「東京発、次元を超えて最先端のアーティストが躍動するステージ」をテーマに掲げた新たな音楽フェス「VERGE MUSIC FESTIVAL」が2026年1月8日〜10日の3日間、東京国際フォーラム ホールAにて開催された。同フェスにはリアルとバーチャル、ジャンルを問わず、様々なアーティストが集結。初日はヘッドライナーの花譜をはじめ、水曜日のカンパネラ、yama、甘狼このみ&音ノ乃のの(ミリプロ)、オープニングアクトのずんだもん、インターバルアクトの琳子と、バラエティに富んだラインナップが実現し、会場を沸かした。

オープニングアクトのずんだもんは、ずんだ餅をモチーフにした東北発のマスコットキャラクター。2024年には、ずんだもんに関わるすべての人がハッピーになるため、多様なクリエイターと共に世界へ挑戦していくためのプロジェクト・ずんだもん世界化計画が始動し、2025年6月にビクターエンタテインメントからメジャーデビューを果たした。

ステージに登場すると、「何がリアルか、何がフェイクか、誰かが決めたVERGEなら僕らのステップで飛び越えてやるのだ!」と高らかに宣誓し、「ワールズエンド・ダンスホール」や「オーバーライド」などのカバー曲や、メジャーデビューEP『DANCE THROUGH THE WORLD』収録曲「セーワ?」と俊敏な身のこなしとともにアッパーな楽曲をたたみ掛ける。ロックナンバー「ロキ」では振り付けにエアギターを取り入れ、ラストの「シャルル」では歌詞と連動したダンスで楽曲を飾り付ける。情感豊かな表情やダンスで観客を引き込んだ。

スタイリッシュなオープニング映像が会場の空気をさらに盛り立てると、本編一番手に登場したのはyama。インターネットを拠点に音楽活動を行っていた頃に楽曲がバイラルヒットし、メジャーデビュー以降はフェスやライブ、タイアップソングなど様々なフィールドで活躍を続けている。「TWILIGHT」で軽やかにステージをスタートさせると、「今日は一緒に楽しんでいきましょう」と笑顔を見せ、「憧れのままに」「色彩」とバックバンドとともに心地よいグルーヴで会場を包んだ。

今年初ライブであると話すyamaは、「みんなで楽しみたい」と観客へ朗らかに呼び掛ける。今年3月リリース予定のコンセプトEP『C.U.T』の先行シングル「End roll」、切々としたボーカルが胸をかきむしるバラード「Oz.」と歌詞を丁寧に届けた後は、「MIDNIGHT」「偽顔」「Downtown」とUKガラージや2ステップテイストの楽曲を続けざまに披露して、会場をダンスホールに変貌させる。ラストはライブのキラーチューン「麻痺」と代表曲のひとつである「春を告げる」をたたみかける。しなやかかつダイナミックな歌声を響かせながら観客にクラップや歌声を求めるなど、ステージと客席との壁を取り払ってコミュニケーションを楽しんだ。

続いて登場したのは、2023年4月に設立されたVTuber事務所・ミリプロに所属する設立メンバー/0期生の甘狼このみと、1期生の音ノ乃のの。まずは音ノ乃がラップを含むクールでアッパーな「HYPE SEEKER」、甘狼がスウィートボイスを活かしたエレポップナンバー「想わせ♡らぶりー」と、それぞれのキャラクターを投影したオリジナル曲を自己紹介がわりにソロで披露する。

甘狼は「こんなすごい皆さんと同じステージに立ててとってもうれしい」、音ノ乃は「こんなに豪華なイベントに呼んでいただいて感謝です」とこの日を迎えられた喜びをあらわにする。その後は甘狼が香椎モイミの「キャットラビング」とDorikoの「ロミオとシンデレラ」、音ノ乃が星街すいせいの「ビビデバ」とVaundyの「花占い」とそれぞれ2曲ずつカバーを届けた。声質に合った選曲でふたりの対極的な個性を強く印象づけたかと思いきや一転、ラストの「天天天国地獄国」と「だいしきゅーだいしゅき」のカバー2曲では、まるで双子のように親和性の高いデュエットを繰り広げる。楽曲の魅力を引き立てたステージに、熱い拍手が起こった。

2021年に詩羽が2代目ボーカリストに就任して以降も、多数のバイラルヒットを飛ばす水曜日のカンパネラは、ケンモチヒデフミがDJブースから「怪獣島」のイントロを鳴らしてライブをスタートさせる。蝶やフリルをあしらったピンクとパープルの衣装に身を包んだ詩羽はステージを闊歩しながらドラマチックなメロディをなめらかに歌い、ケンモチもクラップをするなどして観客を軽やかに導いた。「聖徳太子」では詩羽がダンサーとともにダンスをしたり、サビで観客と目を合わせながら腕を左右に振るなどし、言葉数の多い「バッキンガム」ではユーモラスかつスリリングなパフォーマンスを繰り広げる。観客をスマートかつ大胆に楽曲の世界へいざなうライブスタイルは、水曜日のカンパネラの十八番だ。

「最高の思い出を作りたい」「ぜひ皆さんの大きな声と愛をいただけたらと思います」と晴れやかに呼び掛けると、その後も観客を楽しませるべく様々な仕掛けを提示する。「シャトーブリアン」ではコール&レスポンスに加え、ケンモチがホルスタインの着ぐるみでステージ前に踊り出たり、「たまものまえ」では詩羽がきつねのハンドサインを促し、TVアニメ『らんま1/2』第2期オープニングテーマの「ウォーアイニー」ではダンサーがアニメさながらのハンマーを持ってパフォーマンスをするなど、エンターテインメント性に富んだステージを届けた。

流行りに流されずに、自分の好きなものをめいっぱい身に着けた自分でいたいと話す詩羽は、「皆さんも自分自身が大好きなものをめいっぱい大切にしてください」とメッセージを送り、「マーメイド」「エジソン」「招き猫」とライブの定番である代表曲を連続で披露する。年始らしく華やかでハッピーな空間を作り上げた。

トリ前のインターバルアクトとして登場したのは、シンガーソングライターの琳子。まずは2024年にSNSでヒットした「中華料理屋の酢豚が食べたい」を、振り付けを交えて歌唱する。自然体のステージ、甘さと柔らかさを併せ持つ歌声は、観客をリラックスさせた。その後は最新曲「必殺のキス」をライブにて初披露する。短い時間ながらに、キャッチーで耳に残るポップソングでその存在感を知らしめた。

トリを飾るヘッドライナーは、バーチャルシンガーの花譜。活動7周年を迎えた2025年10月にメジャーデビューを果たし、次元はもちろん国境も超えるという現代ならではの動きを見せているアーティストだ。「危ノーマル」「何者」「青春の温度」と序盤からバンドメンバーとともにエネルギーがみなぎる楽曲を立て続けに歌唱する。情感と躍動感あふれる歌声はたちまち会場を高揚させた。

2026年初ライブがこの日であると語る彼女は「みんな今日のライブを楽しみにしてくれていることが伝わってきてうれしい」「みんなのことが見えて、声が聞こえて、すごくあったかい気持ちになっています」と笑顔を見せる。「海に化ける」「人を気取る」とドラマチックなライブアレンジで会場をエモーショナルな楽曲世界に引き込むと、「ゲシュタルト」「チューインディスコ」とハイテンションのダンスナンバーで会場を沸かし、「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」ではクラップを促したりなど観客とともに溌溂とした一体感を作り出した。

8曲走り抜けた花譜は「楽しい!」と声を上げる。「わたしのステージ、そしてこのVERGE MUSIC FESTIVALもラストスパートに入ってまいりました。どうか最後までよろしくお願いします!」と真摯に呼び掛けると、可憐な色香が甘いまどろみを生む「ひとえに壊れて」に続き、女子の激情を詰め込んだ大森靖子による提供曲「イマジナリーフレンド」「代替嬉々」と迫真のボーカルを響かせた。彼女が楽曲に込められた感情を増幅させながら美しく花開かせるアーティストであることをあらためて証明したセクションだった。

「今日ここで歌うことができて、皆さんとお会いすることができて、本当にうれしかったです」と感謝を告げると、ラストにロックバラード「邂逅」を届ける。全身を絞り上げながら喜怒哀楽すべてをありありと歌にし、感傷的でありながらもあたたかさとたくましさを感じさせるパフォーマンスは、このフェスの初日を締めくくるに相応しい圧巻のラストだった。

VERGE MUSIC FESTIVALは、このDAY1を皮切りに3日間にわたって開催された。中日の1月9日にはスマートフォン向けRPG『メギド72』による初のXRライブ「メギド72 1st XR Live『幻境エンタングル -交錯する運命-』」が行われ、ゲーム世界とリアルタイム演出が融合する特別な体験を提示。最終日となる1月10日にはホロライブ所属のときのそらによるワンマンライブ「ときのそら New Year’s Party 2026『Dreams in Motion』」が昼夜2回公演で開催され、新年の幕開けを飾った。

それぞれ趣向の異なる公演を通じて、“BOOT THE GLOBE”というコンセプトの可能性を立証したVERGE MUSIC FESTIVAL。ジャンルや次元を越境しながら新たなカルチャーの胎動を示した3日間は、まさにセンセーショナルな幕開けとなった。

Text by 「沖 さやこ」

Photo by 「Hiroki Sugiura(foto)」

■ライブ概要
<公演名>
VERGE MUSIC FESTIVAL 【DAY1】
<日時>
2026年1月8日(木)
<会場>
 東京国際フォーラム ホールA
<出演者>
水曜日のカンパネラ
yama
ずんだもん
琳子
花譜
甘狼このみ・音ノ乃のの(ミリプロ)
■当公演アーカイブ配信
https://spwn.jp/events/evt_4nf8R8dDbELfmPVf5Nuu
配信期間:2026年3月1日(日)23:59まで
販売期間:2026年3月1日(日)21:00まで

一覧へ戻る