──5月末日をもってガールズボーカルユニット・UtaHimeを卒業することが発表されました。改めて、卒業を決めた理由からお伺いできますか?
「私はもともと、『歌姫ファイトクラブ!!』のオーディションを受けさせていただく前からソロ活動していて。オーディションに合格させていただいて、グループを結成して、UtaHimeのメンバーとして活動させていただく中でも並行して、ソロ活動もさせていただいていました。この数年、“両方を全力で頑張る”という信念のもとで頑張ってきたんですけど、ソロ活動が増えてきた中で、“両方を全力で”という気持ちは持っていても、現実は難しくて、そう簡単なことではなくて…。なので、改めて、広瀬香美さん、メンバーと一緒に“今後をどうしていきたいか”というお話を何度も何度もさせていただきました。たくさんたくさん考えた結果、“やっぱりソロ活動を諦めきれない”という気持ちが大きくて。“私はソロ活動に専念したい”という想いをお伝えして、卒業という形に至りました」
──2023年10月にUthmとして活動がスタートして、昨年11月には広瀬香美さんのプロデュースシングル「Fight Song」で、UtaHimeとしてメジャーデビューしました。桃夏さんにとってはどんな経験になりましたか?
「メジャーデビューに向けた合宿があったり、広瀬香美さんの大きいライブのオープニングアクトとして出演させていただいたり、本当に貴重な経験をさせていただきました。その中で、度胸がすごく身についたと感じています。オーディションの段階からも、その場の心の強さや度胸が試されるような内容だったんです。心が強くないと乗り越えていけないことが多かったですし、“あなたは本気で音楽をやりたいのですか?”と突きつけられる日々で、精神的な部分で大きく成長できたと思います」
──その経験はソロ活動にも活かされますね。
「はい。広瀬香美さんから学ばせていただいたことはたくさんありましたし、直接、アドバイスをいただいたことも多くて。例えば、ステージ上での立ち振る舞い。私は動きが小さいことが課題で、ステージ上では自分が思っている何十倍も大きく動かないといけないということを学びました。あと、歌う姿勢や作詞作曲についてもご相談させていただいたことがあって…いつも変わらずおっしゃっていたのが、“魂を削って作らなければ届かない”ということでした。“本当にあなたはこの曲に魂を削りましたか?”と何度もおっしゃっていました。パフォーマンスでも魂を削ってパフォーマンスすることが多かったですし、私の表現の幅を広げていただきました」

──UtaHime卒業にあたっては、広瀬さんからはどんな言葉をかけてもらいましたか?
「“心から応援しているし、素敵なアーティストになってほしい”って。“ずっと応援しているよ”と言っていただきました」
──メンバーのNonokaさんとSayakaさんからは?
「“すごく寂しいけど、Momokaが選んだ道なら私たちは本当に全力で応援しているし、私たちも負けないように頑張るね”と言ってくれて。二人と離れることが、私は一番、寂しくて…。この数年、本当に二人と一緒に乗り越えてきたことがたくさんあるので」
──インタビューであんなに“鍛錬”を繰り返す十代のアーティストの方は初めてでした。
「あははは。本当に修練、鍛錬、修練、鍛錬の日々でしたし、NonokaとSayakaがいたからこそ乗り越えられたことが数え切れないくらいあります。なので、これからも二人とは変わらない関係でいたいですし、お互いに励まし合いながら、高め合いながら活動していきたいと思っていて。何より、この数年、UtaHimeの活動で、私は二人からもすごく刺激をもらいましたし、とてもリスペクトしています。私にはない魅力が二人にはたくさんあって、“私も負けてられない!”と思って活動してきたので。それは私の成長にもつながりましたし、これからも二人のことを心から応援して、私も“二人に負けてられない”と思って活動していきたいです」
──いつか遠い未来にまた一緒に歌う機会があるかもしれないですしね。
「はい。そんな日が来ると、もうありえないぐらい泣いちゃうと思います。私はUtaHimeを卒業して、ソロ活動に専念するということを決めて。この新たな一歩が、アーティストとしての私が目指す未来につながっていけばいいと思っています。広瀬香美さんに選んでいただいたという自信をもって、“歌声が素敵ですね”と認めていただいたことに恥じない、“やっぱり私が選んだだけあった”と言ってもらえるアーティストになりたいです。その先にはUtaHimeのメンバーとまた同じステージに立てる未来…いつかそんな日が来たらすごく素敵だと思います」

──そして、シンガーソングライターとしての新たな第一歩を踏み出すにあたって、この春に自主レーベル「TSUKIYORI Records」を設立しましたね。
「シンガーソングライターとしてこれまで何年か活動してきましたが、私がやりたい音楽や私がやりたい活動、上田桃夏というエンターテインメントをもっと芯を持って世の中に広めたいと思って、自主レーベルを立ち上げました」
──レーベルの名前にはどんな由来がありますか?
「もともと私は月が好きで、オリジナル曲の歌詞の中にも<月>という言葉がよく入れていて。あと、好きなキャラクターが月に関するキャラクターだったりとか…」
──誰ですか?
「TVアニメ『美少女戦士セーラームーン』の主人公、月野うさぎちゃんが大好きです。そもそも月はすごく好きでしたし、空を見あげて月を見つけると嬉しくなったりとか、少し疲れた日の帰りでも、月が輝きを見て、それだけで気持ちが変わったりとか。遠いけどそばに感じる…そんな不思議な存在の月がすごく好きです。月から得られる気持ちを歌詞にも多く入れているので、そういった音楽も作っていきたくて、“TSUKIYORI Records”という名前にさせていただきました」
──“TSUKIYORI”の“より”は?
「童話の『かぐや姫』の“月よりの使者”という言葉から取っています。“月よりの使者レコード”にすると連れて行かれちゃうので、“月より”だけにしました。“いろんなメッセージを月より発信していけるように”という意味です」
──確かに“月よりの使者”からリリースされる第1弾が「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」だと連れて行かれてしまう感が増してしまいますね。
「あはははは。でも、「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」は19歳の時に作った曲なので、そこはたまたまというか…。自主レーベルからリリースする記念すべき第1弾シングルなので、タイトルにもインパクトがあるこの曲にしようと思って選びました」
──二十歳になる直前ですよね。2024年8月のライブで初披露した「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」ははどんなところから生まれた曲でしたか?
「夏のワンマンライブ『3rd Peach Summer Live 2024』でファンの皆さまにサプライズとして披露しようと思って作った楽曲です。“新曲を聴いてください。「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」”とタイトルを言っただけで披露して…皆さんの頭の上にハテナが浮かんでいるくらいインパクトはあったと思います(笑)。私は元々、不安とか、お化けとか、得体の知れないものとか、そういう怖いものが苦手なので、失恋の怖さをそこに掛け合わせて、私なりの失恋ソングにしようと思って作りました」
──失恋は怖いものですか?
「怖いものなのかな?って思います。今まで当たり前だったものがなくなってしまう、大切な人がいなくなってしまう。そういいう寂しさが怖さと似ていると思って、私は少し怖いと思います」
──この楽曲の主人公の<僕>にとっては突然の別れだったのでしょうか?
「きっと急に彼女に“別れよう”と言われて、まだ<僕>は受け入れられていない状況です。<割れたスマホ/パッときらめいた/「キミじゃないのか…」>という歌詞は、徐々に徐々に彼女がいなくなった喪失感や寂しさ、“自分は何もできなかったんだ”という自分への怒りに気づいていく感じです」
──タイトルにもなっている<「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして。」>というセリフはどこから思いついたのですか?
「彼女がいなくなってしまったことを、友だちに“いや、宇宙人にさらわれちゃったんだよね”みたいな冗談交じりの感じで言っているセリフですけど、重い話って、大人になると冗談を入れながら話すことが多くなると思っていて。自分の内面を相手にネガティブにならないように話すことも多いですよね。そういった感情が混じっています」
──でも、失恋の傷や痛みを冗談めかして言えるのは、割と大人の感情ですよね? それをもう19歳の時に作っているんですね。
「私は小さい頃から“気にしい”なところがあって。誰かと話す時も言葉一つ一つに気をつけていたりしていたので、そこが出ているのかもしれません」
──ライブではアコギの弾き語りで歌うことが多かったですが、音源では岸田勇気さんをプロデューサーに迎えて再構築していますね。
「弾き語りの時は<僕>の感情を叫ぶような感じだったんですけど、そもそも“バンドで歌ったらエモいと思えるような曲にしたい”と思いながら作っていました。だから、今回はピアノリードのバンドアレンジにしていただいて。私の音楽の幅が広がったというか…純粋に嬉しかったです。明るくてポップなサウンドですけど、歌詞は少し切なかったりしていて。ファンの方からは、“そこが不思議な世界観になっているよね”と言っていただけることも多くて。自分のイメージする「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」よりもさらに素敵なアレンジになりましたし、<僕>の感情や情景がより鮮明に広がったと思います」

──この曲で上田桃夏さんを知ったという方にもう1曲、“上田桃夏に沼るための曲”を挙げるとするなら、どの曲をおすすめしたいですか?
「迷いますね。「カフェオレ」か「私と、わたし」かな? 5月16日に井上苑子さんのトークイベントに出演させていただいて。苑子さんは私が中学生の時から憧れていたシンガーソングライターさんで、“桃夏ちゃんの曲、全部聴いたよ。私は「カフェオレ」がすごく好きなんだよね”と言ってくださって。すごく嬉しかったです」
──「カフェオレ」はラブソングですよね?
「コーヒーとミルクが混ざるイメージのメロディーで、“彼と私の恋愛”を<消えない泡は残っている>とか、カフェオレならではの表現をしているので、お昼下がりに聴いていただきたいです。「私と、わたし」は5年前に、『CHINTAI×歌カツ!コラボ企画~夢応援ソング制作プロジェクト~』のために作った曲です。“この曲で救われた”と言っていただけることがたくさんあって、中には、“毎日を生きる希望になります”とまで言ってくださる方もいて…“誰かの人生の曲”になれている楽曲ですし、とても大切な曲です。今の私にもぴったりなので、おすすめしたいです」
──「私と、わたし」のどんなところが今の桃夏さんとぴったりなんですか?
「今、私は新たに一歩を踏み出したタイミングで。これから走りだす中で、きっと、くじけそうになることもあると思うんです。でも、「私と、わたし」で<だって前を向こうとしてるから>と、その踏み出す一歩がまず、すごいんだということを歌っていて。“頑張れ”というよりも、自分自身を肯定してあげながら<頑張ってることしってるから>というメッセージを伝えている曲です。自分がくじけそうになった時は自分にも言ってあげたいですし、これからの自分自身を励ましてくれる楽曲だと思います」
──これからはどんな道をどう歩いていきたいですか? 目標を聞かせてください。
「シンガーソングライター 上田桃夏としての新たなフェーズとして、私のやりたいこと全部をやって、一緒に楽しんでもらったり、誰かの人生に刺さる楽曲を発信していきたいです。まずは名古屋出身のアーティストとして、名古屋で一番の女性シンガーソングライターになること。そこから全国に向けて広がっていくようなシンガーソングライターになりたいと思っています。その先には、シンガーソングライターとして大きなステージに立てる未来が来るように頑張りたいです」
──大きいステージというのは?
「名古屋にはIGアリーナがあるので、IGアリーナは将来、目指したいステージです。かなり大きい会場なので(笑)、その前にやりたいことがたくさん溢れていて。これからもっといろんな音楽を取り入れていきたいですし、それらを自分のものにして、楽しみながら表現していきたいです。それに、レーベルを立ち上げたからには、自分の責任で、自分のやりたいことを発信していきたいです。上田桃夏でしか味わえない楽しさやワクワク感を持って活動していきたいと思っています」
──6月から7月にかけては東名阪ツアー『上田桃夏 LIVE TOUR 2026「そうだ、そこからの話がね。」』が決まっています。どんなツアーになりそうですか? 最後に意気込みを聞かせてください。
「上田桃夏として新しい一歩を踏み出して、「僕の彼女が宇宙人にさらわれまして」をリリースしてからのライブなので、上田桃夏の音楽を全身に浴びて、全身で楽しんでいただけるライブにしたいと思っています。あと、東京公演の会場は昨年、UtaHimeとしてステージに立ったGRIT at Shibuyaで、バンドセットになります。これからはライブサウンドを強化していきたいですし、とにかく、今はもう、ワクワクがすごいです。UtaHimeを卒業してから初のワンマンライブで、大事な一歩目なので、楽しみにしていてください!」
取材・文/永堀アツオ
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION

上田桃夏 LIVE TOUR 2026「そうだ、そこからの話がね。」
6月7日(日) 大阪 アメリカ村 DROP
6月28日(日) 名古屋 新栄シャングリラ
7月4日(土) 東京 GRIT at Shibuya

