――『COUNTDOWN LIVE IN OKINAWA 2022-2023 〜⼤忘新年会〜』に初出演することになった経緯を教えてください。

「このイベントは6回目なんですけど、僕たち自身は初めてなんですね。一度も出てないくせに(笑)、ありがたいことにお声がけいただいて光栄です。これまで出演してなかったのは、昔は自分たち主催のカウントダウンライブみたいなものをやっていた時期があったんですけど、やっぱり1年の中で、半ば強制的にでも自分たちでお休みを作らないとサイクルがどうしてもおかしくなっていくなと思って。“正月はしっかり休みましょう”みたいな感じで、近年はそういう決まりごとを作っていたんですね。そんな過ごし方をしていたんですが、このイベントが特殊といいますか、毎回バトンリレー形式でホストバンドを回していくやり方で開催していて、主に出演していたバンドが一巡したタイミングだったので、僕たちとしても“それならば、じゃあ”というのでで出演することになりました。あと、今年は沖縄本土復帰50年という節目の年で、それをテーマに書かせていただいた楽曲(NHK沖縄放送局の「本土復帰50年」テーマソング「Melody」)もあったりして、色々と発信して行きたいものもあったというのが理由です」

――このイベントや、これまでのラインナップをどう見てました?

「バンドとしては“お休みしよう”っていう感じでしたけど、個人的には“ワイワイ楽しそうだな”っていうものもありましたし(笑)、 これだけ全国や世界で活動しているバンドが故郷のために集結して、“素晴らしいイベントだなあ”って思っていましたね」

――しかもMONGOL800、HY、かりゆし58ってみんな活動が続いているバンドばかりですし。

「そうなんです。世代的にはHYとは全く同い年ですし、かりゆしとモンパチも2〜3歳ぐらいしか離れていないので、小さな島の同じ世代なんです。先輩もいるんですけど、仲間といいますか、そういった意識は強いですね。なんか似ているようで、活動内容というかバンドのカラーみたいなものも違っていたりするし、そこは面白いですよね。スタートさせた場所、タイミングは近いですけど、歩んでる道は違ってて」

――ちなみに今年は主催というか、仕切りはORANGE RANGEなんですか?

「そうですね。ホストバンドと言いますか、一応仕切りはORANGE RANGEですね」

――初出演にしてその役割っていうのはどうですか?

「(笑)。そんなに重く責任を感じていないです(笑)。一つのお祭りとしてとらえていますね」

――それぞれのバンドとの関係性ってどんな感じなんですか?

「モンパチとは県外のフェスとかで結構一緒になることが多くて。それで、自分たちの 15周年の時の作品(15周年記念コラボベストアルバム『縁盤』)にも参加してもらったりとか、割と付き合いも長いですし、いいお兄ちゃんっていう感じですね。かりゆしも自分たちの主催のイベントに出てもらったりとか、年はかりゆしの方が上なんですけど、たしかメジャーデビューとかは僕たちの方が早くて。かりゆし独特のスタイルというか、そういったものにすごくリスペクトもありますし、いつも頼りにしてる先輩ですね。HYは地元も近いですし、結成当時のインディーズ時代も対バンしてたりとか、付き合いは長いんですけど、あんまりイベント、フェスで一緒になるってことはそこまでなくて、“お久しぶり!”って感じですね」

――バンドシーンに詳しくなくても絶対みんな知っていますからね。

「沖縄をしっかりと拠点にしてというか、基盤にして全国で活動していたりするので。やっぱ沖縄の誇りじゃないですけど、グッとくる感じはありますよね、そんなバンドたちが集まるのは」

――どのバンドの曲でもメロディーや歌詞を知ってる曲がありますからね。すごいことだと思います。

「沖縄に住んでテレビを見てたら必ず誰かの曲がCMとして流れていたりしますし(笑)」

――地元の人にとっては大晦日にこのイベントに行くことがファーストプライオリティだったりするんですか?

「ほかにもそういうイベントはあったんですけど、この規模でやる音楽イベントっていうのは昔はそんなになかったので、これが誕生してからはみんなの楽しみになっていると思いますね」

――今年はORANGE RANGEが出演することでこれまでとは色が変わるっていうか、なんかパンチが効くような気がするんですけど。

「(笑)。どうなんですかね。初めてなので空気感が掴めてないですけど…のんびり楽しめたらいいなって思います」

――最近のORANGE RANGEって、ゆるっとやってるようで、すごく新しいことをやってらっしゃるし。ニューアルバムの中でのコアな曲をやったらびっくりされそうですね。

「そうですね(笑)。もちろん、今回はとことんみんなが楽しめる、そういうライブにしようかなと思ってますね」

――ヒット曲だけじゃ満足しない人もいそうですよ?

「確かに(笑)。“ここでこれやるんだ!”みたいなものを待ってる人もいるかもしれないですね」

――現在はアルバムツアー中ですしね。イベントではモードが変わりそうですか?それともそのままのモードで行ってしまうとか?

12月の中旬ぐらいまで自分たちのツアーをやっていて、フェスに何本か出て、年内終了。そんなサイクルではあるんですけど。近年は28日ぐらいから休みがちだったんで、1月1日までそういうモードが継続できるのかが不安ですね(笑)」

――(笑)、確かに一般社会人と同じように28日ぐらいが仕事納めかっていうね。

「そうなんです。そっからもう飲んだくれて、1日おきに2日酔いの生活だったんで(笑)今年はちょっと頑張って正月まで集中ですね」

――大晦日のカウントダウンのステージはどんな気分ですか?

「やっぱりスペシャルな感じもしますし、思い出にも残るし。やっぱりまだまだ閉塞感のある世の中というか、時代ですから。明るくハッピーな気持ちで年を越せたらなと思いますね」

――バンドのツアーやっていて、だいぶムードとして変わってきたと思いませんか?

「そうですね。バンドのスタイルにもよるとは思うんですけど、確実に前には進んでいるというか。まだ完全に収まっているわけでもないので、油断はできないですけども、ルールの中でしっかりと“音楽ってやっぱり大事だなあ”っていうのを確認できたここ2〜3年でもあると思いますし。一本一本のライブの喜びをかみしめながら、僕たちとお客さんの双方が楽しめているんじゃないかなと思います」

――今年は結成21周年っていうちょっと面白い節目で活動してらっしゃったわけですが、今バンドはどんなフェーズに入ってる感じがしますか?

「やっぱりライブができない時間っていうのが一つポイントとしてあって。改めて個々を見つめ直すタイミングにもなったと思いますし、自分にとって”バンドとは?”とか“音楽とは?”っていうことを考えるいい機会にもなったと思うので、モチベーションは高くなっているんじゃないかなと思います。それで、“今回が最後かも”ぐらいの気持ちでステージにも立てていますし。まさかこうやってライブができない時間が1年も2年もある、そんな時代が来るなんて誰も予想していなかったじゃないですか。ってことは、また何があるかわからないので、そういう気持ちでやれているっていうのは決して悪いことばかりではなかったのかなと思います」

――ORANGE RANGEって他に似たタイプのバンドが存在していないなっていうスタイルを続けていて。アルバム『Double Circle』の内容も凄まじかったですけど、面白いことをしれっとやられるじゃないですか。音楽的にも“これがどんなジャンル”とかわざわざ言わない感じがすごく粋だなと思うんです。

「これをやったら次はこれと真逆のことをやりたくなる性質というか、それの積み重ねで今がある感じですね。だから「Melody」みたいなテーマ的にしっかりした楽曲をやったら、やっぱその反動がどうしてもきてしまうというか。「Pantyna feat.ソイソース」みたいな楽曲を作りたくなってくるし(笑)。もうそれの繰り返しですね」

――ちなみに今年はフジロックに初出演されて、30歳前後ぐらいの人がめちゃくちゃ沸いていたんですよね(笑)。他に色んな音楽を聴いている人でも、みんなやっぱり好きみたいで。

「あれはちょっと嬉しい現象でしたね。僕はお客さんとして行ったことがないんですけど、近年は配信とかもあるし気軽に見れるじゃないですか。それで、勝手に敷居が高いフェスというイメージがあったんですけど、その中でORANGE RANGEが呼んでもらえて。そこで、あれだけオーディエンスを楽しませることができたっていうのは僕たちにとっても自信になりました。特別“フジロックだからセトリをフジロック仕様にしよう”っていうこともしなかったし、そんな器用なバンドでもないので。これまでやってきたことをしっかり披露しようというか。それでちゃんと喜んでもらったのでそれが一番嬉しかったですね」

――記憶に残っているヒット曲の強さを思い知りましたね。

「やっぱ財産でしょうね、そういう曲があるっていうのは」

――そこから繋がるORANGE RANGEならではの面白さをみんな再認識したような気がするんですよね。

「そうですね。入り口は広くというか、間口は広くとって、そこからいろんなタイプの楽曲を聴いてもらえたらいいのかなと思っています」

――ORANGE RANGEの名曲の朗読劇も来年は開催されるんですよね。

「いろんな派生の仕方と言いますか、自分たち自身も想像できない拡がりをしていたりするんですけど、でも最終的にいつも挑戦したものっていうのは素晴らしい結果がついてくるので。“どうなっていくんだろう?”っていうのも含めて楽しみながら、いろんなことをやっているので、朗読劇も楽しみですね」

――リアルタイム世代もそれより若い人にも響くからこそ実現するんだと思います。

「そうですよね。だから“懐かしい”って思う世代と、“全く新しい”っていう感覚で捉える人も世代的にいると思います。だから、自分たちとしても常に新しい世代とか新しいものに届けていくってのは大事なのかなって最近は思っています」

――またちょっとこのイベントの話に戻ると、今年はバンドばっかりじゃないですか。それもまた面白いなと思っています。

しかも出演バンド数的にわりと時間あるんですよ。例年のカウントダウンより長めの尺になるので、それぞれのバンドのいろんな側面を見ることができるのも楽しみですね

――なかなか見応えもあるし、お得ですね。

「お得ですよ。ワンマンぐらいのチケットの金額で4つのバンドを楽しめるから(笑)」

――県外から来る人もいると思うので、HIROKIさんから年末年始の沖縄のオススメしたい過ごし方ってありますか?

「沖縄といえど意外に寒いっていうのは知っておいた方が良いかもしれないですね。それなりに寒いのでしっかりとした準備はしておいたほうがいいです。あとは何だろうな?…泳ぐのは厳しいんですけど、見る分には冬のほうが海の透明度上がるんですよ。だからドライブとかして、綺麗な海を見て癒されるっていうのもいいかもしれないですね」

――ご飯は一年中美味しいですよね。冬の沖縄のごはんって何がおすすめですか?

「いわゆる本土の一般的なおせち料理みたいなものはなくて、沖縄風のおせちっていうのがあるんですけど。沖縄独特の中身汁っていうものがあったりとか、そういった食文化に触れるっていうのも面白いかもしれないですね」

――現地にいけない人は配信でぜひみていただきたいですが、配信の良さもありますね。

「現地に行けなくても、映像を見てそれぞれの場所でお酒でも飲みながら(笑)、その空気感を共有していけたらなと思いますね」

――配信のいいところは歌ったり騒げたりするところかなと。

「自宅かどうかは分かんないですけど、そうなんですよね。一緒に歌えるだろうし。そういうシステムというか、文化が根付いてきたのもコロナのおかげじゃないですけれども、悪いことばかりじゃないなと思っています」

――現地では逆に見れないようなカットとかアングルとかを楽しむっていうのも一つかなと。今回のバンドの中でレンジは一番カメラワーク大変そうですね(笑)。

「確かに(笑)。カメラマン泣かせかもしれないですね。メンバーがぎゅっとかたまることがそんなにないので大変そうです」

――スイッチャーさんの腕の見せ所かなって思います。当日になって起こることも含めて面白そうですね。

「キヨサクさんとか真悟さんとか、その時だから起こるハプニングじゃないですけど、そういったトラブルみたいなものも楽しむ癖(へき)の持ち主なので。瞬間的に始まる何かとか、アドリブで何かしようとかもあるかもしれないし、そういうドキドキもあるので楽しみですね」

――皆さんのやり取りももしかしたら見られるかもしれないですね?

「あんまり見れないですもんね。僕たちは裏では飲んだりとか、親交があるので。4つのバンドの誰と誰が喋ってるみたいな絵も、もしかしたらお客さん側からしたら見たことないことばっかりだと思うので、そういうのも楽しいかも知れない」

――それぞれのバンドのファンの方もだし、バンドの関係性もだし、沖縄が好きっていう人もだし、いろんな切り口がある気がします。

「やっぱ故郷に帰って故郷のためにっていう思いでやっているバンドとか、自治体とか少ないと思うんですよね。大きな都市はフェスの規模もでかいし、大きなイベントもたくさんあるし。それはそれでもちろん一つの魅力ではあるんですけど。やっぱり小さな島でこうやってみんなが帰ってきて、お客さんの中に里帰りしてるタイミングの人もいるだろうし。年に1回こうやって集まるのは素晴らしいことだと思います。みんなで一緒に最高のスタートを切りましょう」

(おわり)

取材・文/石角友香

U-NEXT

U-NEXTでは12月31日(土)より、本公演の模様を独占ライブ配信いたします。さらに販売するチケットには、通常の視聴チケットに加え、おつまみのサブスクリプションサービス「ツマミクル」が厳選したおつまみ付きチケットをご用意。沖縄のおつまみを含むオリジナルセットが届き、ご自宅でも沖縄を感じながら観て、呑んで、食べて本公演を楽しむことができます。

2022年ラストと新年を『COUNTDOWN LIVE IN OKINAWA 2022-2023 〜⼤忘新年会〜』とともに、ぜひお楽しみください。

COUNTDOWN LIVE IN OKINAWA 2022-2023 〜⼤忘新年会〜

【販売期間】
通常チケット:2022年12月12日(月)18:00~2023年1月7日(日)17:00
おつまみ付き配信チケット:2022年12月12日(月)18:00~完売まで
【視聴価格】
通常チケット:2,640円(税込)
おつまみ付き配信チケット:4,400円(税込)
【イベント割対象作品】
通常価格(通常チケット:3,300円、おつまみ付き配信チケット:5,500円)の2割引で販売いたします。
※購入に際して、http://registration.unext.jp/consent/waku-event の同意が必要です。
※おつまみ付き配信チケットは100セット先着限定
【配信期間】
配信ライブ:2022年12月31日(土)19:00~2023年1月1日(日)0:30まで
見逃し配信:準備完了次第~2023年1月7日(日)23:59まで
【視聴可能デバイス】
・スマートフォン / タブレット(U-NEXTアプリ)
・パソコン(Google Chrome / Firefox / Microsoft Edge / Safari)
・テレビ(Android TV / Amazon FireTV / FireTV Stick / Chromecast / Chromecast with Google TV / U-NEXT TV / AirPlay)
※ライブ配信には1時間に最大約5.5GBの通信量を消費します。当日はWi-Fi環境での視聴を推奨します。

ライブ配信の詳細はこちら

ORANGE RANGE『Double Circle』インタビュー

>>> 約4年ぶりとなるオリジナルフルアルバムをリリース!そして全国ツアーへ!!
約4年振りとなるフルアルバム『Double Circle』をリリースするORANGE RANGE。バラエティ豊か、かつエッジーな新曲を中心にしたDISC1と、コロナ禍でも歩みを止めずに発表し続けていた配信楽曲をまとめたDISC2の2枚組となる本作について、HIROKIとRYOに話を聞いた。
(2022年9月9日 掲載)

■ライブ情報ORANGE RANGE LIVE TOUR 022-023 〜Double Circle〜

最新AL『Double Circle』を掲げたライブツアー開催中!!

ORANGE RANGE LIVE TOUR 022-023 〜Double Circle〜

■イベント情報「‐音読 Stage-Story of Songs Track1 ORANGE RANGE」

開催日程:202328日(水)~212日(日)
会場:ヒューリックホール東京

「‐音読 Stage-Story of Songs Track1 ORANGE RANGE」

かりゆし58『七色とかげ』インタビュー

>>> "らしさ"と"新しさ"を共存させたアルバム『七色とかげ』がもたらしたものは...
かりゆし 58から通算9作目のオリジナルアルバム『七色とかげ』が届けられた。“らしさ”と“新しさ”を共存させた本作によってかりゆし58は、さらに充実した時期に向かっていくことになりそうだ。
(2022年5月6日 掲載)

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