まずは創立者・高田賢三と後継者のニゴーが共有する独自性のある日本的視点が浮き彫りになった。

さらには髙田賢三のデザインを解体し、再構築するニゴーにとってのクリエイティブなプロセスは、ティーンエイジャー時代の彼自身のケンゾーの発見であり、それを取り巻くファッションの風景の思い出を呼び起こさせている

1980年代の日本のDCブランドブーム期には、パリコレで活躍する日本人デザイナーの作品とカラフルで漫画的な動物モチーフが特徴的なカジュアルでポップなキャラクターブランドが共存していた。

その両者のコントラストが日本に多面的なスタイルの環境を生みだしたと言える。

それらグラフィック主導のニッチなシーンにパリのファッションカルチャーへの憧れが吹き込まれ、その精神が今回の春夏コレクションを活気づけているという。

高田賢三のアーカイブからのグラフィックとパターンの新解釈は、仕立て、作業服、ドレス、スカートから構成されるワードローブを特徴づけており、プレッピーな雰囲気のスーツのシルエットは、ニゴーによってサブカルチャー的な再構築がなされている。

一方、作業服は、1930年代と40年代のアメリカの鉄道労働者と軍隊の修理工のユニフォームからヒントを得ている。

会場を覆ったのは、スポーツに着想を得た1980年代のフラッグピースのアーカイブで、それらがケンゾーペナントとなり飾り付けられた。

また「Ken Zō」の象は、髙田賢三のお気に入りの動物でもあり、ボンバージャケットのタオル刺繡やジャージのチェーン刺繡、アクセサリーのモチーフに描かれた。

「Kenzoo」は、文字通り「動物園」と引っ掛けられ、スエードアウターのアップリケパッチワークや刺繡、ジャージのプリントなどにアニマル総柄のパターンとして表現された。

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