――Yurinaさんは、2014年の全日本国民的美少女コンテスト演技部門賞受賞を契機に女優やモデルとして活躍する一方、2021年「Girls Planet 999:少女祭典(ガルプラ)」にも参加していましたが、もともと歌手になりたいという想いがあったんですか?
「好きなアーティストやアイドルの方はいたんですけど、その職業に自分がなりたいっていうのはありませんでした。でも、芸能界に入って、第13回と第14回の全日本国民的美少女コンテストのファイナリストで構成されたX21っていうアイドルグループをやらせていただいたときに、ステージに立ってパフォーマンスをするのが楽しかったり、ライブで生まれる一体感がすごく気持ちよかったりして。X21の解散後、女優業をしながらも、心のどこかで“また音楽をやりたいな”っていう気持ちがずっとあったんです。そんなときにガルプラのことを知って、思い切って応募しました」
――そしていよいよ今年3月にデジタルシングル「Look At Me」でソロアーティストデビューしたわけですが、ソロアーティストとしてデビューすることが決まったときは、うれしかったんじゃないですか?
「でも、正直ソロでやろうとは思ってなかったんです。日本でのアイドル活動もグループでしたし、ガルプラもグループのメンバーになるためのオーディション番組だったので。それに、ソロでやっていくために必要な実力だったり、責任の重さだったりっていうのは、本気で音楽をやりたいと思っているからこそ、その厳しさがわかって……だから、最初に“ソロアーティストとしてどうですか?”と言われたときは、今の自分の実力では到底できないなって思ったんですよね。でも、レコード会社の方からの熱い想いを受けて、改めて自分が何をしたいのか考えたとき、ファンの方の“音楽をしてる川口ゆりなを見たい”という声が多かったのと、やっぱり私自身も音楽を諦められなくて。特に、ファンの人たちの声に早く応えたいって気持ちが大きくて、そのためにはソロアーティストとしてデビューすることが一番早く、みなさんが求めてくださる“音楽をしてる川口ゆりな”をお届けできるかなと思って決断しました」
――デビュー曲の「Look At Me」はクールかつダンサブルな楽曲で、デビュー以前のYurinaさんのイメージとちょっと違いますよね。実際にデビューして、周囲の反応はどうでしたか?
「「Look At Me」は、ソロアーティストとしてやっていく覚悟や、これまでの私とは違うよっていうのを見せたくて、敢えて真逆のイメージにしたんです」
――それってすごく勇気のいることだったんじゃないですか?
「そうですね。そもそも私がソロアーティストとしてデビューすることをどう思うかな?とか、「Look At Me」に対してどう反応してくれるんだろう?とか、ファンのみなさんの気持ちを考えると不安で。また、私自身もリリース前はデビューする実感が湧いてなくて、自分の中に迷いというか、怖さみたいなものがありました。でも、楽曲をリリースして、ガルアワ(Rakuten GirlsAward 2022 spring / summer)で楽曲を披露させていただいてっていう、アーティストとしての活動をいろいろ経験させてもらってから、少しずつ少しずつ、そういった不安もなくなっていって。それこそガルアワのステージに立った瞬間、自分のアーティスト活動の目標がクリアになったんですよね。なので、「Look At Me」みたいな曲をデビュー曲に選んでよかったなって思いました」
――デビューからわずか3ヵ月、配信は6月20日、CDシングルは7月20日発売ということで、早くも新曲「Cherish」がリリースされます。この楽曲もまた「Look At Me」とは印象が……
「また逆を行ってますよね(笑)。「Cherish」のほうは、ガルプラで私のことを知ってくださった方たちにはイメージしやすいんじゃないかなって思います。自分的にもナチュラルに表現できる楽曲なので、歌い方や振り付けも、テクニックを駆使するというよりは感情を大切にしながらやりました」
――ナチュラルに感情を出すという意味では、レコーディングも苦労はなく?
「確かにテクニック的な部分ではあまり苦労しないでできたんですけど、この曲が持つキラキラ、ときめき、温かさ、柔らかさ、爽やかさみたいなものを声だけで表現するのは大変でした。感情を声に乗せるとなると、普通のリアクション以上に気持ちを込めて表現しないと、声には表れないので。ボーカルディレクションをしてくださる方に“もっとときめきを感じて!”“もっとキラキラして!”って言われながら(笑)、何テイクも録りました」
――そう言われたとき、Yurinaさんの中で何か具体的に思い浮かべたものはありましたか?
「レコーディングブースって本当に密室で、1人きりの空間なんですよね。目を開けて歌っちゃうと、目の前が壁だったりとか、レコーディングブースのリアルが目に入ってきて難しかったので、目を閉じて歌いました(笑)。ライブをしているところを想像してたんですけど、このときはまだガルアワ前だったから、ガルアワのステージからの景色はこういう感じかな?ってイメージしながら。想像力も鍛えられましたね(笑)」
――「Look At Me」ではキレキレのダンスを披露していましたが、この曲の振り付けはどんな感じになってるんですか?
「曲のテイスト通り、かわいらしい感じになっています。振り付けの中にハートがいっぱいあるんですよ! 手でハートを作るところもあるので、ぜひ真似してもらえたらなって思います」
――ミュージックビデオも完成していて、今日もMVで着ている衣装ですね。
「そうなんです。MVのなかでは衣装とメイクが5パターンあるので、飽きずに観てもらえると思います(笑)。あと、「Look At Me」では全編室内での撮影で、結構シックな感じでまとめてたんですけど、「Cherish」はダンスシーンを屋外で撮っていて。開放的な雰囲気が曲に合ってるし、私も自然のパワーに癒されながらパフォーマンスしてました」
――特に注目してほしいポイントはありますか?
「今回、演技シーンがちょっと多めになっているんです。電話のシーンがあって、そこでは大切な人を思い浮かべたときの気持ちを表情で表したりしているので、そういうところを観てもらえたらうれしいですね」
――ふだんはモデル活動もしているYurinaさんですが、衣装やメイクにも自分からリクエストすることもあるんですか?
「アーティスト活動では全部自分の意見を出させていただいてます。やっぱり自分がこだわっているところも含めて、アーティストのKawaguchi Yurinaをベストな形でファンの方に届けたいので。その曲の世界観に合った衣装やヘアメイクっていうのは、毎回しっかり考えて、スタッフのみなさんとも話し合って決めてます。今回の「Cherish」は、私のソロアーティストとしての意思表明を示した「Look At Me」を経て、今度は私からファンの方に“ありがとう”を伝えたくて、温かくて柔らかい雰囲気を意識したものになってます」
――聞くところによると、ガルプラも事務所に内緒で応募したとか?
「実はそうなんです(笑)」
――自分がこうしたい!と思ったことに対して、素直に行動できたり、口にできたりするのは、昔からですか?
「でも、ガルプラでは最初、あまり自分の意見が言えずに、後になって“言えばよかった”と思うことが多かったんですよ」
――ガルプラは日本、韓国、中国と各国からの参加者がいました。他の国の方から刺激を受けることも多そうですね。
「本当そうでしたね。たとえばグループに分かれて歌割を決めるときとかも、私も含めて日本人の子たちはちょっとまわりの様子を窺ったり、遠慮しちゃったりしたんですけど、韓国の子や中国の子はちゃんと自分の意見を言っていて。普通の学校生活だったら、遠慮したりするのも協調性のひとつになると思うんですけど、ガルプラみたいなオーディションでは、遠慮してたら自分が後悔するだけ。それに、いいことも悪いことも全部言ってもらえたほうが、相手が何を考えているかわかるから、こっちも接しやすいんですよね。ガルプラでそういう経験をして、たとえ意見がぶつかったとしても自分の気持ちは言ったほうがいいって考えになったので、今はバンバン言ってます(笑)」
――そうだったんですね(笑)。そんなYurinaさんが憧れていたり、目標としていたりするアーティストはいるんですか?
「好きなアーティスト、それこそ神様だと思ってるアーティストの方はいるんですけど、自分のアーティスト活動においては、自分にしか表現できない音楽、“Kawaguchi Yurinaサウンド”みたいなものを作っていきたいと思っていて。なので、あの人みたいになりたいっていうんじゃなく、いいところは吸収させていただきつつ、人と比べることはしないようにっていうのは自分の中で気を付けています」
――今の時点で自分の強みだと思うところは?
「歌とダンスの両方をしているので、そういう表現はこれからもずっと続けたいと思ってます。どちらかひとつに絞るんじゃなくて、たまにはバラード、たまにはダンスミュージック。そして、ときには「Cherish」みたいなかわいらしい曲もやって。そういう意味では、絶対にコレで行きたいっていうこだわりはないんですよね。ゆくゆくはラップとかにも挑戦してみたいなって気持ちもありますし、学生時代にフルートをやっていたので、いつかどこかで披露できたらいいなとも思いますし。殻にこもらず、いろんなジャンルに挑戦したい、やっていきたいって思う気持ちが、私の強みかもしれません」
――「Look At Me」と「Cherish」の2曲だけでも、十分Yurinaさんのジャンルレスな魅力は伝わってきます。ちょっと気が早いかもしれませんが、3曲目はどこに行くんだろう?って(笑)。
「2曲しか出してないのに、かなり振り幅がありますよね(笑)。でも、そのギャップを見せれたらいいなと思ったし、この流れだと本当、3曲目にどこに行くかわからない(笑)。そういうワクワク感も楽しんでもらえたらうれしいです」
――Yurinaさんがこれからどんなアーティストになっていくのか、楽しみです。新曲「Cherish」の歌詞には<ずっと見たかった景色>というフレーズも登場しますが、Yurinaさんがアーティストとしていつか見てみたい景色はどんなものですか?
「やっぱり、ガルプラのときもそうでしたけど、ファンの方たちと実際に触れ合える機会っていうのは、私にとってすごく幸せな時間で。なので、ソロライブでいろんなところを巡って、ファンの方といっしょの時間を過ごしたいです。いろんなところっていうのは、日本はもちろんですけど、海外にも応援してくださる方がたくさんいるので、いつか海外の方たちにもライブで会いに行けるように頑張りたいです!」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/中村 功
PROFILE
オスカープロモーション所属
1999年6月19日生まれ 宮崎出身 B型 165cm
2014年 第14回全日本国民的美少女コンテスト演技部門賞受賞
2016年8月アイドルグループ「X21」新メンバーとして加入
2021年8月「Girls Planet 999:少女祭典」日本・韓国・中国で行われたオーディションを通過した各地域33人、第1回個人投票 全体第1位 444万6387点 164ヶ国投票参加視聴者うち83ヵ国で1位、最終投票 全体第14位 52万5051点/27万8775票
2022年 3月21日 ユニバーサルミュージックからソロデビュー