◆イベントに関して
●イベント名:「蒼穹のファフナー 20th Anniversary☆2日でまるごと全曲LIVE!!」
●日 時:
2024年11月29日(金)開場 18:00 開演 19:00
2024年11月30日(土)開場 15:00 開演 16:00
●会 場:パシフィコ横浜 国立大ホール
●内 容:ライブ
●楽 曲 数:11月29日(金)全20曲(アンコール2曲含め換算)
11月30日(土)全20曲(アンコール3曲含め換算)
2024年11月29日(金)
「2日間かけてangelaの“究極コンプリート蒼穹作戦(仮)”をいつの日かできたらいいなと思います!」と、atuskoが叫び万雷の拍手を浴びたのは2021年12月「蒼穹のファフナー FINAL Fes in パシフィコ横浜」のDay2「angela LIVE -蒼穹作戦-」でのことだった。それから1067日。約束を叶えるべく、angelaが2024年11月29日・30日、再びパシフィコ横浜国立大ホールに舞い戻ってきた。題して「蒼穹のファフナー 20th Anniversary☆2日でまるごと全曲LIVE!!」。ライヴの模様を各日に分けてお届けする。
コンプリートベストアルバム『蒼穹のファフナー ALL SONGS/angela』でシリーズアンサーソングとなる『蒼穹の彼方』を加え、合計35曲となった”ファフソン”(ファフナーソングの略称)をこの2日間で歌い上げると謳っていたこのライヴ、セットリストの予想もまた一つの楽しみだった。時系列やバランス、演出をどのように絡めてくるのか……と、期待が高まる開演前には真壁一騎と皆城総士による影ナレーションで会場がさらに盛り上がる。定刻になり、「蒼穹のファフナー」シリーズのBGMから、出撃を告げる「ナイトへーレ開門」が鳴り響くとバンドメンバー3名が現れセンターで一礼し、そのままバンド演奏を加え、ライヴスタート直前の高揚感を盛り上げていく。すでに客席は青一色のペンライトがリズムに合わせて揺れ、そこに満を持してangelaのatsukoとKATSUが登場! センターで敬礼を行ない、歌い始めた1曲目は『fly me to the sky』。ここに来た多くの“島民”(ファフナーファンの呼称、本文中ではオーディエンスの意)にとってはご存知のように、『蒼穹のファフナー』放送開始以前に作られた「イメージソング」だ。『蒼穹のファフナー』20年の歴史の始まりの楽曲でこの伝説の2日間の火蓋を切って落とすにふさわしい楽曲だ。早くもスクリーンにはTV第一シリーズ『蒼穹のファフナー』(以下、「初代」)の名場面が爽やかで疾走感に溢れ、間奏のメロディアスなギターソロに歓声が重なり、終盤では島民たちが息の合った『fly me to the sky』のコーラスを奏でた。次の前奏の始まりとともにatsukoは「ファフナー20周年この2日間、ここを私たちのシャングリラにしましょう」と語ると、スクリーンには「初代」のオープニング映像が流れ、主題歌『Shangri-La』を早くも投下した。angelaメジャーデビュー2年目の大ヒット作であり代名詞とも言えるこの楽曲はatsukoの歌い回しを存分に活かしたメロディラインなだけでなく、作品にマッチした硬質なサウンドだ。エンターテイメント性あふれるライヴづくりに定評のあるangelaはこの楽曲を育て続け、オーディエンスとの交流もライヴアクトの中に組み込んでいる。この日はそんな20年の歴史を感じさせる場面が多々見られた。初期のライヴから繰り広げられた島民によるタオル回しは、これまでのさまざまなライヴのタオルが会場中に色とりどりに舞い、コールではこの日の新アイテムのメガホンでコール&レスポンスが行われるなど、定番楽曲であっても常に新しい光景を見せてくれた。
最初のMCであるにも関わらず、atsukoが「今ので最後の曲だったんですけども……ここをシャングリラにすることができて本当に幸せです!!」とボケ倒し、舞台袖に捌けようとすると、島民は即座にアンコールを叫び、アーティストとオーディエンスによる阿吽の呼吸を見せる。途中には、開演前の影ナレーションにも登場した一騎と総士に話しかけて、ライヴに勢いをつけると、atsukoは心を込めて「ファフソンにどっぷりと浸って下さい」と話し、第15話エンディング主題歌『proof』を歌い始める。壇上からピアノとアコースティックギターのみでしっとりと歌を届ける姿は、さながら一人芝居のような入り込みようで、その集中ぶりは他の楽器が入るにしたがって強くなり、オーディエンスは息を呑んで見入っていた。スクリーンには羽佐間翔子が搭乗してから最期の様子までが流れ、竜宮島の常夜灯を模したセットに座ってもたれかかりながら『Separation[pf]』を歌う。元曲の頃から泣きのメロディが映えるこのバラード、タイトルの通りピアノ1本でのアレンジはatsukoの情感がさらに表に出てオーディエンスを作中に誘い、悼む気持ちを一つにした。しめやかな空気を一変するかのように鳴り響くロッキンなギターリフ。次の歌は劇場版『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』イメージソングの『FORTUNES』だった。この日のライヴ、ここまでは「初代」のナンバーをほぼ順番に届けてきたが、ここにきて作品の発表順をジャンプしてきたことで、両日のライヴを単なる時系列にはしないangelaの構成意図が垣間見えた。その束の間、ステージ上から煽りを入れるatsukoとKATSUに、島民たちはたちまち反応し、ペンライトをレッドへとチェンジし、一騎をイメージしたアグレッシブなサウンドに身を任せる。スクリーン上のリリックビデオには強い意志を感じさせる言葉が並び、思わず合唱したくなるようなメロディラインとともにキレの良い歌唱が次々と繰り出され、ステージ上でも魅せるパフォーマンスで楽しませてくれた。一騎と総士のナレーションが入り、「さらに悲しい戦いを思い出してしまう曲だ」という言葉につづいてTVスペシャル『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』挿入歌『果て無きモノローグ』が流れる。イントロのハモンドオルガンの音だけでざわめきが起きることで作品理解の深い島民が集っていることが改めてうかがえた。壇上にはトーチ(篝火)が灯り、スクリーンには主人公・将陵 僚とヒロイン・生駒祐未を中心に、物語の舞台である“L計画”の模様や壮絶な戦闘シーンが映し出される。映像演出と楽曲の展開が相互に作用する感動的な演出だった。間髪を入れずにドロップしたのは劇場版『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』主題歌『蒼穹』。思い入れの深い島民も多く、イントロでさまざまな場所から悲鳴が上がる。エモーショナルなアカペラの後、4つ打ちへとテンポが変わり、そこからヘヴィなスピードチューンが展開するangela随一の爽快感あふれる楽曲。atsukoとKATSUは向かい合って歌唱・演奏し、熱を高めていく。間奏のタイミングでは会場の皆が体を折ってリズムを取り、同時に映像は作中の壮絶なシーンが次々と打ち出される。高まりきった熱狂を収めるべく最後にはスモーク演出によるクールダウンで締めくくった。
angelaらしいMCで場を和ませた後、音楽劇『蒼穹のファフナー』テーマソングの『Remember me』を展開。KATSUはエレクトリック・ガットギターに持ち替え、全身でリズムを取りながら弾き、atsukoはアコースティック主体のサウンドを乗りこなしながら夕日のようなライトを浴び踊るように歌い上げた。つづいては、5周年のときに書かれたシリーズへのトリビュートソング『約束』。シリーズ一貫した「これからも」や「忘れない」といった「約束」の言葉が並び、この言葉を歌うときには小指を立てる小粋な仕草を見せる。ピアノのメロディが美しい壮大なスローバラードでエンディングらしく聴かせてきた最後、atsukoはアンプを通さない本当の生歌でアカペラを披露し、ホール中に響き渡らせ大きな拍手を浴びた。レーザー光線が飛び交い雰囲気を一変させると、ここからはTV第二シリーズ『蒼穹のファフナー EXODUS』のゾーン。まずは第2クールオープニング主題歌『イグジスト』をオープニング映像付きで聴かせていく。冒頭の「follow me follow you」のコールで会場が湧き、赤と青のペンライトが煌めき、ベースの効いたサウンドでアグレッシブに展開。冒頭から最後までは合唱状態で一気にボルテージを高めた後、間奏のタイミングではatsukoとKATSUは舞台から客席に降りて練り歩き、「follow me follow you」のコールを繰り返し煽っていく。オーディエンスとハイタッチを行なうなど、3年前のライヴでは不可能だった光景だ。燃焼しきった後は第2クールエンディング主題歌の『ホライズン』でハイトーンが響き渡る。重低音の効いたベースにキレの良いカッティングと情感豊かなボーカルワークが聴きどころで、スケール感溢れる楽曲がホールを支配した。そこから緊迫感のあるアニメ映像が挟まれ、劇中のカウントダウンに合わせて会場の島民も声を合わせ挿入歌の『その時、蒼穹へ』へと向かう。インパクト抜群の「行け、行け、飛べ、飛べ」という歌詞とアニメ映像中のセリフがシンクロする見事な演出の後、アップテンポでドラマチックなatsukoの歌声がとどろき、再び「行け、行け、飛べ、飛べ」のパートではホール中が声を合わせ一体感を醸し出す。間奏では体を折って熱唱し、マイクを客席に向け絶叫する。つづいてスクリーンに第17話の羽佐間カノンの名シーンが流れると、会場のそこかしこで悲鳴の声が上がり、挿入歌『愛すること』が流れる。アニメのシーンと同様、ステージ上のテーブルには麦わら帽子が置かれ、atsukoは座って感動的に歌う。終盤には灯籠流しのようにライトが灯り、そこにカノンの「好きだよ、一騎」のセリフが挟まり、彼女の最期を歌い上げる。作中屈指の名シーンを見事に映像とライヴ歌唱で再現し、温かい拍出に包まれた。
続いて流れたのは『蒼穹のファフナー』シリーズイメージソング『私はそこにいますか』。こうした久々のライヴ披露曲が聴けるのも全曲ライヴならではの機会だ。静謐なピアノからエレガットを使ったオーガニックなサウンド、そしてEDMと音色が次々と変わる様子をKATSUは「フェストゥムが進化する様子を音で表現した」という。髪を振り乱しながらの情熱的な演奏に乗せて伸びやかなボーカルが調和し、次からの『蒼穹のファフナー THE BEYOND』ゾーンへの橋渡しとした。MCでは、今年5月に開催された、蒼穹のファフナー「ロケ地探訪蒼穹作戦 in 函館 2024」でのこぼれ話を繰り広げた後、第1弾オープニング主題歌『THE BEYOND』へ。島唄をモチーフにしたイントロからロックチューンへと展開するとクラップが湧き、サビでのコール&レスポンスの後で颯爽と歌うangelaの楽曲の正統進化系な楽曲。間奏では「ファフソン」らしい神秘的なコーラスで世界観を示し、再びコール&レスポンスで爽快に盛り上げてキレ良く盛り上げた後、シリアスな第1弾エンディング主題歌『何故に..』を歌う。分厚いリズム隊とドラマチックなシンセのサウンドが世界観を壮大に広げていく。それらに溶け込みつつ存在感のある歌声を響かせるatsukoからはディーヴァ的な風格を漂わせていた。そして第4弾エンディング主題歌『今を、生きる為に』では迫力あるドラムに乗せたatsukoのハイトーンが麗しく響き渡る。ニュアンス溢れる味付けから絞り出すような生々しさまで、彼女の持てる技術を駆使して挑んだドラマティックなバラードでオーディエンスを圧倒するパフォーマンスだった。ここで突然、総士のナレーションによる「全員、最終楽曲に備え、メガホン用意!」の号令をきっかけに、本編最後の楽曲が始まる。第2弾オープニング主題歌『叫べ』だ。スピード感とパワフルさを備えたこの楽曲、atsukoはノリにノッて腕を振り上げ、体を折って情熱的に歌い上げる。KATSUのギターソロでは歓声が湧き、客席に向けたマイクにオーディエンスは「NO WHERE, NOW HERE」を叫び、ラストの部分は合唱状態となりatsukoにバトンを渡すと、オーラスで一瞬止まり、キリリとした表情を見せた後、「島へ」とロングトーンで歌い切った。
アンコールの声に応えて戻ってきたangelaはシリーズアンサーソングの新曲『蒼穹の彼方』制作秘話に触れた後、高らかに歌い始めた瞬間、銀テープが発射された。ベースがくっきりしたサウンドメイクで、言葉通り空の広さを感じさせるサウンドやボーカルワークがangelaの曲の中で屈指の爽やかさで魅了する。アンサーソングらしく、これまでの「ファフソン」をモチーフとした味付けが耳を離さない。そして本当のオーラスソングは『蒼穹のファフナー BEHIND THE LINE』主題歌『Start again』。スクリーンに映し出された花火の映像をバックに、すべてを包むような思いをこのスローバラードに込めて歌った。最後の挨拶でKATSUは、かつてこのパシフィコ横浜で開催予定だったライヴがコロナ禍で中止になったことに触れ、悔しさを吐露したが、「みんなの声が、叫んでくれて、本当に大好きなパシフィコ横浜になりました。ありがとうございました!」と、叫び喝采を浴びた。そして『蒼穹の彼方』制作の結果、新たな「ファフソン」制作による自身の記録を更新したが、「(ギネス申請を)敢えてしません」と断言。それは「まだ先に取っておこうと思います」。それを今後に向けた新たな「ファフソン」制作への決意と受け取った島民たちはまたも温かな拍手で応えた。最後にatsukoは「何度もファフナーの集大成の曲を作ってきました。でも(また新たな曲を)作れる自信あります!」と言い切り、こちらも喝采を浴びた。そして最後に「『蒼穹の彼方』の(歌詞の一節)『物語が続くように』が私の中のアンサーであり、島民の皆さんと共有できるアンサーなんじゃないかと。そして未来は何があるかわからないけど、こうして心強い島民の皆さんがいれば、私はこれからもずっとファフソンを死ぬまで謳い続けていく決意が更に硬く固まりました!」と熱いメッセージを贈り、Day1を締めくくった。
レポート:日詰明嘉
Photo:木下マリ
2024年11月30日(土)
ギネス世界記録™公式認定(「同じアーティストにより歌われたアニメーションフランチャイズの歌曲の最多数」)を持つアニメソングアーティスト・angela。認定時からさらに新曲を加え、全35曲となった『蒼穹のファフナー』シリーズ関連楽曲を2日間かけて全曲披露する「蒼穹のファフナー20th Anniversary☆2日でまるごと全曲LIVE!!」。前日のDay1では公演時間2時間半で20曲を披露し、一般的にはこれで満腹のボリュームだったが、それもこのライヴにとっては折り返し地点に過ぎなかった。そんな後半戦Day2の模様をお届けする。
Day1同様、オープニングBGMに『ナイトへーレ開門』が鳴り響くと、島民たちは前日よりも勢い良く掛け声を上げ、スタートへのボルテージを高めていく。そこに突如としてKATSUが現れてギターソロを奏で気合を入れ、オーケストラサウンドが雰囲気を変えると、atsukoがマークザイン、KATSUがマークニヒトを連想させるカラーの衣装で登場した。この日のオープニングナンバーとして歌い始めたのは、舞台『蒼穹のファフナーFACT AND RECOLLECTION』の主題歌『Shangri-La[mf]』だった。静謐なピアノ1本をバックに大人な歌声で朗々と歌うなかに迫力あふれるクワイアの声が重なり、2番からはバンドサウンドが加わり熱を高め、KATSUのギターソロからドラムのじんぼちゃん、ベースのBuono、キーボードのhanaとそれぞれソロパートの見せ場を作り、アグレッシブに幕を開けた。舞台劇は羽佐間翔子らに焦点を当てた作品で、そこから続けてスクリーンには翔子の最期のシーンが映し出され、会場は悲しみのトーンに包まれたままTV第一シリーズ『蒼穹のファフナー』エンディングテーマの『Separation』が流れる。翔子の最期にはピアノバージョンが添えられていたが、この日はオリジナルバージョンで、こうしたレアなセットの組み方も全曲ライヴならではだ。BGVには様々な場面の映像が流れ、シリーズ通したエンディングテーマとして強く記憶と結びついていることが思い出される。最初のMCでatsukoは「『Separation』の後のMCは難しい」と話しつつ、スムーズにangelaらしいトーンに移行し、Day1での「泣いた後、突然盛り上がって、また泣かされて感情が追いつかない」という感想に触れ笑いを取ったあと、「今日も全曲ライヴがっつり歌っていきます!」と力強く宣言した。
つづいてはTVスペシャル『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』イメージソングの『DEAD SET』。angelaがデビュー時から得意としているデジタルロックで、ギターソロを含めライヴ映えするアグレッシブな楽曲に会場が一つとなる。そこからスキャットが流れてくると、少しのざわめきと一部から熱いリアクションが聞こえてきた。その曲とは劇場版『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』イメージソング『理解と破壊へのプレリュード』で、angelaが以前にこの曲をライヴで披露したのは10年以上も前のこと。先ほどのリアクションはこの機会に恵まれた歓喜と思われる。異国情緒あふれるスパニッシュサウンドに手拍子が湧き、夕日のようなライティング演出にエモーショナルな間奏がハマるという、実にライヴ映えする楽曲で、ここまで歌われることが少なかったのが不思議なほどだった。Day1で20曲を披露したため、Day2とのバランスが懸念されていたが、それは杞憂だったと示したのが『蒼穹』のイントロだった。atsukoがライヴタイトルをコールすると前日よりも熱いリアクションがあり、リズム隊の輪郭がハッキリしたサウンドがぶつかってくる。BGV上の名場面映像も劇場版らしい強度のあるカットの連続で、苛烈なシーンとハードなサウンドのシンクロがオーディエンスのボルテージを一気に高めた。次の『さよならの時くらい微笑んで』でも切々とした歌声のパートの後は劇中の壮絶なシーンと合わさり、シアトリカルな演出のもとバラードをしっとりと歌い上げた。
MCでは引き続き「テンション感が難しい」と、「ファフソン」だけでライヴを構成する難しさを滲ませるatsukoだったが、軽妙にグッズのトークを展開し、次の音楽劇『蒼穹のファフナー』エンディングテーマ『生命-イノチ-』へ。アコースティックなサウンドに乗せて抑揚をつけた歌いこなしで、終盤のクワイアとともに大団円らしい空気をまとわせ歌っていった。この楽曲も披露されること自体が少なく、3年前の「蒼穹のファフナー FINAL Fes in パシフィコ横浜」のDay2「angela LIVE -蒼穹作戦-」でもゲストとのデュエットであったため、ライヴでatsukoのソロ歌唱を聴けたのもレアな機会となった。続くトリビュートソング『innocence』はシンセサウンドをフィーチャーした疾走感溢れる楽曲で、2人はステージを大きく使いパフォーマンスを繰り広げ、大きな反応をもらっていた。曲間ナレーションで一騎と総士がそのレアさに触れつつ、『蒼穹のファフナーEXODUS』のゾーンへ。第2クールオープニングテーマでangelaの通常のライヴでも人気の『DEAD OR ALIVE』を、アニメ映像をバックに熱唱する。太いリズム隊の音と高音のクワイアが並走しながらアグレッシブに展開していき、バスドラムの連打とともにギターソロを掻き鳴らし、2人は上手・下手に分かれ「follow me follow you」のコール&レスポンスを繰り返し、終盤のコール&レスポンスへ。angelaの多彩な引き出しを出し尽くすドラマティックな構成はライヴ映えがする。スクリーンには竜宮島の危機のシーンが映し出され、シリアスな雰囲気の中、第1クールエンディング主題歌『暗夜航路』を歌い始める。ステージのライティングも深海をイメージさせる色に変わり、atsukoはステージ中央に座り、沈痛な表情でピアノ伴奏一本で歌い続け、最後のパートに差し掛かるとバンドサウンドがバックアップし登場キャラクターたちの最期を描いた映像とともに感情を一気に揺さぶり、悲しく締めくくった。つづいては『その時、蒼穹へ』。Day1でも歌われた楽曲だが、この『EXODUS』の流れで名シーンの記憶とともにある挿入歌を演らないとあっては、島民が納得しないだろう。それは「行け、行け、飛べ、飛べ」のコールの声量にも表れていた。
歌い終えたatsukoは満足した表情で「良いですね、『その時、蒼穹へ』」と自画自賛。これは冗談ではなく、アーティストとしての本心で語っていた。前日に発表された2025年5月開催のオーケストラコンサートについて、atsukoは「ファフナー」の劇伴の魅力についても触れ、オーケストラコンサートへの期待を滲ませた。そしてライヴは後半戦になり、『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のゾーンへと進んだ。まずは映像作品発表前の時点でangelaが自発的に制作したイメージソング『Prologue -君の向こう側-』。KATSUによると「ゆったりとジンワリ心の中に入っていく曲」というイメージで、前半は厚いベースの音にじっくり乗せていき、サビで開放する。後半はテンポアップしドラマティックな展開を見せ、アウトロまで映像が浮かぶような想像を掻き立てる。BGVのアニメも敢えて作中の抽象的な画面で構成された、まさにイメージソング。この曲もライヴでの披露が多くはないので、満足した島民も多かったことだろう。つづいてはオープニング主題歌の『THE BEYOND』で、ライヴの盛り上げに不可欠な顔役の曲。落ちサビでの険しい顔から笑顔になって「蒼穹 I miss you」のコール&レスポンスを行うatsukoの表情が印象的だった。『蒼穹のファフナー THE BEYOND』での悲劇的なシーンを挟み、ワルツ曲のエンディングテーマ『君を許すように』は短く鎮魂歌のように歌われ、天井には星のような明かりが灯っていた。つづく第3弾エンディング『夜明け待ちのバラード』で、KATSUはアコースティックギターを手にして広がりのある音を作り、atsukoは何度でも味わいたくなるメロディを優しく力強く歌っていった。第5弾エンディング『過ぎ去りし日よ』ではKATSUが沖縄の伝統楽器の三線を手に島唄らしいイントロを奏で、会場にはしばしゆったりとした空気が漂う。島唄独特のメロディラインがatsukoの歌い回しと相性が良く、客席は聴き入っているようすだった。本編最後はやはり第2弾オープニング主題歌の『叫べ』。スピード&アグレッシブに攻めていき、「NO WHERE NOW HERE」のコールは更に大きく、最後のパートではモニターに映し出されるリリックに合わせ大合唱となり、最後にジャンプで締めくくった。
アンコールでatsukoは『叫べ』について触れ、3年前の「蒼穹のファフナー FINAL Fes in パシフィコ横浜」のDay2「angela LIVE -蒼穹作戦-」のときはまだライヴでは声出しが不可能な時期だったため、今回はオーディエンスとの声によるコミュニケーションを叶えられたことに満足げな様子で「こうしてまた叫べる今が来たと思うと、やはり続けることは大事だと思います」と話す。そして「ファフナー」との20年にわたる縁を振り返り、「これからどれだけ新しい作品に出会えるかを考えたとき、この先『ファフナー』ほど密にたくさんの楽曲数を作れる作品にはもう出会えないんじゃないかなと、心の片隅に思っています。(中略)本当にこれは私たちにとっても皆さんにとっても宝物です。だからこそ、大切に大切にこれからも作品とともに歌っていきたいと心から思っています」と話した。そして「全曲ライヴでこれまでまだ歌っていない曲」と問いかけると、会場全体から『Peace of mind』と一斉に言い当てる声があがり、最初から最後まで会場にいる全員で合唱する非常に珍しい光景が展開した。atsukoは随所にリードをするが、多くはオーディエンスのみで、男声・女声の割合も偏りがないのが特徴だった。1番が歌い終わると互いに大きな拍手が沸き起こり、伴奏がピアノからバンドサウンドになった2番でも合唱は続き、落ちサビ後には長い拍手が起こった後、笑顔のatsukoがオーラスを締めくくった。新曲のアンサーソング『蒼穹の彼方』はもちろんこの日も歌われたが、客席のサイリュームのようすからは、1日で熟練度の向上を感じさせた。そして「蒼穹のファフナー 20th Anniversary☆2日でまるごと全曲LIVE!!」を締めくくったのは『Shangri-La ~THE BEYOND~』だった。歌い始めに銀テープが発射され、思い思いのタオルで応援し表現する島民たち。2番になるとangelaはこの日もステージから客席に降りて歌い、その模様がスクリーンに映し出されると、大きな歓声が沸き起こり、以降はangelaの移動に合わせて皆が向きを変える向日葵のような光景が印象的だった。コール&レスポンス、そして落ちサビでの合唱では島民も想いを込めて熱唱し、歌い切ると、温かさに満ちた拍手が会場を包みこんだ。asukoは「やりきった!」と一言。「『物語が続くように』というのがangelaからの、そして島民の皆さんからのアンサーだと思っています」と叫び、「続いてほしいよね?」と問うと、もちろん島民たちは大きな歓声で応えた。バンドメンバー紹介と写真撮影を行なった後、最後にKATSUは新曲『蒼穹の彼方』の制作を突然依頼されたときには「ちょっと待って下さいよ〜」とリアクションを取ったそうだが「本音はメチャクチャ嬉しかったです」と明かし、「もっと『ファフソン』を作らせて下さい!」と絶叫すると、島民たちは大きな大きな拍手で応えた。atsukoは「いつでも歌う場所を『Shangri-La』にしてくれる島民の皆さんが大好きです!」と話した後、マイクを外して肉声でホール中に感謝の言葉を伝えた。最後にスクリーンの前に立った2人は握手とハイタッチで締めくくってステージを後にし、「蒼穹のファフナー 20th Anniversary☆2日でまるごと全曲LIVE!!」2日間を見事に走り切った。
レポート:日詰明嘉
Photo:木下マリ
あわせて読みたい関連記事
-
angela デビュー20周年を締めくくった〆ライヴ開催 2日間に渡りデビュー曲から新曲「僕等の歌」も初披露! さらにアニメ『K』オンリーライヴも開催決定!!
ライブ/イベント情報 -
angela、デビュー20周年を締めくくる"〆"のライヴが 5月24日(金)と25日(土)に開催決定!
ライブ/イベント情報 -
angela、パチンコ機「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3」搭載曲 「Fly Alive」、「命ノヒカリ」が本日1月23日(火)にデジタルリリース開始!
リリース情報 -
angela パチンコ機「Pフィーバー革命機ヴァルヴレイヴ3」搭載曲 「Fly Alive」、「命ノヒカリ」が1月23日(火)にデジタルリリース決定!
リリース情報