――まず、メジャーデビュー間近の心境から聞かせてください。
吉田仁人「最初に聞いたのは春ツアー「energy」の終わりくらいだったんですけど、レコーディングから夏ツアー「M!LK BEST L!VE TOUR ~Thank you for smile」、合宿とを通して、環境がわかりやすく変わってきて。さらに、ファンのみんなに“おめでとう”って言ってもらえたり、地元の友達からも“嬉しい”って言ってもらえて。メジャーに行くって、周りの人たちにこういう影響を与えるんだなっていうことがわかったので、個人的にはだんだんと責任感が生まれていてますね」
曽野舜太「僕は少年マンガのようなことを言いますけど、ワクワクとドキドキでいっぱいです!ただ、メジャーデビューするっていう発表はしましたけど、まだ準備期間なので、実感はあまりなくて。実際にメジャーデビューして、シングルを出して、世の中にどういう影響を与えたり、どういう反響がもらえるのかが楽しみだし、突っ走っていきたいと思います」
佐野勇斗「正直、僕も実感はまだないですね。めちゃ緊張しているわけでもない。でも、今後がどうなっていくのかという楽しみもありますし、スタッフさんも増えているので、より一層、気合を入れて、ネジを締め直して、頑張っていきたい所存です!」
山中柔太朗「僕も最初はあまり実感がわかなくて。何が変わるんだろうなと思ってたんですけど、新しいスタッフさんがいっしょにツアーを回ってくれたり、合宿に行ってくれたり、いろいろと準備をしてくれて。強力な仲間が加わったなっていうのも実感しましたし、それに伴って背負うものも大きいなっていうのも感じています。これからが楽しみですし、より一層、頑張っていきたいなと思います」
塩﨑太智「皆が言うように、実感はないけど本当にワクワクしてますね。メジャーデビューしたことがないのでわからないけど、きっとこれまでには体験してないことも体験できると思う。変化はないかもしれないし、変化はあるかもしれないし。未知の領域に入っていく感じはありますね」
――振り返ると、夏のツアーのファイナル公演でメジャーデビューを発表して、ステージ上でメンバーへの感謝の気持ちを伝えて大号泣、直後にそのまま強化合宿へと連行されました。
佐野「嫌でした!」
吉田「嫌でしたねー(笑)。何が悲しかったかって、もう少しツアーの千秋楽に浸りたかったです。感情の整理もつかず、体力の回復もできないままに行かされて。でも、これからこういう生活……急に飛び出しで行かされるということではなく、どんどんと前に進んでいくほうがいいかなと思いました。でも、やっぱり、5日は休ませて欲しかったですね」
曽野「結構、休むね(笑)。1日ならわかるけど」
佐野「それにしても、今回の取材でやっと夏ツアーのことを振り返っている感じだからね。すごいことをしてくれましたね」
山中「浸る時間がなかったもんね」
曽野「僕は楽しいことが待ち受けてる感じがして。探検グッズとかも用意されていたし、いろいろな箱とか、面白いものがあって。合宿という名の旅行に行くんだってワクワクしてたんですけど、いざ行ってみたら、リハーサルばっかりでしんどかったですね、本当に(笑)」
――太智さんは一番嫌がってましたよね。
塩﨑「僕は本当に帰ろうとしたんですよ。スタッフさんに“自宅近くまで帰れるバスがある”ということを聞いて」
吉田「夜行バスね」
塩﨑「マネージャー陣はそんなことないんですけど、カメラを撮ってくれる男性のスタッフさんが“帰っちゃっていいっすよ”って、いやらしいことを言うんですよ」
全員「あははははは!」
塩﨑「“太智くん、帰りたかったら行っちゃっていいっすよ。カメラで追うんで”って。これは、帰って欲しいのかな?って」
吉田「意地悪っ!(笑)」
塩﨑「俺は本当に帰りたいし、どうしたらいいのかわからなくて」
曽野「いらない葛藤があったよね」
塩﨑「でも、合宿のことを事前に言われてたら、きっとライブにも影響してたと思うんですよ。このあと、合宿に行かなきゃいけないって気にしてたら、ライブで全力を出せなかったと思う。だから、その点ではよかったなって思いますけど、ま、最悪でしたね」
吉田「あはははは!言いようがないよね、あのしんどさは」
山中「言いようがないくらいしんどかったけど、絆が深まってしまったのも事実。支え合ってたから」
吉田「そうだね。体力的な吊橋効果でした」
曽野「終わってみたら、結局はよかったよね。ただのダンスレッスンではなく、合宿の集大成として配信ライブをやるという目的があったから」
――佐野さんは通いだったんですよね。
佐野「芝居の現場と合宿所を行ったり来たりだったし、夜だけリハーサルに参加する日もあったので、あんまり覚えてなくて」
塩﨑「その様子もDVDに入ってます。別の現場に行く佐野くんを僕らが見送る瞬間とか」
佐野「本当にリハーサルにしか参加してないので、楽しかった思い出もないんですよ」
塩﨑「俺らはバーベキューとかしたしね」
佐野「朝、みんなで起きるとかもできなかったし。夜いっしょに寝れた日はあったんですけど、1日しか泊まってなくて」
塩﨑「羨ましいよ。車の中でダラダラしてていいんでしょ?」
佐野「バカ!羨ましくねーよ!」
山中「台本覚えたり、色々あるんだぞ(笑)」
佐野「もう嫌な思い出しかないです。ま、でも、ご飯がおいしかったですね。ご飯は楽しみでした」
曽野「オーナーさんというか、料理長さんがいて」
塩﨑「“ジョージって呼んでください”って言われたんですけど、俺がマスターって呼びたいという憧れがあって。俺がマスターって言ってたら、みんなもマスターって言ってたよね?」
吉田「いやいや、言ってないよ(笑)」
塩﨑「うそ!俺だけ?」
吉田「マスターってコーヒーかお酒出す人でしょ。料理を出してくれる人だよ」
塩﨑「マスターのご家族もいて。その方々のおかげで気持ちが和んだよね」
佐野「しかも、今度、ライブを観に来てくれるって言ってて」
塩﨑「だから、グッズあげました。ペンライト」
佐野「夜食とかも作ってくれて。本当に救われましたね」
山中「朝食を食べたあと、“頑張って行ってきてね”とか言ってくれるんですよ。その一言が大きくて」
曽野「めっちゃ優しい顔してるんですよね」
吉田「ホラー映画だったら、逆に犯人かなって思うくらい(笑)。本当、100パーセント善で生きているような人間のお顔をされてて」
塩﨑「バーベキューで残したお肉を佐野くんのためにもう1回、温めてくれたりしたし」
佐野「全部コンビニご飯だったら、行ってないです、合宿」
塩﨑「そうだね。マスターのご飯があったから」
曽野「二日目にはステーキが出て。“お前ら、頑張れよ”って」
吉田「ほぼ1週間いたんですけど、コンビニに1回も行ってないですからね。ジョージさんのご飯があったから」
塩﨑「おいしかったな」
吉田「うん、たまらんかった。おかげでちょっとだけ太った気がする(笑)」
塩﨑「18時になったらご飯が食べられるっていう、あの時間があったからリハも頑張れた。会いたいなー」
山中「ジョージさんの話、ながない?(笑)」
――あははははは!そろそろメジャーデビュー曲「Ribbon」のお話をしましょうか。
塩﨑「やっぱりマスターが……」
吉田「もう、ええて(笑)。「Ribbon」を最初に受け取った時は、まっすぐに自分の目線、等身大のままで熱い思いを乗せて歌う、王道のアイドルの曲だなという感じがして。やっぱりメジャー一発目に何を持ってくるか、みんなも気になっていると思うし、僕たちも自身もどういう顔で行くのかなって思ってて。それが、この曲だったことはすごく光栄だなと思うんですね。しかも、今までのM!LKを全て見てきた園田健太郎さんだからこそ書けた、僕たちのいろんな思いがのった歌詞になってて。でも、恋愛ソングとしても聴けるっていう、刺さる人の幅が広いのも良かったですね」
塩﨑「キラキラした恋の歌にもなってるから、早く人前でやりたいですね」
吉田「そうだね。僕はこれまでのM!LKの曲の中でも一番と言っていいくらいお気に入りの1曲になってます」
佐野「仁人が言ったように、メジャーデビュー一発目はファンの方も、業界の方々も、どんな感じでくるのかを注目してくださると思うんですけど、自信を持って出せる曲になったと思います。裏テーマとして、ファンの方々……み!るきーずとの絆は永遠だよっていう僕らからのメッセージもこもってて。素晴らしい曲を作ってくださって本当に感謝です」
曽野「僕たちが等身大で大切な人たちに向けたいメッセージを込め切った歌だと思うので、幅広い世代の方に届けていきたいですね。YouTubeライブをした時も歌詞の意味を考えて歌えたので、すごく感情が乗って。このままメジャーデビューに向けて精度をあげて、僕たちの感情を届けていきたいなと思いますね」
山中「聴き手によって捉え方は変わると思うんですけども、好きな人のことを思って、胸が苦しくなるような歌詞もあって。恋愛の歌として若い子はきっと共感してくれるだろうし、年上の方も大切な人を思ったり、きっと感じる部分があるんじゃないかなと思いますね」
――等身大のメッセージということですが、それぞれどんな思いを込めて歌ってますか?
山中「僕は今、この現状をリボンで結んでおきたい、守りたいと感じてるんですね。こんなにいいメンバーがいて、たくさんのスタッフさんに囲まれて、ライブをすれば、ファンの方がたくさん来てくれる。この現状を守りつつ、どんどん上に上がってきたいという思いがありますね」
曽野「<もう一度強く結びたくて>とか、<永遠にほどけないRibbonを>とか。み!るきーずとの絆を再確認してる歌詞があって。僕たちはみ!るきーずがいて、初めて輝ける。その関係性を表してると思いますね。この愛された環境をずっと見ていたい、ずっと心の中にしまっておきたい。崩したくないっていう感情がありますね」
塩﨑「<独りじゃ輝けないんだ>は本当に僕たちにぴったりだなって思いますね。み!るきーずの人たちがいないと、我々はライブもできないですし、CDも出せないです。いくらやりたいと言っても、応援してくれる人がいないと僕らは輝くことができなくて。ライブでもいっしょに盛り上げてくれるファンの人たちがいるからこそ、より輝くことができるし、最高の瞬間を作ることができる。そういう意味でも、この歌詞はピッタリというか、俺らのことやなって感じてて。月が僕らで、太陽がみんなっていう比喩表現もいいなって思いますね」
吉田「やっぱりサビは全員で歌っているので、特に思いがのってますね。僕はやっぱり、1番の<君が大好きな今を/ずっとずっと 守りたいと誓う>。ですね。ライブでみんながどんな顔をして見ているか、結構、わかるんですよ。いろんな表情を見たことがあるけど、やっぱり楽しんでくれてるんだなっていうのはなんとなく伝わるんですね。ステージに立ち続けることが、僕の生きる糧でもあるし、それが誰かの生きる糧にもなっていたら嬉しいし。だから、僕はステージに立ち続けたいと思う。しかも、一人じゃなく、この5人で立っていることに意味があると思うので、この5人でいられるように頑張っていきたいなっていうことを、この歌詞を歌ってる時にいつも考えてますね」
佐野「みんなが言ったことそのままですけど、<迷わずついておいで>という歌詞はすごくストレートですけど、いいなと思ってて。み!るきーずのみんなに、ついてきてくれれば、絶対にいい景色を見せるよっていう意思がこもってる。こうやってあらためて歌詞カードを見ても……うん、うん、いい歌詞っすね!」
吉田「ひたんな!自分たちの曲で浸るな!」
――でも、そういう決意表明も入ってますよね(笑)。
佐野「そうですね。爽やかな恋愛ソングかと思いきや、男らしいところもあるし、強気なところもあるし。歌ってて気持ちが入りますね」
吉田「今までも決意の曲とか、自分たちの想いが入っている曲はあったんだけどさ、この曲のトーンで、背中を押すというか、手を差し伸べてる感が今までとは違うのかな?」
塩﨑「そうね。キラキラした優しいメロディに熱い思いが入ってるから」
曽野「ついていきたくなるよね」
――もう1曲、メンバーで作詞した「夢路」についても聞かせてください。
山中「僕と太ちゃんが合宿で、“作詞をしてみよう”という課題を与えられて。そこから、合宿中に思ったことや景色を――もちろんおいしかったものも(笑)――メモしてて、合宿から始まる“夢の路”をテーマに、そこからみんなの意見を参考にしつつ、僕と仁人くんとまとめたっていう感じですね。1番がメンバーのこと、2番でみ!るきーずと僕らのこと、最後の<このステージで>はドームに立った僕たちの目線で書いてて。この案を出してくれたのは舜太。ドームで歌って初めて完成する曲なのかなと思ってます。いっしょに叶えて欲しいなと思いますね」
曽野「いっしょに育てていきたい曲です」
塩﨑「<今日この日>から始まって、<あのステージ><あの日>ときて、最後に<このステージ>という未来になってる。その前の<気づけばまた あなたを探してる>っていうフレーズも好きですね。あなたは、一人のことなんですけど、どれだけ大きい会場に行っても、応援してくれる一人一人を見てるっていう思いがここに込められてて。そのあとの<また誰かの夢になる>って続く。僕らが誰かの憧れの存在になるっていう歌詞は本当にいい歌詞だなと思いますし、それは、叶えなきゃいけない目標でもあるんじゃないかなと思いますね」
曽野「タイトル決めまで、みんなで何がいいかを比較しあってね。締め切りの時間を超えて、全員が“うん”って納得するまで話し合ってできた歌詞になってて。僕らの物語を描いているので、みんなの前で本番披露するときは、合宿のことも思い出しながら歌いたいなと思います」
――最初の<今日、この日>は夏ツアーのファイナル公演のことですよね。
佐野「そうです。メジャーデビューを発表した日ですね。僕、M!LKの中でもみんなと違う曲が好きな節があるんですけど、この曲はランクインしてきましたね」
吉田「おお、今何位くらい?」
山中「ファイブスターには入ってる?」
佐野「スリースターには入ってるよ。なんなら1、2位を争ってるよ。でもまだ歌ったことないから」
塩﨑「振りもついてないしね」
佐野「振り、なくてもいいんじゃない?これ。どう?」
吉田「いや、すごいダンスをつけるよ」
佐野「そうなると、ランキングも地に落ちますね(笑)。フリで変わってくるので。超むずかったら、その思い出も入っちゃうから」
塩﨑「わかる!フリがなくてもいい曲だと思うよ」
佐野「すごく気持ちこもります。僕自身にも刺さるし、歌ってて気持ちがめちゃめちゃ入るので、これ歌ってる時、どっかで泣きますね」
曽野「“次回、佐野号泣!”お楽しみに!」
吉田「あははは!泣く予告、ダサいぞ」
佐野「正直、くさい歌詞もあるんですけど、それがいいんですよね」
吉田「今、くさく感じるくらいがちょうどいいんだよ。ドームに行ったらカッコよくなるよ」
――<今日、この日>には、リーダーが「夢であるドームツアー」と宣言してました。
吉田「僕がライブでちゃんと公言したのは初めてでしたね。ただ、行けるんじゃない?と思っちゃったので、言おうと思ったんですよね。これまでにメンバーチェンジを2度、経験しているので、どこかで不安だったり、安易な約束がなかなかし難いという気持ちがあって。少し保守的になってたんですけど、この5人なら言えると思ったから、自信を持って言わせてもらって」
曽野「いいエピソード」
吉田「歌詞の話に戻ると、僕はまとめてる段階で参加させてもらって。舜太と勇斗は主に英語のところ、太智と柔太朗は元々それぞれに1曲分くらい書いてもらってたんですけど、みんなの思いが共通して熱かったんですよね。太智は前に進めるだろっていうことを言っていたり、柔太朗はいろんな表現の中で大切なことを思っているんだなって感じて。だから、すごくまとめやすかったんです。みんなが共通して思っているのはひとつなんだってことを感じたので、形だけ整えましたけど、これ、ドームで歌った時、きっと想像できないくらい感動すると思いますね」
山中「落ちサビえぐいよ、歌い出し。もし歌ったら」
塩﨑「泣いちゃうよ、たぶん」
吉田「自分というよりは、メンバーとスタッフとみ!るきーずを泣かせにかかりたいな」
佐野「違うよ。みんなにマイクを向けて、“SAY!”でしょ」
吉田「なんで?大事なとこ、歌わないの !?」
塩﨑「確かにそっちかもな。みんなで大合唱じゃない?」
吉田「そっち?俺、かませないの?」
山中「マイク通さずにアカペラは?」
佐野「アカペラ?ドームで?」
曽野「あははは!何も聞こえないよ」
塩﨑「気持ちだからね」
吉田「じゃあ、歌ってよくない?」
塩﨑「いや、みんなに歌って欲しいじゃん」
吉田「なるほどね。でも、本当にこれをドームで歌った時の衝撃は今、想像しているものの数百倍だと思うので、早く味わいにいきたいなって思いますね」
山中「ワクワクしちゃうね」
佐野「そう、僕らはメジャーデビューが目標じゃないからね。その先で、もっとファンを喜ばせたい。そこは忘れずに、ドームツアーという、夢じゃない目標に向かっていきたいと思います」
吉田「その前に、来年2月のパシフィコ横浜公演を頑張ります!」
曽野「<夢が夢じゃなくなる>ようにね。頑張ります」
吉田「お前、爪痕残そうとするなよ!」
曽野「いや、どこか使ってくれるかなと思って(笑)」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/いのうえようへい
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