映像音楽の活動をはじめ、アーティストへの楽曲提供、SennaRin(センナリン)とNAQT VANE(ナクトベイン)のプロデュースも手掛ける作曲家・澤野弘之。

そんな澤野弘之と、自身がプロデュースを務めるSennaRinによる合同ライブ「澤野弘之×SennaRin Billboard Live PIANOUTA」が、ビルボードライブ東京にて開催された。本記事では、1stステージの模様を収めたオフィシャルレポートをお届けする。

2026年1月26日(月)、Billboard Live TOKYOにて『澤野弘之×SennaRin Billboard Live PIANOUTA』が開催された。澤野弘之(Pf)、SennaRin(Vo)、田辺トシノ(B)、伊藤ハルトシ(Vc)という編成で行なわれた本公演は、2025年10月にリリースされたアルバム『PIANOUTA / Project【emU】』に収録されている「PIANOUTA」をコンセプトに、ピアノと歌を軸としたアコースティック編成で構成されたライブとなった。

澤野弘之が会場に登場すると、大きな拍手に迎えられ、ほどなくSennaRinもステージへと姿を見せる。1曲目は「Avid」。澤野のピアノは、1つひとつの音が明確な輪郭を持って響き渡り、SennaRinの儚げな歌声が会場の空気を一変させていく。チェロが美しく旋律に絡み、ウッドベースが低音に深みを与える。シンプルな編成でありながら、サウンドは自然と大きな広がりを持ち、後半に差し込まれた原曲にはない一瞬のブレイクでは、思わず息を呑む観客の姿も見られた。

続く「SHADOWBORN」では、ウッドベースとチェロが加わることでアルバム以上にダイナミクスが際立ち、SennaRinの歌声もよりエモーショナルな表情を帯びていく。「REVIVƎЯ」までの3曲は、切なく、感情の機微を丁寧にすくい取るような流れで構成され、ステージ上の4人が一体となって静かな緊張感を描き出していた。

MCでSennaRinが来場への感謝を述べると、澤野が“(自分を)紹介してくれないの?”と軽くツッコミを入れ、会場からは自然と笑いが起こる。“澤野弘之です”という挨拶も含め、2人の関係性が垣間見える和やかな場面となった。

「aLIEz」は、澤野のピアノが1音1音クリアに響きながら、SennaRinの感情をたっぷりと乗せたボーカルを支えていく。ロングトーンやフェイクが会場全体に広がり、チェロとウッドベースによるアンサンブルが楽曲に奥行きを与えていた。

「So ist es immer」「Bauklötze」では、繊細で血の通った音が客席へと届けられる。SennaRinの感傷的なハイトーンと、チェロの叙情的な旋律が胸を打ち、澤野のピアノは繊細さと大胆さを併せ持ちながら響き渡る。彼の楽曲の特徴であるダイナミクスの妙により、アルバムとは異なる美しさを持ったサウンドスケープがステージ上に描かれていた。

再びMCタイムへ。制作時の裏話も交えながら、澤野とSennaRinの掛け合いが会場の笑いを誘う。続く「LilaS」では温かみのあるアコースティックギターとベースがグルーヴを支え、ピアノもやさしく寄り添う。SennaRinの歌声は抒情的に響き、会場に穏やかな余韻を残した。

「Iris -BUBBLE-」は、4人による緻密なアンサンブルが際立ち、抑揚のあるサウンドが展開される。ここでも一瞬のブレイクが取り入れられ、その静寂がメロディの美しさを際立たせていた。「Till I」では、SennaRinがまるで涙をこらえるような表情を見せながらエモーショナルに歌い上げ、終盤にはギターのリズミカルなコードストロークと澤野のピアノが楽曲の熱量を引き上げていく。

MCでは、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』への参加や、コンセプトEPのリリース決定をアナウンス。SennaRinとガンダム談義に花を咲かせながら、“次の曲はガンダムじゃないんです”という澤野の一言に、会場は再び笑いに包まれた。

「CALL」では、SennaRinが手を左右に振ると、それに呼応するように観客も自然と手を振り、会場の一体感が高まる。続く「Call of Silence」では再び抒情的な空気へと戻り、音数を抑えた編成だからこそ、1つひとつの音がより繊細に、そして説得力を持って響いていた。

ここで、澤野のBillboard Live公演では恒例となっている観客が楽曲を選ぶリクエストコーナーへ。今回は「StarRingChild」「narrative」「Into the Sky」というガンダム楽曲が候補となり、国内外からの来場者の声が飛び交う中で「StarRingChild」が選ばれた。歯切れのよいギターカッティング、グルーヴィなウッドベース、躍動感のあるピアノというアンサンブルに、観客は自然と身体を揺らす。SennaRinの歌声も次第に熱を帯び、この夜ならではの高揚感を生み出していった。

「Missing Piece -WwisH-」では、やさしいピアノの音色から楽曲が立ち上がる。深みのあるチェロが抒情性を強め、SennaRinは観客1人ひとりの心に語りかけるように、想いを込めた歌声を届けた。ダイナミクスの幅を生かしながら、1つひとつの音を丁寧に積み重ねていくアンサンブルは、この日のコンセプトを象徴していた。

ラストは「ENDROLL」。映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』の挿入歌として書かれたこの楽曲を、この日初めてフルサイズで披露。SennaRinは力強い歌声を聴かせ、静かな余韻とともに『澤野弘之×SennaRin Billboard Live PIANOUTA』は幕を閉じた。


澤野弘之の音楽といえば“壮大”という言葉が思い浮かぶかもしれない。この夜に描かれていたのは、その対極にあるようでいて、確かに同じ地平につながる表現だった。ピアノと歌を中心にしたシンプルな編成だからこそ、音は明確な輪郭を持ち、ミュージシャンの呼吸やタッチまでもが伝わってくる。澤野弘之という音楽家の振れ幅の広さと、SennaRinというボーカリストの“切なさ”の深度。その両方を静かにステージに刻み込む一夜となった。

(ライブレポート:鈴木健也)

    Photo by 西槇太一

澤野弘之×SennaRin Billboard Live PIANOUTA

開催日時:2026年1月26日(月)

1stステージ 開場16:30 開演17:30

2ndステージ 開場19:30 開演20:30

会場:ビルボードライブ東京(東京都港区赤坂9丁目7−4 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F)

出演者:澤野弘之(Pf), SennaRin(Vo), 田辺トシノ(B), 伊藤ハルトシ(Vc)

1st STAGEセットリスト

01. Avid

02. SHADOWBORN

03. REVIVƎЯ

04. aLIEz

05. So ist es immer

06. Bauklötze

07. LilaS

08. Iris -BUBBLE-

09. Till I

10. CALL

11. Call of Silence

12. StarRingChild

13. Missing Piece -WwisH-

14. ENDROLL

【リリース情報】
澤野弘之「PIANOUTA / Project【emU】」
2025年10月1日(水) 発売

Download&Streaming:https://sawanohiroyuki.lnk.to/PIANOUTA
CD購入:https://sawanohiroyuki.lnk.to/PIANOUTA_PKG

※二形態共通絵柄

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