ジル・ガンブス 寄稿――ポール・モーリア生誕100周年に寄せて

――ポール・モーリアにまつわるフレンチオーケストラ企画

ポール・モーリアはいつもその個人的な活動よりも大きな視野を持っており、フランスポップス界の展望を2人の偉大な友人、レイモン・ルフェーヴルとフランク・プルセルと共有していました。

彼は常に彼らとの親密な絆を保ち続け、『QUARTET FOR KOBE』のレコーディングでも彼らと協力し続け、阪神・淡路大震災の被災者を支援した。

私は、彼が友人たちと分かち合ったこのフランスの音楽文化のイメージを守り続け、彼に敬意を表しそれは一つのプロジェクトとして形を成しました。

「THE MUSIC OF THE FRENCH ORCHESTRAS」というプロジェクトでは偉大なる指揮者ポール・モーリア、レイモン・ルフェーブル、そしてフランク・プルセルの多彩な音楽を再編したものです。ブラジルでのコンサートは成功を収め、実現すれば日本の聴衆にも喜んでもらえると思います。

――ポール・モーリアとのエピソード

私たちは29年もの間、一緒の時間を過ごしているので、エピソードを選ぶのは難しいですね!ひとつ、私が出会った初めの頃ですが、ポールが音楽的に新しい試み、新しい技術、私の専門であるシンセサイザーの分野に興味を持ったことが印象深いです。彼は若者であろうと信頼してチャンスを与えてくれる人でした。

1977年、彼は私に舞台でシンセサイザーを演奏させてくれたのです。彼は既に2人の素晴らしいピアニストーー私の兄弟ジェラール・ガンブス、私の幼馴染ジャン・ベルナールーーを連れていましたが、彼は私の最初の日本ツアーで、彼が作曲したピアノ演奏が技巧的で難しい「PIANO STAR」を演奏する場を用意してくれました。幸いにも私はコンセルヴァトワールを卒業したばかりで、指がよく動きました(笑)。

――生誕100周年に寄せて

ポール・モーリアと親しかった人々にとっても、彼のファンや観客にとっても、多くの良き時代を思い出す時間は、喜びです。今年は間違いなく、彼を偲ぶイベントが目白押しでしょうから、グランド・オーケストラとして、独自のカラーを失わず、世代から世代へと彼の遺産を受け継ぐ時期になることを願っています。

私の個人的な賛辞として、彼から学んだことをすべて伝え、共有し続けることが感謝の気持ちを表す方法です。



写真で辿るポール・モーリアの思い出

モスクワにて

2002年12月、モスクワでポール・モーリア・グランド・オーケストラを指揮する機会をいただきました。このオーケストラのモスクワでの最後のコンサートは1978年、ポール・モーリアが指揮して以来のコンサートということで、感動的な一瞬であり、私には重責でありましたが、ロシアの聴衆は熱意と優しさで迎え入れてくれました。

初の中国ツアー

ポール・モーリア・グランド・オーケストラ初の中国ツアー。中国の聴衆と会うことは長年、彼の夢でした。彼のためにそれが実現されたことは感動的であり感謝でいっぱいです。

レイモン・ルフェーブル、フランク・プルセルを再結集したブラジル公演

素晴らしいブラジルのオーケストラコンサートがクルチバの街で開催され、ポール・モーリア、レイモン・ルフェーブル、フランク・プルセルを再結集したプログラムでした。

奈良、そして大阪へ

友人であるNMG studioの故・朝倉 進さん、USENの上野貴章さん(当時。現・株式会社スターラップコーポレーション)の協力で日本の学生たちのグランドオーケストラを指揮できたことは大きな喜びです。それはとても貴重な経験であり、学生たちとの交流は特別なひとときでした。

左から故・朝倉 進氏、上野貴章氏、ジル・ガンブス氏、エリカ・ガンブスさん

上野さん、そしてUSENとの出会いは奇跡的なもので、ポール・モーリア逝去後まもない時でした。朝倉さんが上野さんとの出会いを導いてくれました。そのとき築かれた友情は今も続いています。どうもありがとう!

ポール・モーリアと並ぶ写真を見返すと実に感慨深いです。特に90年代は、ずっと南仏ピレネーのオリアンタルにあった彼の家でヴァカンスを一緒に過ごしました。一緒にいるヤマザキハジメ氏は流暢なフランス語を話します。日本でのツアーにMCとして同行してもらいました。

日本のポール・モーリア・ファン、イージーリスニング・ファンの皆さんへ

――USENの「カジュアル J-POPインスト」のアレンジ

J-POPの仕事はいつも私にとって挑戦です。EXILEからCreepy Nutsまで多彩で、USENとのユニットを維持するには想像力を大いに掻き立てねばなりません!J-POPは常に進化してハイクオリティなので、この挑戦が大好きです !!

――日本のポール・モーリア・ファン、イージーリスニング・ファンの皆さんへ

日本の皆さん、こうやってメッセージをお伝えできて嬉しいです。私のアレンジは全てあなたの心に触れ、あなたの生活を高められるようデザインされています。

音楽は確実に広く親しまれる芸術であり、わたしの使命は喜びとご機嫌で満たすことです!感謝を込めて!

(おわり)

写真提供/ジル・ガンブス
翻訳/仙波治代
協力/上野貴章(株式会社スターラップコーポレーション)

監修/岩﨑健介(USEN)




担当ディレクターが語るポール・モーリアとジル・ガンブス「カジュアル J-POPインスト」の魅力COLUMN

魅惑のイージーリスニングは、時代を超えて愛され続ける名曲名演の数々をお届けする、USENイージーリスニング定番チャンネル。もちろんポール・モーリアの「恋はみずいろ」「オリーブの首飾り」など、日本でも有名なタイトルも選曲。イージーリスニング・ファンにはもちろん、あえて今だからこそ、センス溢れるカフェなどにもおすすめです。

今回、イージーリスニングの巨匠、ポール・モーリア生誕100周年の節目に合わせて、彼と繋がりの深いジル・ガンブス氏からの貴重な写真やコメントをいただけて大変嬉しく思います。ジルさんとは、2006年に初めてお会いしてから、今まで200曲近くの楽曲をアレンジしていただき、彼の確かな知識と技術、抜群のセンスに毎回感動しています。

そんな彼の至高の作品が聴けるチャンネルが「カジュアル J-POPインスト」。J-POPの聴きなれたメロディがマッチする軽やかなポップスオーケストラで、その中でも特に彼独自のアイデアとサウンドデザインは聴く人の心をぐっとつかむこと間違いなしです。レストランやショッピングセンターなど、子供から大人までさまざまな方が訪れる場所におすすめです。

株式会社USEN 制作2部 ディレクター/岩﨑健介(いわさき けんすけ)

ポール・モーリア、レイモン・ルフェーヴルらが奏でる珠玉のイージーリスニング

ジル・ガンブスがアレンジを手掛ける高品質なJ-POPインストゥルメンタルBGM

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