ライブ中のMCで数えるだけでも4回liaはMCで以下のようなことを語っていた。
「みんなに届くような歌を、これからも歌い続けます」
その言葉は実際、会場にいた誰しもが納得し、そして説得力があった。

本日披露されたshallmの演奏は観客全員が最初から最後まで誰しもが釘付けになった。

なぜなら、shallmの演奏は、liaの歌声は、曲から伝わるメッセージが直に心に入ってくるからである。
オリジナル曲もカバー曲も含めて、耳を通して、心の奥にスッと入り、楽曲から発するメッセージが直に伝わってくる。メッセージを受け取ると人間誰しも何かしらの思いを感じずにはいられない。それを各楽曲でやってのけるバンドが、アーティストが、目の前で演奏しているのであれば、なおさらその歌声やパフォーマンスから目が離せなくなるのではないだろうか。

「みんなに届くように」というlia自身の思い、そして披露された楽曲からのメッセージは、このライブを見た多くの観客に伝わったに違いない。

音楽家にとっての楽曲に込めるテーマやメッセージ。
ときには恋愛をテーマにし、ときには生きていく上での悩みや葛藤、聴いてくれるリスナーに対しての応援歌。他にも怒りや悲しみなど人間の喜怒哀楽を様々な形で表現する。そのテーマやメッセージは楽曲を作るバンドやアーティスト、または作詞・作曲・プロデュースする人間によっても大きく変わってくる。

多くのバンドやアーティストは、それら曲によって自分たちから発せられるメッセージを、聴いてくれるリスナーに対してメッセージを届けたい、届いて欲しいと思って楽曲を作る。例え曲を聴いた全ての人に届かなくても、どこかの誰かに届けば良いと語るアーティストも少なくはない。

ただ、liaはどこかの誰かにではなく、全ての人に届けたい!今日会場に来ているみんなに届けたい!という強い思いが溢れるかのようにMCでも言葉として伝え、ライブ中の感情溢れる歌声と、ギターを弾きながら全身で会場中にメッセージが届くようにパフォーマンスを行っていた。自分が作詞・作曲を行ったオリジナル楽曲はもちろんのこと、カバーした全ての楽曲に対しても、作者が伝えたかった思いを自分の心と歌声と演奏に徹底的に落とし込み、ステージ上で披露していく。おそらく彼女は、これまでもずっとその思いで音楽活動をしていたのであろう。特に、その思いがlia本人の夢や目標であった1stライブであるこのステージで爆発しているライブであった。

2023年12月11日(月) shallmにとって初のワンマンライブ「shallm 1st Live - liliana -」が代官山@UNITで開催された。開演前から多くの観客で賑わっている中、オープニングのSEが鳴り響くと会場から拍手が巻き起こる。まずステージにバンドメンバーが登場すると、その後に続いてliaがステージに登場し、会場のボルテージが一気に上昇する。

1曲目は初のオリジナル曲でもある。「夢幻ホログラム」を披露。事務所の先輩でもあるAdoが昨年開催した、さいたまスーパーアリーナでのライブ「カムパネルラ」から着想を得て制作されたこの楽曲。彼女が夢を叶えたステージを見て、liaはこの楽曲を書き下ろし、そしてその曲を今度はlia自身の夢を叶える場所である、ワンマンライブの1曲目で披露したのである。初のワンマンということもあり、間近で見るshallmのステージに観客のボルテージがあがっているのが伺える。と同時にliaの歌声を堪能している様子も伺えた。

続いて12月6日にリリースしたばかりの「白魔」、そして本日初のカバー曲「シャルル」とアップテンポなギターサウンドの楽曲を続けて披露していく。liaのパフォーマンスに引っ張られるかのように各バンドメンバーの演奏がより楽曲のメッセージ性を強くし、彼女の歌声が心の奥に飛び込むだけでなく、心に刻まれていくような感覚になっていく。それが伝わっているのか、観客は思い思いにビートに合わせて身体を揺らし、ハンズアップするなどしているが、会場の隅から隅まで彼女から目線を外す人など一切おらず、全員がその歌声やパフォーマンスを集中して見ている様子が伺えた。

しかしここからがshallm、そしてliaの真骨頂と言えるようなライブが展開される。
以前「この曲は、すごくこのバンドっぽいよね、みたいな。そういうバンド像をあんまり作りたくないというか、あえて作らないのも面白いんじゃないかと今は考えていて。」と、lia本人が以前メディアの取材に答えていたように、shallmというバンドが曲によって、伝えたいメッセージによって、ステージ上で様々な色に変化することを見せてくれることになる。

「短夜の星」や「灰色と青(cover)」では思いが溢れるかのような至極のバラードを演奏し、「if 1/2」や「ハイドレンジアブルー」では力強くも切なさも漂うロックナンバーを、「サマータイムレコード(cover)」では寒い冬から暖かい夏へタイムスリップさせ、「stardust」ではミッドテンポのサウンドに切ないストーリーを伝えていく。
そしてその後にはアニソンの大名曲「God knows...(cover)」を披露した。

バラード、ポップス、ロック、アニソン、ボカロ・・・通常だと追いつけないくらいの音楽ジャンルやそれぞれの楽曲内容も異なるものが散りばめられた選曲になっている。が、それがshallmというバンドだと成り立ってしまうから驚きである。バンド像をあえて固定しないからこそ、楽曲ごとに異なるサウンドを奏でることができ、そして何よりもliaの楽曲の内容を歌声に込めたメッセージにより観客に届けることが出来るからこそ、全ての選曲や楽曲に説得力が何倍にも増して聴こえてくる。

その後も「セツナトリップ(cover)」では楽しい雰囲気を醸し出し、「脳内ディストーション」では高速のテンポでもメロディーにのせ、「RED(cover)」では訴えかけるような歌声で、liaは自身の歌唱力でも観客を惹きつけていった。

本編最後にはTVドラマ『女子高生、僧になる。』オープニング主題歌にもなった「センチメンタル☆ラッキーガール」を披露。ポップなラブソングを時折笑顔を混ぜながら歌い上げていった。観客も手拍子やハンズアップするなどして、liaと一緒にこの楽曲を楽しんでいった。

拍手が鳴り止まない中、liaだけが登場し披露したアンコールの1曲目は驚きであった。
アコースティックギターの弾き語りで披露したのは、ボカロ好きの界隈でも神曲と評される「夜明けと蛍(cover)」。先ほどまでのアップテンポなサウンドとは異なる、繊細なアコースティックのサウンドと優しさを感じる歌声にどこか癒しを感じずにはいられなかった。

アンコール2曲目には2024年1月からスタートするTVアニメ『姫様“拷問”の時間です』オープニングテーマ「まっさかさマジック!」をフルで初披露。明るく軽快なメロディに自然とステージ上のliaもバンドメンバーも楽しそうな雰囲気があふれ、それに合わせて観客の笑顔も弾けていった。さらに、shallmが初めて歌ってみたを投稿した思い入れ深いボカロ曲「右に曲ガール(cover)」もlia自身の感情を乗せた歌声に変えて、披露していった。

最後のMCでliaは「どんな場所でも、みんなに届くような歌を、これからも歌い続けます」
と伝え「境界戦」を披露。11月にリリースした楽曲で疾走感のあるクールなサウンドの中に考えさせる内容の歌詞が「届くような歌を届けたい」という彼女の意思表示のような選曲に思えた。

あっという間の約1時間30分、アンコールも入れると18曲のステージ。
どの曲の演奏も、liaの歌声も、脳裏に焼き付いて離れないし、離さない。
様々なジャンルを横断し、様々メッセージを届けるshallm。
早速2024年3月10日(日)ebisu LIQUIDROOMでの2ndライブの開催が決定した。

ライブ会場でより体感できる、あらゆるジャンルの楽曲から放たれるshallmからのメッセージをアナタも感じてみてはいかがだろうか?

ちなみに、本人は大の苦手と語っていたliaのMC。この日何度かあったが、毎回非常にほのぼのとさせられる。
このMCも一聴の価値あり!

Photo:中原幸

<「shallm 1st Live - liliana -」セットリスト>


2023年12月11日(月) 代官山@UNIT

1. 夢幻ホログラム
2. 白魔
3. シャルル(cover)
4. 短夜の星
5. if 1/2
6. 灰色と青(cover)
7. ハイドレンジアブルー
8. サマータイムレコード(cover)
9. stardust
10. God knows...(cover)
11. セツナトリップ(cover)
12. 脳内ディストーション
13. RED(cover)
14. センチメンタル☆ラッキーガール
EN)
1. 夜明けと蛍(cover)【弾き語り】
2. まっさかさマジック!
3. 右に曲ガール(cover)
4. 境界戦

【shallmプロフィール】
自ら作詞・作曲を手掛ける19歳のボーカル・lia(リア)によるバンドプロジェクト。
liaならではの独特の感性で紡ぐ言葉は、純粋で真っ直ぐな思いや孤独と向き合いながら大切な誰かのためを想う気持ちで溢れている。艶やかで力強い歌声と心に残るキャッチーなメロディ、洗練されたバンドサウンドで魅了する。

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