――ソロとしてのデビュー曲となる「ホントの私」は、とても元気が出る曲ですね。ドラマ『パパとムスメの7日間』のエンディングテーマとなっていますが、どのように制作を進めていったのでしょうか。
「実は15年前にオンエアされていたこのドラマを家族で観ていたんです。私自身、ドラマを見るのが大好きなんですが、そのなかでもこの作品は、内容をはっきり覚えているくらい好きな作品だったので、今回令和版の“パパムス”をやるというニュースを見て、視聴者として楽しみにしていたんです。そしたら、エンディングテーマのお話を聞いて、本当に驚きました」
――好きなドラマだからこそのプレッシャーはありませんでしたか?
「たしかに、大好きなドラマだったので、私が担当して大丈夫かなという思いはあったんです。でも、この曲がソロとしてのメジャーデビュー1曲目ということもあり、絶対に妥協せず、自信のある曲でスタートしたいと思っていたので、ものすごく気合いが入りました」
――気合は大事ですからね!
「はい! ジャケット写真も、アーティスト写真も、自分から“こうしたい”という案を自分で考えて、スタッフさんに提案したんです。頭の中で衣装もすべてイメージができていたので、それを本当に忠実に再現していただいたので、チームにも、ものすごく恵まれたなと思ったんです」
――それは曲を聴いて、浮かんだものなのでしょうか?
「そうですね。この曲はお花がモチーフというわけではないんですが、“華やか=お花”というイメージがあったんです。さらに、恋ってなんだろうと思った時に、高校生の時に付き合っていた方が、記念日に花をくれる方で、それが当時、すごくうれしかったんですよね。それもあって、好きな気持ちや、大切なことを祝うときのお花ってすごく素敵だなって思い、このメジャーデビューという大切な時と、ラブソングにかけて、思い浮かんだお花を入れさせていただきました」
――しっかりとやりたいことが具現化されているんですね。
「もちろん、探り探りではあるんですが、今、セルフプロデュースした“まるり”が、本当に上手く表現できたんじゃないかなと思っているんです。ひとつ前のアーティスト写真は、メイクも濃くて、より気合いが入っている感じだったんですが、今回はすべてがナチュラルなんです。とくに飾ることのない、素顔のまるりを知ってもらいたいという意味も込めたので、これからは、いろんなまるりを見せて行きたいなと思っています。
――まさに、「ホントの私」なんですね。
「はい(笑)」
――あらためてこの曲について聞かせてください。「ホントの私」に入れたかった言葉などはあったのでしょうか。
「正直、こういう言葉を入れようと言うことはなかったんですが、設定として、両想いの甘酸っぱいところをフォーカスしようと決めてから、歌詞を書き始めました」
――好き過ぎて突っ走っているかわいらしさが、たまらなく愛おしかったです。
「あはは。嬉しいです。悲しい片想いにはなり過ぎたくないなと思ったので、すごくポジティブな気持ちで書くことができました。恋愛って、上手くいかない時もあるけれど、それはあなたを好きだからこうなっちゃったという、すべてをプラスに考えられるような恋を描きたかったんですよね」
――いまは活動休止中のまるりとりゅうがの曲が、ネガティブな曲や切ない曲が多かったからこそ、すごく印象的に響きました。
「そうですね。いまはユニットの時から知ってくれてる方が、応援してくれていることが多いんですが、その方達に、“まるりちゃんが1人になったからこそ歌える曲だよね”と言ってもらえるような曲を前提に歌っているんです。1人になったからパワーが下がっちゃったなって絶対に思われないような、ある意味“まるりちゃん1人だから完結したよね”と思われるカラーを、しっかりと入れ込めたような気がします」
――ソロだからこそ出来ることも増えたと思います。よりワクワクしているのではないでしょうか。
「そうですね。ソロになることで、作詞は自分でしていきたいと強く思ったんです。もちろん、いただいた歌詞を歌うのも楽しいですが、自分が作詞をした曲を歌うと、また違う感覚になれるんですよね。演じていた部分が、本当の素顔になるような感覚になったんです」
――自分で作るからこその裏設定も生まれてきますよね。
「ありますね(笑)。自分にしか分からないこともたくさんありますし、裏設定を作るのはかなり面白いなって思っています。いまは、いろんな状況を歌詞に落とし込むことがすごく楽しいんです」
――歌詞を書いていると、自分の内面がより見えてくると思うのですが、いかがですか?
「たしかに、そうなんですよ。普段の私は、あまり落ち込んだりはしないんです。つねに笑っていることの方が多いんですよね。それは意識しているわけではなく、本当に自然体なんです。でも、作詞をすると、あまり明るい自分は出てこないんですよ。それよりも、内側に秘めているものが出てくるんですよね。それからは、普段誰にも言えないようなことが、歌詞になったり、曲になったりするんだろうなって思うようになりました」
――普段は誰にも見せていない、日記のような?
「まさに、そうですね。自分の秘密を作品にしていく未来が見えているから、日記という言葉はすごく相応しいなと思います。自分から出てくる新しい言葉たちに、すごく刺激を受けています」
――きっと受け取る人たちにも、“まるりちゃんにこういう一面があったんだ!”って思われることもありそうですね。
「そう思います(笑)。この曲がすべての始まりですし、想像よりもメジャーデビューをすることができた時期が早かったので、これからもこの波に乗っていけたらいいなと思っています」
――はじまりの曲のタイトルが「ホントの私」になると、より意思表明のように取られますよね。
「そうですね。曲や歌だから伝えられることってたくさんあると思うんです。直接やと、言い辛いことも曲だから言えることはたくさんあると思うんです。そういう、言葉にするのが苦手な恋する人たちの応援歌になってもらえたら嬉しいですね」
――いま、歌詞を書くのがすごく楽しくなっているんですね。
「楽しいです。自分が書いた歌詞が、作品になって届くということは、前ももちろんやっていましたが、すごく新鮮なんです。自分の人生が音楽で溜まっていく感覚、ストックされていく感覚が不思議なんですよね。こうやって残していくことを選んだのも自分なので、みんなの大切な曲となってくれたら最高だなと思っています」
――MVはどんなものに仕上がりそうですか?
「実はつい先日、撮影をしたばかりなんです。これが、めっちゃかわいいんですよ! めちゃくちゃキュートで、ポップなんです。かわいいものが好きな子にはハマってもらえるはずの世界観になっているんです。私自身、ピンクが大好きなので、女の子の秘密基地のようになっているんです。そこで恋をしていることがしっかりと再現できて本当に満足しているんです。それに、このドラマがなかったら生まれていない曲なので、出会いに感謝しています」
――このMVのイメージもしっかり伝えたんですか?
「はい。監督さんが、私のイメージをさらに何倍にも膨らませてくれて、ドリーミーな世界観にしてくれたんです。ちょっと贅沢な時にやるようなアフタヌーンティーのような、ドレッサーでメイクするような、ラグジュアリーな世界が伝わったら嬉しいです。私の目標として、令和の歌姫になりたいんです。その願望がしっかりと出たMVになりました」
――ビジュアルやライフスタイル含めて、目標にしたい歌姫って、今はパッと思いつかないからこそ、絶対にいい目標ですね!
「ありがとうございます。安室奈美恵さんや浜崎あゆみさん、西野カナさんなど、ギャルで歌姫という大きな目標があるんですよね。私はいつかみなさんのような存在になって、みんなに元気を与えられる歌姫になりたいなって思うんです」
――その強い意思は絶対に大事ですよね。
「はい! 頑張ります!」
――そんなまるりさんが、いまいちばん番大事にしているものはなんですか?
「ヒールの靴です。私はヒールを履くとすごく頑張れるんですよね。上京して、オーディションをたくさん受けている時に、お母さんが買ってくれた素敵なヒールの靴を必ず履いていたんです。そのヒールを履くと、落ち着くし、受かる気がしていて。その名残があって、いまはヒールを履いていないと、自信が少し無くなってしまうんです。カラコンもネイルも同じで、私にとっての戦闘服なんですよね。きっと、これはしばらくやめることはないと思います。いつか、素顔の自分に自信がついたら、またひとつ大きくなって、この戦闘服が脱げる日もくるのかなと思うんですが、それまでは私が思うかわいいを大事に、進み続けたいと思っています」
(おわり)
取材・文/吉田可奈
写真/平野哲郎
まるり「星のタイヨウ」
2022年10月19日(水)配信
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