──8月から11月まで毎月新曲を連続リリースされていますが、こういう楽曲を出そうというプランはいろいろと考えられていたんですか?
星熊 南巫「そこは特に気にしていなかったんですけど、最初にこういう曲がほしいなと思ったのは、ライヴでファンが遊べる曲。コロナが明けた今、もう一度遊びたいという人もいるし、その遊びを知らなかったけど面白さに気付いちゃった子達もいて。だから、“ライヴでもっと遊べる曲が欲しいよな”っていう。その曲はこの先のリリースの新曲なんですけど。あとは、以前一緒に楽曲を作ってくださったNOISEMAKERさんともう一度やりたいとか…それで、AGさんとHIDEさんが作ってくれたのが「Vertex」なんです」
──「IDOl」はどなたがトラックを?
星熊「「IDOl」は初期の頃から一緒にやっている岸和田(一樹)さんにお願いしました」
──なるほど。では、まずは8月に配信された「IDOl」のことをお聞きしていこうと思います。我儘ラキアは、“アイドルらしくない”とか“アイドルの概念を覆す”と言われることが多いですし、いわゆるアイドルのパブリックイメージとは異なる部分がいろいろとあって。そんな我儘ラキアが「IDOl」というタイトルの曲を歌うことがすでにひとつのメッセージになっていると思うんですが、この曲はどういったところから生まれたんですか?ヒップホップ色が強い楽曲ですけども。
星熊「「IDOl」に関しては、日本のアイドルってスタート位置が結構低いというか…出来ひん子達みたいな感じというか(笑)。あどけなさとか、可愛らしさとか、“俺が応援してあげたい”みたいな感じがスタンダードな部分としてあると思うんですけど。でも、世界を見たときに、アイドルって完璧で、尊くて、どんどん自分から発信していたり、作詞作曲をしている人もいたりして。自分達はそういう世界基準を見て、それに憧れて活動しているところもあるので、今までの日本のアイドルの概念を、ワンランク、ツーランク上げて、“これが基準だよ!“というのを見せたいなと思って、「IDOl」を作りました」
──そういうテーマやメッセージを、このタイミングで改めて打ち出したかったんですか?
星熊「久々のリリースになるんですけど、どういう曲をやりたいかな?って純粋に思ったときに、まずは自分たちが楽しめるものをやってみたかったんです。いつもならこういう曲はソロでやっていたんですけど、逆に4人でやったらめっちゃおもろいんじゃないか?と思って」
──MIRIさんはリリックを書くにあたって、こういうものにできたらいいな?と考えていたものはありました?
MIRI「たぶん、書き始めたときは「IDOl」っていうタイトルがまだついていなかったんですよ。なんなら、このタイトルにした理由はこのインタビューで知ったんです(笑)」
──そうなんですね(笑)
MIRI「それぐらい、いい意味でお互い共有しないんですよ。あまり干渉せずに書いていて。だから、“こういうビートで作ろうと思う”って最初に聴かせてもらったときは、“あ、バンドグループやめたん?”みたいな(笑)」
星熊「はははははは(笑)」
MIRI「よく聴いてもらうとわかるんですけど、この曲ってずっと同じ音しか鳴っていないんですよ。私、長いラップを書くのが苦手というか、単調なビートに歌詞を書くのが嫌なので、くま(星熊)に“私のバースを短くしろ”って言ってたんです。でも、“書け!書け書け!”って言われて」
星熊「うん」
MIRI「でも、何について書こうか?と思ったときに、“この曲はライヴの最初に使いたい”って、くまから言われて。“SEみたいに使って、1人ずつ出てきたらむっちゃかっこよくない?”って。“それ、かっこいい!”と思って、1人ずつ出てくるのであれば自己紹介がいいかなって。で、私は自分と怜奈(L)のバースを書いたんです。だから、アイドル像を書いたというよりは、SEとして使えるラキアの自己紹介を書いたら、結果的に「IDOl」になったっていう」
──自分達が思うアイドル像を打ち出そうと思ったところが始まりではなく、この曲でしようと思ったことはあくまでも自己紹介であって、「IDOl」というタイトルをつけたことで自然とそういう意味を帯びた感じだったんですね。
星熊「確かに、掲げようというよりは、あったものを出そうみたいな感じではありましたね。勝手にできちゃったというか(笑)。この曲、めっちゃラフに作ったんですよ。ソロのときは、パーっとやって、できた、かっこいい、売れたな、みたいな感じなんですけど、ラキアになると、これじゃダメだ…!みたいな(笑)」
MIRI「わかる。考えちゃうよね」
星熊「もう何パターンもひたすら考えて、結局最初が一番よかったとか、そういう感じなんですけど。でも、この曲はほんとにラフに作ったから、リリースする2日前ぐらいから急に怖くなってきて(笑)」
MIRI「不安になったよね?(笑)リリース30分前とかすっごい怖かった」
星熊「だから、“期待すんな!”ってSNSに書いたんですよ。でも“逆に期待します!”って来て、“いや、ホントに期待すんな!”って」
L「確かに逆にハードルあがっちゃう(笑)」
星熊「言っても、この曲って攻め攻めではないんですよ」
MIRI「は?攻め攻めやろ(笑)」
星熊「いや、ソロだったらバースだけで全部終わっているから。でも、フックがあるし、ちょっとリンプ・ビズキットみたいなノリを入れたことによって聴きやすくなったと思うんですけど、土壇場はドキドキしましたね」
MIRI「あと、今回はジャケットも自分達でプロデュースしているんですよ」
星熊「いつもはお任せなんですけど、“アニメっぽいイラストで4人を描いてもらいたくない?”ってなって。それで知り合いの子に描いてもらったんですけど、こういうジャケットで今まで出したことがなくて」
MIRI「そう。それも心配だった」
──唯一安心できる要素は“フックがある”ということのみ(笑)。
星熊「そうそう(笑)」
──LさんのバースはMIRIさんが書いたとのことでしたけど。
L「私の見た目とか性格を、誰が見てもわかりやすいように書いてくれて。だからすぐに歌えたし、遊びながらできたかな?ってレコーディングのときは思っていて。だから、ライヴのときもその場のノリで行けるというか。ギャルの感じをそのまま出せる、出しやすい曲にはなってますね。超自分のノリでいけるなって(笑)」
MIRI「超自分のノリ(笑)」
星熊「ギャルすぎる(笑)」
──星熊さんとMIRIさんはリリース直前に怖くなったとのことでしたけど、Lさんは?
L「私、そのとき寝ていて…(苦笑)」
星熊「はははははは!」
L「完全に忘れていて、朝起きてTwitter(現・X)を見たら大騒ぎになっていたから、“ヤバい!”と思ってひとりだけ朝にツイートするみたいな(笑)。だから不安とかはなかったんですけど、“やらかしたなぁ…”とは思いましたね」
──ある意味強くていいと思います(笑)。海羽さんのバースは星熊さんが書いたと。
海羽 凜「“めっちゃ可愛い!”って思いました。アドレナリンが出るぐらい舞い上がる歌詞で。ハングルとか、自分の好きな単語も入れてくれていて、愛が伝わってきたというか」
MIRI「7年目にして愛が伝わった?」
星熊「ははははははは(笑)」
海羽「そこは伝わってるけど(笑)、それがすごく感じたというか。あと、今までの自分とは違う感じに挑戦できたのもよかったです」
星熊「個人的には(海羽の)この見た目を活かしたかったんですよ。今まではおしとやかな感じで、自分もそういうパートを凜ちゃんに書いてきたんだけど、一回ぶっ飛んだものをやってみようと思って。凜ちゃんってハスキーボイスで、めっちゃかっこいい声なんですけど、これまでボイトレでやってきたことを一回全部忘れてもらって、“アニメ声出せる?”って」
海羽「ずっと練習していました」
MIRI「確かにこれまでの凛ちゃんの良さを全部消してるからね」
星熊「そう。でも、違う扉を開けたら、新しいものが見えてくるんじゃね?と思って。自分も最初はちょっと不安だったんですけど、意外とファンは喜んでくれてたよね?」
海羽「うん。喜んでた」
MIRI「てかライヴでやるとかっこいい!」
L「そう!すごくいい」
星熊「しかもライヴでやるとめっちゃうまいし」
MIRI「うん。うまい。一番安定してる」
星熊「だから良かったなと思って。また違う機会があったらこういう声も使ってほしいですね」
──魅力がまたひとつ増えましたね。「IDOl」の最後で<辿り着く頂点へ>と歌っていて、その次に発表した楽曲のタイトルが“頂点”という意味の「Vertex」なのが美しいなと思ったんですけど。
星熊「あぁ…」
MIRI「いま言われて気付きました(笑)」
星熊「この2曲は同じ時期に書いていたんですよ。だから同じことを考えていたんだと思う」
MIRI「「Vertex」っていうタイトルもくまが決めたん?」
星熊「“頂点”っていう意味がいいってずっと言ってた。NOISEMAKERの「Apex」っていう曲がめっちゃ好きなんですよ。で、apexも“頂上”とか“頂点”っていう意味があって」
MIRI「それでリンクしたのか」
星熊「うん。内容は違うけど、近いものはある。「IDOl」はちょっと楽観的なんですよね。肩の力を抜いていて、自分達はいるだけでスターだからっていう表の明るい面を描いているけど、「Vertex」はもうちょっと暗くて。この7年間いろいろあったけど、結局何かを掴めたか?と言ったら、まだ何も掴めていないんじゃない?っていう。自分達は日本を代表するアイドルになるとか、個々の夢があるので、それを叶えに行くんだっていう、ちょっと内向きな曲にはなっていますね」
──楽曲制作に関しては、それこそ「Apex」が好きというところから話を進めていったんですか?
星熊「そうですね。“いまどういう曲を聴いてるの?”っていう話から、自分が聴いている曲のリストを送って、“「Apex」みたいな心がウッと掴まれるような曲が欲しいんです”という話をして」
MIRI「この曲の歌詞とラップに関しては、NOISEMAKERさんと一緒に作らせてもらった感じがありますね。最初に自分達が書いた歌詞と、ここはこっちのほうがいいんじゃない?と送ってくださった案をうまく擦り合わせた感じなので。最初に自分達が書くときは特に変わらなくて、まったくコミュニケーションを取ることなく、擦り合わせることもなく(笑)」
星熊「この作り方って嫌がる人は嫌がるんですよ」
──方向性を揃えてくれと。
星熊「そう。でも、同じものを同じ目線で見てもおもしろくないし、違う目線でひとつのものを目指したほうがバリエーションも広がるっていうか…」
MIRI「そこは私も同じ考えなんですよ。その曲を聴いたときに、100人が同じことを考えるわけではないじゃないですか。100人それぞれ違う捉え方があるから、ひとつの目線で書いても、その層には刺さるかもしれないけど、他の層には刺さらないかもしれない。だったらそれぞれが思うことを書いて、それぞれの層にぶつけたほうがよくね?と思って」
──最初に“このことについて書こう”みたいなルールは決めるんですか?
星熊「基本的にはタイトルと大きいテーマがあるぐらいですね。あと、言葉が思いつかないときは写真を送るときもあって」
MIRI「画像が4枚ぐらいバーッと来て。真っ暗な中に船がポツンとある画像とか、テーブルの上にコーヒーが乗っている画像とか、全然関連性のないものが来て、“これで書いて!”みたいな」
星熊「自分でもなんて言っていいのかわかんないから、“すみません…これでお願いします…”みたいな(笑)」
L「でも、ブラックコーヒーは歌詞に入ってるよね?」
星熊「入ってる。「Ambivalent」のラップに、<ブラックコーヒー>って入ってて」
MIRI「だってブラックコーヒーしかなかったから!」
L「はははははは(笑)」
──海羽さんは「Vertex」を聴いて、どうアプローチしようと考えました?
海羽「NOISEMAKERさんは、前に「GIRLS」と「NEW WOLRD」を作ったときに、くまみちゃん(星熊)とみりぽ(MIRI)が話してくれて、我儘ラキアにK-POPっぽいものを持ってきてくださった方々で。そこからまた新しい扉を開けたというか、そこからの繋がりを感じたので、改めて大事に歌いたいなと思いました。あと、くまみちゃんが書いてくれた歌詞で、自分が歌っているところなんですけど、<日々 傷ついて失って 幸せな程悲しくて それなら 何も要らなくて>という歌詞を見たときに、生きていく上でそういうことって絶対にあると思うし、それがあるからこそ人間らしいというか。なんか、儚さを感じて、自分とリンクしたというか。そこはすごく意識して大切に歌いました」
──儚さもあるけど、それでもという強さもあって。
海羽「そうですね。強く生きることの大切さというか。ちょっと落ちているような感じだけど、美しさがある歌詞だなと思いました」
L「あと、この曲は絶対にダンスをかっこよくできるなと思ったから、「Vertex」のイメージをもらって、それを振付師に細かく伝えて、いま作っている最中なんですけど。かなりかっこよくなるだろうなっていうイメージは、漠然とですけど最初からありましたね。結構壮大な感じで、自分が客席から観ていたら鳥肌立ちそうな感じになりそうだなって」
──壮大というワードもありましたが、この曲はライブハウスもいいですけど、スタジアムで観たいなと思いました。似合いますよね、こういう曲。
星熊「嬉しい。この7年間でいろんなことを経験してきて、こういうことができるようになってきたのかもしれないですね。さっき凛ちゃんが話していた歌詞は、目標を達成する前の一番落ち込んだときの気持ちを書いていて。なんか、本気でやったときほどやめたくなることってあると思うんですよ。自分に期待しすぎていたりして、全部捨てたくなっちゃうっていうか。でも、“落ちて、どうする?”みたいなところを描きたいと思ったから、最初は「PHOENIX」というタイトルにしようと思ったんです。再び舞い戻るみたいなイメージで。でも、落ちたらあとは上がるだけだし、意外と一番落ちたときの次って、ボーン!って跳ね上がったりするじゃないですか。そういうイメージで作りました。だからスタジアムとか大きい世界で、バーっと羽ばたいていけたらいいなって」
──MIRIさん、横でうなづきながら話を聞いていましたけど、ご自身もそういうところがあるなと思いました?頑張ったからこそやめたくなるという。
MIRI「あります、あります。しょっちゅうあります。でも、そこは私とくまの考え方が違うところで。くまはそれをすごく深いところまで落として歌詞に埋め込むんですけど、私は逆にそういうときは明るいというか、前向きの歌詞を書きがちなんですよ。だからこの曲でも<wake up now 全て奪う>って書いていて。そこだけ浮いてるって思われる方もいるんですけど、それこそ凛ちゃんのパートで深く潜った分、爪とかボロボロになって血まみれになりながらも、必死に岩を登っていく雰囲気を出せたらいいなと思って」
星熊「曲の中でいつも怒られてるもんな?“お前何してんねん!早よ起きろ!”みたいな」
MIRI「私がラップでバシーン!って叩いて、“ほら行くぞ!”みたいな。確かにその歌詞の書き方はよくしてる」
──その2曲があり、冒頭で少しお話に出ましたが、この次には「遊べる曲」が来ると。
星熊「「IDOl」と「Vertex」はおしゃれゾーンな感じでしたけど、次はバンドな感じですね。“ラキア、バンド捨ててなかったんや!”みたいな(笑)」
MIRI「うん(笑)。捨ててない」
──楽しみにしています!もうひとつお聞きしたいのが、先ほど星熊さんが「Vertex」のお話をされているときに、“個々の夢がある”とおっしゃっていて。みなさんそれぞれが思う“頂点”って何ですか?
星熊「個人的にずっと考えている目標としては、ブリング・ミー・ザ・ホライズンと対バンしたいというのと、日本代表として世界に発信したいというのがあって。それは我儘ラキアとしても、個人としてもそうなんですけど、日本のアイコンとして世界中に愛されるアーティストになるというのが、自分が思う、いまの頂点かな?って思います」
──あくまでも日本発なのは大事にしたいと。
星熊「元々は日本にあまり興味がなかったんですよ。洋楽がすごく好きで、海外のものが大好きだったから。だけど、海外のバンドの人達と関わるたびに、日本の良さを教えてもらう機会が多くて。日本独特の色合いとか、美しさとかがあって、逆に“日本ってカッコよくね?”って。だから歌詞もいまは日本語で書きますし、日本人として音楽でチャレンジできることをやっていきたいです」
──MIRIさんは、ご自身が思う頂点というと?
MIRI「頂点って言ってしまうと、死ぬときに“いい人生だったな、幸せだったな”って思うこと(笑)。それが頂点で、そこから下がっていくと、お金持ちになるとかいろいろあるんですけど、いまのラキアの現状でやりたいこととしては…私、アニメとかマンガがすごく好きなので、やっぱりタイアップをとりたいです。あとは、ライヴが好きなので、いろんなフェスに出たいですね。日本だけじゃなくて、世界的なフェスにも出たいし。たとえば、紅白とかを目指している方もいっぱいいると思うんですけど、それよりも私はカウントダウンライヴがしたいし、とにかくライヴをしていたい人なので」
──なるほど。
MIRI「いまって配信でなんでも聴けちゃうじゃないですか。ラッパーの友達が周りに多いんですけど、ライヴでお金を稼ぐというよりは配信で稼いでいて、それだけでお金になってしまう世の中で。だからこそ、私はライヴをすごく大事にしたいんですよね。ライヴでしか感じられない熱気とか、吸収できないエネルギーって絶対にあると思うので。コロナで一度大変なことにはなってしまったけど、もう一度ライヴシーンを盛り上げていけたらいいなと思ってます。私がそこで育ったので。自分が学生だったときみたいに、いま学生の子達もそうやって知って欲しいし、音楽の本当の力をライブ会場で感じて欲しいなと思います」
──ライヴを大事にしつつ、もし大晦日にオファーがあったら、自分達のカウントダウンライヴと中継で繋げるっていう方法もあるでしょうし。
星熊「それ、おもろい!」
L「最高!」
──海羽さんはいかがです? 頂点=目標や野望とも言えると思うんですけど。
海羽「私の目標は、男性女性関係なく、アイドルの頂点ですね。女性アイドルって、男性よりも(活動)期間が短いって言われているけど、何歳になっても4人でやっていたいし、K-POPアイドルみたいに、女性からも憧れる存在というか。男性のファンももちろんなんですけど」
──男女問わず、アイドルのテッペンを獲ると。
海羽「うーん…うん」
──ちょっとニュアンス違いました?
星熊「ちゃうんや?(笑)」
海羽「いや、デカすぎるかなと思って(苦笑)」
星熊「いいやん」
MIRI「うん、いいと思う。その代わり、40歳になってもひとりでアイドルやってな?」
L「でもそれ(40歳になってもアイドル)ってかっこよくない?」
海羽「他のアイドルと比べて、ラキアはいろんな曲ができるというか、そこが武器でもあるので、おばあちゃんになってもやれそうというか」
MIRI「白髪で、サングラスかけて、杖つきながら」
L「めっちゃかっこいい!」
星熊「それ好き!」
MIRI「会場にちゃんと医者も用意してもらわんと」
──(笑)。Lさんはどうです? ご自身が思う頂点というと。
L「私も海外が好きやから、ラキアで海外ツアーとか行きたいし、海外に住みたいっていうのもあるし。でも、やっぱり売れたいっすね!」
──シンプルに。
L「うん。でも、この“売れる”には、いま3人が話していたことが全部詰まっているんですよ。売れたら海外にも行けるし、大きいフェスにも出れるし。私はどちらかというと小さい頃からテレビっ子なので、バラエティにも出たいし、カウントダウンライヴとテレビを繋ぐっていうのはめっちゃおもろいと思ったし。だから、自分の中では“これが頂点”というよりは、全部ですね」
──とにかく欲張っていこうと。
L「はい。自分達のやりたいことは全部やり遂げたい。それが自分の頂点で、そのためには売れるしかないっていう」
──売れたい、続けたいというのがみなさんの根底にあるんですね。
MIRI「たぶん4人の仲が良すぎて、4人のことを好きすぎるがゆえに続けたいんですよね」
星熊「それはあると思う」
L「あるね」
海羽「(頷く)」
MIRI「長いこと一緒に活動していたいけど、じゃあ、40歳、50歳になっても今の規模でやっていたいかと言ったら、そうではない。じゃあ売れないといけないよね?っていう話なだけで、みんなずっと一緒に仲良くやってたいんだと思います(笑)」
──本当にいいグループですね。
──11月23日にZepp Shinjukuでワンマンライヴ『GAL SQUAD』が開催されますが、どんなステージにしたいですか?
星熊「いまの自分達を見てもらいたいですね。1年前にはできなかったことがあるし、1年前に思っていなかった感情に、今、みんななっていると思っていて。いろんなことを経て、今しか伝えられない、滲み出てくるものを見て欲しいなと思ってます」
──ここまで積み上げてきたものだったり、今だからこそ出せるものであったり。
星熊「数年前はガムシャラにやることを美徳としていたんですけど、最近は少し肩の力を抜くようにしているんです。そうすることでより遠くまで見えるというか。でも、それって大人になったからできることだと思うんです。もう自分達はヒヨコからニワトリになってるから、ニワトリらしさをね?」
MIRI「ファンの人達って、ほんとは孵化させたいと思うんですよ。自分が大事に大事に温めて、ヒヨコになって育っていく様子を見届けたいと思うんですけど、私達はもうニワトリなんですよ」
L「出荷前なんで、自分達」
星熊「“もう熟れに熟れた、めっちゃうまそうなニワトリがここにいますよ!”っていう」
──そのたとえはめちゃくちゃ最高ですね。それこそ冒頭でお話しされていた、日本のアイドル=未成熟を愛でるという感じと、自分達は違うという。
星熊「そう、完成品なので。日本のアイドルにニワトリがいることってなかなかないんですけど、“ニワトリもアイドルだよ!”っていうことをね(笑)」
MIRI「てか今の言葉がタイトルになったらどうすんの!?“ニワトリもアイドル”とかさ」
星熊「はははは(笑)。黄色くなくても、完璧であれば、かっこよければ、大きいニワトリでも売れるし、必要とされることを証明したいですね」
(おわり)
取材・文/山口哲夫
写真/野﨑 慧嗣
RELEASE INFORMATION
LIVE INFORMATION
我儘ラキア -FULLSET- ONEMAN LIVE『GAL SQUAD』
日程
11月23日(木・祝) Zepp Shinjuku (TOKYO)
open 16:00 / start 17:00