Sakurashimejiが全国ツアー『Sakurashimeji TOUR 2026』を完走した。

『桜TOUR』は、Sakurashimejiが弾き語り編成で全国を巡るツアーシリーズ。2年ぶり3度目の開催となる今回は、221日の広島公演から328日の愛知公演まで全10公演を実施し、すべてソールドアウトを記録した。

この記事では、322日に開催された東京・KANDA SQUARE HALL公演をレポートする。

開演時刻を迎えると、アコースティックギターを携えて姿を見せたSakurashimeji。田中雅功がコードを鳴らし始めると、その呼吸を感じながら髙田彪我がフレーズを重ねていく。2人の演奏はどんどんリズミカルになり、そのままオープニングナンバーの「かぜだより」へ。続けて「花びら、始まりを告げて」を披露し、春の訪れを感じさせる2曲でライブの幕を開けた。

客席を眺めながら「たくさん人がいるなあ!」と喜びつつも、「自由に体を動かして、それぞれの楽しみ方で、ゆったりと楽しんでいただければと思います」と呼びかけたSakurashimeji。長年ともに音楽を鳴らしてきた雅功と彪我が息の合ったハーモニーを聴かせるなか、観客も手拍子やシンガロングで加わり、晴れやかな空気が生まれた。

歌とギターのみのミニマムな編成だからこそ、2人の呼吸が手に取るように伝わってくるのが『桜TOUR』の醍醐味だ。演奏を始める際の小声でのカウント、弦の上を指が移動した時の摩擦音、リズムを刻む2人の足が床を鳴らす音、ネックを揺らしながらのビブラート……バンドサウンドがもたらす熱狂の中では見逃してしまいがちな音や気配までも、つぶさに捉えることができる。だからこそ観客は、Sakurashimejiの音楽をより身近に感じられる。2人はいつもよりやわらかく、まるで観客に語りかけるように歌っていた。雅功はこのツアーを「心と心をより通じ合わせることのできるツアー」と表現。2人は「これだけ広い会場は初めて。緊張しちゃう」と笑い合いながらも、MCでは椅子から立ち上がって最後列のファンに手を振っていた。

「合言葉」「ただ君が」といったミディアムナンバーを心をこめて届けた2人。ライブ中盤のMCでは、先日、雅功が「ぽかぽか」(フジテレビ)に生出演し、卒業ソングを歌ったことが話題に。「本当によかったよ」としか感想を言わない彪我に対し、雅功が「これは見てるのか?見てないのか?」と困惑するなど、絶妙な掛け合いを繰り広げて観客の笑いを誘った。そして、現在制作中の新曲を披露する一幕も。まるで友達に「最近どう?」と話しかけるように、音楽でSakurashimeji""をそっと届けるひとときだった。

雅功のクリアな歌い出しや彪我のギターソロが冴え渡る「ランドリー」、切れ味鋭いカッティングから始まる疾走感溢れるナンバー「who!」を経て、ライブは終盤に差し掛かった。ここで雅功が今年結成12年を迎えることに言及しながら、結成直後に47都道府県でフリーライブを行うツアーをまわったことを振り返る。そのツアーのタイトル『さくらしめじニッポン列島菌活の旅~広げようきのこの輪(フェアリーリング)~』になぞらえて、雅功は今の実感を「最近すごくきのこの輪を感じます。楽しい輪っかが広がってるなって」と語った。実際、2月に行ったLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)ワンマンも今回のツアーも全公演ソールドアウト。最新曲「恋春日和」のMVも、今までにない勢いで再生数を伸ばしている。

その上で雅功は「僕らの音楽で誰かの笑顔が増えればいい。今日来てくれたあなたがちょっとでも笑えるなら、それだけで音楽をやってる意味があると思ってます」と、さらに「僕らは今を大事にしたいという思いを持ったまま、変わらずに、輪を広げていきたい。今後ともどうぞ、楽しく過ごしていきましょう」と続け、Sakurashimejiの変わらない姿勢を示した。そして「恋春日和」が鳴らされる。何度つまずいても諦めずに言葉を重ね、想いを届け続けようとする楽曲の主人公の姿が、「変わらずに、輪を広げていきたい」と語るSakurashimejiと重なるようだった。

「なるため」、「大好きだったあの子を嫌いになって」では、2人とともに観客も声を合わせる。最後は雅功と彪我が向かい合ってギターを鳴らし、ライブ本編を締めくくった。アンコールでは「ガラクタ」を披露。会場にシンガロングが響き、彪我もギターを鳴らしながら歌声を重ねるなか、ファンの想いに応えるように、雅功が〈何十年経ったら/なんてそんな話がしたいんじゃない/僕はさ/今の君と〉と歌い上げた。「まだまだ書いている歌もいっぱいあって。近々嬉しいお知らせができるんじゃないかと」と雅功が示唆したように、ツアー終了後も新たな喜びが待っている。「みなさんが聴いてくれる限り、僕たちは全身全霊で歌い続けますので、楽しんで、みんなで過ごしていけたらと思います」というメッセージとともにSakurashimejiはステージをあとにした。

写真:鈴木友莉
文:蜂須賀ちなみ

セットリスト

M1.かぜだより
M2.花びら、始まりを告げて
M3.simple
M4.エンディング
M5.辛夷のつぼみ
M6.いつかサヨナラ
M7.合言葉
M8.ただ君が
M9.ハウリング(新曲)
M10.スパイス
M11.ランドリー
M12.who!
M13.恋春日和
M14.なるため
M15.大好きだったあの子を嫌いになって
<アンコール>
En1.ガラクタ

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