この展覧会は、田名網が生前親交があった赤塚不二夫への想いを馳せて鋭意創作を続けて生まれたスペシャルコラボレーションとなっている。

田名網と赤塚不二夫は、田名網の秘めた尊敬の念によって細く長く結ばれており、70~80年代によく新宿や六本木のバーで一緒に酒を飲んでいた。

しかし田名綱は幼少期に漫画家に憧れていた自分のプライドが邪魔をして、当時プライベートな時間を共有する深い関係性までは築けなかった。

「信じられないくらい良い人だった」と田名網が語る赤塚不二夫の存在は、「バカは真面目に」という赤塚の精神と共に、田名網の作品にも深く刻まれている。

2015年にBANK GALLERYで開催された赤塚不二夫の生誕80周年を祝した展覧会『赤塚不二夫のビチュツ展』や、先日「フジオプロ」の旧社屋解体に伴い開催された『フジオプロ旧社屋をこわすのだ!!展「ねぇ、何しに来たの?」』にも作品を寄せている田名網だが、今回は赤塚りえ子氏の協力のもと赤塚不二夫の代表作である「ひみつのあっこちゃん」や「天才バカボン」などの原画をモチーフにペインティング、コラージュ、ネオン、インスタレーションと様々な形式で新たな作品を制作した。

なかでも「天才バカボン」のエピソード「整形手術の熊さんなのだ」に登場する顔を家にされてしまった男のキャラクターが田名網の手によって茶室として生まれ変わったインスタレーション作品、イヤミの象徴的なフォルムと赤塚作品の最大の特徴でもある漫符、オノマトペを抽出して制作されたネオン作品は、本展覧会最大の見どころだ。

この企画に合わせて、集英社による特装版作品集「That‘s all Right!!」の出版及びSHUEISHA MANGA-ARTHERITAGEによるプリント作品のリリースも予定している。

このプリント作品は、70年代から「PLAYBOY」など、数々の集英社雑誌のアートディレクションを手掛けた田名網と集英社の再タッグを象徴する印刷メディアとして、グラビア印刷の技術を駆使した過去に前例のないアート作品となっている。

TANAAMI!! AKATSUKA!! / That‘s all Right!!

■会場 PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)東京都渋谷区宇田川町15-1
TEL 03-6455-2697
■会期 2023年1月21日~2月13日 11:00~21:00
※入場は閉場の30分前まで ※最終日18時閉場
※営業日時は感染症拡大防止の観点から変更となる場合あり
■入場料 一般 500円(税込)/小学生未満無料

田名網敬一(たなあみ・けいいち)

1936年、東京生まれ。武蔵野美術大学を卒業。1958年日宣美特選を受賞。60年代より、アメリカのカウンターカルチャーやポップアートの洗礼を受け、アニメーション作品からシルクスクリーン、漫画的なイラストレーション、コラージュ、実験映画、ペインティング、立体作品など、メディアやジャンルにとらわれず、その境界を積極的に横断して創作活動を続けている孤高のアーティスト。アンディウォーホルとの出会いに触発され、現在に至るまで「編集」というデザインの方法論を用いながら、「アートとデザイン」「アートと商品」「日常の美」「大衆とアート」といった今日の現代美術が抱える主要な命題に対して実験的な挑戦を試み続けている。その半世紀以上の創作活動を通して、戦後の日本を代表するPOP ARTの先駆者の一人として、世界的に高い評価を得ている。

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