――現在は全国ツアー『BULLET TRAIN 10th Anniversary Tour 2022「Progress」』を開催中のみなさん。現時点(※取材時は埼玉・大阪・広島公演が終了)での手応えはどうですか?
カイ「すごく楽しいです。もちろん今までのライブも全部楽しかったですけど、今回は特に、超特急っぽいなって思うライブというか。明るい曲、カッコいい曲、面白い曲など振り幅が超特急らしくて、やってても楽しいですね」
――本当、盛りだくさんのセットリストになっていますよね。セットリストを担当したユーキさんは、どんなことを意識して選曲したんですか?
ユーキ「“Progress”というタイトルなので、前進や挑戦を意識したセットリストにしました。あとはやっぱり「超特急募」(新メンバー募集オーディション)のこともあったので、ライブを総合的に見て、“僕たちがいるから大丈夫だよ”みたいな、8号車(ファンの呼称)のみんなの背中を押せるようなライブにできたらいいなとも思ってましたね。でも、一番は楽しんでもらいたいので。“来た来た、これが超特急のライブ!”と思ってもらえるような、情緒が追いつかないくらいの(笑)ジェットコースター感があることも大事に考えて作りました」
――衣装はタクヤさんが担当。その見どころも含めて、今回のツアーの印象を教えてください。
タクヤ「衣装の見どころは…暑い、です(苦笑)」
カイ「作った本人なのに(笑)」
タクヤ「まぁでも、衣装は暑いですけど(笑)、今回は曲数をたくさん届けたい想いがあって。尺を1ハーフに短くした曲が多いのが特徴かなって思います。まだ数公演終えただけですが、自分の中の初歩的なミスとか、もっとこうしたいっていうものを、次の公演で改善できるようにとは思ってますね」
――そういう意味では、今回のホールツアーは公演数も多いので、回を追うごとにアップデートできそうですね。
タクヤ「その反面…いや、もちろんすごく素敵なセットリストと演出なんですけど、自分が飽き性なこともあって、ずっと同じことをやってると飽きてきちゃうところがあるというか(苦笑)。それは、僕たちが今までセットリストをゴロゴロ変えながらやってきていて、ここまで長期間で変えないっていうのは意外と初めてくらいで、慣れてないっていうのもあるかもしれないんですけど」
カイ「確かに。“EUPHORIA”の時も2パターンあったもんね」
タクヤ「それが超特急みたいな感じにもなっていたので」
――という意見を受けて、ユーキさんの心境は?
ユーキ「僕も変えたいなって思いますよ。ツアーが進むにつれて、季節も変わっていきますから。夏になったら、夏にもっとピッタリな曲を入れたいなとかありますけど…。でも逆に、今まで変えまくってたときは、メンバーからいっぱいクレームがあったんですよ。(メンバーに向かって)ね?それが、同じにしたらしたで、“飽きてきた”?とか!?」
カイ「同じにしたのもユーキのせいじゃないからね(笑)」
ユーキ「そうそう。でも、ツアー後半は夏なので、もっとアツい曲をいっぱいやっていきたいとは思いますね」
――リョウガさんは現時点で印象に残っていることなど、ありますか?
リョウガ「僕、「Body Rock」って曲で椅子の上に乗って、そのまま床に倒す演出があるんですけど、ちょっとトラウマを抱えているくらい苦手で。今までに何回椅子を破壊してきたことか」
――本番中でも?
リョウガ「本番中に、です。バシャーン!って倒れて、もう薪みたいにバラバラに…」
タクヤ「でも、ワケわかんないのが、トラウマになってるくせにリハで1回も練習しないで、本番に賭けてるんですよ」
リョウガ「いやいや、だからこそよ!リハでやって、やっぱりできなかったってなったら…」
タクヤ「リハでできないことは本番でできないし」
リョウガ「いや、ワンチャン出るかもしれないし」
カイ「なんのチャンスなんだよ(笑)」
リョウガ「やってみないとわからないじゃないですか。“シュレーディンガーの猫”と一緒で、実際にやってみてできなかったら“できない”が確定しちゃう。それが、やる前だったらまだ“できる”か“できない”かの2択がある。で、“今日はどっちかな…できた!”が、なんとか今のところ続いてます。いまだに慣れないので、“次の公演は果たして成功なるか!?”という感じです(苦笑)」
――タカシさんは、大阪公演では生まれ故郷に凱旋という感覚もあったかと思いますが、今回のツアー、いかがですか?
タカシ「ホールツアー自体が久しぶりなので、物理的にすごく距離感が近いライブができるのが、すごくうれしいなっていうのと、初めてやる会場もあったりするので、会場ごとの音の響き方の違いとか、そういう新しい発見があるのが楽しいですね。あと、アリーナ規模じゃないからかもしれないけど、お客さんがびっしり入ってる、乗車率が上がってるイメージがあります。もちろん、まだ声は出しちゃダメだし、コロナが収束したわけじゃないけど、こうしてホールツアーを全国回れるってこと自体、前に進んでいくために動けてるんだなって。そこに対する喜びも感じてます」
――そんなツアーの中で迎えるCDデビュー10周年。記念日の6月10日に新曲「クレッシェンド」が配信リリースされます。超特急の記念シングルであると同時に、TBSドラマ『理想ノカレシ』のオープニング主題歌にもなっていますが、歌詞を聴くとやはりみなさんの8号車への想いというのが溢れている気がしました。10周年の記念の楽曲ということで、こういうメッセージを歌いたいというようなリクエストをされたんですか?
ユーキ「歌詞はリクエストしてますね。メンバーで1回話して、それをタカシに託して」
タカシ「ドラマとの兼ね合いもあったので、そこと超特急らしさと両方、いい塩梅でできないかなぁ?ってところで、例えば<線路>と書いて“みち”と読むとか。超特急のフィールドに持って行きすぎるのは避けつつ、ちょうど真ん中くらいを目指して、メンバーの意見に僕の意見も加えてリクエストさせていただきました。でも、<クレッシェンド>は最初から決まっていて」
――<ありがとうのクレッシェンド>の部分ですか?
タカシ「そうです。ただ、最初は<ありがとうの>じゃなくて。<クレッシェンド>の前にどんな言葉を入れるかによって印象がだいぶ左右されるなって思ったから、レコーディングの2日前ぐらいまで相談させてもらいました」
――自分たちの意見が反映された歌詞を見て、どう感じましたか?
タクヤ「最初の段階よりも、すごく超特急っぽくなったし、ドラマのほうにもそこまで影響のない感じで、“うまくできたなぁ”と思いました。個人的には、間奏部分で壮大になっていくところが好きです」
カイ「歌詞の内容的には、1番は割とドラマに沿っていて、2番以降は結構、超特急に当てはまるような気がしていて。全体としては普遍的だし、どんな人にも当てはまると思うんですけど、その中でも超特急のことを好きな人が、超特急に当てはめながら聴ける部分があるのが、僕はすごくいいなって思いました」
――歌詞の中で印象的だったのが<忘れない あの約束>というフレーズ。みなさんにとって、8号車との約束として思い浮かぶものは?
リョウガ「やっぱり一番大きいのは、東京ドームに連れて行くっていう。それが超特急の夢であり、目標ってことは、本当に結成当時から掲げていて。それは今もなお変わっていないし、新メンバー募集オーディションを経て進化したとしても、変わらず目指し続ける夢、8号車との約束です」
ユーキ「あとは、超特急のもともとのコンセプトが“君の笑顔が終着駅”なので、8号車を笑顔にすることでもありますね」
タカシ「僕も東京ドームをイメージして、<忘れない あの約束 叶えるまで 終われない>っていうフレーズを入れたいってお願いしていて。でも、そこにはいろんな意味もあって…。今は“超特急募”もやっていて、今後はもしかしたら新メンバーを加えての活動になる可能性もあるけど、それでも夢は変わらないし、僕たち自身も変わらないよっていう。僕は割と、そういう意味合いも込めて歌ってますね」
――振り付けはどんな感じになっているんですか?
ユーキ「今回は僕が担当したんですけど、あまりガツガツ踊るような感じじゃなくて、10周年ということもあり、10年前にはできなかったニュアンスというか、どちらかというと魅せる感じのものになってます。記念の楽曲に相応しいような、歌詞にも寄り添ったちょっとハートフルな振り付けで、AメロBメロはちょっと難しいかもしれませんがサビは手振りとかすぐ覚えられるような振り付けにしてるので、ライブの時とか一緒に踊ってもらえたらなって思います」
カイ「MVもすでに撮りました」
――そうなんですね。MVはどんなものになっているんですか?
カイ「撮影場所がオーケストラで使う劇場みたいなところで。僕たちがステージで踊ってるっていうのもあるし、スクリーンにこれまで10年間のMVやライブ映像を投影して、それをメンバーが見てるシーンがあったりします。なので、超特急を好きな人は“こんな時もあったなぁ”って思い出せるだろうし、この曲で初めて超特急を知った人、偶然MVを見た人でも、“こんな時代があったんだな”って簡単に振り返ってもらえる。さらに、これから先の未来も感じてもらえるようなMVになっているので、超特急の入門編にも応用編にもなるんじゃないかなって思います」
――それは楽しみです。ところで、今回の楽曲がオープニング主題歌を飾るドラマ『理想ノカレシ』は、主人公の女性が初恋の相手に瓜二つの青年と出会い、その人を“理想の彼氏”に育てていこうと決意するところから始まる物語です。そこで、みなさんが“自分の理想通りに育てたいもの”を教えてもらえたら。
リョウガ「おお〜そうきましたか!」
ユーキ「なんか新しいね」
カイ「僕はやっぱりポケモンですよね。理想のポケモンを育てたい。今は昔ほど厳選とかしなくてもよくて、性格や特性も全部変えられて、よりハッピー仕様になってうれしいです。今年の秋に発売される『ポケットモンスター カーレット・バイオレット』も楽しみです!」
タカシ「告知してる(笑)」
――カイさんらしい回答でした(笑)。他のみなさんはどうですか?
タカシ「僕はデニムです。結構長い目で見ないといけないけど、洗ったり、逆に履き続けたりすることによって、色とか味が出てくるので。それこそ今、自分が生まれた年のデニムを持っていて、自分が歳を重ねると同時にそのデニムにも色が出てくるのかなぁと思ったりして。なので、まさに今、デニムを育て中です」
ユーキ「僕は迷ったんですけど、ゲームのエイム(aim)力ですね。FPSゲームで、相手に照準を合わせることをエイムと言って、さらにリコイル制御っていうのもあるんですけど…専門用語ばかりですみません(笑)」
カイ「ちゃんと標的に当てるエイムと、撃った反動でブレちゃうのがリコイル。リコイル制御は、その反動を自分で制御することなんだよね」
リョウガ「なぜかカイのほうが詳しい(笑)」
――おかげで理解できました(苦笑)。そのエイム力とリコイル制御を育てた先に目指すものは?
ユーキ「オンラインゲームのランキング上位に行けます。今はちょっと時間がなくて全然できないんですけど、練習を重ねてその2つの力を育てたいなっていうのと、8号車のみんなにもゲームを好きになってもらいたいという意味で、育てたいものに挙げさせてもらいました!」
――リョウガさんとタクヤさんは何かありますか?
リョウガ「僕は食べ物を早く食べる力を育てたいですね」
カイ「咀嚼力」
リョウガ「まさに。本当、細かく細かくしないと飲み込めないんですよ(苦笑)。って、これ、文面で見るとおじいちゃんやん(笑)。でも、本当にダメで。例えば番組とかで食べるシーンがあったりすると、ずっとモグモグしてるからしゃべれないんですよね。あと、僕だけ食べきれてないみたいなのが毎回なので。結構切実に咀嚼力を育てたいと思ってます」
タカシ「丸呑みすればええんちゃう?」
リョウガ「それは蛇じゃん(笑)」
タクヤ「僕は今サボテンを育ててるので、それですかね。いわゆる普通のサボテンなんですけど、成長してる部分がもともとある部分の太さよりちょっと細い感じになっていて。それをより、高さは出しつつ、太さも育てていきたいなぁって」
リョウガ「肥料とか与えてるの?」
タクヤ「いや、あげてない。水もそんなに頻繁にはあげてない」
リョウガ「育てるのに向いてないんじゃ…」
タクヤ「いやいやいや(笑)。なんか、ふと気付いた時にちょっと大きくなってたりするのを見ると、かわいいんですよね」
――みなさんプライベートではそれぞれいろんなものを育てたい願望があるようですが、やはり“超特急”の成長も願うというところで、ここからは先日発表された“超特急募”についてうかがわせてください。最初にコメントを出された際、ユーキさんは「最初に体制が変わったときから考えていた」と話されていました。改めて、その心境と、この話が具体化した経緯とは?
ユーキ「最初はやっぱりシンプルに、ボーカルがタカシ1人になったっていうところで。それまでボーカルが2人いて、掛け合いがいっぱいある楽曲が多かっただけに、それをちゃんと歌えないのはもったいないし、悲しいしなと思ったりしていて。もちろん、タカシが担うウェイトがかなり増えてしまうことも懸念していました。結果的にタカシはそれを全部跳ね除けてくれたんですけど、1回本当に落ちかけたことも実はあったんですよね。それを見てて、なんかやっぱり、メンバー全員が胸を張って気持ちよくライブしてる姿が理想形だよなぁと思ったりして。誰も不安を抱えず、“俺らの曲を聴いてくれ!”みたいな感じで伝えられるグループのほうが、8号車も安心するだろうし。今は、どちらかというと、8号車もメンバーの一員として応援してくださってますけど、ステージに立つ立場として、時には僕らが発するエナジーを受け取ってほしいと思うこともやっぱりあって…。そういう話をメンバー同士する中で、よりレベルアップというか、パワーアップした超特急を見せつけたい。そのためにはどうするかってところで、前々からふわっと話はしてたけど、2年ぐらい前からちゃんと話し始めました」
――今回の新曲「クレッシェンド」の中に<たりないものを 補っていくように>という歌詞があって、そこも新メンバー募集に繋がっていたりするんですか?
カイ「(新メンバー募集は)足りないというよりは、今あるものにプラスする。この現状がマイナスだとは思っていないので。その歌詞はまたちょっと違うニュアンスというか、グループにおいて、例えば僕にできないことを他のメンバーが補ってくれてるとか。そうやって補い合えるのがグループであり、もっと言えば友達だったり、家族だったりだと思うんですけど。そこにプラスして、さらに補い合える人材が増えるかもしれないっていうのが、今回の超特急募なのかなと思います。それに、誰かが抜けて、その代わりに新しい人が入りますってわけじゃないので。この5人の空気感にまた新たなものがプラスされるって思っていただくのがわかりやすいんじゃないかな」
――とはいえ、今回の発表に動揺する8号車の気持ちもわかります。それをどう受け止めましたか?
タクヤ「でも、それだけ8号車のみなさんそれぞれの中で超特急がこんなにも大きな存在なんだっていうのを感じることができたので。考える時間がほしいっていう人も、どんな形でも超特急が好きと言って応援してくれる人も、僕らのことを思ってくれていることに変わりはないというか。その想いを改めて知ることができて、より強みになりましたね」
タカシ「やっぱり8号車もメンバーなんだなって。それはずっと言ってきたことだし、今も変わらないし。だからこそ、新メンバー募集オーディションをやるっていう発表も、最初はホームページでお知らせする予定だったんですけど、メンバーの中で“それって違くない!?”となって。みんなの顔を見て、自分たちの口から直接伝えたい。それは8号車をメンバーだと思ってるからこそ、できる行動というか」
――そこに怖さみたいなものはありませんでしたか?
タカシ「でも、文章だけで伝えるのも何か違うなって。メディアに“出ますよ”っていう告知とはワケが違うから。そこでのみんなの反応も、やっぱりいろいろな考えがあって、受け止めるまでも人によって速度が違うのは当たり前で、すごく人間らしいというか。もちろん悩ませてしまうのは申し訳ないなと思うんですけど、新メンバーがどういうふうに入ってくるか、そもそも本当に入るのかも、オーディションをしてみないとわからないし、どんな形になっても納得してもらえるように、自分たちが少しずつライブとかで証明していかなきゃなと、8号車もメンバーと思うからこそ、改めてそう思いました」
――そろそろ締めの時間になるのですが、こういう時、いつもリョウガさんにコメントをお願いしていて。そこで個人的に気になっていたのが、リョウガさんは必ず“超特急がいつまで続くかわかりませんが…”と前置きされることが多いんですよね。これまで、それはリョウガさんのキャラクターからくる発言なのかと思っていたんですけど、ここに来て、実は“特別な意味があったのかも!?”と思うように…。実際のところ、どうなのでしょう?
リョウガ「バレましたか……」
ユーキ「ないだろ!(笑)」
リョウガ「そこに特別な意味があったのかと言われたら、ないですね(笑)」
――よかったです(笑)。
リョウガ「でも、何の意味もなく言っているわけでもなくて。実際、何が起こるかなんてわからないじゃないですか。だから、いつまで続けられるかわかりませんけれども、そういった意味で言うと、このオーディション企画はもっと先の先まで続けるためでもあるし、その未来がもっと明るくなるための選択肢。それと同時に、続かなくなってしまうリスクだったり、可能性だったりを減らすイメージと捉えてもらえればと思います」
(おわり)
取材・文/片貝久美子
写真/野﨑 慧嗣
超特急「クレッシェンド」
BULLET TRAIN 10 Anniversary Tour 2022「Progress」
6月9日(木) 大阪 オリックス劇場
6月10日(金) 大阪 オリックス劇場
6月18日(土) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
6月19日(日) 愛知 名古屋国際会議場センチュリーホール
6月25日(土) 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
6月26日(日) 福岡 福岡サンパレス
7月1日(金) 東京 東京ガーデンシアター
7月2日(土) 東京 東京ガーデンシアター
7月17日(日) 宮城 仙台サンプラザホール