声優・俳優・アーティストとして多方面で活躍する七海ひろきが、約1年半ぶりとなるライブツアー「One-man LIVE773“Crystal”」を開催し、東京・福岡・大阪の 3 都市 5 公演を完走した。

今年 4 月にリリースした 3rd アルバム『Crystal』を引っ提げた今回のツアーでは、楽曲の世界観に合わせて様々な表情を見せる“役者アーティスト”としてエンターテイメント性の高いステージを展開。無色透明ながらも光を当てると色とりどりの輝きを放つ“クリスタル”のように、多彩なパフォーマンスでファンを魅了した。同ツアーより、5 月 10 日に東京・新ニッショーホールで行われた夜公演のレポートをお届けする。

2 階席までぎっしり埋まったホールの客電が暗転すると、シティーポップ調のお洒落なオープニング SE と共に、まずはバンドメンバーの渡辺裕太(Gt)、宮本將行(Ba)、西山ケイン
(Key)、坂本暁良(Dr)が登壇してスタンバイ。そしてステージのバックライトが眩い光を放つと、そこに本日の主役・七海ひろきのシルエットが浮かび上がる。会場中が歓声に包まれるなか、ライブの幕開けを飾ったのは「Not Over」。煌びやかなふち飾りをあしらった黒のジャケット衣装を纏った七海は、中低音域の豊かな包容力と力強さを感じさせる歌声で“君と居たい 君を見たい”とアプローチし、冒頭からファンとの距離を一気に詰める。

そのスタイリッシュな滑り出しから一転、パッション溢れるステージングでダイナミックに迫ったのが「SASSOU」。客席に向けて「行くぞ、おらー!」とワイルドに呼びかけたかと思えば、重心を落として中腰のような姿勢で腹から声を絞り出し、時には吠えんばかりの熱唱で、会場から熱狂的なコール&レスポンスを引き出す。まさに威風堂々、颯爽とした歌いぶりだ。

序盤から大きな盛り上がりを見せる会場に「すごい熱量を最初からこんなに感じることができて……ライブっていいね!」と喜ぶ七海は、この先にもたくさん待っているコール&レスポンス曲の練習も兼ねて「七海ひろき」「最高!」というコーレスを行って自身の気力を充填すると、ここから3 曲を続けて披露する。しかもこのセクションはスマホでの撮影OK。シャープかつ疾走感のある「林檎の花」で渇望の花を狂い咲かせると、魂が燃え上がるようなアップチューン「It's My Soul」ではさらにギアを上げ、時に挑発的な仕草も交えながらロックスターの如き振る舞いを見せる。そして温かなミディアムバラード「Magic of Love」。七海は 1 階席に降り立ち、練り歩いてファンと直接触れ合いながら愛の歌を届ける。もちろん 2 階席のファンのことも忘れない。2 番でステージに戻った七海は、2 階席に向けて笑顔で手を振りながら歌い、“「あいしてる」”という心からの言葉を、すべてのファンにプレゼントした。
 

そこからさらに親密な空気を作り上げたのが、七海自身が作詞した「アルデンテ」。ギターのブルージーな前奏から始まり、オレンジ色の照明がハートウォーミングな郷愁を誘うなか、“君”と共にある日常、その“愛おしき日々”への想いを、一人ひとりに語り掛けるように届けていく。歌い終えて「ありがとう、あったかい空間だよー」と優しい表情で会場を見渡す七海。そして「繋がってさえいれば、辛いことがあっても、励まし合うことができる」「いつも元気をもらっているからこそ、この歌を歌って、みんなに愛を届けていきたいなと思います」と語ると、ファンへの感謝の気持ちを込めて自ら歌詞を綴った「Dearest」へ。キラキラした笑顔を浮かべながら、敬愛なるファンに向けて純粋な想いを歌に込めて伝えていく。お互いの存在の大切さを確かめ合う満ち足りた時間。会場は静かに聴き入っていた。

そして自身が主人公の千夜役を務めたTV アニメ『戦国妖狐 千魔混沌編』の ED テーマ「夜の隨」を情感たっぷりに歌い上げると、続く MC パートではバンドメンバーを紹介。七海のライブサポートを長く務めているバンドマスターのユウタマンこと渡辺が投げキッス芸を披露した流れで、七海も「俺は七海ひろき」と飛び切りかっこいい投げキッスをプレゼントし、客席からは黄色い声が上がる。宝塚歌劇団出身という経歴もあってスタイリッシュでクールな印象のある七海だが、MC パートではファンやバンドメンバーと気さくにやり取りし、「(昼公演よりも)2 回目のほうが顔がいい!」などチャーミングな発言も多い。ステージに立つ者としての輝きだけでなく、思わず応援したくなるような身近さも持ち合わせているのが、七海の魅力だろう。

ライブは早くも後半戦に突入。「故郷に思いを馳せて聴いてください」と前置きして、自身作詞の「DAYLIGHT」をエモーショナルに届けると、続く「曖昧」では、ゆったりしたテンポのバンドアンサンブルとぬくもりを感じさせるボーカルが、会場の心を優しく解きほぐしていく。最後はみんなで“lalala...”と声を合わせて歌い、心の繋がりを確かめ合った。

ここでバンドによるインターバルの演奏を挿み、先ほどまでのフォーマルな衣装とは対照的な、白で統一したストリート感のある衣装に着替えた七海が登場し、ダンスを魅せるパートが開幕。まずはライブの人気曲に育っているジャジーなナンバー「花に嵐」を華麗なステップやターンを交えながらパフォーマンスすると、続いて同じくブラスサウンドを取り入れたスウィング感溢れる「Knock down night」へ。カラフルな照明によってショウアップされたステージ上で、全身を使ってさらにアグレッシブに楽曲を表現する。渡辺がステージ前方に躍り出てギターソロを披露した際には、背中合わせになってワイルドにキメる場面も。さらにバンドのギラついた演奏と共鳴するように七海の歌声も情熱的に色づいた「THE CHASER」に繋げ、会場の熱気を一層高めていく。
 
今回のツアーではコーレス曲だけでなくダンスでも盛り上げたかったとのことで「最後に全部まとめて入れてみました!」と語った七海が、ライブ本編のラストに披露したのは
「Skyward」。PaniCrew の植木豪をサウンドプロデュースに迎えてラップに挑戦した、3rdアルバム『Crystal』のリードトラックだ。大ぶりな動きも多く相当な運動量だが、ブレることなく力強い歌声を届ける七海。その勇ましい姿、自分にリミットを定めることなく新しいことに取り組むチャレンジ精神が、観る者の心をも鼓舞する。最後は背中を向けて右手を高く突き上げ、空の向こうのどこまでも広がる可能性を示して、ライブ本編を締め括った。

盛大な「ひろき」コールを受けて、「みんな、ありがとー!」と元気いっぱいでステージに舞い戻った七海は、コーレスパートをたっぷり備えた晴れやかなアップ「BuZZ」でアンコールをスタート。その指には、ツアーグッズのクリスタルをモチーフにしたリングライトが輝いている。ステージを上手から下手まで縦横無尽に行き交いながら、時に客席側へマイクを向けてファンと一緒に歌い合う姿が眩しい。

その後の MC で、ツアーT シャツをはじめ黒一色のカジュアルなアンコール衣装とリングライトをアピールしつつ、「みんなもキラキラしてて最高だよ!」と嬉しそうに語る七海。そして「残ってる力を全部出して!」と呼び掛けると、エッジーなロックチューン「Starting Over」を披露。不屈の意志を感じさせる深みのある歌声、落ちサビの“辛い時こそ忘れないで”というフレーズをロングトーンで届ける姿が、胸を熱くさせる。

あまりの熱狂ぶりに七海が「今日寝れる?」と聞くと、客席からは一斉に「寝れなーい!」との返事。「すごいね、みんな、心はひとつだよ」と一体感を感じて喜ぶも、ついにライブは終わりの時間に。だが、物理的に離れていたとしても、心はいつも繋がっているのが七海とファンの関係性だ。七海は「終わりは始まり」と告げると、デビューミニアルバム
『GALAXY』より自身作詞の「START!!」を最後に届ける。コブシを振りながら情熱的に歌い、「もっと!」と煽る七海の声に応えるように、この日一番の声量で大合唱するオーディエンス。ステージに立つ七海だけでなく、その場にいる誰もがクリスタルのように輝き、ひとつの大きな光を形成するなか、ライブはフィナーレを迎えた。

終演後、「みんな本当にありがとう!心の底から大好きだよー!」とストレートに想いを伝えてステージを去った七海。だが、その後も客席からの拍手の音が止むことはなく、終演 BGM として流れていた「Skyward」のインストに合わせて合唱していたのが印象的だった。 “君がいて僕がいる”――「Dearest」の歌詞にあるフレーズそのままの関係性が、七海とファンの間には出来上がっていることを、心の底から実感できるライブだった。

photo:高田 真希子

<SET LIST>
1.    Not Over
2.    SASSOU
3.    林檎の花
4.    It's My Soul
5.    Magic of Love
6.    アルデンテ
7.    Dearest
8.    夜の隨
9.    DAYLIGHT
10.    曖昧
11.    花に嵐
12.    Knock down night
13.    THE CHASER
14.    Skyward Encore
15.    BuZZ
16.    Starting Over 17.START!!

▼セットリストプレイリスト
https://773.lnk.to/LIVE_Crystal

<RELEASE Information>
●    七海ひろき 3rd アルバム「Crystal」
2025 年 4 月 16 日(水) RELEASE
 
ご購入:https://773.lnk.to/Crystal_CD

【初回限定盤】CD+Blu-ray
税込¥6,050(税抜¥5,500)/KICS-94198
【通常盤】CD only
税込¥3,630(税抜¥3,300) /KICS-4198
【7seas+ファンクラブ限定盤】初回限定盤+特典(七海ひろきぬいぐるみ)税込¥9,680(税抜¥8,800)
■    CD 収録内容    ※初回限定盤・通常盤共通



  1. 1.    Skyward    作詞/作曲/編曲:田中マッシュ
    2.    夜の隨    作詞/作曲/編曲:松本明人
    3.    SASSOU    作詞/作曲/編曲:賀佐泰洋(SUPA LOVE)
    4.    BuZZ    作詞/作曲/編曲:廣中トキワ
    5.    Not Over    作詞/作曲/編曲:ARAKI
    6.    Knock down night    作詞/作曲/編曲:槇島隆人(SUPA LOVE)
    7.    Magic of Love
    作詞:町田トシユキ(Blue Bird’s Nest)
    作曲:五戸力,町田トシユキ(Blue Bird’s Nest)編曲:日比野裕史(Blue Bird’s Nest)
    8.    曖昧    作詞/作曲/編曲:槇島隆人(SUPA LOVE)
    9.    Dearest    作詞:七海ひろき    作曲:西村奈央    編曲:Soft Boiled Rockers



■    Blu-ray 収録内容    ※初回限定盤のみ
「Skyward」Music Video & Behind The Scenes
「夜の隨」Music Video & Behind The Scenes
「Crystal」ジャケット撮影 Behind The Scenes
七海ひろき オリジナルキャンディ作り!

<LIVE Information>
『蒼井翔太×七海ひろき DRAMATIC LIVE “METEORA”』
2025 年 9 月 6 日(土)
 
会場:Kanadevia Hall (TOKYO DOME CITY HALL)昼公演    14:00 開場/15:00 開演
夜公演    18:00 開場/19:00 開演
お問い合わせ先:https://info.diskgarage.com/

チケット料金:全席指定    ¥11,000(税込)
【注意事項】
※各公演お一人様 4 枚までお申し込みが可能です。
※ドリンク代別途必要
※3 歳以上有料
※転売チケット入場不可
※本番中の迷惑行為一切禁止
※営利目的の転売禁止
※車椅子スペースは会場の都合により見えづらい場合がございます。

蒼井翔太ファンクラブ A☆happy lab.先行
[受付日程] 5 月 14 日(水)21:00~6 月 2 日(月)23:59
[当落発表] 6 月 6 日(金)18:00 頃を予定しております。 [入金期間] 当落発表後~6 月 9 日(月)23:59 https://www.a-happy-lab.jp/login/login.php
七海ひろきファンクラブ 7seas+先行
[受付日程] 5 月 14 日(水)21:00~6 月 2 日(月)23:59
[当落発表] 6 月 6 日(金)18:00 頃を予定しております。 [入金期間] 当落発表後~6 月 9 日(月)23:59 https://7seasplus-fc.com

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