アイドルとプロレスを両立するグループとして、2017年に結成されたアップアップガールズ(プロレス)。メンバーは、らく、乃蒼ヒカリ(体調不良により本ライブは欠席)、渡辺未詩のオリジナルメンバーと、2022年に加入した鈴木志乃、今年加入したウタ。
プロレスラーとして東京女子プロレスを主戦場に戦い、アイドルとしてTIFや@JAM EXPOに出演したりとふたつのフィールドで活躍している彼女たちだが、これまでは音楽とプロレスを融合したワンマンライブを行っており、音楽のみのワンマンライブは今回の「アップアップガールズ(プロレス)3rd SHOW 私達ってめっちゃ尊いな!」が初となる。
気合いの入ったアプガ(プロレス)は、正式な初アイドル衣装を公開し、新曲「バロバロ~It's a Battle!~」「SEED」を初お披露目するなど、初ものづくしのライブを敢行。また、公演中には次なるワンマンライブ「アップアップガールズ(プロレス)バロバロ~It's a Battle SHOW~」を2024年3月20日、新宿FACEで開催することを発表。
大勢の観客が集まる会場に、メンバーカラーのカラフルなアイドル衣装を着たアプガ(プロレス)が「OVERTURE(プロレス)」に乗って登場。大歓声が巻き起こり、渡辺が「アプガ(プロレス)行くぞー! まずは新曲、ぶちあがれー!」と煽り、いきなり新曲「バロバロ~It's a Battle!~」からライブをスタート。
「バロバロ~It's a Battle!~」は、限界突破で戦い続ける思いを歌う勢い全開のロックナンバー。拳を突き上げ渾身のパワーで歌うアプガ(プロレス)に観客も呼応し、瞬く間に会場のボルテージは高まった。
MCで自己紹介したメンバーたちは、初のアイドル衣装に歓喜の笑顔。渡辺は「こんなスペシャルなアイドルな私たちと一緒に、みなさん今日は最高な1日にしていきましょう!」と声を上げた。
MCに続いて、6年以上の長きに渡って歌い続けるデビュー曲「アッパーキック!」、アッパーシリーズの「アッパーチョップ!」をウタを加えた形で初披露。さらに今年3月に約2年半ぶりの新曲として発表した「SHINING MARK」を歌唱し、ライブの熱量を上げていく。
ヤマモトショウが楽曲提供した「ベイビーフェイス」をラブリーにパフォーマンス。そしてガールクラッシュなナンバー「Rxck it Nxw!」でかっこいい姿を見せる。バラエティに富んだ楽曲と次々と違った表情でパフォーマンスする彼女たちに、会場はますますヒートアップしていった。
ここで司会のさわやか五郎が登場し、企画コーナーが行われていく。彼女たちは、棒バランス、ピンポン球ラケットゲームなどで競い合い、観客と楽しい時間を過ごした。
ライブ中盤戦は、ソロやユニットでのパフォーマンスを行う。鈴木とウタは、アップアップガールズ(仮)とアップアップガールズ(2)がリリースしたばかりの楽曲「正解ですっ!」を楽しく激しく歌唱。
プロレスのコスチュームにチェンジした渡辺は、入場テーマ曲の「チョコっとラブ ME ドゥー」を披露する。続けて彼女は自身のソロ曲「マジマッスル」を投下。パワフルな楽曲を鋭い眼光で歌う渡辺は、日々筋トレで育て上げてきた筋肉を観客に向けてしっかりとアピールした。
らくは、キラキラな入場テーマ曲「マシュマロカカオステーション」をポップに歌う。そしてソロ曲の「Maxときどき!ジェットコースター」を披露する。鉄道マニアの彼女らしさ全開の、電車とプロレスへの思いをブレンドした歌詞を、彼女はニコニコの笑顔で観客に届けた。
鈴木は、6月10日に行われたアプガ(プロレス)の2ndワンマンで、コスチュームのタイツを忘れ黒の短パンでパフォーマンスするという伝説を作った強者。この日も、メンバーや観客に心配されるという状態だ。だが、今回はばっちりと上下グリーンのコスチュームでステージに登場。至って当たり前のことではあるが、大きな進歩を遂げた鈴木に観客は「ウオオオー!!」と大歓声。ドヤ顔の鈴木は入場テーマ曲「ワタシノセオリー」をノリノリで歌唱した。
ウタは、厳しいオーディションを経て今年の6月10日にアプガ(プロレス)の一員となった16歳。現在は学業とアイドル活動を行いながら、東京女子プロレス練習生としてトレーニングに勤しんでいる。彼女は、事務所の先輩アップアップガールズ(仮)の「You're the best」をキュートに弾けるように歌唱。観客は彼女のがんばる姿に惜しみない声援を送った。
ライブもいよいよラストスパート。アイドル衣装に戻ったアプガ(プロレス)は、“アプガボンバイエ!”が連呼される疾走感溢れるナンバー「リングの上にも三年~All Along The Way~」を披露。エモーショナルなパフォーマンスに会場は強烈な盛り上がりとなる。そして彼女たちは「負けたくない」を歌唱し、勝ちにこだわる思いを観客と分かち合う。メンバーと観客が一緒に歌う“負けたくなーい!”のフレーズが新横浜に轟いた。
MCタイムで、渡辺は「こうやって数々の曲ができるようになって、今年は2回も単独ライブができて、アイドルとしても今年はどんどん成長できたかなと思います。でも、もっともっとアイドルとしても強くなりたいなって思うし、その可能性があると信じています。もっともっとアイドルとしての私たちも楽しみにしていただきたいです!」とアイドル活動への思いを口にする。そしてらくが「もう1曲、新曲を歌います。この曲では新しい表現に挑戦しました。みなさんの心に響くように歌います!」と、新曲で始まったライブを新曲で締め括ることをアピール。
ライブのラストに歌われた新曲は「SEED」。もっと強くなれるという気持ちを爽やかでいて強さのあるメロディで届けていく彼女たち。凛とした表情としなやかなダンスで、アプガ(プロレス)はさらなる可能性を垣間見せてくれた。彼女たちは、自分たちの思い描くシンデレラストーリーをしっかりと観客に届けてライブ本編は終了。
大きなアンコールの声が鳴り響くなか、アプガ(プロレス)がステージに戻ると、アンコールで歌うのは彼女たちの代名詞的な「アッパーキック!」。ステージとフロアの熱がぶつかり合い、会場全体はエニウェアマッチのように沸きまくる。痛烈な盛り上がりとなって見事なフィニッシュを決めた。
最後に、メンバーそれぞれがライブの感想を語っていく。ウタは「私はすごく不安な箇所がいっぱいあったんですけど、みなさんが盛り上がってくださって、不安も気にせずめちゃくちゃ自分もライブを楽しめました!」と、人生初のフルライブの感想を語った。
らくは「みなさんの人生の大切な1日を私たちに捧げてくださりありがとうございます。みんなが幸せになって欲しいので、これからも私たちの幸せを分け合えるようにがんばっていきます。これからもぜひついてきてください!」とファンへの感謝の気持ちを伝える。
鈴木は「私は歌もダンスも全然できないから、ライブの準備期間にしんどく思っちゃうことがあるんです。でもこうしてライブをして、最後はこんなに楽しい気持ちなれて、幸せな気持ちで終えることができました。ライブを通じて、ほんとにみなさんに支えられてるんだなって改めて感じました。今度は私がみなさんを支えられるようにがんばります! これからもよろしくお願いします!」と、幸福感と自身の新たな目標を口にした。
渡辺は「最初にアイドルだけの単独ライブをすると聞いて、「プロレスしてこその私たちだし、大丈夫かな?」って自信をなくしたりもしたんです。しかも新衣装を着たときに「布が多いし筋肉も隠れるから私のいいところない」「ヤバい、私、人前に出れない」みたいな気持ちにもなったんですよ。でも今日ライブをして、かわいいかわいいアイドル、尊い尊いアイドルになりたいと思いました。今年は新曲が5曲も増えましたし、アプガ(プロレス)で、アイドルとしていろんなステージに立っていきたいなと思いました。本日はありがとうございました!」とかわいさと尊さを持ち合わせたアイドルへの野望を口にした。
メンバーも観客もいい汗をかいて最高の状態となった会場に、渡辺から、志乃、ウタにサプライズで、2024年3月20日に新宿FACEでワンマンライブ「アップアップガールズ(プロレス)バロバロ~It's a Battle SHOW~」が開催されることを発表。「新宿FACEということで、次は歌だけじゃなく試合もあります!」と渡辺が伝えると、会場から大きな歓声が起こった。
アプガ(プロレス)とって音楽のみというチャレンジングなライブをやり遂げた彼女たち。最後にメンバーは手をつないで「本日はありがとうございました!」とお辞儀。大きな拍手の中、充実の達成感でライブは締めくくられた。
歌とダンスのみの勝負で見事に勝利を奪取したアプガ(プロレス)。アイドルもプロレスも本気で挑んでいるんだという、彼女たちの根本の気持ちが改めて伝わるライブだった。可能性に満ちたアプガ(プロレス)の、これからの動きにぜひ注目して欲しい。