──通算35枚目となるシングル『encore』のタイトル曲「encore」は、とてもポップで爽やかなテイストの楽曲。ただ、歌詞の世界観は伊原六花さんとW主演を務める『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』で伊野尾さんが演じている並川幹太の気持ちを表現したようなせつなさも感じられるものになっています。伊野尾さんは最初にこの楽曲を聴いたとき、どんな印象を持ちましたか?
「最初に聴いたときは、すごくキャッチーなんですけど、その中に切なさもあって。いろんな人に愛されそうな素敵な楽曲だと思いました。歌詞は、本当にドラマのキャラクターに寄り添っていただいたものになっていると思います」
──伊野尾さんで始まり、伊野尾さんで終わる歌割になっていますが、レコーディング時に意識したことはありますか?
「レコーディングのタイミングが、ドラマの撮影が一番タイトな時期だったんですよ。だから、気持ち的にも自分個人というよりは、役としての切なさが乗ったんじゃないかな?と思いますね。この曲、かなり難しいんですよ。イントロのC(メロ)とか。でも、そこは歌い出しでもあるので、ただただ歌うというよりは切なさも入ったほうがいいと思ったので、そういう意味では、役が乗ったことがよかったと思っています」
──メロディもとてもキレイで印象に残りますが、個人的にも好きなタイプの楽曲ですか?
「そうですね。ドラマの主題歌というお話をいただいてからこの曲に決まるまで、他の候補曲を含めて4曲くらいあったんです。ドラマチームからも、“こういう楽曲で”という依頼があって、それに従って曲を作っていただいたので。そうやってできて来た楽曲を僕もドラマチームも聴いてジャッジしたんですけど、僕は、この曲がいいなと思っていたんです。そしたらドラマチームも満場一致でこの曲でしたし、レコード会社の方々も“この曲がいいと思うんだけど”とおっしゃっていて。だから、みんなの気持ちが一致して決まりました」
──わりとスピード感もあって、切なすぎないところがいいのかもしれないですね。とても聴きやすい楽曲だと思います。
「終わりのラップも面白いですよね。“ここでラップが入って来るんだ!”という感じで。でも、ラップの場所も最初は1番と2番の間だったのかな? その位置をディレクターの方が悩んで決めていたんですけど、最終的には最後に入ってよかったと思いますし、いい曲になったと思います」
──MVもパラレルワールドを表現しているような映像になっていますが、撮影中のエピソードはありますか?
「待っている時間が長かったので、みんなのんびりしていました(笑)。ダンスに関しては、MV撮影時点では、まだサビしか振付がついていなかったんです。みんな忙しい時期だったからなのかな? それでなかなか集まれなかったんです。だから、ダンスシーンは現場でちょっとバタバタしたりしましたけど、それ以外の撮影はゆとりがあったので、撮影より、合間にトランプをやっていた記憶のほうが強いです(笑)。山田(涼介)と知念(侑李)と大ちゃん(有岡大貴)と、ずっとトランプゲームで盛り上がっていました。ただただ対決していただけです(笑)」
──ダンスは手振りが多くてキャッチーですよね。マネしやすそうな気がします。
「最近は、自分で踊ってくださる方が多いので、この曲でも踊っていただけたら嬉しいです。そういえばドラマの現場でもTravis Japanの松倉(海斗)くんと伊原(六花)さんが踊ってくださっていて(笑)」
──ダンスが得意なお2人ですね!
「そうなんです。踊れる方々がいらっしゃるんですよ。ドラマにもSNSがあるので、そこで一緒に踊ってくれたのは嬉しかったです」
──ライブの際には、ファンのみなさんも踊ってくれそうですよね。そしてカップリングは全ての形態を合わせると5曲。どの盤にも共通している「SUPER CRUISIN’」は、ラランドのサーヤさんが提供してくださったヒップホップナンバーです。一度聴いたら耳から離れなくなるほどキャッチーな楽曲ですし、Hey! Sɑy! JUMPへの愛も詰まっていますよね。
「サーヤさんって、本当に多才なんだなって思いました。テレビのバラエティでご一緒する機会は何度かありましたし、ラランドという芸人さんの印象が強かったんですけど、礼賛というバンドで音楽活動もなさっていて、そこでも作詞作曲をしているので。しかも、今回の楽曲では、今おっしゃっていたように僕らのことをすごく想って作詞をしてくださっています。それが僕らにも伝わってきたので、とても嬉しかったです。それに歌割もサーヤさんが決めてくださったんですよ。楽曲提供してくださった方が、ここまで細かく決めてくださるのは初めてに近いんじゃないかな?」
──歌割もサーヤさんが決めたんですね!? サーヤさんの中に、このフレーズはこのメンバーに、というイメージがあったのかもしれないですね。
「そうだと思います。もともとマネージャーさんがHey! Sɑy! JUMPのことを昔から知ってくださっている方らしいんですよ。それでサーヤさんが楽曲を作ることになった際、メンバーそれぞれのキャラクターを含めた資料を用意して、それをサーヤさんにプレゼンした上でこの楽曲が出来たみたいなんです(笑)。だから、マネージャーさんの想いもこの楽曲に乗っかっているんだと思いますね(笑)」
──それは制作に役立ったと思います。
「サーヤさん自身はレコーディングには立ち会えなかったんですけど、歌詞カードに“ここはこういうふうに歌ってほしい”と書いてあるディレクションシートのようなものを事前に渡してくださっていました。僕のパートには、“ちょっとちょけて歌ってほしい”って書かれていました(笑)」
──まさに平成から令和までをクルージングしてきたHey! Sɑy! JUMPにピッタリな楽曲だと思いますが、自分たちの中にも、そういう自負はありますか?
「それはあまりないんですよ。でも、だからこそこの曲を聴いたとき、それを誇ってもいいのかな?って思いました。この曲が自己肯定感を上げてくれましたね(笑)。僕たちとしては、ずっと変わらずに和気あいあいと続けていただけなんですけど、こういうふうに言ってもらえるのは嬉しいですし、誇らしいことなんだなと実感できます。胸を張って生きて行こうと思いました(笑)」
──外ロケやスケートパーク、ビリヤード場などで撮影したMVも楽しそうですよね。
「「encore」のMVは室内だったんですけど、「SUPER CRUISIN’」は外のシチュエーションが多かったので、そこで違いも出てよかったと思います。やっぱり外のシーンは抜けがいいですし、シーンもいっぱい変わっています。撮影は1日で終えたんですけど、そうは思えない仕上がりになったと思います」
──天気もよさそうですよね。
「いえ、実はすごい雨の日だったんですけどね(笑)。雨どころか雪も降ったんですよ。でも、撮影のときは高架下で撮ったりもしましたし、スケートパークのシーンは晴れました。これもいいMVになりました」
──他の4曲もそれぞれタイプが違っています。初回限定盤1に収録された「Step by step」は、とてもリズミカルで聴いているだけで気持ちが前向きになるような応援歌ですね。
「王道な感じのいい曲ですよね。Dメロとか、明るくちょっと背中を押してくれるようなところもありますし」
──歌詞の中に<You & Me>や<二人で分かち合えたら>といったフレーズもあるので、ファンの方たちに向けて表現しているところもあるのかな?って思ったんですけど。
「確かに言われてみれば、そうなのかもしれないですね。僕、あまり国語力がないというか、歌詞の読解力がすごく低いと思うんですよ(笑)。自分で歌うときは、もちろん気持ちを込めますけど、聴いているときに“歌詞に共感する”とか“歌詞で涙する”みたいな感情が、あんまりないので(笑)」
──理系だからじゃないですか?(笑)
「そうなんですかね?(笑)でも、最近、“それって人間としてちょっと欠けている部分なのかな?“って思って、歌詞の意味も意識するようにしているんです。ただ、多分、女性の方のほうが感性が豊かだから、歌詞に込められたメッセージをしっかり受け止める傾向はあるんじゃないかと思いますけど…」
──「未来線」(初回限定盤2 収録曲)は、すごく深い人生の曲だなって思ったんですけど。
「この曲は、サビがすごく難しかったです。キーも高くて、メロディも独特というか、あまり想像していなかったラインに行くような変化もあるので。レコーディングのときは、ディレクターさんと気持ちの部分も相談しながらやっているので、納得しながら歌えています。ただ、ファンのみなさんの手元に届いたときに感想を聞いて、“ああ、この曲ってこういう想いで聴いてくださるんだ!”っていう驚きがあったりします。「未来線」は人生賛歌的なことを歌っているのかな?って思ったんですけど、どうですか?」
──そうだと思います! 「未来線」は構成も複雑ですし、音の入り方も面白いですよね。
「展開がダイナミックな感じは、辻村(有記)さんならではだと思います。辻村さんには、僕たちはたくさん楽曲を提供していただいているんです。それでも「未来線」のように、チャレンジングな楽曲を提供してくださる。それがすごくありがたいです」
──他にも通常盤には、「ラブレター」と「MATSURI☆FEVER」を収録。「MATSURI☆FEVER」は、超ハイテンションな、まさにお祭りソングですよね。
「これはレーベルのみなさんから、“絶対やってほしい!”と推された曲なんですよ」
──ライブでファンの方たちと一緒に盛り上がれそうな楽曲だからじゃないですか?
「やたら盛り上がりそうですけど、胃もたれしないか心配です(笑)。僕、この曲のレコーディングがドラマの撮影の一番ハードな時期だったんです。そのタイミングでテンションを上げて歌わなきゃいけなかったので…逆に元気をもらいました(笑)。いや、元気にさせられたが正しいかも(笑)。「ラブレター」は、さすがにラブソングですよね? そういうざっくりとした方向性はわかるんですよ(笑)」
──ラブソングですけど、片想い。だから、切なさもあるんですけど、とても可愛くてピュアな楽曲だと思います。高校生くらいの主人公をイメージしました。
「そうですね。そういった歌詞を30代の僕たちが、まだまだ歌わせていただけるのがありがたいです(笑)。今回もシングルですけど全部で6曲収録されていて、もうミニアルバムくらいのボリュームじゃないですか。しかも、幅広いタイプの楽曲を歌わせていただいています。シングルって、どうしてもタイトル曲以外が埋もれがちになっちゃうと思うんですけど、どのカップリング曲も個性的な曲ばかりなんです。だから、カップリング曲も広まってくれたらいいですね」
──Hey! Sɑy! JUMPは、このシングルもそうですし、既存曲もサブスク解禁しましたよね。それもたくさんの方にいろいろな楽曲を聴いていただきたいという思いがあるからでしょうか?
「そうですね。やっぱりサブスクは手軽ですから。でも、その一方で僕たちはまだまだCDも発売していきます。だから、そこにどういう価値をつけていくのかも考えていきたいです」
──今回も特典映像はもちろん、オリジナルトートバッグが封入された盤(JUMPremium BOX盤)もありますしね。
「トートバッグは『Lucky-Unlucky』(2019年5月22日リリース)以来です。ライブ会場に行くと、そのときのトートバックを使ってくれている方が結構たくさんいらっしゃるんですよ。だから、今回のものも使ってくれたら嬉しいですね」
──伊野尾さんは現在『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』で主演なさっているように俳優活動でも多忙ですよね。Hey! Sɑy! JUMPとしての自分と俳優としての自分。そこになんらかの線引きはしているんですか?
「最近は全くしていないですね。あくまでもHey! Sɑy! JUMPとしての活動が軸にあるので。ドラマとかを頑張ろうと思うのも、例えば今回のようにHey! Sɑy! JUMPで楽曲をリリースさせていただけるというのが大きな理由のひとつですから。と言っても、実は今まではドラマをやって主題歌をリリースできるということをそこまで深くは考えていなかったんです。でも、シングル『UMP』(2024年9月24日発売)が、その前のシングルから1年4ヶ月空いたんです。その原因のひとつは、僕たちくらい長くやっていると、こだわりがどんどん出て来るので。それはいいことなんですけど、こだわりすぎちゃってシングルがなかなか出ないっていうことにもなるんです(笑)。それに僕たちの中ではいろんなことが動いているので1年4ヶ月という期間もそんなに長くは感じなかったんですけど、ファンの方たちからすると、“1年以上も待ってられないよ!”っていう話になるじゃないですか?(笑)」
──そこまで空くことって普通はないから不安にもなりますしね。
「そうそう。だから、そういう気持ちにさせないためにも、ドラマの主題歌っていう楽曲をリリースする理由になるようなお仕事に積極的にチャレンジしていきたいですし、そういうお仕事がいただけるように、まだまだ頑
張らないといけないなという気持ちでやっています」
──そのドラマ『パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実』も、いよいよ最終盤です。
「ここからが大変なんですよ...。幹太としていろんなことが起こるので、僕のメンタリティーも大変でしたし。だから、最後まで見届けて欲しいです」
──伊野尾さん自身も6月22日で35歳になりますが、今後Hey! Sɑy! JUMPとして、そして個人として、さらにチャレンジしていきたいことはありますか?
「グループ活動をできるだけ長く続けられるように、個人の活動でも、いろんなことにチャレンジしていきたいですね」
──2027年で20周年ですしね。
「そうですね、20周年。...そんなにやってるんだ!?と思うと、ちょっと引いちゃいますけど(笑)。でも、それも仲良く楽しく、ストレスなく続けてこられたからだと思います」
──大切ですよね、平穏な日々って。
「大切です。ただ、“やりたくないこともちゃんとやろう!”っていうマインドもあるんです。年齢を重ねると、“のんびりしたい”って思っちゃいがちですし、だんだんと自分が得意なことと不得意なこともわかってくるじゃないですか? その不得意なことを、“これはやりたくないです!”って断ることも、この年齢になってくると可能になったりします。でも、そこで断ることをせずにいろいろとやっていきたいと思っています」
──そのほうが、きっと発見もありますよね。
「そうですね。そういう気持ちがなかったら去年やったミュージカル(ブロードウェイミュージカル『ハネムーン・イン・ベガス』)は絶対やっていないと思いますし、下手したらドラマもやっていないと思いますから(笑)」
(おわり)
取材・文/高橋栄理子

Hey! Sɑy! JUMP『encore』 発売中!

初回限定盤1
encore
SUPER CRUISIN'
Step by step(初回限定盤1のみ収録)
CD+Blu-ray/LCCA-6196/7/1,980円(税込)
CD+DVD/LCCA-6198/9/1,980円(税込)
今⼤注⽬のバンドPenthouse浪岡真太郎⽒が作曲、⼤原拓真⽒が作詞の穏やかな応援歌「Step by step」を収録。憂鬱な時期もそっとメンバーが背中を押してくれる1曲に。
Blu-ray / DVDは「encore」Music Video & Making、さらに昨年末に⾏われた年越しイベント「Hey! Sɑy! JUMP Special Live 2024-2025 JUMPARTY ~Opening Part~」を収録。レッドカーペットでの登場が印象的な幕開けから、SNSでも話題となった「eek!!」を含む、一部ライブ映像を早くも収録決定!

初回限定盤2
encore
SUPER CRUISIN'
未来線(初回限定盤2のみ収録)
CD+Blu-ray/LCCA-6200/1/1,980円(税込)
CD+DVD/LCCA-6202/3/1,980円(税込)
Hey! Say! JUMPと幾多の名曲をともに作り上げてきた辻村有記⽒×伊藤賢⽒による「未来線」を収録。多彩なメロディーラインとHey! Sɑy! JUMPの新しい化学反応は必聴です。
Blu-ray / DVDには「SUPER CRUISIN'」Music Video & Makingに加え、メンバー8⼈が“遊んでから帰れ!”と命じられ挑戦したバラエティ企画映像を収録。難しいゲームに苦戦しながらも、笑いあり&笑いあり!?でバトルするHey! Sɑy! JUMPの体当たりの頭脳戦をお楽しみください。

JUMPremium BOX盤(完全生産限定盤)
encore
SUPER CRUISIN'
CD+GOODS/LCCA-6204/2,750円(税込)
Hey! Sɑy! JUMP オリジナル・トートバッグ ~encore~」を封⼊!うちわもすっぽり⼊る持ち⼿も⻑めの使いやすいサイズ感!2019年発売シングル『Lucky-Unlucky / Oh! my darling』に封⼊した「持っていてトートバッグ」を6年ぶりにアンコール!⻑くご愛⽤の皆様にも、今回初めて⼿に取る皆様にも、ぜひHey! Sɑy! JUMPと⼀緒にいろんな場所へお出かけしていただけたら嬉しいです!

通常盤
encore
SUPER CRUISIN'
ラブレター(通常盤のみ収録)
MATSURI☆FEVER(通常盤のみ収録)
CD/LCCA-6205/1,320円(税込)
複雑だけど淡くてやさしい想いを歌に込めたイチ押しラブソング「ラブレター」、春夏秋冬ぜんぶお任せあれ☆なお祭りソング「MATSURI☆FEVER」を収録。
また、通常盤をご購入の方に先着特典として『めじるし“!”マークチャーム』をプレゼントいたします!
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