アキコアオキの17番目となる今季のイメージキーワードは 「gone girl (失われた少女)」。
90 年代のシリアスでありながらも肩の力の抜けた冷たさと、現代のムードを宿す。
今シーズンは「女性の体を美しく彩るドレープ」ではなく、「整頓され配慮され過ぎていない、もっと意図していない自由な布の動きから見出す可能性」をドレープで探り、ドレスやパンツに反映させている。
ウェストがシェイプされたシルエットが目立ち、シャツワンピースやワンピースドレスのドレープはともすれば歪んでいるような印象の仕上がりになっている。
パンツのウェストやキャミソールの身頃はめくれたようなディテールが採用され、ミニマルなビュスティエやコンパクトなボレロも登場した。
ここには感情が揺れ動く未完成な少女らしさと新たなシルエットへの模索が感じられる。
素材は昔風なカントリー調のチェック柄やデリケートなレース、ストリートのグラフィティー、ナイロンやリップストップなどの生地を使用し、ノスタルジックな要素とスポーティブで軽やかな両要素が混在している。
ルックブックでは、丁寧にスタイリングしたものの上に、あえてビッグシルエットのレインコートで全てを包み込むことで、現実を象徴する洋服の輪郭がぼやけ、滲み出す。
そうした事象や態度に、「現代におけるファッションの在り方」を見出したようだ。
写真:© 2022 AKIKOAOKI