Hey! Say! JUMPがコンサートツアー「Hey! Say! JUMP LIVE TOUR 2023→2024 PULL UP!」を開催中。このツアーは2023年12月発売の10thアルバム『PULL UP!』を携えて12月23日のバンテリンドーム ナゴヤを皮切りに、バンテリンドーム ナゴヤ、東京ドーム、京セラドーム大阪、福岡 PayPayドームの4会場で行われるもので、全11公演で51万5千人の動員を予定している。この記事では1月1日に行われた東京ドーム公演の模様をレポートする(以下、ネタバレを含みます)。
『PULL UP!』は「17年目からも勢いを加速させるPULL UP!」をコンセプトにした作品。ステージにはそんな彼らの“PULL UP”を思わせる、全長16mという巨大な木のセットが鎮座し、開演前にはその木の周りを鮮やかな葉っぱや滝が映し出されていたほか、そんな中を飛び交っているであろう鳥のさえずりが東京ドーム内に響き渡り、生命力を感じさせる生き生きした空気が広がっていた。
ライブは「2024年1発目、行くぞー!」とメンバーが声を上げ、エネルギッシュにスタート。グループの決意を歌った「PULL UP」やUruが作詞作曲を手がけた「あの日の夢を見させてよ」、川谷絵音が作詞作曲を手がけた「ときめくあなた」といった多彩なアルバム収録曲はもちろん、「PULL UP」で<We go back in time あの頃の気持ち抱いて>と歌うだけあり「我 I Need You」や「White Love」といった過去の人気曲なども表情豊かに届けていく。メインステージはもちろん、アリーナの外周を回るフロートやバックステージを使い、東京ドームという大きな会場でありながらもできるだけファンの近くへと進む。
客席内を練り進むトロッコでは、2人ペアでのキュートなダンスでファンを喜ばせる一方で、ムービングステージを使い、8人という人数を生かしたフォーメーションダンスを、後方のファンにまでしっかり届けるなど、多面性を十分に見せていく。そんな彼らの多面性をさらに彩るように、ランタンをイメージした大きなバルーンが場内を浮遊して幻想的なムードを作り出したり、5000枚のハートが上空を飛び交ったりと、楽曲の表情にあわせて様々な趣向も凝らされた。今ツアーの演出は、アルバムのコンセプトも手がけた有岡大貴が担当。
アリーナの外周を回るフロートには「PULL UP!」の文字が描かれていたのだが、そのうち1台は知念侑李が現在筋トレ中であることから「PUMP UP!」に替えられていたりと、隅々までこだわり抜かれていた。またメインステージに鎮座したシンボルの大木は、ライブが進行するにつれ、ときに不穏な森に、ときに幸せなチャペルにと表情を変え、そのたびに観客を楽曲の世界へと誘っていった。
この日、コンサートの直前には石川県能登地方を震源とする地震が発生した。これを受けて、MCでは開口一番に薮宏太が「皆さん大丈夫ですか? 地震ありましたけど。もし北陸地方のほうに親戚とかいたら気にせず連絡とか取って大丈夫です。いつもだったら(コンサート中に)携帯(を触ったら)怒りますけど(笑)、今日は大丈夫です」と気にかけ、「でもコンサートはコンサートだから。皆さんを元気にするのが僕たちの役目だと思いますので、皆さん安心してコンサートを楽しんでいただければと思います」と声をかけた。
その後、元日からコンサートができることについて「1月1日から東京ドームでスタートできてうれしいね」「ありがたいね」と喜びや感謝を口々に述べたメンバーたち。かと思えば、有岡の飲み物が、水ではなく酢に差し替えられるといういたずらが発覚し、有岡の推理でメンバーの中から犯人を探すという日常的な和やかなMCタイムに。犯人は山田涼介で、彼は今回のツアー初日から企んでいたと明かし、見事いたずらが成功したことを喜んでいた。
後半はさらに勢いを加速させ、ひときわ大きな重低音と共に「ウラオモテ」や「Tiki Don」といったアッパーチューンを、ムービングステージでクールに披露。「PULL DOOWN」との合図で場内の音が止まり、同時に観客もペンライトを下げ、有岡の合図で再び“PULL UP”するという、観客も巻き込んだパフォーマンスでさらに熱狂を生み出す。
また「皆さんが僕たちにとっていかに心強い存在であるか、そしてどれだけ背中を押していただけるかを再確認できる曲となっております」との前置きから披露された「キミノミカタ」では、<君は味方だ いつも此処に/隣で背中を 押してくれる/何だってできる きっと/君のこの想いが きらりと僕を輝かせる>と歌うメンバーの後方、ステージのスクリーンに客席の様子も映し出され、ファンがいてこそ完成するステージであることを改めて証明した。
歌い終えたあとには、山田が「こうやって新年1発目にみんなと会えて、みんなのその笑顔を見て、みんなの歓声を聞いて“ああ僕たちはみんなに支えられながら、どんなことがあっても輝き続けることができるんだな”と、今日改めて再確認することができました。この調子で僕たち、2024年、そしてその先以降も走り続けていきたいと思っていますので、どうかこれからも僕たちHey! Say! JUMP、8人についてきてください」とファンへメッセージを贈った。
アンコールには日替わり曲も。この日選曲されたのは「Dreams come true」。イントロと同時にメンバーから「初夢見ようぜ!」との声がかけられ、場内には大歓声と大合唱が広がった。最後に薮が「こうやってライブができて、本当に幸せ者です。2023年もいろいろありましたけど、2024年はジャンプがみんなをいい年にします! いろいろな活動でみんなの笑顔を見られるように頑張っていきたいと思いますので、ぜひ応援していただけるとうれしいです。また会いましょう。本日は本当にありがとうございました」と代表して挨拶し、2024年最初のステージを締めくくった。
アルバムの表題曲「PULL UP」のサビで彼らは<キミに見せたい世界の途中/尽きることの無い想い カンタービレ>と歌う。デビュー17年目、ツアーでは4大ドームで50万以上を動員する彼らは、これでもまだ“途中”だという。PULL UPしたHey! Say! JUMPが見せてくれるこの先の世界はどのようなものなのだろうか。さらに期待の高まるツアーとなった。