――前作『CHASER』からおよそ1年9か月ぶりとなる『JACK POT』。デビュー3周年を迎える年にリリースする作品として、どのようなビジョンを掲げて制作していましたか?

佐野文哉「僕たちの色、いわゆる“勝気マインド”は出していこうっていうのは大前提としてあって。そこにさらに付加価値として、ライブでみんなで声出して盛り上がれそうな楽曲が欲しかったんです。やっと声出しができる環境になってきたので、曲選びの時にはそういう視点でも(デモを)聴くようになりました」

――浦野(秀太)さんはどうですか?

浦野秀太「今、文哉が言ったこととちょっと似てるんですけど、やっぱりライブで映える曲が欲しい…」

佐野「似てるじゃなくて、一緒じゃないか(笑)」

全員「(爆笑)」

浦野「ごめん、ごめん(笑)。ライブ映えするような楽曲っていうのもあるんですけど、今回の制作期間が『OWV LIVE TOUR 2023 -CASINO-』とかぶっていたので、ゲーム性を意識した曲選びにもなった気がします」

佐野「例えばどの曲にゲーム性がある?」

浦野「んー…「Gamer」とか。さらに、 “宝箱”を意味する『JACK POT』という名前通り、他にもいろんな曲がジャンルレスに収録された入った1枚になったと思います」

――前作と比べて大きく変化したと思うところはどういう部分だと思いますか?

中川勝就「歌に対しての理解度は変化してるかな?と思います。前のアルバムの時から、レコーディングからトラックダウンまでの過程を自分たちでも参加させていただいていて、それによって自分たちの中での音楽的感性もより磨かれたというか。それが今回、音作りへのアプローチにすごくつながっているなっていうのは、制作しながらもですし、完成したものを聴いてもすごく感じました。特に、このアルバムで新録となる「Gamer」や「Better Day」、「Last scene」は、自分たちの実力を出せたというか、より良いものに仕上がりました」

――今作では新しいクリエイターの方も多く、それがジャンルレスな仕上がりにつながっていると思うのですが、同時にOWVとしての一貫性も感じます。楽曲を選ぶ際、そのバランスはどうコントロールしているんですか?

本田康祐「フィーリング、ですかね。楽曲は、“ライブ映えするような曲”っていうのもそうですし、他にも“表題曲はこういうテンションで行きたい”とか、“こういう曲があるから、こういう曲も欲しい”というのをスタッフと話し合って、楽曲を選んでいきました。いろんなジャンルがありますが、自分たちで選んでいるので一貫しているものはあると思います」

佐野「たぶん、4人の好みが近しいっていうのもあると思いますね」

――今作のリード曲「Gamer」はどのように決まっていったんですか?

本田「ライブで欲しかったサウンドが「Gamer」でしたね」

浦野「本当、それを意識したよね」

本田「バンドサウンドなので、生バンドでやっても強そうだし、ライブで音圧が強ければ強いほどカッコ良くなりそうな曲なんです。どこに行ってもいろんな顔をしてくれるのが「Gamer」だなっていうのは、初めて聞いた時のサウンド感でビビビビッときました」

浦野「いや、ビが多いな(笑)」

佐野「ビビッときた、ね(笑)」

浦野「でも、確かにみんな一致で“これで行こう!”ってなったよね」

――「Gamer」はそれこそ『OWV LIVE TOUR 2023 -CASINO-』で披露されていましたが、QWVのみなさんの反応はいかがでしたか?

佐野「“ここでこう盛り上がってもらいたいな!”って僕たちが思っていたところを、すごい早い段階でわかってくれたのがうれしかったですね」

浦野「あと、コレオは「UBA UBA」と同じkazukis**t kingz)さんに作っていただいていて。イントロ部分の振りにすごく爆発力があるなって思っています。4人が横向きになっているところから始まるんですけど、パフォーマンスする身としては、あそこで一気にみんなの心を掴んでるなっていう感覚があります」

佐野「あと、僕らの場合、サビで互いに目を合わせられるような余裕感のあるダンスチューンってあんまりなかったんですけど、この「Gamer」に関してはそれがあるっていうか。いい具合に僕らがアイコンタクトを取れたり、なんならQWVのみんなの顔も見れる振り付けになっていて。“これがOWVです!”というような自分たちのパフォーマンスを披露するダンスチューンより、みんなで一緒に楽しく盛り上がれる楽曲になったと思います」

――「Gamer」はMVも撮影されたとのこと。見どころや、撮影時のエピソードを教えてください。

佐野「ダンスチューンなので、僕らのパフォーマンスがふんだんに見られるMVになっています」

中川「あと、ドローン使ったよね。OWVの撮影だと初めて?」

本田「いや、「Time Jackerz」でも使ってるから、2回目だね」

浦野「そのドローンでいろいろハプニングがありましたね」

――ハプニング!?どんなことがあったんですか?

浦野「臨場感を出すために結構ギリギリのところに飛んできて、音と風がすごかったっていう」

中川「しかも、ドローンが大きくて、スピードも結構速くて」

浦野「だから、”身体に当たるんじゃないか?”って怖くなって中断するっていうのが、ちょこちょこありました(笑)」

中川「ドローンを操縦してる方は、僕らのフォーメーションを知らないからね。操縦する人が撮りたい画と、こっちに行かなきゃいけないっていう僕らの動きとのせめぎ合いでした(笑)」

浦野「そこも注目してほしいですね」

中川「そこは映ってないって(笑)」

浦野「そっか(笑)。じゃあ、ドローンが撮影したシーンでは、裏でこういうことがあったんだなって思ってください(笑)」

――(笑)。『OWV LIVE TOUR 2023 -CASINO-』では「Gamer」の他にもアルバムに収録されている新曲が数多く披露されていました。リリース前の楽曲をライブで行うことはチャレンジングだと思うのですが、ライブをしてみてどうでしたか?

本田「今回のツアーでは1曲目に「Gamer」を入れていて、QWVのみんながこの曲を初めて聴く瞬間に立ち会えたっていうのは、作り手としてはすごくうれしいことでした。これからも何曲かは(ライブで初披露する曲を)やっていきたいなとも思います。新曲をライブで初披露するっていうのは確かに挑戦ではあるんですけど、“直にQWVの反応を知る大切な場だったんだな”ってことを、今回学んだので。本当は、ライブでいろいろ試しながら、その後にレコーディングするっていうのもしてみたいんですけど」

――そうすると歌い方や解釈も変わってきそうですね。

本田「そうなんですよね。『JACK POT』の収録曲でも、“ライブで盛り上がったからこういう歌い方のほうがよかったな”っていうのは若干あるので…。今回やってみてそう思ったので、次からそういった挑戦もできたらいいなと思います」

――再びアルバムのお話に戻りますが、収録曲の中で自分が一番好きな楽曲や、「自分のココを聴いてほしい!」と思う楽曲とそのパートを教えてください。

本田「僕は「Here & Now」です。この曲はいろんな方に好かれるような曲調なので、僕らのことを好きでいてくれる方はもちろん、OWVを知らない人にも聴いてほしいです。あと、<Well make it known OWV taking over>って、歌詞の中に僕らのグループ名が初めて入った曲でもあるんです。そういう意味では僕らにとってもすごく大切な曲。OWVらしい1曲になっているので好きですね」

佐野「僕は「Gamer」のサビの部分で、<Game on baby>から最後の<逃さない絶対>までを注目してほしいです。楽曲のコンセプトに合う声色で歌ってみたので。QWVのみんなには要チェケでお願いしたいですね」

中川「僕の推しポイントは、「Better Day」のサビでの伸びやかな声。ハイトーンで歌ってるんですけど、自分の中では、聴いてくれているみなさんの耳を包み込むようなイメージで歌ったので、注目してみてください」

浦野「僕は「Last scene」が好きです。実は、アルバムの中で一番最後に選んだのが、この曲なんです。YVES&ADAMSさんが僕たちの楽曲に初めて歌詞を書いてくださったんですけど、言葉の言い回しとかフローとかがすごくオシャレなんです。でも、レコーディングではスランプに陥りました。なんか、歌い方がよくわからなくなっちゃって…」

中川「歌い方がよくわからないって、字面だけで見たらインパクトありすぎや(笑)。でも、言ってる意味はわかる。発声の仕方を意識しすぎて…」

浦野「そうそう。なので、自分の歌い方をもう一度見つめ直せた曲でした」

中川「秀太は自分の声色をもっと理想とするものに変えるため、ずっと努力していたんですよ。それが、「Last scene」の時は、逆にあまりよくないほうに出ちゃった時期だったんだよね」

浦野「スランプに陥るところから回復するところまで、「Last scene」で全部行われましたね(苦笑)。そういう意味でもすごく思い入れがある1曲なんですけど、特に<Climax 飾るKiss 焼き付けて Break my heart yeah>のところは、このフレーズの中でファルセットのバランスをいろいろ変えながら歌ったので、ぜひ聴いてもらいたいですね」

――この「Last scene」と、もう1曲「Weekend」は、まだライブでも披露されていませんね。「Weekend」はイントロから楽しい雰囲気のサウンドになっています。

浦野「「Weekend」は掛け声するところもいくつかあります。でも、そこはこっちからココっていう指定はしないので、みんなが言いたいタイミングでレスポンスしてほしいですね」

佐野「それが僕らからの“Mission3”だよね」

浦野「Mission 12は歌詞にあるからね。でも…みんなが言わないところでレスポンスしちゃったらちょっと恥ずかしくない!?」

中川「恥ずかしくない!」

本田「そこは感覚でビッとね」

浦野「いや、ビが少ない!さっき4回言ってたじゃない(笑)」

佐野「仮想通貨かと思った(笑)」

本田「それはビットコインね(笑)」

浦野「ビッとでもビッとじゃなくても(笑)、自由にレスポンスしてもらって、みんなで楽しみたいですね」

――また、アルバム『JACK POT』はバラエティ豊かな収録曲に加え、ジャケット写真もゴージャスな仕上がりになっているのが印象的でした。こうしたアートワークにもみなさんの意見が反映されているんですか?

佐野「そうですね。楽曲以外のところに自分たちが関わっていく面白さっていうのもありますし、あとは長い目で見て、今のうちからいろんな方々とお話ししながら進めていくことが、未来への投資になると思っているので。まだまだ未熟ではあるんですけど、アートワークの面にも関わらせていただけるのはありがたい経験です」

――初回フラッシュプライス盤、初回限定盤、FC限定盤の3種類が用意されていますが、それぞれのこだわりは?

佐野「FC限定盤では僕らと目が合うかどうか、いろいろな角度から眺めてほしいです」

本田「いや、2Dなんだから無理でしょ(笑)。文哉に関しては前髪で目が隠れてるから、どう頑張っても目は合わないし(笑)」

中川「目が合ったら報告してほしいです(笑)。あと、初回限定盤に散りばめられている金テープが何枚あるかもわかったら教えてほしい(笑)」

佐野「ライブで飛ばす金テープの量の参考にします(笑)」

本田「じゃあ、初回フラッシュプライス盤のりんごがどこ産かもわかったら教えてもらいたいですね」

中川「確かに(笑)。一応、僕らは答えを知ってるんで」

浦野「ということで、今から記事に書く内容を…」

本田「え〜、ここまでのくだりも全部書いてほしい(笑)」

――いろいろ出てくるなぁと思いながら聞いてました(笑)。それらの真偽のほどは別にして(笑)、それだけ思い入れがあるってことですよね。

中川「そこはやっぱり、すべての工程に関わらせてもらっているからこそだと思いますね」

――デビュー3周年にあたる今年も下半期に突入。残りの2023年をどんなふうに駆け抜けていく予定ですか?

本田「計画中のことはいろいろありますけど…言えません!(笑)」

――そこをなんとかお願いします(笑)。

本田「そうですよね(笑)。やっぱり、せっかくアルバムも出しますし、このアルバムを名刺代わりにじゃないですけど、いろいろなイベントを通してOWVをもっとより多くの方々に届けられたらいいなと思います。今年はツアーをはじめ、上半期からいろんなことをやらせてもらってたんですけど、今後も夏フェスだったり、年末のイベントだったりにたくさん出させていただけたらうれしいです。もしかしたら、僕たちも単独ライブをやるかもしれないですし…」

中川「まだわからないですけどね」

本田「本当、まだわからないんですけどね。でも、もしやることになった時には、ぜひ遊びに来てほしいなと思いますので、2023年、最後までよろしくお願いします!」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/野﨑 慧嗣

OWV『JACK POT』 × radio encore
近日公開!

RELEASE INFORMATION

OWV『JACK POT』

2023年719日(水)発売
初回フラッシュプライス盤(CD only)/UMCK-72082,200円(税込)
ユニバーサルミュージック

OWV『JACK POT』

2023年719日(水)発売
初回限定盤(CDBlu-ray)/UMCK-72074,800円(税込)
ユニバーサルミュージック

OWV『JACK POT』

2023年719日(水)発売
FC限定盤(CD+Blu-ray)/PROS-1926/5,800円(税込)

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