――ソールドアウトで迎えた『Aile The Shota Oneman Live 2025 at 東京ガーデンシアター』(3月16日 開催)を終えた心境から聞かせてください。
「やっぱり達成感はありました。“Aile The Shotaとは?”を、自分自身が改めて実感させられましたし、主観と客観のどちらも含めて、“ここまで来たな”って感じることもできました…客観が追いつかない部分は周りのリアクションから補ってもらって。本当にいいライブが出来たので、とても満足感があります。本当に幸せでした」
――ライブ中のMCでも“これ以上ない幸せです”とおっしゃっていました。
「本当に幸せでした。今回のライブは、大成功だったと思うんですけど、“何が理由なのか?“って考えたときに、ライブやる前から、”来てくれる1人1人のあなたを楽しませる、あなたを幸せにする“を一貫して強くフォーカスし続けたことだ思っていて。今やれる、ライブとしての最適解を出せたんじゃないか?…”ベストなものを届けられた”と思います。当日、ライブ後にミーグリで数人のファンの方とだけ喋らせてもらったんですけど、みんなすごくいい表情で、“本当に良かった!”って言ってくれて。出来れば、来てくれた人全員、1人1人から感想を聞きたいくらいなんですけど(笑)」
――(笑)。“一人一人のあなたと愛し合う”という姿勢でありながらも、Aile The Shotaのこれまでの歩みを振り返るような内容にもなっていましたよね。ドリカムのカバー(「空を読む」)があり、スペシャルゲストとして、SKY-HI、SOTA(BE:FIRST)、MANATO(BE:FIRST)、Maddy Soma、Kenya Fujitaらも登場して。デビューシングル「AURORA TOKYO」のプロデューサーであるShin Sakiuraや「愛のプラネット」を共作した森光奏太などのプレイヤーもいて。
「セットリストは割と早めから決まっていたんですけど、当初は、全てを回収しようと思っていたわけではなくて。“現状できる最高のもの、今出せる全てを出そう”と決めてはいたんですけど、いざやってみると、しっかりと原点の部分から地続きに今になっていました。結果的に、デビュー当時から大事にしてるフレーズである“地続きの今”をやれました。狙わずして集大成になったのはすごく良かったですし、だからこそ、次をちゃんと提示と言うか、未来の話が出来たのも良かったです。大きい場所でやるときの怖さって、僕よりもファンの皆さんが燃え尽きてしまうことかな?と思っていて。それがなかったのが嬉しかったです」

――バンドやゲストミュージシャン、スペシャルゲストの面々を眺めながら、“こんな人生でよかった”とおっしゃっていましたが、自身の27年間の集大成でありながも、明確に次の目標を宣言していましたね。
「あれは前日に決めたんですよ。“言おう!”と思って」
――アンコールで“東京ドームで絶対にライブやるので。紅白も出る。絶対出る!”と決意を表明していました。
「ずっと家族には言っていたんです。MCでも言ったんですけど、僕のモチベーションは家族が一番で、仲間がいて、家族や仲間の誇りになれているのはファンのおかげであって。だからこそ、僕はファンの誇りでありたいです。その一番の原点の部分である両親には、“東京ドームで絶対やるし、紅白にも出るから”ってずっと言っていて。それを、ああいう大きい場所で言ったときに、しっくりきたのがとても嬉しかったです」
――確かな未来が見えたからこそ、言えたのかな?と思いました。
「そうですね。あの場で引くこともできたので。でも、“日本の音楽シーンの真ん中に“って銘打ってるからこそ、しっかりとした目標を掲げたいと思って。あと、大事だったのは”何年後になるかわからないけど、何年もかけるつもりはない“って言ったこと。それは絶対に伝えたかったんです。僕とファンと家族と仲間で、共通の希望を持ち合うことが出来たのは大きかったです。同じ業界の仲間もみんな見に来てくれていたので」
――仲間という観点で言うと、ご自身がプロデュースしているダンスクルー・ODORIをかなりフィーチャーしたステージになっていました。プロデュース業の方に興味がいっちゃうのかな?っていう懸念もあったんですけど。
「いえ、どちらも120%でやります。ライブに向けて、深夜練もたくさんやって、本当にしんどかったですけどね(笑)。ODORIの1人1人と向き合って、心ともしっかり向き合って、すごくいい状態で当日を迎えることが出来ました。彼らに憧れる人が出てくるまでやります」

――オープニングにも全員いましたよね。
「僕の中では、本来はあそこにゲストも立っていて…くらいの認識なんです。仲間を含めてAile The Shotaなので。そこは僕の大事な部分です。人との繋がりや愛を掲げているからこそ、それを含めた概念がAile The Shotaだと思います。その中で、僕が今、掲げている踊り(ODORII)という…クルーの名前でもありますけど、ダンスに対する愛をあの場でぱっと見せる演出にしたかったんです。ダンサーへの愛は誰よりもあるので、ダンスに関しての見せ方はすごく自信があります。日本で一番うまいと言うか、世界でと言ってもいいんじゃないか?っていうくらい。ダンスに対するリスペクトを持った見せ方やショーの中でのバランス、プロデュース力みたいなものは頑張りたいです」
――ワンマンライブだけど、一人だけのショーではないんですね。
「そもそも第1目標が、“来てくれる1人1人のもの“で、そう感じてもらうために”僕が持てる全てを出す”ってなったときの大事な表現がダンスであり、踊りなので。押し付けがましくなく、ODORIをプレゼンできたのはとても良かったと思っています。そのバランスがちゃんと取れているからこそ、最後の最後でエゴの部分と言うか、決意を表明しました。ただ、それもお互いの希望としての提示なので、僕だけのものではないんですけどね。チームとしてのAile The Shotaが東京ドームに行くまでやめれないって思いましたし、その頃には多分、その先も見えていると思います。だから、一旦、“今の僕が見据えている高い目標を言う“って決めていましたし、そのバランスはとても良かったと思います」

――そして、本編の最後にライブ前日の誕生日に配信リリースされた新曲「SAKURA」を披露しました。
「この曲がAile The Shotaの明確な次の提示になっています。どんな音楽を、どういうふうに奏でて、どういうステージングで見せるのか。全てをひっくるめたときに、最大をやれる曲にしたかったので。“「SAKURA」でマックスを出そう”っていうのであの位置にして、”桜の花びらをバーっと降らせる”って演出の上で考えました」
――ライブ史上最大じゃないか!?ってくらいの桜吹雪でした。本当に今までにない量で驚きました。
「すごかったですよね。僕も映像を見て、“自分も浴びたかったな”って思いました。ステージ上からだと全然景色が違ったんですけど、アーティストの友達がみんなストーリーに載せてくれて。絵がすごく綺麗で、僕もびっくりしました。“こんな景色を見てもらえてたんだ”って、すごく嬉しかったです。実は直前にNissyさんのドーム公演を見に行かせていただいて。ドリカムさんの『ウラワン』も母親がチケット取ってくれて、一緒に観に行ったんですよ。そこで、ライブの中でもエンターテインメント性の高い演出の要素も大事だと思いました。僕の根底には、“音楽の質の高いライブにしたい”という想いがあるんですけど、プラスして、“最高のエンターテインメントである”ということも無視できなくて。そういうエンターテインメントに触れてもらいたいと思っているタイミングで、ああいう体験を持って帰ってもらえたのは、僕自身、よりそこに興味が湧きました」
――家に帰って服を脱いだ時もまだ桜の花びらが出てきました。みんなも、体験はもちろん、思い出としての花びらを持ち帰ったと思います。
「嬉しいですね。もちろん、“良質な音楽を届けたい”という根っこの部分は持ち続けたいです。それに何より、まずは“みんなに楽しんでもらいたい“というのが一番にあって。音楽的にとても楽しいライブをやる傍らで、”エンターテインメントショーとしてどこまで出来るか?”って追求は、今回、歌の表現も含めてやれた気がしています…作りこむ美学というか。僕自身はすごく自然体で、ナチュラル側ですけど、その中での演出の美学みたいなのを感じることが出来ました。今のバランスだったら、どっちも出来る気がするので、それも嬉しかったです」

――「SAKURA」の制作は元々はどんなところからスタートしたんですか?
「Taka Perryに“セッションしよう”って言って、スタジオに入って。“シンセウェーブのドラムの打ち方いいよね”みたいな話をしながら、一気に1日で、メロディから歌詞まで全部できました。ただ、季節をちゃんと明確に歌った曲があまりなかったので、“春の曲を作ろう”って言って作っていたのを覚えています。「踊りませんか?」のリリースよりかなり前なので」
――そうなんですね。「踊りませんか?」には<春夏秋冬 喜怒哀楽>というフレーズがありました。
「そういうことも含めて、『REAL POP』をリリースした後のAile The Shotaは春夏秋冬の一つずつを大事にシングルで打ち出していくのがベストなんじゃないか?と考えていて、だいぶ温めていました」
――“本質を大衆へ”という明確なコンセプトを掲げた上で、次世代のJ-POPSTARになりゆく過程で、季節ソングを臆せず歌っていくってことですよね。
「そうですね。日本の音楽シーンを代表したいので、日本にしかないものである四季にフォーカスしようって。僕も元々、夏には夏の曲を聴きたくなりますし、季節感のある曲がものすごく大好きなんです。第1章で引き出しは一通り広げましたし、今、メロディー的にもそういうメロディーをかける時期になっているので、夏秋冬も楽しみです」

――春ソングというとバラードのイメージもありますが、「SAKURA」は80’sマナーのシンセポップになっていますね。
「僕の曲だと「IMA」に近いドラムの音色だと思うんですけど、ああいう曲をJ-POPとして昇華できるのは自分の強みだと思いましたし、「IMA」はライブですごく盛り上がる曲なんですよ。ライブも想定していたので、今回はよりライブ感を意識していて。ベースを生で奏太に弾いてもらって、打ち込みのベースと混ぜています。その音の出し方もミックスまで超こだわって、打ち込みのベースとの共存かつ、奏太のベースがちゃんと際立つように混ぜています。ギターの音色や弾き方も含めて、Takaといろいろと連絡を取り合って、かなり進化して元は打ち込みだったのが、別の曲みたいになりました。バンドサウンドと打ち込み、僕が通ってきた音楽のルーツのいいところをどちらも出せたミックスになっています」
――フックもこれまでにない和メロになっていますよね。
「直感で作ったんです。Takaがギターで弾いたコードを聴いて、フリーで歌って、リリックをはめて。本当に1日の出来事なので、あまり細かく覚えてないんですけど…。“これ、やばいね!”って言いながら、エアギターで歌っていたのは覚えています(笑)。J-ROCKのライブをイメージして作った曲ですね」
――歌詞は春をテーマにどんな想いを書こうと思っていましたか?
「僕の中では完全に桜にフォーカスしているので、“桜を見て何を思い出すか?”というとこに、君を桜に例えるという表現の仕方をしていて…」
――桜を見て思い出すことというのは?
「別れた後のことを歌っています。終わってしまった恋について。<夢の中で笑う2人>の幸せそうな姿ではなく、<夢の中で笑う2人>の裏側の別れと涙を…“自分が見ないふりをしてしまった”のか、“見えてなかった”のか、そういうところに対して。“なんて言えばよかったんだろう”という後悔の念を昇華してあげるような曲です」
――<あの日>ってどのくらい前のイメージですか。学生時代でしたか?
「これを書いているときは、終わってしまった近い恋愛を想って書いたんですけど、先日ミュージックビデオの撮影をしたときに、すごい気持ちになって。青春に当てられて、本当に胸がギュってなる経験をしたので、そこまで深く歌い描けるようになりました。“みんなの心の中の青春の時間のようなものを思い出してもいいんだよ”というか、“思い出さなきゃ勿体ないよね”っていう。そういう経験を踏まえて、歌詞が育っていった気がします。伝える側として“育っていったな”って感じました」
――MVは、高校生の男女が主人公のストーリーになっていますね。
「めちゃくちゃいいですよね! 美しすぎてしんどくなりますけど、もう何回も見ちゃいました(笑)。監督さんには“とにかく青く美しく描いてほしい”ってリクエストをしました。それによって、“僕みたいな想いをするといいな”と思って。等身大の子たち、この世代の子たちには、“こんな青春がしたい”って憧れてくれたらいいな…。そうやって広がっていくことが嬉しいですし、何年か経った後に、“青春のときの曲、「SAKURA」だよね“ってなってくれたらすごく嬉しいです。誰かの思い出になったら嬉しいですし、逆に僕からしたら、思い出を思い出す曲になりますし」
――ご自身の青春時代を思い出しましたか?
「いや、やばかったですよ。自分の心の動きが怖すぎて、もう学校に行けないですもん(笑)。でも、撮影が終わった後、高校の友達に“ちょっと思い出したいから写真ちょうだい”って連絡しちゃいました。でも、振り返ったときに、“美しかったな”と思いました。“戻れない時代を美しく思う心って大事だな”って感じた撮影でした」
――東京ガーデンシアターにいた人たちは、ライブで見た桜吹雪も思い出す映像になっていますよね。
「だから、「SAKURA」を歌う前のMCで、“いつか今日という日を思い出せますように”って伝えたんです。やっぱり思い出を作ることって、人生の中ですごく素敵だと思います。それこそプロデュースしているODORIのメンバーも“忘れられない日になった”と言ってくれましたけど、あのステージに出てくれたメンバー、みんなが忘れられない日になったと思いますし、ファンのみんなもそう思ってくれたらいいなって。すぐに更新もしたくない気持ちがあるからこそ、ワンマンのライブはちょっとだけ開けようなかな?って思っています。あの日が美しすぎたので」
――何度も思い出して、まだ噛みしめたいですよね。あと、この曲は<なんて言えば 良かったというのだろう>と後悔を綴っていますけど、明るさもありますよね。
「そうですね。このバランス感…何か希望がある感じというか。携帯の中に消せない元カノの写真が残っているとか。その思い出自体は美しいから取っといていると思うんですけど、それに似たような感じですね。最後に<君は桜>っているところは、いまさら相手を肯定しています。その感じもすごく好きです」
――何も言わずに終わったんでしょうか?
「どうだったんでしょう? “あのとき、あれを言わなかったな”って積み重ねじゃないですか。だから、もうわからないんですよね。“なんて言えばよかった”っていう答えはなくて」
――タイトルをアルファベットで「SAKURA」にしたのは?
「もう直球でいきたかったんです。「IMA」や「LOVE」もそうなんですけど、“もう「SAKURA」じゃん!”って。思い出の名前としてわかりやすくていいですし、それがAile The Shotaらしさなのかな?と思います。大事な曲になる予感がするときは、こうなる気がします」
――この春にたくさん聴いてもらいたいですね。
「まず、学生のみなさんに聴いてほしいですね。さっき言ったように、僕らに忘れられない青春時代の曲があるように、誰かの青春になれるって本当に素敵ですし、憧れるので。この曲が誰かの青春になったら、とても嬉しいです。そうじゃない世代の人たちには、僕みたいな気持ちになってほしいです。あと、今後、ライブですごく盛り上がる曲になると思うんです。フェスやイベントに出たときに大事な曲になりそう。タオルを回すのか…」
――初披露の東京ガーデンシアターで<ぐるぐるぐるぐるぐるぐる 廻って>で回している人いましたよ。
「そうなんですよ! 僕も“回してる人いたよ”っていう話を聞きました。今回は歌詞をしっかり伝えたかったので、あえて言わなかったんですけど、この曲の広がり方次第で、よりライブも見え方が変わってくるのかな?って。曲の歌詞を大事にしすぎるからあまりやれないんですよ…“飛び跳ねろ!”とかも、本当に曲に合っていないと言えなくて。“リリックとの相性はどうかな?”って考えていて。だから、“どれだけ歌詞をかみしめてタオルを回してくれてるのかな?”ってちょっと気にしちゃうかもしれないです。そのときにどんな表情で回しているのかを見ちゃうかもしれないです」

――(笑)次なる夏曲はどうなりそうですか?
「いい曲を書きたいですね。今のところ、メロディーはとてもいい感じです。歌詞はまだ、夏のどこにフォーカスしようかな?って、まだ決めかねていますけど、何となく見えてはいるので楽しみに待っていて欲しいです」
――ちなみに、ご自身にとって青春時代に聴いた曲というのは?
「僕は学校でバンドもやっていたので、その頃に聴いていたRADWIMPSやBack Number、Galileo GalileiとかのJ-ROCKですね。たまたま僕のガーデンシアターの前日、誕生日にGalileo Galileiが同じ場所でライブをやっていて。”だから、何だ?”って話ですけど、個人的には“すごっ!”と思って」
――それもAile The Shotaの人生の一部ですね。
「いろんなところから繋がって…そういうバンドを聴いていましたね。だから、MV撮影の当日はそういう曲を流しながらメイクしていました。“うわっ”ていう気持ちになって、くらっていました。“なんだこの感情!?”…音楽を聴いて、こんな気持ちになるってすごいなって。僕もそういう曲を作りたいです。高校時代に聴いていた曲を聴くと、いくつになっても高校時代のことを思い出します。現状、既にそういう曲になっているものもあるかもしれないですけど、「SAKURA」はよりそういう思いで作っていて。だから、高校でライブをしたいんですよ。高校で歌って、そこで“学生時代はあっという間だぞ”って僕が言われ続けていたことを言いたいです。本当にあっという間だから。27歳になって、本当に“青春を楽しみなさいね”って思うようになりました。今、青春を過ごしている人は気付けないんですよ…どれだけ言っても、歌っても気づけないからこそ、せめてこの曲だけでも聴いておいてほしいです。そして、“あのとき、あの人はこういうって言ってたんだ”っていう思い出の曲にしたいですね!」
(おわり)
取材・文/永堀アツオ
Photo/Satoshi Hata
RELEASE INFROMATION
LIVE INFORMATION

Place of Mellow organized by Aile The Shota
5月16日(金) 東京 Zepp Shinjuku (TOKYO)
出演:Aile The Shota / idom / dawgss / eill
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