――ニューアルバム『無限の終わり』は、“無限に広がり続ける可能性に終わりはあるのか、終わりの終わりは始まり”というキャッチコピーとともに、げんじぶがNextphaseへ進むことを予言した作品となっています。まず、今作に込められたコンセプトを聞いた印象から教えてください。

大倉 空人「最初はもう、“『無限の終わり』ってどういうことだろう?”と。“無限って終わりがないよね?”って思ったんですけど、“げんじぶ Nextphase”と聞いて、バン!とわかったというか。このワンフレーズで、原因は自分にある。が無限に続いていくなかで、ひとまずこれまでの3年間の集大成を見せると同時に、次のステージ行けるようなアルバムを制作するんだなっていうのがわかりました」

小泉 光咲「実際、今回のアルバムに収録されている楽曲の中には、これまでのげんじぶらしさを感じない楽曲もあったりして。それが、新たな僕らが見える楽曲でもあって、そういうところも含めて“げんじぶ Nextphase”なのかなって。だから、“歌だけでなく、パフォーマンスでもそういう部分がしっかり見せられるようにしたいな”って、完成したアルバムを聴いて改めて思いました」

武藤 潤「アルバムのコンセプトを聞くよりも前に、128日に行うパシフィコ横浜でのライブのタイトルの発表があったんですよ。それが“End of Infinity”で、アルバムのタイトルがその和訳で。昨年77日にライブの発表をした段階ではアルバムの全容は知らなかったけど、“これはつまり、そういうことなんだな”って。パシフィコ横浜へのストーリーを見たような気がしました」

――これまでの集大成とも言える今作を聴いて、率直にどう感じましたか?

長野 凌大「そうですね…デビューして3年が経ち、128日にはパシフィコ横浜という自分たちが目標としていたステージもあってっていうなかで、2022年の1年間は僕たちがこれまでで一番げんじぶとして活動したなって思える1年だったんです。そんな僕たちが3年間培ってきたものを一旦全部集約して、そしてまた新しい未来に繋げるっていう想いが込められたアルバムなので、これを聴いてもらえれば、今の僕たちがわかるような作品になってるかな?って思います」

桜木 雅哉「僕が個人的に思うのは、デビューから3年経って、自分たちの声もですけど、それだけじゃなくて、曲調も大人っぽくなったような気がしていて。1stアルバムの『多世界解釈』からの成長が見られて、“すごくいいアルバムになってるんじゃないかな?”って思いますね。あと、11曲いろんな色があって、飽きないなとも思いました」

――吉澤さんは今回の収録曲のなかで、一番キーになる楽曲はどれだと思いますか?

吉澤 要人「デモ音源を聴いたなかでも一番インパクトがあったのが「無限シニシズム」でした。だから全曲聴いたときに、“アルバムでもこれが表題になるのかなぁ?”とは思いましたね。やっぱり、げんじぶらしさっていうのも感じたので」

武藤「これぞ、げんじぶがやってきたことだな!って思いますね」

――いろんな捉え方、解釈ができる楽曲ですよね。制作者の久下真音さんから楽曲についての説明はあったりするんですか?

大倉「久下さんとは音楽的な話は全然しなくて」

小泉「ご飯系ばっかりだね」

大倉「僕、“猫ひた” (テレビ神奈川『猫のひたいほどワイド』の略称)にレポーターとして出演させて頂いているんですけど、“猫ひたで行ってたあのお店、美味しいの?”とか、そういうことしか話さないです(笑)。唯一言われたのが、「無限シニシズム」のラップにある<足りないOmniverse>の発音の仕方。僕がこのアルバムでいただいた指摘はそこだけです」

小泉「基本、自分たちそれぞれで解釈して歌ってることが多いかもしれないですね。メンバー間でもあまり話さない」

吉澤「だからこそ、曲ごとに色を決めるのはすごく大事だなと思っていて。いろんな解釈はあるけど、イメージは合わせなきゃいけないから」

武藤「「無限シニシズム」の場合は色じゃなくて絵柄なんですけど、決めるのにめっちゃ時間かかったよね?」

小泉「難しかったね。“こういう感じ”っていうのはわかるんですけど、細かいところまでは全然思い浮かばなくて」

長野「結果、美術館にある作品みたいな感じになりました」

――それを毎曲決めるっていうのは大変ですよね。

小泉「そうなんですよ。全部の曲でやってるぶん、色もだんだん限られてきちゃうので。だから、最近は色だけでなく、物とか雰囲気とかでも合わせています」

大倉「序盤のほうに色を使いすぎたんですよね(笑)。だから、もう色がない」

――それは、楽曲が増えたという、うれしい悩みでもありますよね。

大倉「もちろんそうなんですけど、その反面、色決めにすごい時間がかかる時があります。で、そこから色相環をネットで調べて…」

武藤「僕ら御用達のサイトがあるよね(笑)」

小泉「色彩検定をやってる人じゃないとわからない色みたいなのを、毎回調べてます(笑)」

――「無限シニシズム」はMVも撮影したとのこと。その撮影の印象をradio encoreで桜木さんが“景色がきれいだった”と話していましたが、もう少し詳しく教えてください。

長野「昼間は淡路島の夢舞台っていう場所で撮って、夜は大阪の美術館で撮ったんですけど、個人的には夜の美術館が印象的でした。やっぱり、夜の美術館ってなかなか入れないじゃないですか。しかも、ガラス張りになっていて。景色もですけど、映像もきれいだと思うので、ぜひそこを観てください」

武藤「あと、ミュージックビデオの撮影で関東以外の地方に行ったのは「無限シニシズム」が初めてだったんですよ」

――そうだったんですね。そういう意味でも撮影は楽しかった?

小泉「楽しかったですね〜」

大倉「僕の記憶に残ってるのは…やっぱり景色がきれいで」

武藤「それ、雅哉じゃん(笑)」

小泉「でも本当に、淡路島の撮影のときは、最後、潤くんが撮影している間に僕と要人と(杢代)和人で展望台のほうに行って景色を見てましたね」

吉澤「展望台がある場所がすごい階段を登ったところだったんです。潤くんの撮影が終わったら、すぐ次の場所に移動しなきゃいけなかったので、ダッシュで階段を登って(笑)」

小泉「次の日、めっちゃ筋肉痛でした(笑)」

大倉「僕はその時間、周りにメンバーいなくて、“あれ?いないなぁ”と思って、遠くから潤くんの撮影をずーっと見てました」

武藤「あ!そういえばいたね。“なんか遠くから見てるな〜”と思ったら、空人だった」

桜木「それで言えば、僕と凌大は自撮り大会をしていました」

長野「いいスポット探しに行ったんですけど、迷子になっちゃって(笑)。結局、潤が撮影してる近辺でね」

桜木「そうそう。“頑張ってるね”って言いながら自撮りしてました(笑)」

武藤「みんな、俺が頑張ってる間、何してたんだ(笑)」

――(笑)。各々満喫した様子が伝わってきますが…ダンスの見どころなども教えてもらっていいですか?(笑)

大倉「ダンス…久しぶりに踊ったんですけど、ダンスもすごい景色が良くて(笑)」

桜木「話が戻ってる(笑)」

小泉「でも、普段のMVの撮影だと誰かしらちょっとミスったりするんですけど、今回は誰一人、大きなミスはしなかったかも。あと、この曲では動きのほかに表情も大事にしてるので、そこも見てもらえたらうれしいですね」

武藤「あとは、今回のダンスは結構右手が重要なポイントが多くて」

長野「右手に振り回されたりするんだよね」

武藤「そう。右手に意思がある感じで、例えば右手で顔を押さえたり、右手に引っ張られて連れて行かれたり。だから、右手に注目して見てもらえたら面白いかもしれないです」

――ありがとうございます。

――では、すでに配信リリースされている楽曲になりますが「Q」についても聞かせてください。この曲も久下さんによる楽曲で、げんじぶのこれまでの歩みを歌っているような歌詞が印象的でした。

長野「久下さんはいつも“げんじぶにこういう曲を踊ってほしい”みたいな感じで曲を作ってくれるんですけど、「Q」に関しては、3年間一緒にやってきた久下さんだからこそ書ける曲だなって思いました。歌詞も、本当に僕たちのことを書いているように感じますし。レコーディングも、他の曲だと結構“演じる”っていう意識が自分の中にあるんですけど、「Q」に関しては、自分たちのことを思い出しながら“自分”として歌うというか。最近すごく思うのが、僕たちはアーティストっていうのとはちょっと違って、表現者なんだなって」

――というのは?

長野「今回のアルバムもなんですけど、僕らメンバーは、例えば久下さんに“こうしたいです”とは言わないんですけど、いつも身近にいてくれるスタッフさんたちが僕たちの意見を汲み取ってくれたり、どうしたら観測者のみんなが喜んでくれるかっていうのを考えたりしながら作ってくださって。それを僕たちが表現するっていう意識が強いから、アーティストというより表現者だなって思うんですよね。「Q」では“自分たちは何者なんだろう?”ってことが書かれていますが、それは僕たち自身にもまだわからないですし、それを模索しているデビュー3年目で。でも、現時点では、この曲で言っている“何者なのかっていうよりは、何者になりたいかが一番大事”っていうのが自分たちのなかでもすごくしっくりきていて、だからこそ等身大で歌えている気がします」

吉澤「僕も<正しいかじゃなくて/信じてるかなんだ>という歌詞には、衝撃を受けました。本当、そうだよなぁって」

――共感できるところが一つでも多いと、レコーディングで歌うときも違うものですか?

吉澤「レコーディングもそうだし、パフォーマンスしていても、その歌詞がくるとうれしくなります。そのフレーズを待っちゃうというか。「Q」の場合はラストにそれがあるので、パフォーマンスしながらそこが来るのをちょっと待ってる自分がいますね(笑)」

――続いては「Lion」について。この曲はなんといってもイントロにインパクトがありますね。

大倉「(イントロの)150秒間、お待たせしました(笑)」

小泉「これだけ長いイントロはなかなかないですよね」

――初めてこの曲を聴いたときの印象は?

長野「みんなも言ってるんですけど、僕は最初、“これ、インストかな?”って確認しちゃいました。待ちきれなくて(笑)」

――わかります(笑)。

長野「そうですよね(笑)。それだけでも新鮮なのに、歌が始まったらまた鳥肌というか。歌い出しは潤くんが歌ってるんですけど、ビシっとキメてくれたなって思いましたね」

大倉「間違いない。さすがうちの獅子座ですよ(笑)」

長野「また新しいげんじぶって感じで、ライブが楽しみになりました」

武藤「コール&レスポンスするパートもありますし」

長野「確かに。声が出せるようになったら、雅哉と和人にやってほしい」

大倉「あと、この曲は僕と要人のラップがあるので、そこも聴いてほしいなと思います。そして、この<つ・か・ま・え・た>をどうするかですよ。ハートの部分までを含めて、要人がどうするかってところではありますね」

吉澤「…そうですね。まだ何も考えてないですけど(笑)」

――「Lion」はこれまでのげんじぶにないテイストの楽曲なので、逆に自分たちがこういう曲を歌うのかっていうような戸惑いはなかったですか?

大倉「僕はなかったかなぁ」

長野「なんか、潤くんが普段からよくこういう感じのロック調の曲を歌っているので、“ついに潤曲来た!”って思いました」

吉澤「僕も、潤くんの気持ちになって喜んじゃいましたね」

――そうなんですね。楽曲をもらったとき、この曲は誰々っぽいなっていうのがどの曲もあるんですか?

大倉「ありますね。例えば、ちょっと切ない感じの曲だったら“光咲っぽいな”とか、バラード系は”雅哉だな”とか」

長野「僕もバラード系は雅哉。雅哉はバラード職人なんです」

桜木「バラードだけ歌わせてください(笑)」

武藤「なんでだよ!(笑)」

長野「でも、さっき空人が、“光咲は切ない感じ”って言ってましたけど、僕は意外と光咲は「チョコループ」とかそっち系のイメージ」

武藤「言われてみたら、確かに」

小泉「でも、今回も「チョコループ」とか「桜Ground」とか合いそうって言われたけど、ああいう明るい曲って意外と歌うのが難しかったです」

大倉「要人って何だろうね?…魚の曲(※吉澤は釣り好き)ってまだ来てないよね?」

吉澤「魚の曲ってどういう曲?(笑)」

大倉「“レッツ・フィッシング!”みたいな」

吉澤「それを僕の曲にされても嫌だ(笑)」

武藤「僕は「Run away」は要人の曲だなって思う。で、和人が「Lion」だと思うんですよ。どうしてかって言うと、和人が歌うパートが良くて。<衝動的で理屈じゃない ボクはキミを待てない>は、この曲のなかで一番伝えたい部分だと思います」

大倉「潤さん、それはなんでですか?」

武藤「僕らの歌って、1回聴いただけじゃわかりにくい歌詞が多いじゃない?そのなかにストレートな歌詞が出てくると目立つと思うんですけど、それを歌うのがだいたい和人なんですよ。だから、この曲のキーは和人なんです」

小泉「なるほど、そういう解釈もあるんだね」

――大倉さんや長野さんが思い浮かぶ曲のテイストは?

大倉「僕は「黄昏よりも早く疾走れ」か「犬と猫とミルクにシュガー」の2Aとかじゃない?」

長野「確かに、ライブで盛り上がりそうな曲は空人だなって思います」

小泉「げんじぶらしいってなったら、凌大の声質が一番合う」

大倉「僕の中だと凌大は「柘榴」のイメージが強すぎる」

吉澤「凌大はizkiさんの曲を表現するのがすごく上手いと思う」

――なるほど。そして、杢代さんに合うのは、さっき武藤さんが言っていたストレートな表現。

長野「和人は“キャー”ポイントがあれば(笑)」

大倉「“スーパー杢代タイム”がどれだけ作れるかって話なので(笑)」

長野「そう思うと、逆に要人は「In the Nude」とか「Joy to the world」とかかな」

大倉「色気あり系ね」

――なるほど。それぞれ系統が違っていていいですね。

大倉「本当、いいグループ!」

――では、再びアルバムの話に戻りまして。最後に収められている「僕らの世界・物語」。こちらはizkiさんによる楽曲ですが、みなさんにとってはizkiさんとの出会いというのも大きなターニングポイントだったのでは?

武藤「そうですね。2022年に一番大きく影響を受けた出来事の一つが、izkiさんとの出会いでした」

大倉「本当大きかった。izkiさんと直接会えたのが昨年の秋ツアーの北海道公演だったんですけど、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりましたし、「キミヲナクシテ」から「貴方に溺れて、僕は潤んで。」、そして「僕らの世界・物語」と、どんどん高くなっていく音程…」

武藤「音程は、確かにそう(笑)」

大倉「北海道で会ったときに“高いですよ〜”って言ったのに、もっと高いのが来たっていう(笑)」

長野「“やってくれたな〜”って思って(笑)」

大倉「でも、そうやって刺激してくれるのはありがたいですね。同世代で、ともに手を取り合って頑張ってるっていうのは、僕たち7人にとってはとても大きな存在です」

――音程が高いという話が出ていましたが、それこそ一番高いパートを歌っているのは?

武藤「サビはほぼ空人と凌大ですね」

大倉「レコーディングでは、“とにかく出てくれ、俺の喉!”って思いながら歌いました(笑)」

長野「僕は泣き出したくなりました」

大倉「この曲は本当に難しい。ライブが心配なので、とにかく練習したいと思います」

――このアルバムがリリースされた3日後には、ついに目標としていたパシフィコ横浜でのライブが行われます。最後に意気込みを教えてください!

大倉「パシフィコ横浜は、僕たちの3年間の集大成を見せるべき場所なのかなって思ってて。それを目標に、昨年の春ツアー、秋ツアー、ファンクラブイベントとやってきたので…。2022年はいろんな意味で変化する年だったとも思うので、それをずっと支えてくれた観測者のみなさんに恩返しするとともに、僕たちの成長も届けられたらいいなと思ってます」

長野「パシフィコ横浜のステージは、デビュー前にメンバーと先輩のライブを観に行って、“いつか、あのステージに立とうね!”と言っていた場所で。そのときは自分たちもただ言うだけで、自信も何もなかったんですけど、今は確かな自信が持ててるというか。その公演を目前にして思うのは、事務所に入ったときから変わらない気持ちもあるんですけど、見える景色は確実に変わっていて。今の自分には、パシフィコ横浜のその先が見えていて、進んで行こうっていう気持ちになっているので、その景色をメンバーそして観測者の方々と一緒に見たいですし、そう思ってもらえるようなパフォーマンスをしっかり届けたいと思います!」

(おわり)

取材・文/片貝久美子
写真/野﨑 慧嗣

RELEASE INFORMATION

原因は自分にある。『無限の終わり』

2023年1月25日(水)発売
[観測所限定盤](CD+Blu-ray)ZXRC-20926,820円(税込)
SDR

原因は自分にある。『無限の終わり』

2023年1月25日(水)発売
[通常盤](CD only)ZXRC-20913,300円(税込)
SDR

LIVE INFORMATION

原因は自分にある。「げんじぶ空間:case.5-End of Infinity-」

【日程】
■2023年1月28日(土)【神奈川】パシフィコ横浜 国立大ホール THANK YOU! SOLD OUT!!
開場 17:00/開演 18:00
【席種・料金】
指定席・・・7,800円(税込)

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