ももいろクローバーZの“あーりん”こと、佐々木彩夏が6月14日(土)に、東京・TOKYO GARDEN THEATERでソロコンサート『AYAKA NATION 2025 VIP ROOM A⁺ ~the Voyage~』を開催した。

ポールダンスやDJにも挑戦した“VIP ROOM A⁺”という昨年のライブツアーの世界観を踏襲しながら、“~the Voyage~”というサブタイトルが付けられた今回のソロコンは「豪華客船での船旅」、「航海」がコンセプト。

佐々木のソロ曲やももクロ楽曲、さらには、佐々木やももクロがコラボ参加した他のアーティスト名義の楽曲も散りばめながら世界旅行するというセットリストと演出になっていた。まさに、「海外旅行にたくさん行くこと」を今年のプライベートの目標として掲げていた佐々木らしいテーマ設定に。

ここでは、佐々木の29歳の誕生日と10回目のソロコン『AYAKA NATION』開催をお祝いすべく、多くのプニノフ(佐々木ファンの呼称)が会場に駆けつけ、そして、ニコ生でも独占生中継されたコンサートの模様をたっぷりとレポートする。

開場時の場内は出港前の波止場のイメージに。青の照明に照らされる中、スクリーンには港に停泊する豪華客船が映し出され、波の音やカモメの鳴き声が響き渡っていた。今回はクルーズ船での船旅ということで、S席を【ロイヤルスウィート】、A席を【クラシック】、着席指定席を【コンフォータブル】、ファミリー席を【ファミリークルーズ】と銘打ったほか、ステージ前方の約200席限定の【ロイヤルスウィート】には、特典としてパスポートなどの限定グッズや終演後のバーステーパーティーへの参加権が付けられるなど遊び心も忘れてはいない。

駆けつけたプニノフが続々と客席に乗り込み出港を待っていると、佐々木扮するキャプテンあーりんから「安全な航海のため」の注意事項のアナウンス映像が流れる。そして、「間もなく出港です。10周年の特別な航海を存分にお楽しみください!」という呼びかけでライブはスタートした。

まずは、豪華客船のデッキをイメージした三段のステージセット後方のスクリーンと両サイドのビジョンにオープニング映像が流れる。次々と映し出されるレトロな英字新聞の記事が「噂の豪華客船がついに出港!」、「最終目的地には宝物が!?」といった情報を伝え、旅の始まりの期待値を煽っていく。

最後に、佐々木が画面から「Are you ready?」と問いかけると、会場からは大きな歓声が上がり、ステージ両サイドから「the Voyage」のロゴが書かれた旗を持った2人の水兵ダンサーが登場。

そして、2つの旗がステージ中央の高台でクロスすると、旗の間から青のマリンルックを纏った佐々木が現れ、昨年の【AYAKA NATION Special Edition「VIP ROOM A⁺」】のテーマ曲「Ladybird」でライブは幕を開けた。大人っぽく妖艶な楽曲での始まりにプニノフが息を飲んでじっと見守っていると、最後にステージが暗転し、ライブのタイトルロゴがスクリーン全面に映し出されるという壮大なオープニングに。

続いて流れてきたのは、荘厳なオペラ調で始まるももクロの「華麗なる復讐」。羅針盤や地球儀の映像と合わせて、波をかきわけて力強く進む船の様子が映し出されるなど、この曲では大海原へ飛び出し突き進んでいく決意を表現。照明に煽られながらの「お前をぶっ倒してやる」、「私をこえてゆけ」といった曲間のセリフや2人の男性ダンサーとシンクロしたダンスで会場を沸かせていく。

オープニング2曲では、「特別なゲストだけが招待される秘密の部屋」がコンセプトとなっていた昨年のライブツアー【AYAKA NATION Special Edition「VIP ROOM A⁺」】の世界観を再現した形となっていた。

船はまずアジアへと進み、最初の寄港地である中国へ。龍のイラストや中華柄の絵がビジョンに映し出されると、佐々木は赤のチャイナミニドレスへと衣装チェンジ。ゴールドのチャイナ衣装を纏った4人の女性ダンサーを従えて、両手に扇子を持ちながら「『Z』の誓い」を華麗にパフォーマンス。

頭の2曲で圧倒された感じだったプニノフも「『Z』の誓い」には盛大なコールを乗せていく。さらに、ドラの音から始まる「満漢全席」へ。この曲では中華街のような看板やネオンが映し出され、異国感をさらに醸成していく。

続いて、イントロにシタールやタブラといった民族楽器を取り入れた「GOUNN」でインドへと移動。佐々木もインド風の衣装へと早替えし、曼荼羅をモチーフにした映像の前で、ロングスカートを広げたり、ひらひら揺らしたりする踊りでプニノフを魅了していく。最後は、佐々木自身が照明や映像で光背を背負い、神々しいポーズを決めてステージを後にした。

最初のブロックから、ももクロ楽曲中心のセトリとなっていたことに驚いたファンも多かったのではないだろうか。

特に「『Z』の誓い」はアニメ『ドラゴンボールZ』の世界観を表現した森雪之丞による言葉数の多い歌詞や美しい落ちサビからの壮大なラスサビが印象的。

また「満漢全席」はメンバー4人が次々と韻を踏みながら歌っていき、ライブではリズム感が鍵となる1曲だ。これらをすべて佐々木1人で再現したパフォーマンスに、旅の始まりから心をグッと掴まれたプニノフも多かったことだろう。

ここで映像パートへと突入。「アジアグルメ紀行」と題して、次の国へと向かう前に腹ごしらえをしている佐々木の様子が映し出される。タイ、ベトナム、シンガポール、韓国…と各国の料理をお腹一杯食べてご満悦な様子の佐々木。大人っぽく力強いパフォーマンスに圧倒されるようなライブの始まりだったが、こうした変わらぬチャーミングな姿を見られて、ほっこりしているプニノフの姿がとても印象的だった。そして、双眼鏡を覗く佐々木の目に映ったのは、南の島。スクリーンには「次の国はペンライトを青へ」との指示が…。

客席が青一色に染まる中、次の目的地Tropical Islandへと到着。南国らしいトロピカルカラーのムームー風衣装に着替えた佐々木が男女6人のダンサーと共にステージ下手から登場すると、このブロックはいきなり「ココ☆ナツ」のサビでスタート。

大歓声が上がり、会場を一気に南国ムードに変えると「真冬のサンサンサマータイム」、再び「ココ☆ナツ」、そして、「上球物語 -Carpe diem-」をメドレーで繋いでいく。「ココ☆ナツ」ではダンサーが輪になって踊る定番のココナツサークルが飛び出し、「上球物語 -Carpe diem-」の間奏ではステージ上に松明が焚かれ、佐々木はダンサーと共にセクシーで情熱的なタヒチアンダンスを披露して会場を熱く盛り上げていった。

続いて、レイのような花の髪飾りを付けると、ハワイを舞台に佐々木1人でソロ曲「Early SUMMER!!!」を披露。チアのようなかけ声と海辺の映像をバックに、あーりんコールを受けつつ、ステージ上を移動してファンサしながらパフォーマンス。

爽やかな夏を演出すると舞台はU.S.A.へ。グラフィティアートが映し出される中、HIP HOPダンサーと共に佐々木が披露したのはサイプレス上野とロベルト吉野名義の楽曲「More & More」。レーザーに煽られながら、オーバーサイズの黒のTシャツとサングラス姿で、ダンスとラップを披露する佐々木の姿がとても新鮮に映ったのではないだろうか。この曲ではプニノフもクラップでパフォーマンスを後押ししていく。

さらに、夜のダウンタウンのドライブシーンや近未来感のある風景に合わせて、本ライブのためにリアレンジされた楽曲「LOST CHILD(Jersey-Trap Edit)」へ。クールかつ意外なナンバーが続いたが、再びピンクに染まった会場からは、一体感と熱量がさらに高まっていくのが感じられた。

ここで再び映像パートへ。キャプテンあーりんから、次の目的地までしばらく長い海の旅が続くことが告げられると、船長室で寛ぐ佐々木の姿が。「最初の新聞に載っていた、世界のどこかにある宝物っていったい何なんだろう?」と呟きながら、ウイスキーのロックを嗜む佐々木。

続いて、「宝物って、お金?宝石?それとも、唐揚げ?」と語って笑いを誘うシーンも。そして、スノードームを眺めながら、安らぎのひと時を過ごしているといつしか深い眠りの世界に。その間に船はオーロラが輝く雪の世界へと移動し、スクリーンには「ペンライトはブルーかピンクに」との指示が映し出される。

続いての寄港地は北極。モコモコの真っ白なフードを被り、マントのような衣装を羽織った佐々木がステージの高台に登場すると、「ジョイフルワンダーランド」で次のブロックがスタート。

オーロラを映し出したような神秘的なステージでのパフォーマンスにプニノフがじっと聴き入っていると、続いては「Grenade」を披露。2015年リリースのナンバーだ。一面が雪と氷に埋め尽くされた美しく真っ白な世界、極限の静寂、そんな北極の景色を表現したステージ上で佐々木が歌唱する姿は、雪の妖精のようにも見えたのではないだろうか。

そして、作詞家・岩里祐穂による「もしあの日君に会わなければ 君にもしも会えなかったら こんな こんな 青空も 知らずにいたよ きっと」という歌詞に、10年分のソロコンの思い出や佐々木を推してきた年月を重ねて、目頭を熱くしたプニノフも多かったことだろう。

そんな胸にジーンとくるような演出から一転。会場が再びピンク一色に染められると、旅の舞台は北極からUNITED KINGDOMへ。

ソロ曲「SPECIALIZER」のイントロに乗って、ロックスターのようなスタイルに衣装チェンジした佐々木が拳を突き上げ、スタンドマイクを持ってステージに登場すると、バキバキな照明の演出も加わり、会場は一気にライブハウスのような空間に。

「今日のStageは 一度しかないから」という歌詞にある通り、一瞬一瞬を見逃さぬよう、拳を振り上げたプニノフのコールにもより力が入っていくのが感じられると、西川貴教 featuring ももいろクローバーZ名義でリリースされた「鉄血†Gravity」へと続いていく。

この曲ではロンドンパンクの世界観を表現。スクリーンには、カメラに向かってスプレーをぶちまけるパンキッシュでやんちゃな佐々木の姿が映し出されていく。ライブで披露されることが少ない楽曲ではあるが、人気曲「SPECIALIZER」からの流れもあり、北極ブロックとの対比もあり、ひと際大きな盛り上がりを見せていたのがとても印象的だった。

そして、最後のブロックは、佐々木が今回の旅で一番行きたかったというフランス・パリへ。旅のフィナーレに相応しい、煌びやかなパリのキャバレーの世界をステージ上に再現すると、「My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)」でスタート。

佐々木も4人の女性ダンサーもギラギラな衣装でステージを彩っていく。続いて、男性ダンサー2人が加わると、大人っぽい雰囲気はそのままに「Lady Cat」へ。

セクシーな猫を模したような振り付けでプニノフの視線を釘付けにすると、佐々木の咳込みから「黒い週末」へと続く。ももクロのライブでは、MCからの咳込みで始まるのがお約束だが、この曲でもダンサーと共にキャバレーのショータイムを想起させるようなパフォーマンスを披露。盛大なコールやクラップも加わり、会場のボルテージは最高潮に。

最後にダンサーと共に、カーテンコールのように下手・上手・正面と順番にお辞儀をして最後に敬礼でポーズを決めると、大歓声が上がる。

そして、この旅を締め括る最後の1曲へ。ラストは先日配信リリースされたばかりの新曲「Where We Go」。ステージ上は佐々木1人となり、丁寧に言葉を紡ぐように歌っていくと、スクリーンには今回の旅=ライブを振り返るような形で、様々な佐々木の写真が映し出され、そして、船がゆっくりと大海原を前へ前へと進んでいく様子が映し出される。2コーラス目からはダンサーが1人ずつ今回の旅で訪れた国の衣装を纏って再登場。まさに旅の総集編のようなパフォーマンスに。「さぁ次はどこに行こうか」という最後の歌詞が印象的に響き渡ると、旅は終わりを迎えた。

旅の余韻に浸りながらも、会場からはすぐさまアンコールが沸き起こる。

すると、ここで新たな映像パートへ。すべてのスタンプが押されたパスポートを見て、旅の終わりを実感していた佐々木だったが、パスポートの間に何かが挟まっていることに気付く。それは「あーりんキングダム」行きのチケットだった。

ここで、映像は二頭身のイラストのあーりんへと切り替わる。そして、船は本当の最後の目的地である「あーりんキングダム」を目指して出港。入国と共にアンコールへと突入していく。映像もファンタジーな世界観へと様変わりすると、佐々木のソロコンOVERTURE「あーりんちゅあ」が流れ出し、グッズTシャツをアレンジした衣装の佐々木が再びステージに登場。

ここからは照明もペンライトも会場中がピンク一色に。本編とは異なり、あーりんワールド全開の世界線となったアンコールにプニノフも大歓喜。

佐々木が「アンコールありがとう。ここからはすべて忘れてみんなで楽しみましょう」と語りかけると、「A-rin Kingdom」でアンコールはスタートした。

続いてMCパートへ。ここまでMCらしいMCはなかっただけに、佐々木も少しホッとした様子で話し始める。開演前は吐きそうなほど緊張していたという心境を吐露するとともに、プニノフのペンライトの景色にパワーをもらっていたとの感謝の気持ちが伝えられた。

そして、ニコ生で参加しているプニノフにもメッセージを送ると、ここで初出しのお知らせを発表。昨年のライブツアー【AYAKA NATION Special Edition「VIP ROOM A⁺」】のZepp Haneda公演と本日のライブ【AYAKA NATION 2025 VIP ROOM A⁺ ~the Voyage~】の模様がこの秋Blu-ray化されることが告知されると会場からは大きな拍手と歓声が上がる。

そして、【ロイヤルスウィート】のファンだけを対象とした撮影可能曲として、ももクロの「Link Link」を披露。客席を練り歩きながらパフォーマンスすると、続いては会場全員への撮影可能曲として「ハッピー♡スイート♡バースデー!(A-rin 10th Anniversary ver.)」を初披露。

今回のライブのために、前山田健一が歌詞をリアレンジした特別バージョンだ。10周年バージョンということで、歌詞に登場する食べ物を高級食材に変えるなど、食べ物で10年の時の流れや佐々木の成長を表現するあたりに、前山田の佐々木への愛が感じられたのではないだろうか。

そして、いよいよアンコールも残り2曲に。佐々木が「残すはあの2曲です。あーりんって叫ぶ準備はできていますか?」と煽ると、プニノフも待ってましたとばかりに声援を送っていく。まずは、イントロと同時にビジョンに「さーさき!」「おい!」とのテロップが映し出される中、「あーりんは反抗期!」へ。そして間髪入れずに「だって あーりんなんだもーん☆」を披露。

プニノフがこの日最大のコールで会場の一体感を更新すると、最後は大量のピンクの紙吹雪が舞い散る中、10年分のあーりんワールドを凝縮したかのような多幸感溢れるエンディングに。

佐々木のアイドルとしてのブレない信念や思い、矜持のようなもの、そして、プニノフとの強い絆までもが感じられるような熱いアンコールとなった。最後の挨拶で「『AYAKA NATION』で見る客席がピンク一色に染まった景色は1年間のご褒美のようなもの。今回は17年間のご褒美のようにも感じられた」と語っていたのがとても印象的だった。

佐々木がステージを去ると、スクリーンには今回の旅でみんなが探し続けていた宝箱が現れる。宝箱が開くと、10年分の佐々木のソロコンでの名シーンが次々と映し出され、会場がエモーショナルな空気に包まれる中、佐々木からプニノフへ充てた手書きのメッセージが。

「プニノフのみんなが あーりんにとっての宝物だよ♡
いつも ありがとう キャプテンあーりんより」

再び盛大なあーりんコールと温かい拍手に包まれる中、今回の旅は本当の終わりを迎えた。ライブ本編では、ソロアイドルとして新たな挑戦を続ける姿を見せながらも、アンコールではあーりんワールド全開の圧倒的なパフォーマンスでプニノフを安心させ、魅了した佐々木彩夏。

ももクロ最年少メンバーでありながら、いち早くソロコンを開催し、10年間にわたって続けてきた姿はとても尊いものだ。何事も10年続けるということは並大抵のことではない。今回のライブはソロアイドル佐々木彩夏の20代の集大成であり、そして、旅と挑戦がこれからも続いていくことを予感させてくれる、約束してくれるようなライブだったのではないだろうか。

佐々木がMCで一番好きなライブだと語ったのは、ももクロのライブだ。8月2日(土)3日(日)には、そんなももクロの夏のライブ「ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム」が開催される。

3年ぶりに帰ってくる通称“夏バカ”。10年間ソロコンを続けてきたソロアイドル佐々木彩夏が、ももクロの“あーりん”佐々木彩夏として、10年分のソロコンを経てどんな姿を見せてくれるのか、18年目のグループにどんな化学反応をもたらしてくれるのか、これからの活躍も楽しみにしていてほしい。


ライター:ATSUSHI OINUMA

『AYAKA NATION 2025 VIP ROOM A+ ~the Voyage~』


2025年6月14日(土)
会場:東京ガーデンシアター


▼セットリスト
M1. Ladybird
M2. 華麗なる復讐
M3. 『Z』の誓い
M4. 満漢全席
M5. GOUNN
M6. VIP ROOM A+ ~the Voyage~ 南国トロピカルメドレー
M7. Early SUMMER!!!
M8. More & More
M9. LOST CHILD(Jersey-Trap Edit)
M10. ジョイフルワンダーランド
M11. Grenade
M12. SPECIALIZER
M13. 鉄血†Gravity
M14 . My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)
M15. Lady Cat
M16. 黒い週末
M17. Where We Go
<ENCORE>
あーりんちゅあ
M18.  A-rin Kingdom
M19. Link Link
M20. ハッピー♡スイート♡バースデー!(A-rin 10th Anniversary ver.)
M21. あーりんは反抗期!
M22 . だって あーりんなんだもーん☆

セトリプレイリスト

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