パリ・オートクチュール・ウィークのオフィシャル・ゲストメンバーの中里唯馬(なかざとゆいま)がスイスのジュネーブ・グランテアトル・バレエ団の新作バレエ「Ukiyo-e(ウキヨエ)」の衣装デザインを手がけた。

11月19日の初演で大好評となった本公演は、11月24日まで5回にわたり上演された。

同劇場のバレエ団には、ベルギーの鬼才振付家、シディ・ラルビ・シェルカウイが2022年より新たに芸術監督に就任。

シェルカウイは、日本でも『DUNAS-ドゥナス-』の演出や『TeZukA-テヅカ-』、『PLUTO-プルートゥ-』での森山未來(もりやまみらい)との共作でも知られている。

中里がシェルカウイより衣装デザインを依頼された本作品は、22年のシーズンプレミアとして上演されるプログラム「Floating World(フローティングワールド)」の一部であり、シェルカウイにとってジュネーブ・グランテアトル・バレエ団の芸術監督に就任後、初の新作となる。

中里は演出のシェルカウイと共に、シェルカウイの作品解釈との世界観を融合させるコスチュームを構想。

シェルカウイより与えられた「江戸時代の日本の都市でおこった浮世芸術」という本作品のインスピレーションと、「絶え間なく危機に瀕する、浮世とも言える現世界」という作品のテーマをもとに、着物に使われるフォルムや色使いを現代的に解釈、自身のブランドアイデンティティーでもある「更新される服」の哲学を反映させた衣装をデザインした。

中里は、今年の3月よりコンセプト共有から各仕様の詳細な決定までを幾度もジュネーブに通い、劇場付属の衣装チームと共に作り上げた。

アレクサンダー・ドッジによる、ダンサーが自分を見失う不可能な階段のような構造の舞台芸術、シモン・ブルゾスカの弦楽トリオとピアノのための新しい作曲と、アレクサンドル・ダイ・カスタンのリズミカルでエレクトロニックな作品、そして中里による衣装。

「Ukiyo-e」に集められたこれらのクリエイティブ、芸術は、作品の追い求める修復と超越のコンセプトと共鳴し、作品をより力強く唯一無二なものとしている。

中里 唯馬

1985年生まれ。2008年、ベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーを卒業。2015年に「株式会社YUIMA NAKAZATO」を設立。16年7月には日本人として史上2人目、森英恵氏以来となるパリ・オートクチュール・ファッションウィーク公式ゲストデザイナーの1人に選ばれ、コレクションを発表。その後も継続的にパリでコレクションを発表し、テクノロジーとクラフトマンシップを融合させたものづくりを提案している。また自らが発起人となり、21年7月より、未来を担う次世代のクリエイターのためのFASHIONFRONTIER PROGRAMを創設。オートクチュール・ファッションウィークを通じて最先端のファッションを提案しながら、社会的課題にも取り組む。

関連リンク

一覧へ戻る