Sakurashimejiの忘年会ライブ『きのこりあんの集い Vol.Miracle X』が、12月29日、東京・大手町三井ホールで、2部にわたって開催された。
Sakurashimejiが毎年行っている“忘年会ライブ”は、今年で10回目の開催。ファンクラブ会員に演奏やトークを届けるこのイベントが、年末の恒例となっている。今年もきのこりあん(Sakurashimejiファンの総称)とともに、温かなひとときを過ごした。
年末ソング「年越しそば 2025ver」がBGMとして流れるなか、メンバー自身による影アナに場が華やぐなど、開演前の場内は和やかなムードに包まれていた。そして定刻になると、田中雅功と髙田彪我が姿を見せる。1部では「スプーンの初恋〜あゝ、好きだよベイベー〜」、2部では「届けそこねたラブソング」が初めに届けられた。2人は歌いながら客席内の通路を練り歩き、きのこりあんとの交流を楽しんだ。
記念すべき10回目の開催ということで、雅功と彪我は、“原点回帰”がテーマのコーディネートで登場。色とりどりのボンボンが目を惹く1部の衣装は、スタイリストによるハンドメイド品。2人が中学3年生の時、2016年に開催したワンマンライブ『おたまじゃくしの宴』の衣装を彷彿とさせるデザインだった。2部での2人は、『きのこりあんの集い vol.1』と同じく、赤と黒のニット帽を被って登場。さらに、スタイリストによってカラフルなしっぽもつけられた。
チケットソールドアウトを喜びながら、『きのこりあんの集い』に初めて来た人が多いことに驚いていた雅功と彪我。2025年の精力的な活動が新たなファンとの出会いをもたらしたのだろう。そして長く応援してくれているファンにも見守られながら、2人はすっかりリラックスしている。観客に普段よりもアットホームなライブだと説明しながら、「和気あいあいと楽しんでいただければ」と伝えると、ステージに置かれたこたつに入った。
ここからは、こたつでくつろぎながらトークを展開。開演前に観客に回答してもらったアンケートを元に談笑した。2人は観客から寄せられたメッセージに声を上げて笑ったり、しみじみと共感したり、時に鋭いツッコミを入れたりする。日常の延長線上のような2人の飾らないやりとりに、会場は穏やかな笑いに包まれた。
続いて、「帰ってきた!即興3ワードソング」のコーナーへ。観客にもらった3つの単語を元に その場で曲を作るという、10代の頃のライブでよくやっていたコーナーをバトル形式で復活させた。1部では、雅功が観客からもらったワードからひと夏の物語を紡ぎ、ノスタルジックなメロディに乗せて歌う。一方、「UFO」「お餅」「ハムスター」の3ワードをもらった彪我は、悩んだ末に某名曲と似たメロディを歌い出す。爆笑を巻き起こしながらも物議を醸し、結果、雅功に軍配が上がった。そして2部では、彪我が「有馬記念」「滅」「ミーアキャット」の3ワードから、「負けすぎて滅」というインパクト抜群の楽曲を制作し、会場を沸かせる。しかし後攻の雅功が、難しいワードを盛り込みながら超大作を見事に作り上げ、2部連続で雅功の勝利となった。そして、雅功に用意されたご褒美のごはんを彪我が隙を見て食べてしまうというまさかのオチに、会場は大笑いとなった。
イベントの後半はライブパート。「ファンクラブイベントということで、昔の曲もやりたいと思います」という宣言通り、1部は「かぜいろのめろでぃー」「おたまじゃくし」「ひだりむね」、2部は「ゆめがさめたら」「いーでぃーえむ」「みちくさこうしんきょく」と懐かしのナンバーが次々と届けられた。曲が始まるたびに、客席からどよめきや歓声が上がる。弾む手拍子からも、観客一人ひとりの高揚感が伝わってくる。歌とアコースティックギター2本という、最もシンプルな編成。阿吽の呼吸で紡がれるハーモニー、情熱的なギターカッティングやテクニカルなパッセージに、きのこりあんは10年の軌跡を感じていたことだろう。
その後は、今年リリースしたアルバム『唄うこと、謳うこと』の収録曲が立て続けに披露された。手拍子の音に包まれながら、雅功が力強く歌う一方、エレキに持ち替えた彪我はギターソロで観客を熱狂させる。観客の反応を受けて、雅功と彪我のプレイはさらに勢いを増し、ライブならではの盛り上がりが生まれた。
1部では雅功に「今年はどうでした?」と尋ねられた彪我が、「生まれ変わった感じがすごくしますね。より強く自分を信じてみようかなという思いになったというか」と返答。サポートメンバーと一緒にバンド形態でツアーをまわったのがいい経験になったと振り返ると、雅功も共感を示し、「バンド編成でのライブが充実しているからこそ、2人でいる意義をもっと考えた。Sakurashimejiって何だろうと考えた1年でした」と語った。
2部では雅功が観客に「みなさん、今年いい1年でしたか?」と尋ね、「僕もいい1年だったと思います。ただ、嫌なこともいっぱいあるじゃないですか。忘年会ですから、今日ここに置いていってほしいわけですよ」と続ける。そして「僕も今年一声を出しますから」と観客を誘い、曲の中の一節をみんなで思いっきり叫んだ。MCでは、「ここまでやってこられたのは、今日来てくれたみなさんのおかげです。節目のたびにそう言ってきたけど、言い過ぎてどのくらい信頼してもらえてるんだろうと思うけど、本当に、一人ひとりに伝えたいくらいなんです。心から感謝しています」と率直な思いも語られた。
「今年の顔」として披露されたラストナンバーは、『唄うこと、謳うこと』のリード曲「ガラクタ」。〈その憂いも理想も戸惑いも全部/綴って/紡いで/君と歌いたいんだよ〉という決意を会場に響かせた。2人は、最後に書き初めを披露。「今年の総括」をテーマとした1部では、彪我が今年の活動を「戦い、そして分かち合い。」と凛としたフレーズで表した。雅功はユーモアを交えた書き初めで会場を笑わせながら、一人暮らしを始めた今年の生活の大変さを語った。2部の書き初めのテーマは「来年の抱負」。雅功は「定期的に美容室へ!!」、彪我は「髪を染めて、ヤンチャッチャ。」と2人ともヘアスタイルに関する抱負を掲げ、驚きのシンクロを見せた。そして2人は「よいお年をー!」と声を合わせてイベントを締めくくった。
年が明けて、1月7日には新曲「恋春日和」を配信リリースするSakurashimeji。日本テレビ系ドラマ『黒崎さんの一途な愛がとまらない』の主題歌として書き下ろしたみずみずしい楽曲とともに、彼らの2026年は幕開ける。2月15日には、LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)でワンマンライブ『Sakurashimeji Hall Live 2026「▷再成」〜Sakurashimejiが6年越しに渋公リベンジするってよ!〜』を開催。そして、2月21日から始まる『Sakurashimeji 桜TOUR 2026』は、2人だけで演奏する弾き語りツアーとなっている。2025年の活動で再確認した“2人でいる意味”は、2026年のライブでどのように響くのか。新たな年への期待が高まる。
セットリスト
《しめバラ (両部共通)》
・こたつトーク
・帰ってきた!即興3ワードソング
・大抽選会
《1部》
- スプーンの初恋〜あゝ、好きだよベイベー〜
- かぜいろのめろでぃー
- おたまじゃくし
- ひだりむね
- いつかサヨナラ
- ランドリー
- who!
- ガラクタ
《2部》
- 届けそこねたラブソング
- ゆめがさめたら
- いーでぃーえむ
- みちくさこうしんきょく
- いつかサヨナラ
- 明日を
- 大好きだったあの子を嫌いになって
- ガラクタ
