──「GROUNDSWELL ep.」が完成しました。それぞれの楽曲について語ってもらえればと思います。まずは1曲目の「Lord of Light」から。

大上陽菜子「サビがキャッチーで、耳に残る曲だなと思っています。PassCodeの曲って、“サビはどこなん?”って聞かれることがあったり、サビがあっても1回だけだったりするんですけど、「Lord of Light」は転調したあとにまたサビがあったりするので、サビが耳に残るんです」

──PassCodeらしさがしっかりありつつ、新しいニュアンスも感じさせる楽曲だと思います。有馬さんのシャウトも、今回はさらに凄まじくて。

有馬えみり「シャウトボーカルの何がむずかしいかって、早いテンポの中に歌詞が詰め込まれた曲でタイトに叫ぶことなんです。「Lord of Light」は、そのむずかしさが顕著に出ている曲なんですけど、メロディの強さがあるので、その強さと相まってシャウトパートとの対比が際立つ楽曲になったなって思います」

南 菜生「最近のPassCodeの楽曲は、コロナ禍でくすぶっていたけど、だんだん世の中が元にもどってきて、次のステップに進むぞっていう、実際の状況を反映した歌詞が多いんですけど、「Lord of Light」もまさにそういう曲です。コロナ禍を経て、今の自分たちが歌うから意味のある曲になっていくと思うし、ライブで披露するのが楽しみですね。曲が進むにつれて、サビの歌詞の意味が明るくなって、心の移り変わりが表現されているんですよ。その徐々に力強くなっていく感じで、歌うたびに前向きな気持ちになっていく曲だなと思います」

高嶋 楓「4曲の中で、一番サビのメッセージ性が強い曲ですね。歌っていて、自分たちも頑張ろうと思えます」

──2曲目には、全編英語詞の「Melody from the Bumbling Clash」が収録されています。

高嶋「最近は全部英詞の曲がなかったので、覚えるのが大変でした(笑)。でも、やっぱり英語の歌詞はかっこいいし、この曲もライブで早く披露したいです」

南「今回の4曲はライブで盛り上がるタイプの曲ばかりだと思うんですけど、「Melody from the Bumbling Clash」はクラップとかで盛り上がるんじゃないかな。英語の意味がわからなくても聴いていて気持ち良さがあると思うし、歌っていても気持ちいいです」

有馬「今まではサウンドプロデューサーの平地孝次さんがシャウトのフロウを作ってたんですけど、この曲は私が自分で作っています。平地さんから“自分で作ってみない?”って声をかけてもらって、まだ歌詞がない状態の曲に英語でも日本語でもない“シャウト語”で発声して、それを録音して平地さんに送って。そのデモをもとに、歌詞を書いてもらった形です。私は普段からメタル系の音楽が好きで聴いているんですけど、最近のメタルコアには、シャウトボーカルのリズムに三連符を使うっていうトレンドがあるんですよ。そのトレンドを取り入れたシャウトを入れているので、そこはポイントだったりします」

大上「シャウトのあとに、ラップのようにものすごく速いテンポで歌うパートがあるんですよ。最初に仮歌を聴いたときに、これが人間にできるのかって思うぐらい、英語の歌詞が詰め込まれていて(笑)。でも、聴いているとすごく気持ちいいので、むずかしいとは思うけど、絶対に完璧に歌うぞって思ってレコーディングに臨みました。最初は速いからこそ発音に気をつけて歌ってたんですけど、最終的には平地さんのアドバイスもあって、発音の正確さよりも気持ち良さ優先で歌った形です。ライブでみんなにも“うわー!気持ちいい!”ってなってもらえるように、しっかり練習していきます」

──3曲目は、「パチンコ北斗の拳─暴凶星─」のテーマソングとして先行配信リリースされていた「MYTH」です。

南「主人公がケンシロウっていう名前だってことは知ってたけど、原作を読んだことはなかったんです。それでも、“あたたたたた!”ってフレーズは知ってて、そのフレーズが歌詞に入っているので、そこで『北斗の拳』に提供する楽曲だって実感が(笑)」

──そう考えると、「あたたたたた!」ってすごいですね(笑)。

南「それぐらいのキラーフレーズ(笑)。そんなキラーフレーズをオフィシャルで使わせていただく機会はなかなかないので、貴重ですよね。実は「MYTH」って、2021年リリースの「Freely/FLAVOR OF BLUE」「SIREN」のリリース前にはレコーディングが終わっていたんですけど、今やったらここはちょっと違う歌い方するかなとか、自分で聴いてその当時にハマってた歌い方のニュアンスに気づいたりもして」

──ファンは、その違いを発見するのも面白いですよね。

南「その歌い方の良さもあったりするので。あと、さっき陽菜子から早口で歌うパートの話がありましたけど、それまでだったら高嶋が任されるようなパートだったと思うんです。でも、「MYTH」では陽菜子がそのパートを歌って、陽菜子の幅が広がるきっかけを作った曲になったと思います。そのおかげで、PassCodeの幅も広がりました」

大上「私自身も、最初はこのパートは自分じゃなさそうだなって。でも、自分のパートだとわかって、いざレコーディングしてみたら本当に楽しくて。自分でもしっくりきたし、録り終わったあとに平地さんから“いいやん!”って言われて、うれしくなりましたね」

──4曲目は、EPのタイトルにも掲げられている「GROUNDSWELL」です。

南「1個目のサビの前半を私が歌っていて、2個目のサビの前半を陽菜子が歌ってるんですけど、けっこうレコーデイングが大変やったやんな」

大上「大変やった」

南「キーが高いし、パートもいつもより長尺で。平地さんに聞いたら、いつもより長尺なのは新しい挑戦の一つだって。さっきの陽菜子が幅を広げた話と同じように、いろんなパターンのバリエーションが増えていくのが、新しい楽曲の楽しさですね」

高嶋「「GROUNDSWELL」がリード曲だって言われたときは、「Lord of Light」のような突き抜ける感じの曲のほうがリード曲にふわさしいんじゃないかなって思ったんです。「GROUNDSWELL」は、今回のEPに収録されている4曲の中でも一番落ち着いていて、ダークめな曲だったので。でも、前作の「REVERBERATE ep.」が歌もので楽しい感じだったから、今回はその真逆を作るという説明を受けて、「GROUNDSWELL」がリード曲だということにしっくりきました」

有馬「ギターリフもハードでヘヴィだし、高嶋が言うようにダークめでトゲトゲした感じの曲です。でも、そのぶんサビになるとメロディが際立ってくるんです」

大上「私も、その対比が魅力の曲だなって思います。歌詞では、<あなた>という言葉が使われているのが、PassCodeとしては珍しいポイントです。PassCodeには自分の中でもがいている歌詞が多いんですけど、そこに<あなた>が入ることで自分だけの曲だけじゃないという感覚になります」

──歌っている心境も変わりますか?

大上「変わるというよりは……心が外に向けて解放される感じです」

有馬「この曲は振り入れがすでに終わっているんですけど、かなりレベルの高いダンスになっています。しっかり練習して、ライブではきちんと魅せたいですね」

南「早くライブで届けたいですね。「MYTH」は既にライブで披露しているんですけど、ほかの3曲がセットリストに入ることで、またライブの色が変わると思うので!」

高嶋「今年の後半もまだまだライブをする機会があると思うし、ファンの方たちもいろんな楽しみ方をしてくれると思います。PassCodeらしさを忘れず、これからもみなさんと一緒に楽しい空間を作り続けていけたら!」

大上「今回のツアーで約3年ぶりに歓声を聞いて、すごく感動したし、自分たちも鼓舞されています。これからも、もっといろんなところに久しぶりに会いに行きたいです!」

有馬「私はコロナ禍の時期に加入したので、マスクを外したファンの方たちの顔が見られるのがうれしいです。口元からも喜びの気配が伝わってくるようになったので。体も前より揺らしてくれるようになったし、レスポンスもたくさん返してくれて、それを自分たちも受け取ることができる。これからどんどん思い出を作っていきたいです」

南「コロナ禍の時期にリリースした楽曲は一緒に歌えなかったので、一緒に歌えるようになった今の状況でやっと完成形をライブで披露できているなって思います。コロナ禍でつまずくこともあったけど、一緒に歌えるまではやめられないと思って、必死に続けていきました。今は、続けてきて本当に良かったなと思えているし、これからさらにいい音楽を作ることができる、まだまだいい景色が見れると感じています。もっともっとPassCodeを続けたいし、たくさんの人に知ってもらいたいので、今年の後半はもちろん、来年もいろんな場所でライブができるように。そのために、今からスタッフさんと話し合ってます!」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/平野哲郎

LIVE INFOPassCode REVERBERATE Plus Tour 2023

2023年4月21日(金)宮城 仙台Rensa
2023年5月13日(土)福岡 Zepp Fukuoka
2023年5月14日(日)大阪 Zepp Osaka Bayside
2023年5月25日(木)愛知 Zepp Nagoya
2022年5月28日(日)東京 Zepp Haneda
2022年6月16日(金)神奈川 KT Zepp Yokohama
2022年7月20日(木)東京 Zepp Shinjuku

イープラス

DISC INFOPassCode「GROUNDSWELL ep.」

2023年6月21日(水)発売
初回限定盤(CD+Blu-ray)/UICZ-9235/6,600円 (税込)
初回限定盤(CD+DVD)/UICZ-9236/5,500円 (税込)
ユニバーサル ミュージック

PassCode「GROUNDSWELL ep.」

2023年6月21日(水)発売
通常盤(CD)/UICZ-4632/1,650円 (税込)
ユニバーサル ミュージック

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