──4年半ぶりにして、現在の4人体制では初のアルバム『INSIGNIA』が完成しました。

南 菜生「4年半ぶりなので、自分たちでもどんなアルバムになるんだろう?って楽しみだったんですけど、それぞれキャラクターの濃い楽曲が集まったアルバムになりました」

高嶋 楓「4年半の間で、歌うときの感情表現の仕方が変わっているので、その変化がよくわかるアルバムです。メンバーの声がいつもより前に出ていて、それぞれの特徴もわかると思います。いろんなタイプの楽曲がある中で、私が大変だったのが「Echoes」。ゆったりした曲調なんですけど、リズムの取り方がむずかしくて…。私、早く歌いたくて歌が走っちゃうタイプなんです(笑)」

大上 陽奈子「私、「MIRAGE WALKER」のかえちゃんの歌を聴いて、今までにない歌い方で魅力的だなって思いました。力強くて、前よりも“大人の女”感が強まっていて。ライブではそういう変化を感じていましたけど、音源でもこの4年半の変化、成長を感じてもらえるなって思いました」

高嶋「レコーディングでディレクターさんに太くて強い声で歌うようにディレクションしていただいて、試した結果が表れているのが「MIRAGE WALKER」です。ライブでも、今回のレコーディングでトライした歌い方をしてみようと思います」

大上「私は、幅広いタイプの楽曲が収録されているのは、やっぱりアルバムだからこそ…“アルバムの良さってこれだよな”って思いました。“アルバム制作って、確かにこんなだったな”って、制作していて楽しかったです。有馬が作詞作曲した曲(「A certain Motor-Heart is not working right!」)があったり、新しい挑戦もしています」

有馬 えみり「PassCodeの振り幅が表現されつつ、1枚のアルバムとしてしっかりとまとまりもある作品になったと思います。今、大上が言ってくれたんですけど、今回は私が作詞作曲した曲が収録されていて。サウンドプロデューサーの平地(孝次)さん以外が作曲した楽曲は、「一か八か」(20194月リリースのメジャー2ndアルバム『CLARITY』に収録)以来で、かなり久しぶりなんです」

──作詞作曲を手掛けることになった経緯を教えてください。

有馬「最初は、平地さんとレーベルの担当の方に“デモを作ってみない?”と言われたんです。その時は、“できないです”って断ったんですけど、帰りのタクシーの中で“やっぱり作れるかも”と思って、タクシーの中でメロディとリズムを考えました。それから家に帰って、趣味でパソコンを使って作曲をしているので、メロディとコードとドラムを打ち込んだんです。でも、自分の中で“これだったら私が作曲する意味がない”と思ってしまって…」

──できた曲に、有馬さんらしさ、有馬さんじゃないと生まれないというような要素が薄かったんでしょうか?

有馬「そうです。それで、私が好きなクラシック音楽の要素…中でもバッハが一番好きなのを思い立って。バッハって、カノンという同じメロディが同じメロディを追いかけるような手法が得意なので、それをPassCodeの曲に使ったら面白いかな?と思って。新しい挑戦になりました」

南「今までのPassCodeになかった曲で、ライブでもセットリストのどこに入れるかでいろんな見せ方ができそうです。あと、私も前に作詞をさせていただいたんですけど、メンバーが作詞をした曲ってファンの人にとっても、他の曲とは違う思い入れがある楽曲になるんです。今回のえみりの曲は、シャウトの部分が本当に心の叫びって感じで、そこも新鮮に感じてもらえると思います。PassCodeの曲って、シャウトを楽器っぽく使っていたり、メロディを歌っているシャウトが多いので」

──新しい挑戦がありながら、ブレないPassCodeらしさも強烈に感じるアルバムです。

南「「Echoes」では、私たちの事務所の社長の法橋(昂広)さんが久しぶりに作詞しています。インディーズ時代は、法橋さんが全部書いてたんですけど。「Echoes」は、法橋さんが歌詞を書いているインディーズ時代の楽曲「over there」、「from here」、「オレンジ」と同じ世界線の歌詞なんです。平地さんが、その3曲と同じ世界線の続編を今のPassCodeに向けて書いてほしいと法橋さんに依頼して、それが実現したのが「Echoes」です。昔の法橋さんの歌詞は未来への願望を描いた歌詞、“こうなったらいいな”という内容だったんですけど、「Echoes」は“これまでの自分たちの歴史、経験のすべてを抱きしめて、過去を大事にしながら今をもっと大事にする”という歌詞で…グッときましたね。メンバー編成が変わったり、他にも大変なことはたくさんあって、やめるか続けるか迷ったときもありました。でも、続けてきて良かったと思いました。辿ってきた過去がありつつ今があって、この先の進化がある。そういうPassCodeであることが、続ける理由なんだとも思いました」

──初回限定盤には、昨年のアジアツアーファイナルのZepp Osaka Baysideでのライブ映像がパッケージされています。

大上「私たちは何も飾らず装飾なし、身一つでライブをすることが多いいんですけど、このファイナル公演ではセットを組んでいただいて。階段のあるステージは(2022年2月12日に開催した)日本武道館以来です。ショー感が強まって、楽しんでもらえると思います。セットに合わせていつもの振り付けを変更してパフォーマンスしているので、ちょっと緊張している感じも映像から感じられるかも(笑)」

南「ファンの方も“こういうPassCodeも見たかった!”って、すごく喜んでくださって。やって良かったです。(ライブ映像に収録されている)「TRICKSTER」のライティングも珍しいので、注目して見てほしいですね」

──5月24日からは、全国13ヶ所を巡る「PassCode DESTINY to the NEXT TOUR 2025」もスタートしています。

高嶋「それぞれの会場で、アルバムの曲にどんな反応があるのか。それがすごく楽しみです」

有馬「アルバムの振り幅をツアーを通して表現していきたいです。セトリも変わっていくと思うので、それも楽しんでもらいたいです」

大上「ライブで聴いたことがない曲が多いのはお客さんも楽しいと思いますし、私たちもライブを重ねながらアルバムの曲たちを完成させていくのが楽しみです!」

南「アルバムの1曲目の「DESTINEX」は、ファンの方から声を募集して曲に入れているんです。音源ではたくさんのファンの声が一つになっているんですけど、ライブではどんな声量でどんな盛り上がりになるのか?…それぞれの会場で楽しみです。あと、広島でライブがあるんですけど(7月6日(日)の広島 LIVE VANQUISH)、ご当地料理のウニホーレンを食べるのが今から楽しみです! ウニホーレン、この世の料理の中で2番目ぐらいに好きなので! ただ、大上がウニアレルギーだということが最近判明して…」

大上「広島の楽しみだったのに…横で見ています(笑)」

南「大上の分までいっぱい食べます(笑)」

──ツアータイトルにもある“DESTINY”に紐づけた質問ですが、みなさんがPassCodeに“運命”を感じた瞬間はきっとあると思います。

有馬「すごくありますよ! 私はもともとバンドマンだったんですけど、PassCodeを知って“アイドルもシャウトしていいんだ”と思って、その頃に所属していたグループで“シャウトするアイドル”を始めました。そのグループが活動休止した日とPassCodeが日本武道館ライブの開催を発表した日が同じ日だったんです。それから1年半後くらいに、“もう表に立つのはやめよう”と決めて、求人雑誌で就職先を探しているときに、PassCodeの新メンバーにならないか?と誘われたんです。あのとき、もし就職が決まっていたら、たぶん断っていたと思うので、絶妙のタイミングでの誘いでした。だから、PassCodeには運命を感じます」

南「運命ってあらかじめ決まっていたことだと思われますけど、PassCodeの運命は待ってるだけの運命じゃなくて、自分たちから迎えに行く運命なんです。“ここからどこに進みたいか“、“こういう自分たちでいたい“、“そこに必ずたどり着くんだ“って強い意志を持って、無理だと思っても言葉にして言い続けて、必死に切り拓いていく…それがPassCodeが求める運命だと思います」

──PassCodeの活動以外で運命を感じることもありますか?

高嶋「東京って、美容院がとても多いじゃないですか。それなのに、南と同じ美容院に1日違いで、しかも同じ担当の人で行ってたことがあって。お互い、どこの美容院に行ってるか知らなかったのに。あれは驚いたよね」

南「びっくりした! 寄っていっちゃうのかもね(笑)」

高嶋「あと、私のお姉さんと南の妹さんが、たまたま同じ会社で働いていて…」

南「楓のお姉さんが職場で“妹が武道館でライブをする”って話しているのを、私の妹が偶然耳にして。そしたら、そのグループがPassCodeだってわかって、まさか同じ職場にメンバーの姉と妹がいたっていう(笑)」

大上「本当にすごい運命(笑)」

──ツアー後、11月9日には日本武道館以来のアリーナ公演となる、横浜BUNTAIでのライブが決定しています。

大上「ツアーのあとのBUNTAIなので、アルバムの曲をライブで完成させたパフォーマンスを見ていただける思います。武道館はコロナ禍でお客さんの声が聞けなかったので、今回はみんなの声を浴びられるのが楽しみです!」

有馬「武道館は私が加入する前から決まっていたライブだったので、個人的には今回が加入してから初めてのアリーナだと思っています。すこぐ気合が入っています!」

南「2025年の集大成でもありますし、この十数年で築き上げてきたものを全部見せられるようなライブにしたいですね」

高嶋「BUNTAIを発表したとき、自分たち以上にファンの方が喜んでくださったんです。そんなファンのみなさんを満足させて、“この先もPassCodeについていくぞ!”って思ってもらえるようなライブをします!」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/中村功

RELEASE INFORMATION

PassCode『INSIGNIA』初回限定盤(CD+Blu-ray)

2025年6月18日(水)発売
9,350円(税込)

初回限定盤(CD+Blu-ray)

PassCode『INSIGNIA』通常盤(CD)

2025年6月18日(水)発売
3,300円(税込)

通常盤(CD)

LIVE INFORMATION

PassCode DESTINY to the NEXT TOUR 2025

5月24日(土) 神奈川・横浜BayHall
5月31日(土) 兵庫・Harbor Studio
6月1日(日) 大阪・GORILLA HALL OSAKA
6月19日(木) 北海道 cube garden
6月21日(土) 北海道 小樽 GOLDSTONE
6月28日(土) 京都 KYOTO MUSE
6月29日(日) 静岡 LIVE ROXY SHIZUOKA
7月5日(土) 福岡 BEAT STATION
7月6日(日) 広島 LIVE VANQUISH
7月11日(金) 宮城 仙台Rensa
7月12日(土) 福島 郡山Hip Shot Japan
7月18日(金) 愛知 THE BOTTOM LINE
7月23日(水) 東京 Spotify O-EAST

PassCode DESTINY to the NEXT TOUR 2025

PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025 “DESTINEX”

2025年11月9日(日) 神奈川 横浜BUNTAI

PassCode YOKOHAMA BUNTAI 2025 “DESTINEX”

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