INTERVIEW
ついにデビューアルバムを完成させた、今の心境を教えてください。
「やっと、という気持ちが大きいですね。レコーディングは舞台の公演をやる前に済ませているので、お客さんと同じような気持ちでこのアルバムのリリースを待っていたんです」
実際に有観客で公演をしてみていかがでしたか?
「最初はこういった音楽的な部分が大きいスタイルの舞台で、お客さんが声を出せないのは辛いなって思ったんです。だからこそ、とにかく俺たちが楽しむことを第一に考えたんですよね。そうしていくうちに、マスクはしていても、お客さんの目元から楽しんでいることが見て取れたんです。それはすごく嬉しかったですね」
佐藤さんはThe Brow Beatのバンド活動も俳優活動もしているなかで、このZIPANG OPERAが始動しましたが、このプロジェクトは佐藤さんにとってどんな立ち位置なのでしょうか?
「役者と、俺がいまやっているバンドのハーフ&ハーフみたいなポジションにこのZIPANG OPERAがあるんです。バンドは完全にロックバンドとしてやっているので、舞台を応援してくださる方には、少し理解しがたいお客様もいらっしゃるようなスタイルなんですよね。もちろん、そのバンドは俺が好きなスタイルだからやっているんですが、ZIPANG OPERAはそれがなく、万人に耳心地のいい曲が多いんです。人を選ばず共感出来て、みんなが盛り上がれる、みんなが心が熱くなれる曲ばかりなんですよ」
オススメの曲を教えてください。
「俺のソロである「Alter Ego」です。実は最初にこの歌詞を頂いたときに、あまりに攻めた内容で、“俺が歌っても大丈夫かな?”って思ったんです。役者の裏の顔だったり、役者が腹の中で思っていることが赤裸々にたたきつけるような感じで書いてあったので、これは攻撃的だなって思ったんです」
でも、それをあえて佐藤さんが歌うのはすごくメッセージ性が強くなりますよね。
「不思議な気持ちですよね。役者の心を歌っている歌を、でも自分が思っていることではないことを歌うという。マトリョーシカみたい(笑)」
あはは。なるほど。
「作詞家さんは、俺の心情を想像して描いてくれていると思うんですが……でも、この曲に関しては、“こんなことを思っているんだ”としたほうがおもしろい部分もあるので、あえてこれ以上はノーコメントにしておきます(笑)」
わかりました(笑)。さて、KEN THE 390さんの楽曲提供などのラップ曲もありますよね。レコーディングはいかがでしたか?
「難しかったですね。人それぞれ、滑舌の部分で得意な言葉の流れや、得意な歌の発音の仕方などがあると思うんです。そのテクニック的な部分で高度なものを求められる曲だったので、苦労しましたね」
訓練あるのみの曲ですよね。
「そうですね。“エッジボイスを多めにして歌ってください”というリクエストをいただいたんですが、それがすごく難しいんですよ。なかでも、高音のエッジボイスって簡単に出るものではないんです。それに、ラップは気持ちで歌うというよりも、リズムや音感を重要視するべきだと思うので、もっと訓練して、上達していきたいですね」
佐藤さんから見て、他のメンバーの素敵なところを教えて下さい。
「すごくクオリティの高い3人ですよね。もともとの実力がすごく高いんですよ。取材だから褒めるとか、そういう事ではなくて、その実力があるから、このアルバムの曲が歌えるんです。それに、曲によって、サビのペアが変わったり、4人で歌うこともあるんですが、その組み合わせで音の鳴り方が変わってくるんです。それはすごく面白いですよね」
具体的に、どう変化していきますか?
「spiくんは、すごくパワーがあるんですよ。(福澤)侑は、歌声の波長が近い気がしていて。ものすごく気持ちよく混ざり合うんですよね。心之介に関しては、儚くウィスパーな歌声を得意としているので、spiくんと歌う時とは対極の雰囲気が出るんです。こんなに個性がバラバラの4人が集まるのはかなり珍しいと思いますよ」
この4人が集まったからこそできることはどんなことだと思いますか?
「強みはたくさんあると思います。4人だからできることってたくさんあると思うんですよ。まずは、“ZIPANG”という名前がついているからには、日本を代表するアーティストになって、世界に目を向けてやっていきたいんです。そのためには、まず国内での知名度をあげないことにはダメだと思うので、ライブや舞台などをたくさん重ねていきたいですね」
いい意味でジャンルレスだからこそ、いろんなことが出来そうですよね。
「そうですね。映像もしっかりと作り込めますし、歌ったり、ダンスもできるし、かなりのエンターテイメントになっていると思います」
現在は舞台、ミュージカル、バンド、そしてこのZIPANG OPERAの活動と本当にお忙しいと思うのですが、どう切り替えているのでしょうか?
「大変に見えるとは思うんですが、すべてはすべての仕事に繋がっているんですよ。それが役者、アーティストの強みでもあるんですよね。音楽をやればミュージカルもできるし、芝居をすれば音楽に心を載せることの勉強になるんです。単純に歌唱力の向上でもあるし、やるほどに他の仕事も向上していくので、効率的に成長ができる気がしています」
プライベートな時間がないのでは?
「…ありますよ。でも、休みはいらないと思うタイプですね。もちろん、旅行とかしたら楽しいとは思うんですけど、働いているときは、永遠に働いていたいって思うんです。仕事も24時間していたいんですよ」
睡眠もいらない…?
「いらないですね。夜行性なので、夜の方が元気なんです。もっと働けると思っているので、心配しないでください(笑)」
あはは。では、今作のアルバムのオススメの聴き方を教えてください。
「まずは、シャッフルをせずにすべてを通して聴いてもらいたいです。というのも、曲順もかなり考えて作っているんですよ。1曲目の「Cherry Blossom」は、掴みとしては抜群の曲なので、そこでグッとハマってもらえたらと思います。そして次のライブまでに、一語一句覚えてもらえたら嬉しいですね。……めっちゃ難しいですけど(笑)」
(次回更新、Vol.4は心之介が登場です!)
- 取材・文/吉田可奈
- 写真/野﨑 慧嗣
Movie
Release Information
ZIPANG OPERA『ZERO』
2021年11月3日(水)リリース
初回生産限定盤(CD+Blu-ray)/LGCL-1001~1003/12,100円(税込)
初回生産限定盤(CD+DVD)/LGCL-1004~1006/11,000円(税込)
LDH Records
ZIPANG OPERA『ZERO』
2021年11月3日(水)発売
通常盤(CD)/LGCL-1007/3,300円(税込)
LDH Records