかなって思う。物語の最後に、この楽曲の持つ空気や余韻も一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです」
――オープニングテーマは大西さんが大好きな小倉 唯さんなんですよね。
「はい!とても嬉しいです。小倉さんが私の楽曲を聴いてくれたらしくて。"
でも、あぐぽんの曲じゃなくて仮歌だったみたい”って言ってました。”それ、たぶん私の曲だと思います”って言ったんですけど、”え?そうなの……”みたいな感じだったので、まだ信じてないかもしれないです」
――みんなを戸惑わせるくらいの新機軸ってことですよね。そしてカップリングには「わたしシュガースパイス」が収録されてます。この曲の成り立ちを教えてください。
「今年の3月3日で5周年だったんですけど、デビュー5周年のイベントの時にみんなの前でデモ楽曲を聴いて、みんなの前で自分で選曲したんですね。私はヘッドフォンをして聴いていたので、みんなは私が乗ってる様子しかわからないですけど」
――リアクションを見てるだけだったんだ !?
「はい。みんなは聞けなかったので、私がデモ曲を聞いてる顔だけを見て、みんなは無音の状態で待つっていうイベントでした(笑)。だから、この曲が答え合わせというか。みんなの前でリアルタイムで選んだ楽曲を、後でレコーディングして、このシングルでお披露目っていう感じだったので、みんなワクワクしながら待っててくれてるんじゃないかなと思います」
――この曲を選んだのは?
「4曲あったうちの4番目の曲だったんですけど、「グッバイ・ララバイ」があったので、可愛い曲がいいなって思っていて。最後、二択で迷ってたんですけど、わかりやすく可愛くて。イベントの時は1番しかなかったんですけど、昼公演と夜公演の間で少し覚えて口ずさめるくらいキャッチーでもあったので、まあ、これでしょう!と。みんなに可愛いって言ってもらいたいなと思って選びました」
――キュートなエレクトロポップになってますが、歌詞はどんなことを歌ってますかね。
「歌詞は、これにしますって決めてからフルで作っていただいたので、ほぼ全とっかえで書き直してもらって。今、流行っているアイドルソングは割とみんな、自己肯定感がずっと高いじゃないですか。この曲も<かわいいわたしがいいよね>と歌っているんですけど、いわゆる<かわいい>曲とはちょっと違うのかなって思ってて。私に寄せてもらったと思います」
――どの辺が寄ってますか?
「ちょっと卑屈なところがあったりとか。でも、みんなの前では自分らしくいられるよっていうのは私らしいかなって思います。この曲も全体的にはラブソングにも捉えられるんですけど、ファンの方は私っぽいなって感じたりもするのかなって思います」
――どうでした?この曲のレコーディングは。
「すごく楽しく歌わせていただいて。「グッバイ・ララバイ」よりは緊張せず歌えました」
――この曲で歌っている君っていうのはどんな存在ですかね。
「ラブソングと捉えると、好きな人だと思うんですけど、私目線だとファンの方ですね」
――「わたしシュガースパイス」というタイトルはどんな意味がありますか?
「ツンデレみたいな意味かなと思ってます」
――じゃあ、大西さんはツンデレなんですかね?
「えー!どうですかね……ツンデレかな?」
――大西さんの中でシュガー成分とスパイス成分どっちが多めなんですか?
「んー……半々かもですね。いつだったか忘れちゃったんですけど、スタッフさんの奥様がイベントにいらっしゃったことがあって。私のイベントを見た時に、”あの子はドSやな”って言ってたらしいから(笑)。スパイス寄りかもしれない」
――ファンの人の前ではスパイスが多めになるんですかね。
「正直に接してるだけですね。ダメなものはダメだよって言って。いいものはいいよっていう」
――ソロの活動っていうのは、声優業やグループ活動などがある中では、どんな場所になってます?
「ファンの皆さんと一番身近でお話できる場なので、大切にしていきたいですね」
――そして、この曲は MVも制作されてます。
「コックさんになって、お料理をしたり、ダンスシーンをやったり。可愛い雰囲気の中で、スパイス成分となる表情を入れてますね。一番最初に撮ったのが、生クリームを顔につけてるシーンだったんですけど、つぶつぶの……あれは何だったんだろう」
――<ロマンス>のカップに入ってるやつ?
「そうです。一応食べないでねって言われたんですけど、あれを混ぜてって言われて混ぜて。私、集合体恐怖症じゃなかったけど、ちょっと不気味なものを作ってしまって(笑)。すごいつぶつぶだって感じたりとか、一番最後のシーンの時に寝そべってリップシンクを撮ったんですけど、スパイスが本物のスパイスでしゃみが何回も出ました」
――<シュガー>と<スパイス>のフレーズのところで甘い顔と、時には変顔も入れてますよね。
「どんな風になるんだろうかなって思いながら表情を作ってました」
――TikTokで流行りそうですよね。
「あー!みんなが表情を変えてくっていう?全然考えてなかったけど、いいですね。”シュガースパイスチャレンジしてください”っていう表情チャレンジ。みんなやってもらうとしたら、確かにダンスは難しそうだけど、表情だとハードルが低いかもしれない。可愛い女の子にやってほしいな。でも、”その顔、全然スパイスじゃないぞ”って私が言いに行く、みたいな」
――それいいですね(笑)。そんな映像を見てどう感じました?
「すごい楽しげだし、私のファンの人は喜んでくれそうなMVになってるなって思いました」
――2曲揃って、シングルとしては1年半ぶりとなる9枚目のシングルとしてリリースされますが、キャリアの中ではどんな一枚になりましたかね。
「衝撃的な「グッバイ・ララバイ」に、クッション材の「わたしシュガースパイス」もあるよっていう。衝撃に備えろ!っていう。1枚ですね。衝撃もたまには人生に必要ですからね」
――これからもどんどんいろんなジャンルにも挑戦されていくんですかね。
「どうなんでしょうね。どんな歌を歌っていくのか、いよいよわからなくなりました(笑)」
――5周年を経て、今後はどう考えてますか。
「今回の「グッバイ・ララバイ」では MVは撮らなかったけど、いろんなMVも撮りたいなと思ってます。「わたしシュガースパイス」では変顔も見せてますけど、他にもいろんな表情を見せられたらいいのかなって思いますね。あとは、何がいいかな……こうやって、いろんな歌を歌えるのも楽しくて。緊張もありますけど、楽しさもあるので、いろいろと新しい面をお披露目したいなって思ったりしますね。そうなってくると、この曲はライブでどこに入るのかもすっごい気になる。ロックな楽曲も増えてきたので、ハードゾーンがあってもいいのかなとか思うし。ライブするってなったらどんな風になるのか楽しみなので、またライブができたらいいなって思います」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ

大西亜玖璃のあぐりずむ♪番組情報
大西亜玖璃のあぐりずむ♪は、大西亜玖璃のおしゃべりと、リスナーさんのお便りで作っていくUSENオリジナルの15分番組です。
タイムテーブル
2:30~、5:30~、8:30~、11:30~、14:30~、17:30~、20:30~、23:30~(15分番組)
※毎週月曜日更新

大西亜玖璃「グッバイ・ララバイ」DISC INFO
2026年8月5日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)/COZC-2331/2332/2,090円(税込)
日本コロムビア

大西亜玖璃「グッバイ・ララバイ」
2026年8月5日(水)発売
通常盤(CD)/COCC-18336/1,430円(税込)
日本コロムビア

