――ミニアルバム『VOX BOX 2』のお話の前に、まず2024年の手応えを聞かせてください。
RYO-TA「“あ、もう2024年終わるんや!”っていうのを31日にギリギリで感じて。一年がフラッシュバック時に出てきたのはやっぱりライブですね。すごい数のライブをやらせていただいたし、ファンネームが“フランク一家”に決まったり、ファンクラブができたりして、ファンの方たちとの一致団結感がより強くなったというか…“大阪城ホールに行きます。目指してます!”って僕らの目標が、ライブのたびに“あ、この人たちがいるから俺ら行けるんや”っていうふうに変わっていくような一年だったと個人的には思います」
SNG「初めての海外のライブを台湾でさせてもらって。SNSの発信を続けていくうちに海外でも見てくださる方が増えて、実際ライブハウスに行くと待ってくれていたりして、本当に続けていて良かったと思いますし、同時に言葉が通じなくても音楽だけでどれだけ楽しんでもらえるのか?みたいなところは一段グッとレベルが上がる試練でもありました」
――SNSでは“歌ってみた動画”よりも自分たちのライブ動画が最近は多くなっていますね。
RYO「“車で歌っているお兄ちゃんたち”として自分たちの曲を広めていって、SNS上で完結しないようにっていうか…“そろそろ自分たちの曲をもっと世の中に広めていってライブに足を運んでもらわないとこのままじゃ2028年までに大阪城ホールに行けないよね“って話もしていて。なので、自分たちの曲を前より比重多めに発信しています」
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――前回インタビューでは、“あまりEPとかアルバムの違いは意識していなくて、毎回名刺代わりになる一枚を作っている”と話していましたけど、作品を重ねてくると入れたい曲が増えたり、アルバムの流れみたいなものも意識されたんじゃないかと思ったのですが。
RYO-TA「今回その結果ですよね、9曲って(笑)。やる気が顕著に現れています」
SNG「でも本当に自分たちからパワーが溢れているのをすごく感じていて。前向きな曲が出来上がった時に特にそうなんですけど、『VOX BOX 2』の収録曲をテーマだけで並べたときに、オレンジとか赤とか“自分たちが前に行きたい”っていう気持ちが出ていますし、そういうのがすごく溢れていた2024年の制作期間でした」
RYO「曲の作り方で以前と大きく変わったところは、前のEPをリリースしてから期限を決めて、一人3、4曲、サビだけでもいいからデモを作って持ち寄るようにしたことです。いわゆるストックを作った状態で持ち寄って、で、レコード会社のチームの皆さんと一緒に聴いて、“どれをはめ込んでいくか?”って作り方をしたのは今回が初めてでした」
RYO-TA「“どれだけ断片だったとしても持っていく“というようにして。各々聴いてきたジャンルとか育ってきたジャンルが全く違うので、全然違う視点からのヒントがあったりするのでこのやり方はやって良かったです。あと、収録曲が9曲になってしまったのはずっと”大阪城ホールに行くんやったらこういう曲いるよな“っていうのが誰かしらから毎日飛んでくるんですけど、それ以外に「闘う君への応援歌」っていうエールソングがすこし目に見えて結果が出たというのがあったんです。でも、自分たちの中では”まだ世間的にTHE FREANK VOXと言えばこの曲!“っていうのを絞り切ってはいけないのかな?って思いもあったので、色んな曲をまだまだリリースしていきたいのもあって9曲になりました」
RYO「ただ、「闘う君への応援歌」っていうどストレートな応援ソングを作った時に、“今の時代とマッチしているのか?”という賭けみたいなところがあって。でもSNS上で好評で、“時代とかってあまり関係ないよね”って感じがあったんです。結局、ネガティブなこと歌ったってハッピーになる人いないし、だったら前向きな言葉を波動に乗せて行ったほうが良くない?って意識は多分各々の中で生まれたかもしれません。だからこの9曲はSNGが言ったようなオレンジとか赤みたいな熱の入った楽曲が多く含まれているんだと思います」
――全て繋がってきていますね。
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――では『VOX BOX 2』の収録曲から、聴きどころの1曲をみなさんから教えてもらっていいですか?
YASU「僕は「鳴らせ」ですね。「闘う君への応援歌」を編曲して頂いたYANAGIMANさんにこの曲は編曲していただきました。曲の内容もそうなんですけど、歌に対して“どうやったら聴いている方に伝わるのか?“をテーマに置いてみんなで話し合いながらレコーディングしました。今回もYANAGIMANさんに歌のことで、グルーヴ感、リズム、ちょっとした語尾の掬い方とかアドバイスをいただいたことで全然違ってきていて。自分でも聴いた時に”確かに普段自分こんな歌い方はしないな“とか、今までだったら自分の”これが気持ちいい!“っていう歌い方で歌っていたものが、「鳴らせ」でまた一歩、歌に対してのレベルが上がったのかな?という手応えを感じた一曲です」
――「また、会おう」というタイトルも、そこに繋がる歌詞もいいですね。
RYO「この曲はYUTA(マエノミドリ)くんと共同プロデュースで初めてやってみて、メンバーには任せてもらったんですよ。で、個人的に“バイバイ”とか“さよなら”っていう言葉があまり好きではなくて…。なんだかちょっと突き放された言い方というか、今まで一緒にいたのに距離を感じちゃうというか。だから“またね”とか“また会おうな”っていう言葉の方がハッピーだなと思って、「また、会おう」って曲になりました。僕自身もみんなが各々持ってきたバースを聴いた時に、“SNGのこのバース、ハッピーやねんけど儚さも感じるワードもあって好きやな”とか“ここはRYO-TAっぽい視点で書いてていいな”とか、そういうのがいちリスナーとしてふんだんに詰まっている感じもあって。僕的にはこの9曲の中で一番思い入れの強い曲になりました」
RYO「僕は『VOX BOX 2』のリード曲「また、会おう」です。最初に“卒業ソングをその時期にリリースしよう”ってメンバーとチームのみんなで話し合って決めていたんです。“フラボと言えばこういう曲”みたいな…例えばエールソングだったりラブソングとか、自分たちで言うのもなんですけど別にどんなジャンルや枠組みの曲でも自分たちである程度の曲を作れると思っていて。でも、その中で新たに卒業ソングを作ってみて、自分たちで“これもフラボだぞ!”って胸張って言える曲になったという手応えはあります」
――YUTAさんと共同プロデュースしてらっしゃる部分ではどういうことが前進したと思いますか?
RYO「世の中に卒業ソングで有名な曲ってたくさんあるじゃないですか。欲をかいて言うとそこに入って行きたいです。“卒業ソングの定番ソングと言えばフラボの「また、会おう」だよね“って言われるように曲自体も育ってほしいと思っています。ただ、過去にある曲に肩を並べようと思うとサウンド的に昔の懐かしみはどこかにあっても本当に昔みたいな曲をやっちゃうと今リリースする意味がないというか…。そこはYUTAくんとすごく話して、ドラムのスネアの音一つもそうですけど、やっぱり今の十代の子が聴いても耳馴染みがある、でも30〜40代の人が聴いても、どこか懐かしさもある。そんなサウンドにしようと入念に考えました。今だけじゃなく、今後もずっと歌い継がれていくっていう意味ではクラシックな音色でも昔過ぎない今っぽいサウンドも時折聴こえてくるように…そんなところにすごく向き合えたので、そこは自分でも成長出来たのかな?と思うところです」
――この曲は皆さんのハーモニーもすごくいいですよね。その意味でTHE FRANK VOXがどういうグループなのか、強みが伝えられる気もしました。
SNG「タイアップもたくさんついているので、フラボの可能性を広げてくれた楽曲になっていると思います」
――タイアップは結果的についたっていう感じですか?
RYO-TA「曲を評価してもらえたというか…最初からじゃないですね」
――これからの季節にますますハマりそうです。
――SNGさんとRYO-TAさんはどうですか?
SNG「いや、本当に9曲全曲が宝物なんですよね、リード曲「また、会おう」を筆頭に。今日はじゃあ…「愛を唄おう」で。もともと結成当初から出来ていた曲ではあって、それをブラッシュアップして今、出させていただいたんですけど、“どうして今なのかな?、スタッフさんもGOを出してくれたのかな?”ってことを考えたときに、フランク一家の皆さんの熱とかがこの曲を世の中に出させてくれたと思っていて。楽曲としては大きなテーマで“愛を唄おうぜ”と言うよりも、身近な生活の中にある、席を譲ったり、おはようって声をかけたり、ありがとうっていう言葉だったり、そういう相手を思いやる愛に気づけばもう少し前向きになれるんじゃないか?ってテーマの楽曲なんです。今はSNSでネガティブなことがどうしても目に入ってしまうけど、そんな中でも僕たちはファンの人の温かい愛を目の当たりにしているので、胸を張ってこのメッセージを出せたというか…。温かい場所を探している人、フランク一家とかスタッフさん、応援してくれている関係者の方とかが、この曲をリリースまで持って行ってくれたっていう気持ちがすごくあって。大阪城ホールを目指していますけど、そういうあったかい人たちで会場を埋められたら、それは僕たちの音楽として、“やって良かったな”っていう未来に繋がるんだと思います。僕たちも愛について勉強中なんですけど、THE FRANK VOXの活動の根底には“愛”っていうテーマはあるので、この曲は全曲宝物のアルバムの中でも大事なテーマですね」
――以前からあったというのが意外なぐらいアレンジもすごく新鮮ですね。
SNG「MANABOONさんっていう素晴らしい方がアレンジに入ってくださったんです。RYOとYASUがずっとファンなんですけど、この曲が結構ゴスペルチックだったこともあって、この2人は“どうしてもMANABOONさんとやりたい!”と」
RYO「僕、R&Bがもともとめちゃくちゃ好きなので。もちろんMANABOONさんのことは存じ上げていたんですが、レコード会社のスタッフさんから“アレンジャーは誰にお願いしたいですか?”と聞かれたときに何人か候補はいただいたんですけど、“絶対にMANABOONさん合います、すごく良くなります! 化学反応が起きると思います!”っていうところからお願いさせていただきました」
SNG「とても素敵なトラックに編曲していただけて。レコーディングも同席していただいて、終始和やかな時間でした。本当に全部があったかい…」
YASU「愛に溢れる空間でしたね」
――RYO-TAさんはいかがですか?
RYO-TA「僕も9曲全部なんですけど、今日は…6曲目の「タノシミナハレ」で。『VOX BOX 2』って「ワッショイジャパン」とか、そういう激アップチューンが強みだとは思うんですけど、いい感じにそこまでテンポはないけど熱くなったり上がるような、別に歌詞の意味とかをそんなに気にしなくても楽しめる曲を作りたくて。僕、175RさんとかORANGE RANGEさんを幼少期に聴いていたので、バンドサウンドのリズムをうまく落とし込めないかな?って出来た曲です」
――タイトルのニュアンスが絶妙ですね。
RYO-TA「「タノシミナハレ」っていうのは僕のおばあちゃんがよく言ってる言葉なんです。“楽しみや〜”とかじゃなくておばあちゃんがずっと“楽しみなはれよ”みたいな感じで言っていて。と言うのも、僕が例えばテーマパークに行っても“今日の夜はどうする?”とか先のことをすごく考えるような子だったらしくて。“そうじゃなくて今を楽しみなさいよ”ってよく言われていて、その言葉って“楽しみな”よりスッと入ってくるので、もうタイトルは「タノシミナハレ」って最初に決めて、そこから曲に派生したっていう感じでした」
SNG「<タノシミナハレ、楽しめば晴れ>っていう歌詞がすごい好きです」
――最近、あまりにも現実が色々厳しいことが多いので、元気を出していきたいですよね。
――では、「ワッショイジャパン」についてお聞きしたいのですが、この曲は舞台『死は、ど真ん中に転げ落ちて』のテーマソングです。このタイアップの経緯というのは?
RYO-TA「先にお話が来て作り始めるっていう書き下ろしは初めてでした。
毎年愛知県で行われる“にっぽんど真ん中祭り”がテーマになっている舞台なんですが、こういうあらすじでっていうのと、こういう言葉を入れて欲しい、こういう曲調がいいっていうのを綿密に打ち合わせさせていただいて、そこから作り始めました」
RYO「もちろん舞台を盛り上げるっていう意味でも書いたんですけど、タイトル通り“日本中をハッピーにしたいぞ!”ってメンバー4人で話していて。だから全員は無理かもしれないけど、歌詞でも<やれるやつだけ重ねろ鼓動>とか、滾っているけど行き切れないような人たちにまずは火をつけていこうよ!みたいな。なんだかさっきの“今、現実が厳しい”っていう話とも繋がってる気がします。僕らもやっぱり日本が元気になったらいいなっていうのが音楽をやっている中でありますから」
――舞台の上演と共に、また新しいリスナーの人にTHE FRANK VOXの音楽が届きそうですね。
RYO「実際に舞台で2日間ステージで歌わせていただくんです。僕らが歌うところで剛力彩芽さんを筆頭に演者さんがダンスすることも決まっていて、とても楽しみです!」
――では最後に3月からスタートする全国15ヶ所にわたるアルバムリリースツアー『VOX BOX TOUR 2025 〜えっ、10000km ?! まだまだ届けに行きたくて♪〜』はどんな内容になりそうですか?
RYO-TA「これはもう結成当初から変わらずなんですけど、ライブが終わった後にみんなが第一声目に“楽しかったなあ!”っていうライブを、見に来るとかじゃなくて一緒に作りに来てほしいですし、一緒に作り上げたいですね」
RYO-TA「これ、僕ら4人で話してるんですけど、“なにか起こる気がする!”ってずっと言ってるよね? なにかはわからないですけど」
SNG「起こらなかったら笑ってください(笑)」
(おわり)
取材・文/石角友香
RELEASE INFROMATION
LIVE INFORMATION
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VOX BOX TOUR 2025 〜えっ、10000km ?! まだまだ届けに行きたくて♪〜
3月9日(日) 岐阜 岐阜Club-G
3月15日(土) 群馬 前橋DYVER
3月16日(日) 宮城 仙台LIVE HOUSE enn 2nd
3月20日(木・祝) 滋賀 滋賀U☆STONE
3月22日(土) 北海道 札幌CrazyMonkey
3月29日(土) 香川 高松sound space RIZIN'
4月5日(土) 広島 広島Live space Reed
4月6日(日) 岡山 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
4月12日(土) 京都 KYOTO MUSE
4月13日(日) 奈良 奈良NEVER LAND
4月20日(日) 東京 Shibuya WWW X
4月26日(土) 愛知 名古屋ElectricLadyLand
4月27日(日) 石川 金沢GOLD CREEK
4月29日(火・祝) 福岡 福岡The Voodoo Lounge
5月3日(土) 大阪 心斎橋BIG CAT