今年6月、ミニアルバム『Vermillion』をリリースしたAKi。
最新作を引っ提げて、全国5箇所で開催した<AKi Tour 2025『Vermillion』>のツアーファイナルとなる東京公演が、7月13日(日) 渋谷WWWにて行われた。ツアータイトル通り、最新作収録の新曲たちを軸とした楽曲たちで構成されたこの日のワンマン。最新型のAKiバンドのサウンドを見せると同時に、現在のAKiのアーティストとしての充実ぶり、プレイヤーとしての円熟味も存分に見せつける、実に意義のあるライブとなった。
最新作の1曲目となるイントロダクション楽曲「The Story Begins -Vermillion-」(CDのみ収録)がSEとして流れ、青白い光がステージを照らす中、バンドメンバーが登場。
続いて、曲が軽快なダンスビートへと転調すると、大歓声に迎えられてステージに登場したAKi。ベースを構えるや作品同様、新曲「Vermillion」へなだれ込み、ツアーファイナルが幕を開ける。

「Vermillion」のエレクトロなイントロにバンド演奏が重なると、強靭な演奏に乗せた力強く憂いある歌声を響かせたAKi。
“Vermillion=朱色”の意味を持つアルバムタイトルかつ、ツアータイトルであるこの曲。<今日という日がいつかの 迷えた日々の答えなの>と始まり、“守るべきはキミの未来、新しい光に繋げ”という前向きなメッセージを込めたツアーのテーマ曲的な楽曲に、朱い鼓動が燃え上がる。
「渋谷、始めようか?」とAKiがライブの本格始動を告げて続いたのも、最新作収録の新曲「Idiots」。力強く勢いある曲調にバンドがアグレッシブなパフォーマンスを見せると、熱狂するフロアに物足りないとばかりに「そんなもんか、渋谷!」とAKiが一喝。
AKiの重厚なベースとやんちゃさとダイナミズムを持つ志雄(Dr/MAQIA)のドラム、抜群のコンビネーションで魅せるたっぱ(Gt)とYOUSAY(Gt)のギター。「Vermillion」にも感じたが、新曲ながら完全にライブ仕様に仕上がってるのは、ツアーの成果だろう。

さらに「STORY」と容赦なくぶっ飛ばした序盤戦、バンドも観客も気合い十分。「ファイナルを迎えました、ありがとう! 今日は派手な打ち上げ花火を上げて帰ろうと思ってるんで。遠慮はナシで、この音を心から楽しんで帰って下さい」とAKiがファイナルに懸ける意気込みを語り「ODYSSEY」へ。
さらに「FREAK SHOW」、「NEW ERA」と振り幅ある曲が続き、「もっともっとはしゃいでくれるか? 暴れてくれるか?」と「The Same Dream」が始まる。「The Same Dream」の疾走感ある曲調とエネルギッシュな歌と演奏に、観客が手を挙げて激しく身体を揺らして応えると、「ファイナルに相応しい盛り上がりじゃないですか? 間違いなくツアーで積み重ねて成長したものが、いまこのフロアに溢れかえるエネルギーとして爆発してます」と満足そうに語ったAKi。
「『Vermillion』というアルバムの真骨頂、核になってる世界をみんなに刻み込んでいきたいと思います。受け止めてもらえますか?」と問いかけると、最新作からの新曲「Sadness」を投下。

ミディアムテンポのシンプルな演奏に乗せて、悲しみの淵にいる君への優しく温かいメッセージを届けた「Sadness」。演奏後は一人ひとりに寄り添うようなAKiの歌声と言葉を受け止めた観客から、大きな拍手と歓声が起きる。続く、重低音とアコギサウンドでディープな世界観を描いた「SCREAM」では、AKiの切ないハイトーンが聴く者の胸を突き刺す。
MCでは、「ツアーファイナル、この日を目指して目がけて、駆け抜けてきました。そして、こうしてみんなの顔を見ながらライブをやれてることを嬉しく思います」と感謝を告げたAKi。
「どうせ終わるんなら、最高のライブにしようじゃないか、みんな!」と呼びかけ、ライブは終盤戦へ。新曲「Rasen -螺旋-」は明るくポップで激しい曲調がライブによく映え、フロアを大いに沸かす。曲中にAKiがネクタイを乱暴にむしり取り、シャツの胸元を開けるシーンに黄色い声援が上がったのは、色気のある歌詞を際立たせる演出か?
「Brave New World」、「The Inside War」と盛り上がり必至のライブ定番曲を連続投下し、夏本番を前に猛暑日が続く、狂った季節にピッタリな「狂奏夏」に会場中が掛け声とタオル回しを合わせて、最高潮の盛り上がりを見せるフロア。熱気冷めやらぬ観客に「最高の夜でした、どうもありがとう!」とAKiが改めて感謝を告げると、「最後、この曲をみんなに届けたいと思います」と本編ラストとなる新曲「Ordinary Days」が始まる。
「Ordinary Days」の心地よい曲調にフロアから自然と手拍子が起きる中、どっしりとした演奏と自信に満ちた堂々とした歌声を聴かせたAKi。その自信に満ちた歌とベースプレイからは、いまの充実ぶりとここからのさらなる展望が見えてくるようで、ツアーファイナルを締めくくるに相応しい、希望溢れるエンディングとなった。
「愛してるよ、渋谷! ありがとう!!」と満足そうな表情でステージを去っていくAKiは、実にたくましく見えた。


鳴り止まぬアンコールに、再び登場したAKiとバンドメンバー。バラードソング「FATE」でしっかり聴かせると、「燃え尽きてます、俺たち。どうもありがとう!」と告げ、ひとりずつメンバーを紹介したAKi。
今回のツアーからAKiバンドに参加したドラムの志雄について、「彼はリハーサルから遠慮ナシにどんどん仕掛けてきて、すごく新鮮でした。バンドにめちゃくちゃ新しい風を感じたんじゃないでしょうか?」と語っていたが。確かにこの日、AKiを含むメンバーが演奏やステージを思い切り楽しんでいる姿が印象的で。それはたっぱやYOUSAYといった信頼出来るメンバーと共に新曲を披露出来る喜びに加え、志雄が新しい風を吹かせていたことが大きかったのだと納得。
「共犯」、「Free to Fly」と続き、熱気溢れる本編とも少し異なる、楽しい雰囲気が会場を包んだアンコール。
「この5本のツアー、短かったけど間違いなく俺たちに刻まれたし、みんなの中にも残って欲しいというのが、俺からの願いです。今日は数ある中から、俺の音楽を選んでくれてここに来てくれたことを誇りに思います。これからまた、シドでもしっかりそれを昇華して、次のステージにみんなを連れていきたいと思います」とAKiが約束。
アンコールラストに披露した曲は、たっぷり気持ちを込めたAKiの感傷的な歌声で始まった「Skyfall」。<またここで会えるように>と再会を約束するように、会場中が歌声を重ねる光景は本当に美しかった。
こうして、無事にアンコールまで終え、退場を促すアナウンスが流れる場内だったが。止むことのないアンコールの声に、再びステージに登場したAKiとメンバー。
「やる曲ないけどいい?」と予定になかったダブルアンコールとして、「The Inside War」を披露。
むき出しのラフな歌と演奏がスペシャル感を感じさせる、贅沢すぎるおまけが熱狂を生む中、「今夜は本当に最高だったよ、忘れねぇからな、お前ら!」と叫ぶAKi。AKiにも観客にも強烈な思い出を残して、『Vermillion』ツアーが幕を閉じた。
また、終演後はVIPチケット購入者特典として、AKi&たっぱによるアコースティックライブも開催。「ここにいるみなさんと特別な時間を作れるように、楽しんでいきましょう」と「STORY」でしっとりと始まり、ライブの感想などトークを交えながら、新曲やカバー曲を含む全4曲を披露し、観客を魅了した。
この夏は、2025年7月31日(木)に KT Zepp Yokohamaにて行われる<ART POP ENTERTAINMENT 25th Anniversary 「CRUSH OF MODE-TO THE LEGEND'25-」>、続く8月2日(土)に Zepp Hanedaにて行われる<DEZERT Presents『SUMMER PARTY ZOO』への出演。
そして、9月7日(日)に丸の内・ COTTON CLUBにて行われる<AKi LIVE 2025 『Acoustic Hideaway』>の開催が発表されているAKi。最新作『Vermillion』のリリースツアーを経て、さらにたくましさを増したAKiのこれからに注目して欲しい。
AKi Tour 2025 『Vermillion』 2025年7月13日(日)渋谷WWW
SETLIST
SE (The Story Begins -Vermillion-)
1 Vermillion
2 Idiots
3 STORY
4 ODYSSEY
5 FREAK SHOW
6 NEW ERA
7 The Same Dream
8 Sadness
9 SCREAM
10 Rasen -螺旋-
11 Brave New World
12 The Inside War
13 狂奏夏
14 Ordinary Days
En1 FATE
En2 共犯
En3 Free to Fly
En4 OVERRUN
En5 Skyfall
WEn The Inside War